中小企業のホームページの予算の決め方|目的から逆算する手順
「ホームページを作りたいが、いくらかければよいのか分からない」。初めてホームページを作るときも、古いサイトを作り直すときも、経営者がまず悩むのが予算です。相場を調べると数万円から数百万円まで幅があり、自社にはどれくらいが妥当なのか判断がつきません。
予算が決まらないまま見積もりを取ると、各社の提案がばらばらになり、比べることもできません。反対に、なんとなくの金額で決めてしまうと、必要な作業が入らなかったり、使わない機能にお金をかけたりします。この記事では、中小企業がホームページの予算を決める手順を、目的から逆算する順番で説明します。
予算を決める5つの手順
| 手順 | すること | 決まるもの |
|---|---|---|
| 1. 目的を1つに絞る | ホームページで何を増やしたいかを決める | 力を入れるページ |
| 2. ページと作業を洗い出す | 必要なページと、自社でやること・頼むことを分ける | 制作費の目安 |
| 3. 公開後の費用を足す | サーバー、ドメイン、保守、更新 | 年間の維持費 |
| 4. 数年分の合計で見る | 制作費と、3年から5年分の維持費を合わせる | 総額の予算 |
| 5. 上限と優先順位を決める | 予算の上限と、削れるもの・削れないものを決める | 制作会社に伝える条件 |
手順1:目的を1つに絞る
ホームページの予算を決める出発点は、金額ではなく目的です。何のためにホームページを作るのかで、必要なページと、お金をかけるべき所が変わります。
| 目的 | 力を入れる所 | お金をかける作業の例 |
|---|---|---|
| 取引先に信用してもらいたい | 会社概要、事業の説明、代表挨拶 | 原稿の整理、代表の写真の撮影 |
| 問い合わせを増やしたい | サービスの説明、料金の目安、よくある質問、事例 | 原稿の作成、問い合わせフォーム |
| 採用の応募を増やしたい | 仕事の中身、働く人、職場の様子 | 職場と社員の撮影、社員への取材 |
| 自社で情報を発信したい | お知らせ、コラム | 自社で更新できる仕組み |
目的が複数あるときは、いちばん大事なものを1つ決めます。すべてに同じように費用をかけると、予算が膨らむうえに、どれも中途半端になりがちです。2番目以降の目的は、公開後に少しずつページを足して対応する方法もあります。
手順2:ページと作業を洗い出す
目的が決まったら、必要なページを書き出します。会社のホームページでは、トップ、事業・サービス、会社概要、問い合わせ、個人情報の扱いのページが基本で、目的に合わせてページを足します。載せる項目の一覧は会社のホームページに載せる項目の一覧で説明しています。
ページが決まったら、それぞれの作業を自社でやることと頼むことに分けます。
| 作業 | 自社でやる場合 | 頼む場合 |
|---|---|---|
| 原稿 | 費用はかからないが、社内の時間がかかる | 取材と原稿の作成の費用がかかる |
| 写真 | 手持ちの写真を使う。質はばらつく | 撮影の費用がかかる |
| デザイン | 型(テンプレート)を使う | 一から作ると費用が上がる |
| 更新 | 自社で更新できる仕組みを入れる | 更新のたびに頼む費用がかかる |
原稿と写真を自社で用意できれば、制作費は抑えられます。ただし、社内で原稿を書く時間が取れず、公開が何か月も遅れることもよくあります。自社の時間も費用の一つと考えて分けます。原稿の用意の仕方はホームページの原稿の用意の仕方で説明しています。
手順3:公開後の費用を足す
ホームページは、作った後にも費用がかかります。比較サイトのPRONIアイミツでは、公開後の費用の目安が次のように示されています。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| レンタルサーバー | 月額600〜5,000円程度 |
| ドメイン | 年間1,000〜5,000円程度 |
| SSL(通信の暗号化) | ドメイン認証の場合、無料〜数千円 |
| 運用・保守の管理 | 月額1万〜10万円程度かかるケースが多い |
保守を頼むか、自社で管理するかで、公開後の費用は大きく変わります。WordPress のような更新の仕組みを入れるなら、仕組みと部品の更新が欠かせないため、保守の費用を最初から予算に入れておきます。保守で確かめることはホームページ保守契約で確認することで説明しています。
手順4:数年分の合計で見る
制作費だけで比べると、判断を誤ることがあります。たとえば、制作費が安くても保守の月額が高い会社と、制作費は高いが公開後の費用が少ない会社では、数年たつと合計が逆になることがあります。
予算は、制作費+3年から5年分の維持費で考えます。ホームページは一度作ると数年は使い続けるものなので、その期間にかかる費用の合計で比べるのが実際に近い考え方です。「初期費用0円」の代わりに長い期間の月額やリースの契約になっている提案は、特に合計で確かめます。
手順5:上限と優先順位を決める
最後に、予算の上限を決めます。あわせて、予算に収まらなかったときに削れるものと削れないものを決めておきます。
- 削りにくいもの:目的に直結するページ、問い合わせの導線、スマートフォンでの見やすさ、ドメインとサーバーを自社の名義で持つこと
- 後回しにできるもの:事例やお知らせのページ(後から足せる)、凝った動きの演出、多言語
- 自社でやれば削れるもの:原稿、手持ちの写真で足りる所
相場の目安
参考として、比較サイトが公表している目安を挙げます。
- PRONIアイミツでは、1〜10ページほどの小規模なサイトで5万〜30万円程度、20ページ前後の中規模なサイトで30万〜70万円程度が目安とされています
- 同サイトの取引データ(2020年1月〜2025年3月)では、従業員30名程度の小規模な企業は40万〜99万円で作っている企業が多く、全体の37%を占めていたとされています
- コーポレートサイトでは、30万〜50万円の価格帯に依頼が最も集中しているとされています
相場の数字は、原稿や撮影を含むか、税込か税抜かなど、何を含めるかで変わります。自社の予算が相場から大きく外れているときは、目的と作業の洗い出しに戻って、どこに差があるのかを確かめます。規模別の相場はホームページ制作の費用の相場で詳しく説明しています。
制作会社への予算の伝え方
予算は、見積もりを頼むときに伝えます。伝えないと、制作会社は何をどこまで提案すればよいか分からず、各社の提案の幅がばらばらになります。
伝えるときは、金額だけでなく次のことを合わせて伝えます。
- 予算の上限(制作費と、公開後の月額を分けて)
- ホームページの目的(いちばん大事なもの)
- 必要なページの案
- 自社で用意するもの(原稿、写真)
- 公開したい時期
- 予算に収まらないときに優先したいこと
各社に同じ条件を伝えると、金額だけでなく中身で比べられます。条件をまとめるには、提案依頼書の形にすると確実です(提案依頼書の書き方)。届いた見積もりの読み方はホームページの見積もりの読み方で説明しています。
予算が足りないとき
見積もりが予算を超えたときは、次の順に考えます。
- ページを減らす:必須のページだけで公開し、残りは後から足す
- 自社でやる作業を増やす:原稿や写真を自社で用意する
- 型を使う:下の階層のページは型のデザインを使う
- 公開の時期を分ける:まず小さく公開し、翌年度の予算で足す
反対に、削ってはいけないのは、ドメインとサーバーの名義、スマートフォンでの見やすさ、問い合わせの導線です。ここを削ると、後から直すときにかえって費用がかかります。
よくある失敗
- 相場の金額だけで予算を決め、目的に必要な作業が入っていなかった:公開後に原稿や撮影を追加で頼むことになった
- 制作費だけで比べ、保守の月額を見ていなかった:数年で合計が大きく膨らんだ
- 予算を伝えずに見積もりを取った:各社の提案がばらばらで、比べられなかった
- 社内の原稿の時間を考えていなかった:原稿が集まらず、公開が大きく遅れた
どれも、目的から作業を洗い出し、数年分の合計で考えることで防げます。
よくある質問
中小企業のホームページの予算は、いくらくらいを見ておけばよいですか。
比較サイトのPRONIアイミツは、同サイトの取引データ(2020年1月〜2025年3月)で、従業員30名程度の小規模な企業は40万〜99万円で作っている企業が多く、全体の37%を占めていたとしています。ただし、必要な金額は目的とページ数、原稿や写真を誰が用意するかで大きく変わります。相場から決めるより、目的から必要な作業を洗い出して積み上げる方が、予算がぶれません。
制作会社に予算を伝えると、その金額いっぱいの見積もりを出されませんか。
予算を伝えないと、制作会社は何をどこまで提案すればよいか分からず、各社の提案の幅がばらばらになって比べにくくなります。予算の上限と、その中で優先したいことを合わせて伝えると、限られた予算の中で何を削り、何を残すかの提案を受けられます。複数の会社に同じ条件を伝えれば、金額だけでなく中身で比べられます。
制作費のほかに、どんな費用を予算に入れておくべきですか。
サーバーとドメインの費用、保守や更新の費用、撮影や原稿の作成を頼むならその費用、公開後に広告を出すならその費用です。PRONIアイミツでは、レンタルサーバーが月額600〜5,000円程度、ドメインが年間1,000〜5,000円程度、運用や保守の管理が月額1万〜10万円程度かかるケースが多いとされています。制作費と、3年から5年分の維持の費用を合わせて予算を考えます。