代替わりでロゴやサイトを見直すとき|残すものと変えるもの
家業や会社を継ぐと、先代のころから使ってきたロゴや看板、何年も前に作ったホームページが目に入ります。「自分の代で新しくしたい」と思う一方で、先代や長年のお客様の思いもあり、どこまで変えてよいかは迷うところです。
この記事では、代替わりのときにロゴやホームページを見直す進め方を、変える前に引き継ぐもの・残すもの・変えるものの順に整理します。見直す時期の選び方、先代や社員・常連のお客様への伝え方、家業のホームページを作り直すときに古いサイトから引き継ぐものまでまとめました。
ロゴを変えるかどうかの一般的な判断の目安はロゴを変えるべきタイミングで扱っています。ここでは、代替わりならではの事情に絞って説明します。
代替わりで迷いやすい理由
代替わりの見直しが難しいのは、見た目に複数の人の思いが重なっているからです。
| 立場 | 見た目に対して思っていること |
|---|---|
| 先代 | 自分が決めたロゴや屋号。変えられると、仕事を否定されたように感じることがある |
| 長年のお客様・取引先 | 見慣れた目印。変わると「別の店になったのか」と戸惑う |
| 社員 | 慣れたひな形や制服。変わると作業が増える |
| 後継ぎ | 自分の方針を伝えたい。新しいお客様や求職者にも選ばれたい |
どの思いも間違いではありません。だからこそ、何のために見直すのかを後継ぎ自身が言葉にしておくことが出発点になります。
見た目を変える前に、名義を引き継ぐ
代替わりで最初に手を付けたいのは、デザインではなく名義です。家業では、ドメインやホームページの契約、地図の店舗情報などが、先代個人の名前や、先代の知り合いの業者の名義のままになっていることがあります。名義を確かめないまま作り直しを始めると、古いサイトのデータを受け取れない、ドメインを移せないといったことが起こりえます。
| 引き継ぐもの | 確かめること | 参考 |
|---|---|---|
| ドメイン | 登録者はだれか。更新の連絡がどこに届くか | ドメインとサーバーは誰の名義にすべきか |
| サーバー・ホームページの契約 | 契約者、支払いの方法、制作会社との契約の中身 | 契約書・請求書 |
| Googleビジネスプロフィール(地図の店舗情報) | オーナーの権限をだれが持っているか | オーナー権限を取り戻す方法 |
| SNS のアカウント | ログインの情報と、登録しているメールアドレス | 社内で控えを作る |
| 商標 | 登録があるか、名義はだれか | 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) |
| ロゴのデータと権利 | 元のデータがどこにあるか、作った会社との取り決め | 当時の契約書・見積書 |
| 写真 | 撮った人と、使ってよい範囲 | 撮影を頼んだときの取り決め |
商標は、先代個人の名義で登録されていることがあります。商標法では、特許法の規定を準用し、商標権の移転は登録しなければ効力が生じないとされています(商標法第35条、特許法第98条第1項第1号。相続その他の一般承継によるものを除く)。相続などの一般承継の場合は、遅滞なく特許庁に届け出ることとされています(特許法第98条第2項の準用)。どの手続きになるかは事情によるので、弁理士や特許庁の窓口で確かめてください。
残すものと変えるものの目安
名義の整理ができたら、見た目と伝え方を一つずつ見ていきます。
| もの | 残すほうがよい場合 | 変える理由になる場合 |
|---|---|---|
| 屋号・社名 | 地域で名前が通っている | 事業の中身が名前と大きくずれた |
| ロゴのマーク・家紋・印 | 看板や商品で長く見られてきた | 小さくすると潰れる、他社と似ている |
| 色 | お店の色として覚えられている | 業種と合わない印象を与えている |
| 創業の年・先代の言葉 | 歴史そのものが選ばれる理由になっている | ― |
| 書体・文字の形 | ロゴの一部として覚えられている | 画面で読みにくい |
| ホームページ | 店の歴史や仕事の記録など、中身に価値がある | スマホで見づらい、更新できない、連絡先が古い |
| 名刺・書類 | ― | 肩書きや連絡先が変わる。新しい代表の名前が入る |
| 採用の案内 | ― | 今の職場の姿が伝わらない |
目安としては、お客様の記憶と結びついているもの(名前・マーク・色)は残す方向で考え、使い勝手や今の情報に関わるもの(サイト・名刺・採用)は変える方向で考えると、混乱が少なくなります。ロゴは残し、形を整える手直しだけで印象が新しくなることもあります。
見直す時期の選び方
| 時期 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 継いだ直後 | 名義の引き継ぎ、連絡先や代表者名の修正、スマホで見づらいサイトの手当て | 大きな見た目の変更は、関係を引き継ぐ前だと反発を招きやすい |
| 1〜2年たってから | 自分の方針が固まり、お客様の受け止め方も分かったうえでの見直し | 先延ばしが続かないよう、時期を決めておく |
| 周年や移転などの節目 | 「節目に合わせて新しくする」と伝えやすい | 節目の日から逆算して準備を始める |
周年の節目に合わせる場合は、記念のロゴを期間を決めて使い、その後に新しいロゴへ移る方法もあります(周年記念ロゴの作り方と使う期間)。
先代・社員・常連のお客様への伝え方
見直しを決めたら、話す順番を意識します。外に出す前に、内側から伝えるのが基本です。
- 先代:何を残し、何を変えるかを、決める前の段階で相談する
- 社員:変える理由と、いつから何が変わるかを伝える。新しいひな形の使い方も
- 常連のお客様・取引先:変わらないことを先に伝え、そのうえで新しくなることを伝える
- 初めてのお客様:ホームページや店頭で、新しい見た目と方針を示す
伝え方では、先代の仕事を否定しない言い方を選びます。
- 良い例:「創業から続く屋号と印はそのままに、これからの仕事を伝えやすい形に整えました」
- 良くない例:「古いイメージを一新しました」
家業のホームページを作り直すとき
家業のホームページは、何年も手を入れていないこともあります。作り直すときは、まず古いサイトから引き継ぐものを拾い出します。
- 店や会社の歩み、創業の由来、先代が書いた文章
- これまでの仕事の記録や写真(使ってよい範囲を確かめる)
- 検索や他のサイトから来る入り口になっているページのアドレス
- お客様に知られているメールアドレスや電話番号
そのうえで、次のようなものを新しく足します。
- 後継ぎとしての言葉(代表のあいさつを書き直す)
- 今の取り扱いや料金の考え方、問い合わせ・予約の方法
- 採用の案内(職場の写真や、働く人の様子)
先代の言葉を消してしまうのではなく、「創業者の言葉」として歩みのページに残し、新しい代表のあいさつと並べる形もあります。作り直しの手順そのものはホームページリニューアルの進め方にまとめています。
代替わりの見直しのチェックリスト
- ドメイン・サーバー・地図の店舗情報・SNS の名義と権限を確かめた
- 商標の登録の有無と名義を確かめた
- ロゴの元のデータと、作った会社との取り決めを探した
- 見直す理由を一文にした
- 残すもの(名前・マーク・色など)を先に決めた
- 見直す時期を決め、先代と社員に先に伝えた
- 古いホームページから引き継ぐ文章・写真・ページを拾い出した
- 常連のお客様には「変わらないこと」から伝える準備をした
まとめ
- 代替わりの見直しは、デザインより先に名義を引き継ぐところから始める
- お客様の記憶と結びついた名前・マーク・色は残す方向で、使い勝手に関わるサイトや名刺は変える方向で考える
- 継いだ直後は名義と連絡先の修正にとどめ、大きな変更は方針が固まってから節目に合わせる方法もある
- 先代、社員、お客様の順に、先代の仕事を否定しない言い方で伝える
Lapisデザインラボでは、ヒアリングで残すものを決めるところから、ロゴ・名刺の作り直しを制作のプランで、ホームページの作り直し(リニューアル)を個別のお見積りでお受けしています。
よくある質問
家業を継いだら、ロゴは変えるべきですか。
代替わりそのものは、ロゴを変える理由になるとは限りません。新しい方針や事業の広がりを伝えるために変えるのか、言葉で説明できるかを先に考えます。説明できないなら、ロゴは残し、ホームページや名刺など伝え方から見直すほうが安全です。
先代の名義になっているドメインや商標は、どうすればよいですか。
見た目を変える前に、名義を確かめて引き継ぎます。ドメインやホームページの契約は契約先の手続きで名義を変えます。商標権を別の人や会社に移す場合は、特許庁への移転の登録が必要です(相続などの一般承継の場合は届け出)。手続きは弁理士や各窓口で確かめてください。
代替わりの見直しは、継いですぐにするのがよいですか。
継いだ直後は、取引先やお客様との関係を引き継ぐことが優先になりがちです。名義の引き継ぎと、連絡先など困っているところの修正は早めにし、ロゴなど見た目の大きな変更は、方針が固まってから、周年などの節目に合わせる方法もあります。