周年記念で作るもの|記念誌・記念サイト・ノベルティの段取り
創業10年、30年、50年といった節目が近づくと、「周年で何かやろう」という話が社内で持ち上がります。記念誌、記念サイト、記念品、式典と、思いつくものはたくさんありますが、何から手を付ければよいのか、いつから準備すればよいのかが分からず、担当を任された総務や広報の方が困ることも多いと思います。
周年で作るものは、誰に、何を伝えたいかで選ぶと迷いません。社員に歩みを伝えたいのか、取引先にお礼を伝えたいのか、お客様や地域に節目を知らせたいのかで、作るものも、かける時間も変わります。
この記事では、周年記念で作るものの一覧と選び方、記念誌の作り方と費用の幅、記念サイトの作り方、記念日から逆算した準備の段取りの例をまとめます。周年記念のロゴの作り方と使う期間は周年記念ロゴの作り方と使う期間で扱っているので、ここではロゴ以外も含めた全体と段取りを見ていきます。
まず決めること:誰に、何を伝えるか
周年の取り組みは、相手ごとに伝えたいことが違います。最初に、いちばん届けたい相手を決めます。
| 相手 | 伝えたいことの例 | 向いている制作物 |
|---|---|---|
| 社員とその家族 | これまでの歩み、これからの方向 | 記念誌、社内の式典、記念品 |
| 取引先 | お礼、これからもよろしくという挨拶 | 案内状、記念誌、記念品、記念のページ |
| お客様 | 感謝、これからも同じ品質で続けること | 記念のページ、記念のノベルティ、店頭の掲示 |
| 地域 | 地元とともに歩んできたこと | 記念のページ、地域の行事への協賛の印刷物 |
| 求職者 | 長く続いている会社であること、これからの姿 | 記念のページ、採用の資料の改訂 |
相手を全部にすると、予算も時間も足りなくなります。2つ程度に絞り、それ以外は記念ロゴを名刺やメールの署名に添える程度にとどめるのが現実的です。
周年記念で作るものの一覧
よく作られるものを、準備にかかる期間とあわせて並べます。期間は、外に頼む場合の段取りの目安です。
| 制作物 | 中身 | 準備の期間の目安 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 周年記念ロゴ | 今のロゴに記念の文字や数字を添える | 半年〜1年前に作る | ほかの制作物より先に作る |
| 記念誌・社史 | 歩みをまとめた冊子 | 1年〜2年 | 資料集めと社内の確認に時間がかかる |
| 記念のページ・記念サイト | 歩み、お礼、これからを伝えるページ | 3〜6か月 | 周年が終わった後の扱いを決める |
| 記念品・ノベルティ | 配る品物にロゴや記念の文字を入れる | 3〜6か月 | 製作の日数と、在庫の扱い |
| 案内状・招待状 | 式典や記念の挨拶の案内 | 2〜3か月 | 送る相手の名簿の整理 |
| 式典の印刷物 | 会場の看板、式次第、名札 | 1〜2か月 | 会場の大きさと設営の日程 |
| 名刺・封筒の記念版 | 記念ロゴを添えた版 | 1〜2か月 | 期間中に使い切れる量だけ刷る |
| 会社案内の改訂 | 沿革や数字を新しくする | 3〜6か月 | 記念誌と内容をそろえる |
先に作るべきなのは周年記念ロゴです。記念誌の表紙、記念のページ、ノベルティ、案内状のどれにも使うので、ロゴが決まらないとほかが進みません。記念品のデザインと、配るときの決まり(景品の規制など)はノベルティ・販促品のデザインで説明しています。
記念誌の作り方
社史と記念誌の違い
「社史」と「記念誌」は呼び方が混ざって使われますが、作り方の重さが違います。
| 種類 | 中身 | ページ数の目安 | 作り方 |
|---|---|---|---|
| 本格的な社史 | 創業からの出来事を、資料に基づいて詳しく記録する | 数百ページになることもある | 編集委員会を置き、取材と資料の調査に時間をかける |
| 記念誌 | 歩みの要点、代表の挨拶、社員の言葉、写真 | 数十ページ | 社内の担当と制作会社で進める |
| 記念の冊子 | 年表と写真、お礼の言葉を中心にした薄い冊子 | 8〜20ページほど | 会社案内やパンフレットに近い作り方 |
中小企業の周年なら、まず記念誌か記念の冊子の形を考え、歴史が長く資料も多い会社が本格的な社史を検討する、という順で考えると予算を立てやすくなります。
作る手順
- 方針を決める:誰に配るか、何部作るか、どの形にするか、予算と完成の日
- 担当と体制を決める:社内の担当者と、確認する人(代表、古くからいる社員)
- 資料を集める:登記の書類、古い写真、昔の会社案内、商品や看板の写真、新聞記事など
- 年表を作る:載せる出来事を選び、年月を資料で確かめる。年表の書き方は会社の沿革の書き方を参考にする
- 構成を決める:代表の挨拶、歩み、事業の今、社員の言葉、これから、資料の年表など
- 取材と原稿:古くからいる社員や取引先に話を聞き、原稿にする
- 写真:古い写真を集め、足りないものは撮影する。写っている人の了解を取る
- デザインと校正:社内で読み合わせ、名前・年月・数字の誤りをなくす
- 印刷と配布:配布の時期と方法(式典で手渡し、郵送)を決める
いちばん時間がかかるのは、3の資料集めと8の社内の確認です。古い写真や書類は、退職した人の手元にあったり、倉庫の奥にあったりして、探すだけで何か月もかかることがあります。
費用の幅
記念誌の費用は、形と、どこまで外に頼むかで大きく変わります。
| 形 | 費用の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 本格的な社史 | 一般的に500万〜1,000万円 | 比較ビズ |
| 中綴じの冊子 8〜16ページ | 20万〜50万円程度 | JPC |
| 中綴じの冊子 20ページ以上 | 40万〜100万円程度 | JPC |
比較ビズの解説では、社史の工程ごとの目安として、企画費10万〜30万円、取材費20万〜50万円、原稿費30万〜100万円、撮影費10万〜50万円、デザイン費20万〜80万円、印刷・製本費30万〜200万円が挙げられ、部数が多いと印刷費がふくらむとされています。JPC の解説では、冊子のデザイン費を1ページあたり2万〜5万円程度、原稿・取材費を1ページあたり1万5,000〜3万円程度としています。
費用を抑えるなら、原稿を社内で書き、デザインと印刷を頼む形があります。ただし、原稿の作成と社内の確認には担当者の時間がかなりかかるので、通常の仕事との兼ね合いを先に決めておきます。冊子の費用の決まり方はパンフレットの制作費の相場でも説明しています。
国立国会図書館への納本
国立国会図書館の案内では、社史・団体史などの出版物でも、頒布を目的として相当の部数(通常100部以上)を作り、配ったものは納本の対象になるとされています。納める義務があるのは1部で、発行の日から30日以内に納めることになっています。ホチキス留めなどの簡易な綴じ方のものや、広く一般に公開することに支障があるものは対象になりません。
取引先や地域に広く配る記念誌なら、納本しておくと、会社の歩みが公の図書館に残ります。対象になるか迷うときは、国立国会図書館の窓口に問い合わせます。
記念のページ・記念サイトの作り方
今のホームページの中に作る
記念のページは、別のドメインで独立したサイトを作るより、今のホームページの中に作るほうが扱いやすくなります。
| 作り方 | よい点 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 今のサイトの中に記念のページを作る | 費用を抑えやすい。周年の後も沿革のページとして残せる | 今のサイトのデザインの中で、記念らしさを出す工夫が要る |
| 別のドメインで記念サイトを作る | 自由に作り込める | 周年の後もドメインの更新の費用がかかる。手放すと他人に取られるおそれがある |
別のドメインを手放した後に、他人がそのドメインを取得して別の用途に使うと、配った印刷物に載せたアドレスから見知らぬサイトに飛ぶことになります。ドメインが切れたときに起きることはドメインが切れたときで説明しています。
載せる内容
- 代表の挨拶(お礼とこれから)
- 歩みの要点(年表と、時代ごとの写真)
- 今の事業と、これから力を入れること
- 社員や取引先の言葉(載せる人の了解を取る)
- 記念の取り組みのお知らせ(記念品、式典、記念のキャンペーン)
周年が終わったら、お知らせの部分を外し、歩みの部分を沿革のページとして残します。トップページに置いた記念の案内や記念ロゴは、決めた日に元に戻します。
記念日から逆算した段取りの例
記念誌を作る場合の段取りを、記念日から逆算した例として示します。記念誌を作らない場合は、1年前の行から始めても間に合わせやすくなります。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 2年〜1年半前 | 担当を決める。誰に何を伝えるか、作るもの、予算を決める。記念誌の資料集めを始める |
| 1年前 | 周年記念ロゴを作る。記念誌の構成を決め、取材と原稿を始める。式典の会場を押さえる |
| 半年前 | 記念のページ、ノベルティ、案内状のデザインを始める。記念ロゴを名刺やメールの署名に使い始める |
| 3か月前 | 記念誌の校正。ノベルティを発注する。案内状の送り先の名簿を固める |
| 1〜2か月前 | 記念誌の印刷。案内状を送る。記念のページを公開する |
| 記念日 | 式典、記念誌と記念品の配布 |
| 記念の年の終わり | 記念ロゴと記念の案内を外し、記念のページを沿革として残す |
外に頼むものが多いほど、制作会社や印刷会社の日程の空きにも左右されます。とくに記念誌は、社内の確認に何度も戻りが出るので、印刷の日から逆算して校正の期間を長めにとっておきます。
周年記念の準備のチェックリスト
- いちばん届けたい相手を2つ程度に絞った
- 作るものを決め、それぞれの担当と予算を決めた
- 周年記念ロゴを、ほかの制作物より先に作る段取りにした
- 記念誌の形(社史・記念誌・記念の冊子)と部数を決めた
- 古い写真と書類を集め始め、写っている人の了解の取り方を決めた
- 記念のページを今のサイトの中に作るか、別に作るかを決めた
- 記念ロゴや記念の案内を外す日を決めた
- 記念誌を広く配るなら、国立国会図書館への納本を確かめた
Lapisデザインラボでは、ロゴ・名刺・販促物を制作のプランで、パンフレットや印刷物の追加をオプションでお受けしています。今のロゴを活かして周年の記念ロゴを作る手直しは、お見積りでお受けします。記念のページのご相談はお問い合わせから受け付けています。
よくある質問
周年記念の準備は、いつから始めればよいですか。
何を作るかで変わります。記念誌を作るなら、資料集め・取材・原稿・校正に時間がかかるため、工程から逆算すると、記念日の1年半〜2年前に担当を決めて始めると余裕があります。記念誌を作らず、記念ロゴ・記念ページ・ノベルティ・式典が中心なら、1年前からでも間に合わせやすくなります。
周年記念誌の制作費は、どのくらいかかりますか。
形と範囲で大きく変わります。比較ビズの解説では、本格的な社史の制作費は一般的に500万〜1,000万円とされています。一方、薄い冊子の形なら、パンフレットの相場が目安になり、デザイン会社 JPC の解説では中綴じ8〜16ページで20万〜50万円程度、20ページ以上で40万〜100万円程度とされています。
周年の記念サイトは、別のドメインで作ったほうがよいですか。
多くの場合、今のホームページの中に記念のページを作るほうが扱いやすくなります。別のドメインで作ると、周年が終わった後も更新の費用がかかり、手放したドメインを他人に取られるおそれもあります。今のサイトの中に作れば、周年が終わった後も沿革のページとして残せます。