ホームページ保守・MEO・SEO・広告の費用の勘定科目
ホームページを公開した後も、保守の月額、サーバーとドメイン、MEO(地図の検索での表示の対策)、SEO(検索での表示の対策)や記事の制作、広告の運用と、毎月の支払いが続きます。請求書が届くたびに「これは何の勘定科目にすればよいのか」と迷う経理の担当者は多いはずです。
この記事では、毎月払うウェブの費用を、どの勘定科目で処理することが多いかを一覧にし、科目の決め方の考え方を説明します。結論を先に言うと、科目の名前は法律で決まっておらず、会社の中で決めて毎年同じ扱いを続けることが大事です。そのうえで、年払いのとき、国外の広告媒体に払うとき、インボイスを確かめるときに気をつける点があります。制作費そのものの勘定科目と耐用年数はホームページ制作費の勘定科目と耐用年数で説明しているので、ここでは公開した後の毎月の費用に絞ります。
毎月の費用と、よく使われる勘定科目
| 費用 | よく使われる勘定科目 | 気をつけること |
|---|---|---|
| ホームページの保守の月額 | 支払手数料、保守料、外注費 | ページや機能の追加が含まれるときは、その部分を分けて判断する |
| サーバーの利用料 | 通信費、支払手数料 | 年払いなら前払いの扱いを確かめる |
| ドメインの更新料 | 通信費、支払手数料 | 複数年分をまとめて払ったときは期間で分けることがある |
| MEO の月額 | 広告宣伝費、支払手数料 | ツールの利用料と作業の費用が分かれているか |
| SEO の月額 | 広告宣伝費、支払手数料 | 記事の制作が含まれるか |
| 記事の制作 | 広告宣伝費、外注費 | 本数ごとの請求か、月額に含まれるか |
| 広告運用の代行の手数料 | 広告宣伝費、支払手数料 | 広告の出稿費と分けて記録する |
| 広告の出稿費(媒体に払う分) | 広告宣伝費 | 請求書の発行元が国内か国外か |
| 制作や分析のツールの月額 | 通信費、支払手数料、ソフトウェア利用料など | 年払いか月払いか |
科目の名前は、会社ごとの勘定科目の決まりに合わせます。同じ保守の月額を、ある年は支払手数料、次の年は外注費にする、といったばらつきが出ると、年ごとの比べ方がおかしくなり、説明もしにくくなります。
広告宣伝費と、ほかの科目の分かれ目
国税庁の説明(令和7年4月1日現在の法令等)では、得意先などへの接待や贈答の費用は交際費等とされる一方、不特定多数の人に向けて宣伝の効果を狙う費用は広告宣伝費とされています。MEO、SEO、ウェブ広告は、多くの場合これに当たるので、広告宣伝費で処理する会社が多くあります。
一方で、特定の取引先を接待したり、贈り物をしたりする費用は、広告宣伝費ではなく交際費の扱いになることがあります。たとえば、ホームページの公開の記念に取引先へ贈り物をした費用は、広告宣伝費とは分けて考えます。
保守の月額を支払手数料や保守料にするのは、宣伝そのものではなく、サイトを動かし続けるための作業の対価だからです。ただし、保守の契約に「月に数ページまで追加」のような作業が含まれていると、その部分は新しく作ったものとして、制作費と同じように判断することがあります。月額の中に何が含まれるかは、ホームページの保守費用の相場と内訳で説明しています。
MEO・SEO・広告運用で分けておくこと
MEO
MEO の月額には、地図の検索の情報を整える作業の費用と、口コミの管理や順位の計測のツールの利用料が混ざっていることがあります。請求書で分けてもらえば、科目を分けるかどうかを選べます。MEO の費用の内訳はMEO 対策の費用の相場で説明しています。
SEO と記事の制作
SEO の月額に、記事の制作が含まれている場合があります。記事はサイトに残る成果物ですが、毎月の宣伝の活動として広告宣伝費で処理する会社が多くあります。まとまった本数の記事や、サイトの作りを大きく変える作業を一度に頼んだときは、扱いを税理士に確かめます。SEO の費用の内訳はSEO 対策の費用の相場で説明しています。
広告運用の代行
広告運用を代行会社に頼むと、費用は2つに分かれます。
- 広告の出稿費:Google や Meta などの媒体に払う、広告そのものの費用
- 運用の手数料:代行会社に払う、設定や改善の作業の費用
出稿費を自社の広告アカウントから媒体に直接払う形なら、請求書も2つに分かれます。代行会社が出稿費を立て替えて、手数料と合わせて請求する形なら、1枚の請求書に両方が載ります。どちらの形でも、帳簿では2つを分けて記録しておくと、広告にいくら使い、運用にいくら払ったかが後で分かります。代行の費用の決まり方は広告運用代行の費用の相場で説明しています。
年払いのとき:短期前払費用
サーバーやツールを1年分まとめて払うと、割引になることがあります。このとき、支払った年の費用にしてよいかが問題になります。
本来、前払いした費用は、まだサービスを受けていない分を資産(前払費用)として計上し、サービスを受けた期間に合わせて費用にしていきます。ただし国税庁の説明では、法人が、支払った日から1年以内に提供を受けるサービスの費用を前払いした場合、毎年続けてその扱いをすることを条件に、支払った日の事業年度の費用(損金)にできるとされています(法人税基本通達2-2-14)。
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 支払った日から1年以内にサービスを受け終えるか |
| 中身 | 一定の内容のサービスを、継続して受けるものか |
| 続けること | 毎年同じ扱いを続けているか |
| 収益との対応 | 売上と直接結びつく費用ではないか |
国税庁の質疑応答事例には、サービスの期間が始まる前に1年分を払い、支払った日から1年を超える期間までが支払いの対象になる形について、この扱いが認められないとした例もあります。年払いで支払った年の費用にするときは、契約の期間と支払いの日を、税理士に見せて確かめます。
国外の広告媒体に払うとき:リバースチャージ
国外の会社が、インターネットを通じて事業者に向けて行う広告の配信などは、消費税で「事業者向け電気通信利用役務の提供」とされ、サービスを受けた側が消費税を申告して納める「リバースチャージ方式」の対象になります。
ただし国税庁の説明では、リバースチャージ方式で申告が必要になるのは、一般課税で、課税売上割合が95パーセント未満の事業者に限られます。簡易課税の事業者や、課税売上割合が95パーセント以上の事業者は、当分の間、この取引は無かったものとされます。
媒体の請求書の発行元が国内の会社か国外の会社かで扱いが変わるので、まず請求書を確かめ、自社が当たるかどうかを税理士に確かめます。
インボイスの確かめ方
インボイス制度のもとでは、仕入税額控除を受けるために、相手が出した適格請求書(インボイス)を保存します。毎月の費用では、次のことを確かめます。
- 請求書に登録番号が書かれているか
- 個人のデザイナーやライターに頼んでいる場合、相手が登録しているか
- 媒体の管理画面からダウンロードする請求書を、毎月保存しているか
- 月額の費用で、請求書の代わりに契約書と支払いの記録で済ませている場合、必要な記載がそろっているか
相手が登録していない場合の扱いには経過の措置があり、時期によって控除できる割合が変わります。自社の場合の扱いは、国税庁の特集のページと、顧問の税理士で確かめます。
税理士に伝えること
勘定科目は、迷ったら税理士に聞くのがいちばん確かです。相談するときは、次のものをそろえておくと話が早く進みます。
- 毎月の費用の一覧(支払先、金額、月払いか年払いか)
- 各契約の中身が分かる資料(契約書、見積書、サービスの説明)
- 年払いの契約の期間と支払いの日
- 国外の会社への支払いがあるか
- これまでの年に使ってきた科目
Lapisデザインラボの運用・集客サポートでは、広告運用の広告費は、お客様の広告アカウントから媒体へ直接お支払いいただく形にしています。
よくある質問
ホームページの保守の月額は、どの勘定科目にすればよいですか。
法律で決まった科目名はなく、支払手数料、保守料、外注費などで処理されることが多くあります。大事なのは、会社の中で科目を決め、毎年同じ考え方で処理することです。ページの追加や機能の追加が含まれる場合は、その部分を制作費と同じように判断するので、請求書で作業を分けてもらいます。
MEO や SEO の月額の費用は、広告宣伝費でよいですか。
不特定多数の人に向けて会社や商品を知ってもらうための費用として、広告宣伝費で処理されることが多くあります。ただし、記事の制作のように成果物が残るものや、ツールの利用料が混ざっている場合は、中身によって扱いが変わることがあります。どの科目にするかを決めたら、毎年同じ扱いを続け、迷う所は顧問の税理士に確かめます。
広告運用代行の手数料と広告費は、分けて処理するのですか。
分けておくのがおすすめです。媒体に払う広告の出稿費は広告宣伝費、代行会社に払う運用の手数料は広告宣伝費か支払手数料で処理されることが多くあります。国外の会社が提供する広告の配信は、消費税でリバースチャージ方式の対象になることがあるので、請求書の発行元が国内の会社か国外の会社かも確かめます。