フォントのライセンスで注意すること|商用利用とロゴへの使用

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チラシやロゴを自分で作るとき、手元にある書体をそのまま使っていないでしょうか。書体(フォント)は、見た目は文字でも、中身はソフトウェアとして提供されていて、使ってよい範囲は提供元が定めた使用許諾(ライセンス)で決まります。無料で手に入った書体も、有料で買った書体も同じです。

この記事では、書体を商用で使うときに確かめること、とくにロゴに使うときと商標登録を考えるときの注意を整理します。フリーフォント、Google Fonts、有料の書体で扱いがどう違うのか、ライセンスをどこで確かめればよいのかも説明します。個別の使い方の可否は、必ず各提供元のその時点の使用許諾で確かめてください。

まず押さえること:同じ提供元でも、契約ごとに条件が違う

書体の使用許諾は、提供元ごと、さらに同じ提供元の中でも商品や契約の種類ごとに条件が違います。具体例として、国内の大手書体メーカーであるモリサワの公開情報を見ると、次のように案内されています。

  • モリサワがライセンスする書体を使って社名や商品名のロゴを作ることは問題ないが、デザインを含めた商標として登録することはできない(「商業利用について」のページ)
  • 一方、Morisawa Fonts のスタンダードプランなど特定の契約でインストールした書体で作ったロゴは、商標登録できる。フリープランやウェブフォントのプランではできない(Morisawa Fonts のサポートページ)

同じメーカーの書体でも、どの契約で使っているかで答えが変わる、ということです。「この書体はロゴに使えるか」ではなく、**「自分が持っているこの契約で、ロゴに使えるか・商標登録できるか」**を確かめる必要があります。

用途ごとに確かめる項目

用途確かめることよくある条件の違い
印刷物(チラシ・名刺・パンフレット)商用の印刷物に使えるか多くの書体で認められているが、個人利用に限る無料書体もある
ロゴロゴへの使用が認められているか使用は可でも、改変や商標登録に条件があることがある
商標登録ロゴを商標として出願してよいか契約の種類で可否が分かれることがある
ホームページ(画像にした文字)画像にしてウェブに載せてよいか多くは可
ホームページ(ウェブフォント)サーバーから書体を配信してよいか別のライセンスが必要なことが多い
動画・放送映像の中で使ってよいか別の条件や申請がある場合がある
商品・グッズ販売する商品そのものに使えるか商品化に制限がある書体がある
データの受け渡し印刷会社や制作会社に書体ファイルを渡してよいか書体ファイルの再配布は多くの場合禁止

フリーフォントの場合

「フリー」は「無料で手に入る」という意味で、何に使ってもよいという意味ではありません。配布サイトの説明や、ダウンロードしたファイルに入っている説明書(readme)に、使える範囲が書かれています。確かめるのは次の点です。

  • 商用利用ができるか(個人の非商用に限る書体もある)
  • ロゴに使えるか、改変してよいか
  • 商標登録してよいか
  • クレジット(作者名)の表示が要るか
  • 使う前に連絡や申請が要るか

配布サイトが閉じると、後から条件を確かめられなくなります。ダウンロードした日と、その時点の利用条件の文面を保存しておくことをおすすめします。

Google Fonts と SIL Open Font License

Google Fonts のよくある質問では、掲載されている書体はすべてオープンソースで無料、商用で使えると案内されています。いちばん多いのは SIL Open Font License(OFL)で、ほかに Apache License などのものもあります。

OFL の公式の FAQ では、OFL の書体を使って本や印刷物を作ったり、ロゴやその他のグラフィックを作ったりすることは、追加の許可なしにできると説明され、例としてロゴ・ポスター・名刺・看板などが挙げられています。一方で OFL は、書体ファイルそのものを単体で販売することを認めていません。ロゴや印刷物に使うのは自由でも、書体のファイルを売り物にしてはいけない、という線引きです。

よくある勘違い

  • 「買ったから何にでも使える」:買い切りの書体でも、ウェブフォントとしての配信や、アプリへの組み込み、商品化には別の条件が付くことがあります
  • 「画像にすれば関係ない」:画像にした文字でも、ロゴや商標登録の扱いは使用許諾に従います。画像にしたから条件が消えるわけではありません
  • 「デザイナーが持っている書体だから大丈夫」:制作を頼んだ側が、書体ファイルをもらって自社で使ってよいとは限りません。書体ファイルの受け渡しは、多くの使用許諾で制限されています。データを受け取るときは、文字を図形に変換した版をもらいます
  • 「昔から使っているから大丈夫」:使用許諾は改定されることがあります。ロゴや大量の印刷物に使う前には、その時点の条件を確かめます

ロゴに書体を使うときの注意

ロゴは長く使い、商標登録することもあるため、印刷物よりも慎重に確かめます。

  1. その書体の使用許諾で、ロゴへの使用と改変が認められているか
  2. 商標登録を考えているなら、その契約で登録が認められているか
  3. 契約(サブスクリプション)が終わったあとも、作ったロゴを使い続けられるか
  4. 文字を図形に変換(アウトライン化)したデータにしておき、書体ファイルが無くても再現できるようにする
  5. 制作を外部に頼んだ場合は、使った書体の名前と契約の種類を記録として受け取る

市販の書体の文字をほぼそのまま並べただけのロゴは、他社のロゴと区別しにくく、商標としても印象が弱くなりがちです。文字の形に手を加えたロゴを作る場合も、改変が許されているかを先に確かめます。ロゴの権利全体の考え方はロゴの著作権は誰のものかとロゴの商標登録は必要かで説明しています。

制作を外部に頼むときに受け取る記録

ロゴや印刷物を外部に頼んだ場合は、納品のときに次の記録を受け取っておきます。後から「この書体は何だったか」「どの契約で使ったか」を調べるのは大変だからです。

受け取る記録用途
使った書体の正式な名前と提供元自社で追加の印刷物を作るとき、同じ書体をそろえる
書体を使った契約の種類ロゴへの使用・商標登録の可否を確かめ直す
文字を図形に変換したロゴのデータ書体ファイルが無くても同じ形を再現する
無料書体なら、利用条件の控え配布元が閉じても条件を示せる

ライセンスの確かめ方の手順

  1. 使っている書体の正確な名前と、提供元を調べる(ソフトの書体一覧やファイルの情報で確認できる)
  2. 提供元の公式サイトで、使用許諾(利用規約・EULA)とよくある質問を開く
  3. 自分が持っている契約(買い切り・サブスクリプション・無料プランなど)を確かめる
  4. 上の表の用途ごとに、使えるかどうかを書き出す
  5. 判断に迷う点は、提供元の問い合わせ窓口に文章で問い合わせ、回答を保存する

社内で書体をそろえるなら

書体の確認を毎回するのは大変です。会社として使う書体を2〜3種類に決め、それぞれのライセンスを確かめたうえで、ブランドガイドに「使ってよい書体」として載せておくと、担当者が替わっても迷いません(ブランドガイドラインとは)。

Lapisデザインラボの制作で有料の書体を使う場合、その費用は代金に含まれない実費としてご案内しています。取引の条件はサービスと料金をご覧ください。

よくある質問

パソコンに最初から入っているフォントは、ロゴに使ってよいですか。

OS やソフトに付いてくるフォントにも使用許諾の条件があり、ロゴへの使用や商標登録の扱いは書体ごとに違います。付属のフォントだから自由に使える、とは限りません。使う前に、その書体の提供元が公開している使用許諾やよくある質問を確かめてください。

Google Fonts は商用で使えますか。

Google Fonts のよくある質問では、掲載されている書体はすべてオープンソースで、商用で使えると案内されています。多くは SIL Open Font License で、ほかに Apache License などのものもあります。条件は書体ごとのライセンスに書かれているので、ダウンロードしたファイルに含まれるライセンスの文書を保管しておくと安心です。

ロゴに使った書体の契約が切れたら、ロゴは使えなくなりますか。

扱いは書体の提供元の使用許諾によって違うので、契約の文面で確かめてください。契約を結ぶ前に確かめておくのが確実です。ロゴを作るときに、どの書体をどの契約で使ったかを記録しておくことが大切です。

参考にした資料

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