ホームページのリース契約とは|月額の制作と比べて気をつけること
「初期費用0円、月々の支払いだけでホームページが持てます」。訪問や電話の営業で、こうした提案を受けたことはないでしょうか。中には、ホームページの制作を「リース」の契約で結ぶ形のものがあります。月々の支払いが少なく見えるため、よく分からないまま契約してしまい、後から「やめられない」「思っていたものと違う」と困る事業者が少なくありません。
経済産業省のリースのページでも、「ホームページソフトなどのリース契約はしっかり考えてから」という案内の資料が紹介されています。この記事では、ホームページのリース契約の仕組みを、公益社団法人リース事業協会が説明するファイナンス・リースの特徴から整理し、月額で払う制作の契約との違いと、契約の前に確かめることをまとめます。個別の契約の判断は、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。
リース契約の仕組み
リース事業協会の説明では、わが国で最も多いファイナンス・リースは、次の三者が関わる取引です。
| 立場 | ホームページの場合 | 役割 |
|---|---|---|
| ユーザー(借りる人) | ホームページを使う事業者 | リース会社にリース料を払う |
| リース会社(貸す人) | リース会社 | 販売会社から物件を買い、ユーザーに貸す |
| サプライヤー(販売会社) | 制作会社や販売の代理店 | 物件(ソフトウエアなど)をリース会社に売る |
ユーザーとリース会社の間のリース契約と、リース会社と販売会社の間の売買契約は、別々の契約です。リース会社は、リースが始まるときに販売会社へ代金を全額払い、リース期間中のリース料で、その代金と費用のおおむね全部を回収する仕組みになっています。
つまり、ホームページの制作会社は、契約の始めに代金を受け取り終えています。毎月のリース料を受け取るのは、制作会社ではなくリース会社です。
リース契約の特徴
リース事業協会が示す、ファイナンス・リースとレンタル(賃貸借)の違いのうち、ホームページの契約で特に大事なのは次の点です。
| 項目 | ファイナンス・リース | レンタル(賃貸借) |
|---|---|---|
| 途中でやめる | できない。やめるなら残りのリース料、またはそれに相当する違約金を払う | 一般に、借りる人は解約できる |
| 物件の不具合 | リース会社は責任を負わない。リース会社の承諾を経て、販売会社に請求できる | 貸す人が責任を負う |
| 修理・保守 | ユーザーが負う。販売会社と保守の契約を結ぶ | 貸す人が負う |
| 期間が終わったとき | 再リース(安いリース料で続ける)ができる | 更新できる |
ホームページのリースで困りやすいのは、この「途中でやめられない」と「不具合の責任をリース会社が負わない」の2点です。たとえば、制作会社の対応が悪い、ホームページが思っていたものと違う、制作会社と連絡が取れなくなった、という場合でも、リース会社へのリース料の支払いは続くのが原則です。
リース料に含まれるもの
リース事業協会の説明では、リース料には、物件の価格、金利、固定資産税、保険料、リース会社の管理費と利益が含まれ、その合計をリース期間の月数で割ったものが毎月のリース料になります。
月々の支払いが少なく見えても、リース期間の合計で見ると、制作の代金に金利などが上乗せされた額を払うことになります。リース期間が長いほど、合計は大きくなります。
月額で払う制作の契約との違い
ホームページには、リース以外にも「月額」で払う契約があります。違いは次のとおりです。
| 項目 | リース契約 | 制作会社との月額の契約 |
|---|---|---|
| 契約の相手 | リース会社(制作会社とは別) | 制作会社 |
| 途中でやめる | 原則できない。残りを一括で払う | 契約の定めによる(最低期間の後は解約できる形が多い) |
| 制作会社に不満があるとき | リース料の支払いは続く | 契約の定めにより解約を相談できる |
| 保守や更新 | 別に保守の契約を結ぶことが多い | 月額に含まれることが多い |
同じ「月々払い」でも、契約の相手と、やめるときの扱いがまったく違います。提案を受けたら、契約書の相手がリース会社かどうかをまず確かめます。
クーリング・オフの扱い
特定商取引法には、訪問販売などで結んだ契約を一定の期間内なら無条件で解除できるクーリング・オフの仕組みがあります。ただし、同じ法律の26条では、売買契約などで、申し込みをした人が営業のために、または営業として結ぶものには、クーリング・オフなどの規定が適用されないと定められています。
事業者が事業のために結ぶホームページのリース契約は、原則としてクーリング・オフの対象になりません。「後で考え直せばよい」と思って署名しないことが大切です。ただし、実際に営業のための契約かどうかは、契約の中身や事業の実態によって個別に判断されることがあります。
契約の前に確かめること
- 契約書の相手は誰か:リース会社との契約か、制作会社との契約か
- リース期間と合計の支払い額:月額×月数でいくらになるか
- 途中でやめる場合の扱い:残りのリース料を一括で払う定めになっているか
- ホームページの中身:何ページで、何ができるか。書面で確かめる
- 保守の契約:リースとは別に、保守の契約と月額があるか
- ドメインとサーバーの名義:リースが終わった後、ホームページやドメインを使い続けられるか
- 期間が終わった後:再リースになるのか、ホームページはどうなるのか
- 制作会社が無くなったら:誰が保守をするのか
その場で決めず、契約書を持ち帰り、ほかの制作会社の見積もりと合計の支払いで比べます。
営業でよく聞く言葉と、確かめること
ホームページのリースの提案では、次のような言葉がよく使われます。言葉そのものが悪いわけではありませんが、聞いたときに確かめることがあります。
- 「初期費用0円」:制作の代金が、毎月のリース料に含まれているだけのことが多くあります。合計でいくら払うかを確かめます
- 「経費で落とせるので実質負担が少ない」:リース料を経費にできても、払うお金が減るわけではありません。経理の扱いは、顧問の税理士に確かめます
- 「今月中に契約すれば特別価格」:急がせる言葉が出たら、いったん持ち帰ります。ほかの会社と比べる時間を取らせない提案は、慎重に考えます
- 「集客できるので、リース料はすぐに回収できる」:問い合わせや売上が増えることは、契約の中身として約束されているわけではありません。約束の中身は契約書に書かれていることだけです
- 「保守も更新もすべて込み」:保守や更新が、リース契約とは別の契約になっていないか、制作会社が無くなったら誰がするのかを確かめます
説明を受けた内容は、メモや録音ではなく、契約書やメールなど書面で残してもらいます。口頭の説明と契約書の中身が違っていても、署名したのは契約書の方です。
合計の支払いで比べる
ホームページの契約は、月々の支払いではなく、使う期間の合計で比べます。
- リース:月額のリース料×リース期間の月数+別の保守の月額×月数
- 制作の代金を払う形:制作の代金+保守の月額×月数
- 制作会社との月額の契約:月額×使う月数
ホームページの制作の相場はホームページ制作の費用の相場で、維持費の目安はホームページの維持費は年間いくらで説明しています。合計で並べると、どの形が自社に合うかが見えてきます。
契約してしまった場合
すでにリース契約を結んでいて、やめたいと考えている場合は、ホームページのリース契約をやめたいときで、確かめることと相談先を説明しています。リース事業協会は、会員のリース会社の小口リース取引の相談窓口の一覧を公表しています。
よくある質問
ホームページのリース契約とは、どんな契約ですか。
一般に、ホームページの制作会社(販売会社)が用意したソフトウエアなどをリース会社が買い取り、利用する事業者がリース会社に毎月のリース料を払う形の契約です。公益社団法人リース事業協会の説明では、ファイナンス・リースは利用する事業者、リース会社、販売会社の三者が関わる取引で、利用する事業者とリース会社の間のリース契約と、リース会社と販売会社の間の売買契約は別の契約です。
ホームページのリース契約は、途中でやめられますか。
リース事業協会の説明では、ファイナンス・リースは基本的にリース期間中の解約(中途解約)ができず、やめる場合には残りの期間のリース料、またはそれに相当する違約金を一括で払うよう契約で定められています。制作会社の対応に不満があっても、リース料の支払いは続くのが原則です。
ホームページのリース契約は、クーリング・オフできますか。
特定商取引法のクーリング・オフは、営業のために、または営業として結んだ契約には適用されないと定められています(26条)。事業者が事業のために結ぶホームページのリース契約は、原則としてクーリング・オフの対象になりません。ただし、実際に事業として結んだ契約かどうかは個別の事情で判断されるので、迷ったら専門家に相談します。