安いロゴで起きること|格安のロゴ作成で注意する点

/ Lapisデザインラボ

ロゴは、数千円から作れる時代になりました。クラウドソーシングのコンペ、定額のロゴ作成サービス、無料の作成ツール。予算の限られた開業前の時期には、ありがたい選択肢です。一方で、安く作ったロゴが原因で、あとから作り直しや揉めごとになる例もあります。

この記事では、格安でロゴを作るときに起きやすいことを具体的に挙げ、申し込む前に確かめておく点をまとめます。「安いからだめ」という話ではありません。価格が安いほど、確かめる手間は自分の側に寄る、という前提で読んでください。なぜ費用に差が出るのかはロゴデザインの費用は何で決まるかで説明しています。

格安のロゴ作成の主な形

形仕組み向いている場面気をつけること
クラウドソーシングのコンペ募集を出し、多くの応募から選ぶ案を広く見たい応募者ごとに品質と権利意識の差が大きい
定額のロゴ作成サービス決まった手順と回数で作る手早く一つ決めたい修正の回数・データ・権利の範囲が決まっている
無料・安価な作成ツール用意された図案と書体を組み合わせる仮のロゴがすぐ要る他の利用者と似やすい。規約で使える範囲が決まる
知り合いに安く頼む個人の厚意事情が分かり合えている権利とデータの取り決めが曖昧になりやすい

安いロゴで起きやすいこと

1. 他社のロゴと似ていた

いちばん大きな問題です。応募を短時間で数多くこなす作り方では、既存のロゴや素材を下敷きにした案が混ざることがあります。無料のツールでは、同じ図案を多くの人が使うので、偶然似たロゴが世の中に増えます。

特許庁の説明のとおり、商標は先に出願した人に登録が認められ、他社の登録商標と同じか似た商標を、同じか似た商品・サービスに使うと、商標権の侵害にあたる可能性があります。看板や車両にロゴを入れたあとで分かると、差し替えの費用がロゴの代金を大きく上回ります。

2. 権利が自分のものになっていなかった

著作権は、作った人に自動的に生まれます。譲渡の約束が無ければ、代金を払っても著作権は作った人に残ると考えるのが基本です。サービスの規約で「譲渡する」と書かれていても、翻案などに関わる第27条・第28条の権利の扱いや、著作者人格権の扱いまで決まっているとは限りません(詳しくはロゴの著作権は誰のものか)。

3. 使えるデータが届かなかった

画像の PNG や JPG だけが届き、印刷会社に「元データをください」と言われて困る例です。ベクター形式(AI・SVG・PDF)の元データが無いと、看板や大きな印刷に使えず、描き直しの費用がかかります(違いはロゴのデータ形式)。

4. 使っている書体の扱いが分からなかった

ロゴの文字に使われた書体に、商用利用やロゴへの使用の制限がある場合があります。どの書体を使ったのか、ライセンスが問題ないのかを聞けないまま納品されると、後から確かめる手段がありません(フォントのライセンスで注意すること)。

5. 事業の考え方が形になっていなかった

格安のサービスは、手間のかかるヒアリングや調査を省くことで価格を下げていることが多く、「見た目は整っているが、どの会社にも当てはまる」ロゴになりがちです。これは違法でも失敗でもありませんが、数年後に作り直す理由になりやすい点です。

申し込む前に確かめる点

価格にかかわらず、次の点を規約や発注の条件で確かめてから申し込みます。

  1. 著作権は譲渡されるか。第27条・第28条の権利を含むか。著作者人格権を行使しない約束があるか
  2. 納品されるデータの形式(ベクターの元データを含むか)と、カラー・白黒の版
  3. 使われている書体と素材の名前、そのライセンス
  4. 修正の回数と、回数を超えたときの扱い
  5. 他人の作品を流用していないことの保証と、問題が起きたときの扱い
  6. 採用しなかった案の扱い(コンペの場合、他の応募作が別で使われることがある)
  7. 作成ツールの場合は、商用利用・商標登録・データの書き出しの可否

受け取ったあとに自分でできる確認

  • 似たロゴがないか画像で検索する:画像検索で、同じ形や素材が他で使われていないかを見ます
  • 似た商標がないか J-PlatPat で調べる:社名やロゴの読み方で、同じ業界の商標を検索します(調べ方はロゴの商標登録は必要か)
  • 小さく・白黒で表示してみる:名刺の角やスタンプの大きさで潰れないか、1色で成り立つかを見ます
  • 印刷会社に元データを見せる:入稿に使えるデータかどうか、刷る前に確かめてもらいます

フリーランスに直接頼むときの決まり

クラウドソーシングや知り合いを通じて、個人のデザイナーに事業者として仕事を頼む場合は、2024年に施行された「フリーランス法」(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の決まりにも気を配ります。公正取引委員会の特設サイトでは、発注する側に、書面かメールなどで取引条件をすぐに明示する義務があること、報酬の支払期日は受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定めることなどが説明されています。やり直しを無償で繰り返させることや、決めた報酬を一方的に減らすことも、条件によっては禁止される行為にあたります。

安く頼むほど、条件を口約束で済ませがちです。発注の内容・修正の回数・報酬・支払日・権利の扱いを、メールでもよいので文字に残しておくことが、双方を守ります。

格安で頼むときに満足度を上げるこつ

同じ価格でも、頼み方しだいで仕上がりは変わります。格安のサービスほど、依頼の文章がそのまま設計図になるからです。

  • 事業の説明を具体的に書く:「おしゃれに」ではなく、誰に何を売っているか、競合とどこが違うかを書きます。伝える項目はロゴを依頼する前に決めることにまとめています
  • 使う場面を先に伝える:スタンプ・看板・アプリのアイコンなど、小さく使うか大きく使うかで適した形が変わります
  • 好きな例と、その理由を添える:「この色の落ち着きが好き」のように、部分を言葉にします。形をそのまま真似る依頼はしません
  • 決める人が最初から見る:候補の選定に決裁者が加わらないと、修正の回数を使い切りがちです
  • 修正の指示はまとめて出す:思いつくたびに小出しにすると、回数の上限にすぐ届きます

こうした準備は、価格の高い制作会社に頼むときにもそのまま役立ちます。

安く作るなら、作り直す前提で

開業の時期と予算の都合で、まず格安でロゴを作る判断は十分にあり得ます。その場合は、いずれ作り直す前提で、看板や車両のような差し替えの費用が大きいものへの展開は控えめにしておくと、後の負担が軽くなります。事業が軌道に乗り、長く使うロゴが必要になった時点で、改めて考え方の整理からロゴを作る、という二段構えです。

Lapisデザインラボは、調べて考えてから形にする分、価格は相場より高い位置にあります。含まれるものと取引の条件はサービスと料金に載せています。

よくある質問

格安のロゴ作成サービスを使うのはやめたほうがよいですか。

一概にそうとは言えません。開業前で予算が限られている、まず仮のロゴが要る、といった場面では選択肢になります。ただし、権利の扱い・受け取るデータ・似たロゴの確認の3点は、価格にかかわらず申し込む前に確かめてください。

作ってもらったロゴが他社のロゴに似ていたら、どうなりますか。

他社が同じか似た商標を、同じか似た商品・サービスで登録していると、使うことが商標権の侵害にあたる可能性があります。看板や印刷物を作ったあとで分かると、差し替えの費用もかかります。使い始める前に J-PlatPat で似た商標を調べ、不安があれば弁理士に相談してください。

無料のロゴ作成ツールで作ったロゴは商標登録できますか。

ツールの利用規約で、作ったロゴの権利や商用利用、商標登録の可否がどう定められているかによります。同じ素材や書体を多くの人が使うツールでは、他の人と似たロゴになりやすい点にも注意が要ります。登録を考えるなら、規約を読んだうえで弁理士に相談してください。

参考にした資料

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