ホームページ制作費の勘定科目と耐用年数|費用にする時期
ホームページの制作会社から請求書が届いた。経理の担当者が迷うのが、「これは何の勘定科目で、いつ費用にすればよいのか」ということです。広告宣伝費として支払った年の費用にできるのか、ソフトウエアとして資産にして何年かに分けて費用にするのか。扱いによって、その年の利益が変わります。
この記事では、ホームページの制作費と、公開後の保守や更新の費用の処理について、国税庁のタックスアンサーをもとに一般的な考え方を整理します。税の扱いは、ホームページの中身や会社の状況によって変わります。**実際の処理は、必ず顧問の税理士に確かめてください。**ここでは、税理士に相談するときに何を伝えればよいかが分かるように説明します。
考え方の分かれ目
ホームページの制作費の扱いは、ホームページが何をするものかで分かれるとされています。
| ホームページの中身 | 一般的に紹介される扱い | 考え方 |
|---|---|---|
| 会社や商品を知らせる内容が中心で、たびたび更新する | 広告宣伝費として、支払った年の費用 | 広告の効果が及ぶ期間が短いと考える |
| 予約、ネット販売、会員の管理などの仕組み(プログラム)を組み込んでいる | ソフトウエアとして資産に計上し、分けて費用にする | 仕組みを何年も使うと考える |
| 両方が混ざっている | 部分ごとに分けて考える | 請求書の内訳が大事になる |
会社のホームページの多くは、会社の情報やサービスを知らせる内容が中心です。一方で、予約やネット販売の仕組みを持つサイトは、その部分がソフトウエアに当たることがあります。
ソフトウエアとして資産にする場合
国税庁のタックスアンサー No.5461 では、ソフトウエアの扱いが次のように説明されています。
- ソフトウエアは、減価償却資産(無形固定資産)に当たる
- 耐用年数は、複写して販売するための原本と開発研究用のものは3年、その他のものは5年
- 購入した場合の取得価額には、購入の代価のほか、導入に必要な設定の作業や、自社の仕様に合わせるための付随的な修正の作業の費用も含める
会社のホームページに組み込む予約やネット販売の仕組みは、多くの場合「その他のもの」に当たり、耐用年数は5年になります。
少額の場合の扱い
資産に当たるものでも、金額が小さい場合は、特別な扱いがあります。
| 扱い | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 少額の減価償却資産 | 取得価額が10万円未満のもの、または使える期間が1年未満のものは、事業に使った年に全額を費用にできる | No.5403 |
| 一括償却資産 | 取得価額が20万円未満のものは、3年間で均等に費用にできる | No.5403(注1) |
| 中小企業者等の特例 | 中小企業者等が取得した30万円未満のものは、一定の要件のもとで全額を費用にできる(年間の合計に上限がある) | No.5408 |
中小企業者等の特例には、対象となる法人の条件と、適用の期限が定められています。使うときは、国税庁のタックスアンサー No.5408 で現在の内容を確かめます。
No.5403 では、使える期間が1年未満かどうかは、法定の耐用年数ではなく、その業種で一般的に消耗するものと考えられているか、実際に使っている期間から判断すると説明されています。例として、テレビで放映するコマーシャルの映像は、通常は資産に計上して耐用年数2年で償却するものの、放映の期間が1年未満なら使える期間が1年未満のものとして扱える、と示されています。ホームページの内容をたびたび入れ替える場合の考え方も、これに近いものとして紹介されることがあります。
公開後の費用の扱い
| 費用 | 一般的な扱い |
|---|---|
| サーバーの費用 | その期間の費用(通信費、支払手数料など) |
| ドメインの費用 | その期間の費用。複数年分をまとめて払った場合は期間で分けることがある |
| 保守の月額 | その期間の費用(支払手数料、保守料など) |
| 文章や写真の差し替え | その期間の費用 |
| ページの追加、機能の追加 | 中身によって、制作費と同じように判断する |
勘定科目の名前は、会社ごとの決まりに合わせます。大事なのは、毎年同じ考え方で処理することです。
処理の例で考える
考え方をつかむために、よくある形を3つ挙げます。実際の処理は、ホームページの中身と会社の状況によって変わるので、あくまで考え方の例として読んでください。
- 会社案内のホームページを作り、お知らせを毎月更新している:会社の情報とサービスを知らせる内容が中心なので、広告宣伝費として支払った年の費用にする扱いが一般的に紹介されています。保守の月額は、その月の費用です
- 飲食店のホームページに、予約の仕組みを組み込んだ:店の案内の部分と、予約の仕組みの部分に分けて考えます。予約の仕組みを自社のために作り込んだ部分は、ソフトウエアとして資産にする扱いになることがあります。外部の予約サービスを月額で使っているだけなら、その月額はその期間の費用です
- ネット販売のサイトを作った:商品の登録や注文の管理、支払いの仕組みを持つため、仕組みの部分はソフトウエアに当たることが多くなります。デザインや商品の写真の撮影の費用をどう扱うかも、税理士に確かめます
いずれの場合も、請求書の内訳が分かれていると、部分ごとの判断がしやすくなります。
作り直したときの古いホームページ
ホームページを作り直したとき、古いホームページを資産に計上していて、まだ償却が終わっていない場合は、残っている金額をどう扱うかという論点が出ます。使わなくなった部分を処理できるかどうかは、状況によって変わるので、作り直しを決めた時点で税理士に伝えておきます。
請求書を分けてもらう
ホームページの処理で困るのは、「制作一式」とだけ書かれた請求書です。中身が分からないと、どこまでが広告宣伝費で、どこからがソフトウエアかを判断できません。制作会社に頼むときは、次のように内訳を分けてもらうと、処理がしやすくなります。
- デザインとページの制作
- 予約やネット販売などの仕組みの組み込み
- 原稿の作成、撮影
- 公開の作業、サーバーとドメインの初年度の費用
- 公開後の保守の月額
見積もりの段階で、「経理の処理のため、請求書の内訳を分けてほしい」と伝えておけば、ほとんどの制作会社は対応できます。見積もりの項目の読み方はホームページの見積もりの読み方で説明しています。
税理士に相談するときに伝えること
- ホームページの目的(会社の案内か、予約や販売をするか)
- 組み込んだ仕組み(予約、ネット販売、会員、問い合わせフォームなど)
- 更新の頻度(お知らせを毎月更新するか、ほとんど変えないか)
- 請求書の内訳と金額
- 公開した日(事業に使い始めた日)
- 公開後の保守や更新の契約の中身
請求書と見積書、制作会社との契約書を一緒に見せると、判断がしやすくなります。
リースや月額の契約の場合
ホームページの制作を、リースや月額の契約で結んでいる場合は、処理の考え方がまた変わります。リースの場合は、リースの種類によって扱いが違うため、契約書を税理士に見せて確かめます。リース契約の仕組みはホームページのリース契約とはで説明しています。
補助金を使った場合
ホームページの制作に補助金を使った場合は、補助金の収入の扱いなどの論点が加わることがあるので、申請の前から税理士に相談しておきます(補助金の案内)。
よくある誤解
- 「ホームページは全部、広告宣伝費で落とせる」:仕組みを組み込んだ部分は、ソフトウエアに当たることがあります
- 「リースなら全部経費になるから得」:費用にできても、払うお金が減るわけではありません。合計の支払いで比べます
- 「制作会社がこう処理するよう言った」:処理を決めるのは自社と税理士です。制作会社の説明はあくまで参考にとどめます
制作費と公開後の費用を合わせた考え方は、中小企業のホームページの予算の決め方とホームページの維持費は年間いくらで説明しています。
Lapisデザインラボのお支払いの時期と方法は、サービスと料金に載せています。
よくある質問
ホームページの制作費は、どの勘定科目で処理しますか。
一般的には、会社や商品を知らせるための内容が中心で、内容をたびたび更新するホームページの制作費は、広告宣伝費として支払った年の費用にする扱いがよく紹介されています。一方、予約やネット販売、会員の管理などの仕組み(プログラム)を組み込んだ部分は、ソフトウエアとして資産に計上する扱いになることがあります。どちらに当たるかは中身によって変わるので、顧問の税理士に確かめます。
ソフトウエアとして資産にする場合、耐用年数は何年ですか。
国税庁のタックスアンサー No.5461 では、ソフトウエアは減価償却資産(無形固定資産)に当たり、複写して販売するための原本と開発研究用のもの以外の「その他のもの」は耐用年数5年とされています。取得価額には、導入に必要な設定の作業や、自社の仕様に合わせるための付随的な修正の作業の費用も含めるとされています。
保守や更新の月額は、どう処理しますか。
一般的には、サーバーやドメインの費用、保守や更新の月額は、その期間の費用として処理します。ただし、ページの追加や機能の追加など、ホームページの価値を高める作業は、制作費と同じように中身で判断することがあります。請求書で、保守の月額と、追加の制作の費用を分けて書いてもらうと処理しやすくなります。