ロゴを変えるべきタイミング|リニューアルで失うもの・残すもの
「ロゴが古くさく見える」「代替わりを機に新しくしたい」。ロゴのリニューアルは、会社の節目に持ち上がる話です。ただ、ロゴを変えると、お客様がこれまで覚えてくれていた目印も手放すことになります。変えるべきか、手直しで済ませるべきか、変えるなら何を残すかを、先に整理しておく必要があります。
この記事では、ロゴを変えるかどうかの判断の目安、リニューアルでよくある失敗、変えると決めたあとの差し替えの手順と商標の扱いをまとめます。新しくロゴを作るときの進め方そのものはロゴ制作の流れと期間で説明しています。
変えるべきタイミングの目安
ロゴを変えるのが理にかなうのは、ロゴが今の事業を正しく表せなくなったときです。見た目の古さだけが理由なら、手直しで足りることが少なくありません。
| きっかけ | 変える理由になるか | 考えること |
|---|---|---|
| 事業の中身が大きく変わった(業種・主力商品) | なりやすい | 旧ロゴが今の事業を誤解させていないか |
| 社名・屋号を変えた | なる | 名前が変われば文字の部分は作り直し |
| 合併・グループ化・分社 | なりやすい | どちらの印を残すか、並べて使うか |
| 代替わり | 場合による | 変える目的を「新しい方針を伝えるため」と言えるか |
| 他社のロゴと似ていると分かった | なる | 商標の問題がある場合は急ぐ |
| 小さく表示すると潰れる、画面で見づらい | 手直しで足りることが多い | 形を保ったまま線や余白を整える |
| なんとなく古く見える | 手直しで足りることが多い | 色や書体の調整で印象は変わる |
とくに気をつけたいのは、代替わりの場面です。後継者が「自分の代の印」を作りたい気持ちは自然ですが、長年のお客様にとって、ロゴは店や会社そのものの記憶と結びついています。変える目的を言葉にできないなら、まず手直しから考えるほうが安全です。
リニューアルで失いやすいもの
覚えてもらっている目印
ロゴの価値の大部分は、形の美しさではなく「見てすぐに分かる」ことにあります。看板の色や印の形で店を探しているお客様は、ロゴが変わると見落とします。
名前と結びついた信用
長く使ってきたロゴには、「あの印の会社なら安心」という信用が積み重なっています。新しいロゴは、その信用を一から積み直すことになります。
社内の愛着
社員や古くからの取引先が、旧ロゴに思い入れを持っていることがあります。相談なしに変えると、反発を招くこともあります。
変える前に、社内で答えておきたい質問
リニューアルを決める前に、次の問いに社内で答えてみてください。答えが出ないまま進めると、途中で目的がぶれて、形の好みの議論だけが続きます。
- 旧ロゴは、今の事業の何を誤って伝えているか
- 新しいロゴで、お客様に何が変わったと受け取ってほしいか
- 変えたことで離れてしまいそうなお客様はいるか。その人たちにどう伝えるか
- 差し替えにかかる費用(看板・車両・印刷物・制服)を払えるか
- 変えたあと、少なくとも10年は使い続ける覚悟があるか
とくに5番目は大切です。ロゴを数年おきに変えると、どれも覚えてもらえないまま終わります。変えるなら、長く使える形を選ぶことが前提です。
残すものを先に決める
失うものを減らすには、何を残すかを最初に決めます。すべてを変える必要はありません。
- 色:コーポレートカラーを引き継げば、形が変わっても同じ会社だと伝わりやすくなります(色の決め方はコーポレートカラーの決め方を参照)
- 印の骨格:丸い印、山の形など、形の基本を保ったまま線や比率を整える
- 名前の書き方:漢字・かな・英字の選び方を変えない
- 由来や考え方:旧ロゴに込められた意味を、新しい形でも説明できるようにする
残すものが多いほど「手直し」に近づき、少ないほど「作り直し」に近づきます。どちらが正しいということはなく、事業の変化の大きさに合わせて選びます。
リニューアルでよくある失敗
- 流行りに寄せすぎる:その時期に流行した書体や色は、数年後に古く見えやすくなります
- 社内の多数決で決める:全員の好みを足し合わせると、特徴のないロゴになりがちです。決める人を先に決めておきます
- 差し替えの費用を見込んでいない:看板・車両・制服・印刷物の差し替え費用が、ロゴの制作費より大きくなることがあります
- 告知しない:いつから、なぜ変えたのかを伝えないと、お客様や取引先が戸惑います
- 新旧が長く混在する:古い名刺や封筒が何年も使われ続けると、どちらが正しいのか分からなくなります
変えると決めたあとの手順と手続き
手順
- 旧ロゴが使われている場所を洗い出す(看板・車両・制服・名刺・封筒・伝票・ホームページ・SNS のアイコン・Googleマップの店舗情報・商品パッケージ・スタンプなど)
- 差し替えの順番と予算を決める
- 新しいロゴを作り、使い方の決まり(色・余白・最小の大きさ)をまとめる
- 切り替えの日を決め、取引先とお客様に知らせる
- 外から見えるものを先に替え、消耗品は在庫に合わせて替える
- 旧ロゴのデータを「使わない」フォルダに移し、社内で誤って使われないようにする
洗い出しの段階で、名刺・チラシ・サイトの見た目を揃える方法の考え方を使うと、ばらばらになっていた販促物も一度に整えられます。
告知の仕方
ロゴを変えたことは、変えた理由と一緒に伝えます。理由が伝わると、新しいロゴが「会社が変わった証」として受け取られやすくなります。
- 取引先には、切り替えの日と、請求書や封筒の見た目が変わることを事前に知らせる
- ホームページのお知らせに、新しいロゴに込めた考え方を短く書く
- 店舗なら、しばらくのあいだ店頭に「ロゴを新しくしました」と掲示する
- 旧ロゴで検索や記憶をしているお客様のために、しばらくは新旧を並べた案内を残す
商標の扱い
ロゴを商標登録している場合は注意が必要です。特許庁の案内のとおり、商標権はマークとそれを使う商品・サービスの組み合わせで成り立っており、出願した商標の形を後から変えることは原則として認められません。新しいロゴを守りたい場合は、新しく出願することになります。新しいロゴを公表する前に、J-PlatPat で似た商標が無いかを調べておくと安心です(調べ方はロゴの商標登録は必要かを参照)。
社名そのものも変える場合は、商号の変更の登記や、取引先・金融機関への届け出など、ロゴとは別の手続きが必要です。これは司法書士や顧問の税理士に確かめてください。
手直しで済ませる方法
作り直すほどではないと判断したら、次のような手直しで印象を整えられます。
- 細すぎる線を太くし、小さく表示しても潰れないようにする
- 文字の間隔を整え、読みやすくする
- 色の数を減らし、1色でも使える版を用意する
- 画面向けの色(RGB)と印刷向けの色(CMYK)を正しく決め直す
- 横組み・縦組み・印だけの版をそろえる
作り直すか手直しにとどめるか迷うときは、変える目的と残したいものを書き出してから相談すると、話が早く進みます。Lapisデザインラボのロゴづくりの内容はサービスと料金でご覧いただけます。
よくある質問
ロゴを変えたら、役所への届け出は必要ですか。
ロゴを変えること自体に、役所への届け出は一般に要りません。ただし商標登録しているロゴの場合、登録した商標の形を後から変えることはできないので、新しいロゴを守りたいなら新しく出願します。社名も変える場合は、商号の変更の登記など別の手続きが必要になります。
古いロゴの商標登録はどうすればよいですか。
すぐに消す必要はありません。更新の時期が来たときに、使い続けるかどうか、他社に取られて困るかどうかで判断します。古いロゴが長く知られている場合は、しばらく権利を持っておく会社もあります。判断に迷うときは弁理士に相談してください。
看板や印刷物は一度に全部差し替えるべきですか。
一度に替えるのが理想ですが、費用の面で難しい場合は、外から見えるもの(看板・ホームページ・名刺)を先に替え、封筒や伝票のような消耗品は在庫がなくなる時期に合わせて替えるのが現実的です。新旧が混ざる期間は短いほど、お客様が迷いません。