プロのカメラマンに撮影を頼むときの準備|撮影リストと当日の流れ
ホームページやパンフレットの印象は、写真でほとんど決まります。とはいえ、プロのカメラマンに頼んだのに「使える写真が少なかった」「撮りたかった場面が抜けていた」ということは珍しくありません。原因の多くは、撮影当日ではなく、撮影前の準備にあります。
この記事では、会社やお店の写真をプロに頼むとき、事前に決めておくこと、撮影リストの作り方、当日の流れ、費用が決まる要素、写真の権利と写る人の同意の扱いを順に説明します。撮影を初めて手配する担当者が、このページを見ながら準備を進められるようにまとめました。
撮影の前に決める4つのこと
1. 写真をどこに使うか
ホームページのトップの大きな写真、スタッフ紹介、会社案内の表紙、求人の案内、SNS。使う場所によって、横長か縦長か、人物の大きさ、文字を重ねる余白が要るかが変わります。使う場所と、そのおおよその大きさ・向きを一覧にしておきます。
2. 何を伝えたいか
「清潔感」「職人の手仕事」「相談しやすい雰囲気」など、写真で伝えたいことを2〜3個に絞ります。ロゴや色を決めたときの考え方があるなら、それをカメラマンにも共有します(ブランドガイドラインとは)。
3. 誰が写るか
社員の誰が写るのか、写りたくない人はいないか、お客様に協力をお願いするのか。人の調整が最も時間がかかるので、早めに決めます。
4. いつ・どこで撮るか
店内や作業場なら、営業中か休業日か。屋外なら天気と時間帯。季節の飾りや工事中の場所が写り込まないかも確かめます。
撮影リストの作り方
撮影リストは、カメラマンへの注文書であり、当日の段取り表です。次の形の表にまとめると、抜けが減ります。
| 番号 | 使う場所 | 内容 | 向き | 写る人 | 場所 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | サイトのトップ | 店の外観と入口 | 横長(文字を重ねる余白あり) | なし | 店の前 | 必須 |
| 2 | スタッフ紹介 | 代表の上半身 | 縦長 | 代表 | 店内の窓際 | 必須 |
| 3 | サービス紹介 | 作業中の手元 | 横長 | スタッフA | 作業台 | 必須 |
| 4 | 会社案内の表紙 | 全員の集合 | 横長 | 全員 | 店の前 | あれば |
| 5 | 求人の案内 | 休憩中の会話 | 横長 | 若手2名 | 休憩室 | あれば |
※ 表の中の人名は記入例です。実際には氏名か役割を書きます。
リストを作るときのこつは3つです。
- 使う場所から逆算する:「とりあえずいろいろ撮る」は、使える写真が少なくなる典型です
- 優先度を付ける:時間が押したときに、どれを削るかをその場で迷わずに済みます
- 参考の写真を添える:雰囲気の近い写真があれば、「光の入り方が好き」など理由と一緒に渡します
当日までの準備チェックリスト
- 撮影リストをカメラマンと共有し、足りない点を聞いておく
- 写る人に日時・服装・撮影の目的・写真を載せる場所を伝え、同意を得る
- 服装を決める(制服の予備、柄の強い服は避ける、色をそろえるかどうか)
- 撮影する場所を片付ける(書類・私物・配線・張り紙・ゴミ箱)
- 商品や小道具を用意し、汚れや傷を確かめる
- お客様が写る場合は、事前に説明して同意を得ておく
- 当日の立ち会いの担当者を決める(撮影のたびに内容を確かめる人)
当日の流れ
一般的な半日の撮影は、次のように進みます。
- 打ち合わせ(15分程度):撮影リストの確認、順番の調整
- 場所の下見と照明の準備:カメラマンが光の具合を見て、機材を置く
- 人の写らない写真から撮る:外観・内観・商品など。その間に写る人が身支度を整える
- 人物の写真:一人ずつの写真、作業中の写真、集合写真
- 確認:撮った写真をその場でざっと見て、撮り漏れが無いか確かめる
立ち会いの担当者は、各カットを撮り終えたらリストに印を付けていきます。撮り漏れは、その日のうちに気づけば取り返せます。
スタッフの写真をきれいに撮るこつ
カメラに慣れていない人ほど、表情が硬くなります。撮影の技術はカメラマンの仕事ですが、段取りでできることがあります。
- いきなり正面から撮らない:作業中や会話中の写真から始めると、緊張がほぐれます
- 話しかけてもらう:立ち会いの人が話しかけると、自然な表情が出やすくなります
- 順番を配慮する:撮られるのが苦手な人は、場が温まった後半に回します
- 服と背景の色を考える:背景と服が同じ色だと人物が沈みます。ロゴの色に合わせた小物を一つ入れると、会社らしさが出ます
撮影のあと:選び方と保管
撮影が終わると、数百枚の候補が届くことがあります。選ぶ作業にも段取りが要ります。
- 撮影リストの番号ごとに候補を分ける:リストの項目ごとに、使えそうなものを2〜3枚に絞ります
- 使う場所の大きさで確かめる:スマートフォンの画面の大きさと、印刷物の大きさの両方で見て、ぶれやピントの甘さが無いかを確かめます
- 写っている人に確認する:表情や写り方は、本人の納得が大切です。気になる写真は外します
- 補正を頼む写真を決める:写り込みの消去や明るさの調整を頼む場合は、どの写真に何をするかを一覧にして伝えます
選んだ写真は、元の大きさのデータを共有のフォルダに保管し、ファイル名に撮影日と内容を入れておきます。担当者のパソコンやスマートフォンだけに置くと、数年後に「あの写真はどこにあるのか」となりがちです。写真の使える範囲の取り決め(契約書やメール)も、同じフォルダに入れておきます。
同じ日に撮った写真でも、使う場所に合わせて明るさや色味がそろっていると、サイトや印刷物全体の統一感が出ます。見た目をそろえる考え方は名刺・チラシ・サイトの見た目を揃える方法で説明しています。
費用が決まる要素
撮影の費用は、次の要素で決まります。見積もりを比べるときは、金額よりも中身がそろっているかを見ます。
| 要素 | 費用への影響 |
|---|---|
| 拘束時間 | 半日・1日などの単位で決まることが多い |
| 撮影場所の数・移動 | 場所が増えるほど準備と移動の時間がかかる |
| 納品カット数 | 選別と補正の手間が増える |
| 補正(レタッチ)の範囲 | 明るさの調整だけか、写り込みの消去までか |
| 機材・スタジオ | 照明・背景紙・スタジオの使用料 |
| 出張・交通費 | 遠方や早朝の撮影 |
| 使える範囲 | 広告への使用や、使う期間の取り決めで変わることがある |
写真の権利と、写る人の同意
写真は、著作権法で著作物の例として挙げられています(第10条)。撮った写真の著作者は、原則としてカメラマンです。そのため、依頼の段階で次の点を取り決めておきます。
- 写真を使える媒体(ホームページ・印刷物・広告・SNS)と期間
- 他の制作会社や印刷会社にデータを渡してよいか
- 写真の切り抜きや色の調整などの加工をしてよいか
- 著作権を譲り受けるのか、使うことを許してもらうのか
写る人の同意も欠かせません。社員であっても、どこに・いつまで載せるのかを伝え、退職したあとの扱いも決めておきます。
撮影したい写真の方向がまだ固まらないときは、先に素材写真の使い方と注意点を読んで、素材写真で足りる部分と、撮影でしか得られない部分を分けておくと、撮影の範囲を絞れます。Lapisデザインラボの制作では、写真はお客様からご支給いただき、無い場合は有料の写真素材(実費)でご提案しています(取引の条件)。
よくある質問
撮影の費用は何で決まりますか。
拘束時間(半日か1日か)、撮影する場所の数と移動、納品するカットの数、写真の補正(レタッチ)の範囲、照明や背景の機材、出張の交通費、写真の使える範囲の取り決めで変わります。見積もりを比べるときは、この項目がそれぞれ含まれているかを確かめてください。
撮った写真の著作権は誰のものですか。
写真は著作権法で著作物の例として挙げられており、原則として撮影した人が著作者になります。ホームページ・印刷物・広告など、どこまで使えるのか、他の制作会社に渡してよいのかを、依頼の段階で取り決めておきます。
社員を撮るときに同意は必要ですか。
写る人の同意を得てから撮影し、どこに・いつまで載せるかも伝えておくのが基本です。退職したあとの扱い(差し替えるか、残すか)も事前に決めておくと、後で揉めずに済みます。