ホームページのアカウントの棚卸し|名義・管理者・辞めた人のID
ホームページは、1つの契約でできているわけではありません。ドメイン(サイトとメールの住所)、サーバー(データを置く場所)、サイトの管理画面、アクセス解析、Googleマップの店舗情報、広告と、少なくとも5つ以上のアカウントが組み合わさって動いています。そして多くの会社で、そのうちいくつかは「誰の名義で、誰が入れるのか」が分からなくなっています。
この記事では、ホームページまわりのアカウントを一覧にして整える棚卸しの手順をまとめます。一覧に書く項目のひな形、名義と管理者の確かめ方、辞めた担当者や前の業者のIDの外し方、管理者を交代するときの順番まで、担当を引き継いだ人がそのまま使える形にしています。
棚卸しは、困ってからでは遅い作業です。担当者が辞めた、制作会社と連絡がつかない、ドメインの更新の案内が誰にも届かない、といったことは、たいてい一覧が無いところで起きます。半日ほどの作業で、その多くを先に防げます。
棚卸しの対象になるアカウント
まず、ホームページに関わるアカウントの種類を押さえます。会社によって無いものもありますが、次の表を上から順に「うちにはあるか」で確かめていくと漏れが減ります。
| 種類 | 例 | 止まったり入れなくなったりすると困ること |
|---|---|---|
| ドメインの管理会社 | ドメインを登録・更新している会社の管理画面 | 更新が切れるとサイトとメールが止まる |
| サーバー | レンタルサーバーの契約と管理画面 | サイトが表示されなくなる。データを取り出せない |
| サイトの管理画面 | WordPress などの更新の画面 | 文章や写真を直せない |
| 会社のメール | 独自ドメインのメールの管理画面 | アドレスの追加や削除ができない |
| アクセス解析・タグの管理 | Google アナリティクス、Google タグ マネージャー | 数字が見られない。計測の設定を直せない |
| Googleビジネスプロフィール | Googleマップの店舗情報 | 営業時間や住所を直せない |
| 広告 | Google広告、Meta の広告など | 広告を止められない。過去の記録を見られない |
| 外部のサービス | 予約、問い合わせフォーム、ネットショップ、決済 | 受付が止まる。お客様の情報を扱えない |
| SNS のアカウント | 会社の公式アカウント | なりすましや放置に気づけない |
ドメインとサーバーの関係や、どちらかが切れたときに何が止まるかは、サーバーとドメインの違いで説明しています。
一覧に書く項目のひな形
一覧は表計算の1枚で足ります。列は次のとおりです。
| 列 | 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|---|
| サービス | サービス名と、管理画面の入り口 | ドメイン管理(◯◯のサービス) |
| ログインID | ログインに使うメールアドレスやID | 会社の共通アドレス |
| 名義 | 契約者・登録者として登録されている人や会社 | 自社(法人名) |
| 社内の管理者 | 最上位の権限を持つ社員(2人以上) | 代表、総務の担当 |
| 外部の利用者 | 権限を持つ制作会社・業者と、その権限の種類 | 制作会社:編集の権限 |
| 支払いと更新日 | 支払い方法、次の更新日、更新の案内が届く先 | 会社のカード、毎年3月 |
| 二段階の確認 | パスワードのほかに確認の手段を設定しているか | 設定済み(スマートフォン) |
| 確かめた日 | この行を最後に確かめた日 | 2026年10月 |
**パスワードは、この一覧に書きません。**一覧が1枚漏れただけで、すべての入り口が開いてしまうからです。パスワードはパスワード管理の道具など、一覧とは別の場所に置き、「どこに保管しているか」だけを一覧に書いておきます。これが「ホームページのログイン情報をどう管理するか」の基本の形です。
棚卸しの手順
1. 請求とメールから洗い出す
社員の記憶に頼ると漏れます。次の3つの記録から、契約しているサービスを拾い出します。
- 会社のクレジットカードの明細と、請求書の綴り
- 「更新のお知らせ」「お支払いのお願い」などのメール
- 制作会社や保守の会社から届いた、公開のときの引き渡しの書類
2. 名義を確かめる
ドメインは、登録者が誰かを公開の検索で確かめられます。.jp で終わるドメインはJPRSのWHOIS(ドメインの登録情報の検索)で、登録者やネームサーバーの情報が分かります。.com などは ICANN Lookup で調べられます。登録者が制作会社になっていた場合の考え方はドメインとサーバーは誰の名義にすべきかにまとめています。
サーバーや広告などは、管理画面の「契約者情報」「お支払い情報」で、契約している法人名を確かめます。
3. ユーザーの一覧を開く
多くのサービスには、権限を持つ人の一覧の画面があります。名前に覚えがない人、辞めた人、契約が終わった業者が残っていないかを見ます。
| サービス | 権限の主な段階 |
|---|---|
| Google アナリティクス | 管理者・編集者・マーケティング担当者・アナリスト・閲覧者 |
| Google タグ マネージャー | アカウントは管理者とユーザー。コンテナは読み取り・編集・承認・公開 |
| Googleビジネスプロフィール | メインのオーナー・オーナー・管理者 |
| Google広告 | 管理者・標準・読み取り専用・メール専用など |
| WordPress | 管理者・編集者・投稿者・寄稿者・購読者 |
4. 個人のアドレスで作ったものを移す
担当者の個人のメールアドレスで作ったアカウントは、その人が辞めると誰も入れなくなります。会社のアドレス(できれば担当が替わっても残る共通のアドレス)を管理者として追加し、そちらを主に使う形へ移します。
5. 最上位の権限を2人以上にする
Google タグ マネージャーや Google広告のヘルプでも、管理者が1人しかいないと、その人が対応できなくなったときに入れなくなるおそれがあるとして、管理者をもう1人置くことをすすめています。どのサービスも、最上位の権限は社内の2人以上が持つようにします。
6. 見直す日を決める
一覧は作った日から古くなります。年に1回、決算や更新の時期に合わせて見直す日を決め、「確かめた日」の列を更新します。年1〜2回の点検の項目は自社のホームページを点検する項目の一覧にもまとめています。
辞めた人・契約が終わった業者のIDを外す
社員の退職のときに会社全体のアカウントを止める手順は、ホームページに限らない大きな話です。ここでは、ホームページまわりに絞って、外すときの要点をまとめます。
| サービス | 外すときの要点 |
|---|---|
| サイトの管理画面(WordPress) | ユーザーを削除するとき、その人が書いた投稿をすべて消すか、別のユーザーに引き継ぐかを選ぶ画面が出る。誤って消さないよう、引き継ぎ先を決めてから削除する |
| Google アナリティクス | ユーザーを削除できるのは、アカウントの単位で管理者の役割を持つ人だけ |
| Googleビジネスプロフィール | ユーザーを外せるのはオーナー。辞めた人がメインのオーナーなら、先に譲ってもらう |
| 広告 | 管理者の権限で外す。代理店とつないでいる場合はリンクの解除も確かめる |
| サーバー・ドメイン | 管理画面のパスワードを変え、登録のメールアドレスが辞めた人の個人のものなら会社のものに変える |
外す順番は、ほかの社員が入れることを確かめてからです。最後の管理者を先に外すと、会社の誰も入れなくなります。辞めた人がメインのオーナーのままで連絡がつかない場合の取り戻し方は、Googleビジネスプロフィールのオーナー権限を取り戻す方法で説明しています。
管理者を交代するときの順番
担当者の交代や、制作会社の切り替えで管理者を替えるときは、「足してから外す」が原則です。
- 新しい担当者を、まず下の権限で追加する
- 新しい担当者が実際にログインでき、作業ができることを確かめる
- 必要な権限(最上位の権限、メインのオーナー)を新しい担当者に移す
- 移ったことを確かめてから、前の担当者の権限を外す
- 一覧の「社内の管理者」「外部の利用者」「確かめた日」を書き換える
ドメインの登録者そのものを変える場合は、管理会社での手続きになります。業者に Googleビジネスプロフィールを触ってもらうときの権限の渡し方はGoogleビジネスプロフィールの管理者の追加に、広告のアカウントの持ち方は広告アカウントは誰の名義にするかにまとめています。
よくある困りごとと、避け方
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良くない例:「制作会社がすべて持っているので、うちは何も知らない」
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良い例:「名義と最上位の権限は自社。制作会社には作業に要る権限を渡し、一覧で見えるようにしている」
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良くない例:共通のIDとパスワードを社員と業者で使い回している
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良い例:人ごとにIDを作り、要る権限だけを渡している。辞めたらその人のIDだけを外せる
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良くない例:更新の案内が、辞めた人の個人のアドレスに届いている
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良い例:更新の案内は、担当が替わっても読める会社のアドレスに届く
人ごとにIDを分けておくと、外すときにほかの人の作業を止めずに済み、誰が何を変えたかも後から追えます。
まとめ
- ホームページは、ドメイン・サーバー・管理画面・解析・地図・広告など複数のアカウントでできている
- 一覧には名義・社内の管理者・外部の利用者・更新日を書き、パスワードは別の場所に置く
- 洗い出しは、請求とメールの記録から始める
- 最上位の権限は社内の2人以上で持ち、辞めた人や前の業者のIDは、ほかの人が入れることを確かめてから外す
- 管理者の交代は「足してから外す」
Lapisデザインラボの月額のサイト保守では、サーバーとドメインの契約管理と更新手続きを引き受けています。ドメイン・Googleビジネスプロフィール・広告アカウントは、お客様の名義で持っていただきます。内容はサイト保守・更新に、名義の扱いは月額サービスの条件に載せています。
よくある質問
ホームページのログイン情報は、どこに残しておけばよいですか。
サービス名・ログインに使うメールアドレス・名義・管理者などは一覧表に、パスワードそのものはパスワード管理の道具など別の場所に分けて残します。一覧表にパスワードまで書くと、表が1枚漏れただけで全部の入り口が開いてしまいます。
辞めた担当者のIDは、すぐに削除してよいですか。
先にほかの社員が管理者として入れることを確かめてから外します。サイトの管理画面では、その人が書いた投稿を別のユーザーに引き継ぐかを選べるので、削除の前に引き継ぎ先を決めておきます。
制作会社が管理者になっているのは問題ですか。
作業に必要な範囲の権限を持っていること自体は普通です。困るのは、名義(契約者)や一番上の権限が制作会社だけにあり、自社の誰も入れない状態です。自社の側に最上位の権限を残し、制作会社には作業に要る権限を渡す形に整えます。