ホームページはフリーランスか制作会社か|費用・体制・引き継ぎで比べる
ホームページの制作を頼む先を探していると、制作会社のほかに、フリーランス(個人で仕事を受けるデザイナーや制作者)も候補に挙がってきます。費用が安い、話が早いと聞く一方で、「一人で大丈夫か」「連絡が取れなくなったら困る」という不安もあります。
フリーランスと制作会社には、それぞれ向き不向きがあります。どちらが良いかではなく、自社の依頼に合うのはどちらかで選ぶことが大切です。この記事では、費用・体制・進め方・公開後の対応・引き継ぎの5つの点で比べ、それぞれに向いている依頼と、どちらに頼むときも確かめることをまとめます。
5つの点で比べる
| 比べる点 | フリーランス | 制作会社 |
|---|---|---|
| 費用 | 抑えやすい。人によって幅が大きい | 高めになりやすい。体制の分が含まれる |
| 体制 | 一人、または数人の仲間と組む | 進行の管理、デザイン、組み立てなどを分担 |
| 進め方 | 作る本人と直接話せる。判断が早い | 窓口の担当を通す。手順が決まっている |
| 公開後の対応 | 本人の都合に左右される | 担当が代わっても続く体制がある |
| 引き継ぎ | 本人が続けられなくなったときの備えが要る | 会社として引き継ぐ。事業をやめる可能性はある |
費用の目安
比較サイトのPRONIアイミツが公表している目安は、次のとおりです。
| 依頼先 | ホームページ | LP |
|---|---|---|
| フリーランス | 10万〜100万円程度 | 1万〜30万円程度 |
| 格安をうたう制作会社 | 10万〜30万円前後 | — |
| 中小規模の制作会社 | — | 30万〜100万円程度 |
| 中堅〜大手の制作会社 | 100万円程度から | 60万〜100万円程度 |
フリーランスの費用の幅が広いのは、経験と得意分野、引き受ける範囲が人によって大きく違うためです。安いから技術が低い、高いから良いとは限らないので、過去の仕事と、見積もりに含まれる作業で比べます。規模別の相場はホームページ制作の費用の相場で説明しています。
フリーランスに向いている依頼
- ページ数が少なく、作業の範囲がはっきりしている
- デザインの好みがはっきりしていて、その作風の人が見つかった
- 社内に窓口の担当がいて、作る人と直接やり取りできる
- 原稿や写真を自社で用意できる
- 急ぎで、判断を早く進めたい
フリーランスは、作る本人と直接話せるので、細かい意図が伝わりやすく、判断も早くなります。その代わり、進行の管理や、原稿の整理を発注する側が担う場面が増えます。
制作会社に向いている依頼
- ページ数が多い、または機能が多い
- 撮影、原稿の作成、デザイン、組み立てをまとめて任せたい
- 社内に進行を管理する余裕が無い
- 公開後の保守や更新も長く任せたい
- 社内の確認の手順が多く、書類や打ち合わせの形が決まっている
制作会社は、複数の人で分担して進めるため、大きな案件や、決まった日までに確実に進めたい案件に向いています。担当者が休んだり辞めたりしても、会社として対応を続けられるのも強みです。
フリーランスに頼むときに守ること
2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆるフリーランス法)は、フリーランスに業務を委託する事業者に、いくつかの義務を定めています。
| 定め | 中身 |
|---|---|
| 条件の明示(3条) | 業務を委託したら、直ちに、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを、書面やメールなどで明示する |
| 支払期日(4条) | 従業員がいる事業者などは、原則として成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を定める |
ホームページの制作をフリーランスに頼むときは、仕事の範囲、報酬、支払期日、修正の回数、著作権の扱いを、メールや発注書で最初に明示しておきます。これは法律の義務であると同時に、後のもめごとを防ぐ一番の方法でもあります。個別の取引が法律の対象になるかどうかは、公正取引委員会や厚生労働省の案内で確かめてください。
どちらに頼むときも確かめること
- 過去の仕事:自社に近い業種や規模のホームページを作ったことがあるか
- 作業の範囲:原稿、撮影、スマートフォンへの対応、問い合わせフォーム、公開の作業
- 修正の回数:何回まで含むか。超えたときの費用
- 公開後の対応:保守や更新を引き受けるか。月額と中身
- 名義:ドメイン、サーバー、各種のアカウントを自社の名義にできるか
- データの受け渡し:ホームページのデータ、デザインのデータ、管理画面の入り方を受け取れるか
- 著作権:完成したデザインや文章を、自社で使い続けられるか
- 連絡の方法と時間:返事の目安、休みの期間
特に5と6は、依頼先がフリーランスでも制作会社でも、続けられなくなったときに別の人や会社に引き継げるかどうかを決めます。名義の考え方はドメインは誰の名義にするべきかで、契約書で確かめることはホームページ制作の契約書で確かめることで説明しています。
見積もりと提案の見比べ方
フリーランスと制作会社の見積もりは、書き方がまったく違うことがあります。フリーランスは「一式」の金額だけ、制作会社は項目ごとに細かく分けている、ということもよくあります。そのまま金額を比べると、含まれている作業の違いを見落とします。
比べるときは、次のように同じ物差しに並べ直します。
- 作業を「設計」「デザイン」「組み立て」「原稿と写真」「公開の作業」「公開後の保守」に分け、それぞれ含まれるかどうかに印を付ける
- 修正の回数、打ち合わせの回数、確認の期間を書き出す
- 公開後の月額と、何年使うかを決めて合計を出す
「一式」の見積もりには、何が含まれるかを書面で聞きます。答えが具体的に返ってくるかどうかも、依頼先の進め方を知る手がかりになります。
組み合わせて頼む方法もある
フリーランスか制作会社かを、どちらか一つに決める必要はありません。たとえば、ロゴや印刷物のデザインは作風の合うフリーランスに頼み、ホームページの組み立てと公開後の保守は制作会社に頼む、という分け方もあります。その場合は、ロゴのデータの形式と色の決まりを、関わる全員で共有しておくことが大切です。依頼先が分かれるほど、窓口と責任の分担をはっきりさせておかないと、「それはあちらの担当です」という押し付け合いが起きます。誰が全体の進み具合を見るのかを、最初に決めておきます。
よくある失敗
- 安さで選び、作業の範囲を確かめなかった:原稿も写真も自社で用意することになり、公開が大きく遅れた
- 口頭で頼み、条件を書面に残さなかった:修正の回数や追加の費用でもめた
- ドメインを依頼先の名義で取ってもらった:依頼先と連絡が取れなくなり、移せなくなった
- 会社の規模だけで選んだ:大きな会社に頼んだが、自社の小さな案件では担当が頻繁に代わった
どれも、依頼の前に範囲と名義と引き継ぎを確かめておけば防げます。制作会社の選び方はホームページ制作会社の選び方で説明しています。
迷ったときの決め方
どちらにするか迷ったら、次の順で考えます。
- 社内に、進行を管理し、原稿を整理できる人がいるか。いなければ制作会社寄り
- ページ数と機能は多いか。多ければ制作会社寄り
- 公開後も長く任せたいか。任せたいなら、続けられる体制があるかを確かめる
- 作風の合う人が見つかったか。見つかったならフリーランスも有力
最後は、候補の2、3の依頼先に同じ条件を伝えて見積もりと提案をもらい、中身で比べます。条件のまとめ方は提案依頼書の書き方で説明しています。
よくある質問
フリーランスと制作会社では、費用はどのくらい違いますか。
比較サイトのPRONIアイミツでは、ホームページの制作をフリーランスに頼む場合は10万〜100万円程度、中堅から大手の制作会社では100万円程度からが目安とされています。LPでは、フリーランスが1万〜30万円程度、中小規模の制作会社が30万〜100万円程度です。ただし、同じフリーランスでも人によって得意と価格の幅が大きく、金額だけでは比べられません。
フリーランスに頼むときに、発注する側が気をつけることはありますか。
2024年11月に施行された、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス法)では、フリーランスに業務を委託した事業者は、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを書面やメールなどで直ちに明示しなければならないと定められています(3条)。従業員がいる事業者などは、原則として成果物を受け取った日から60日以内に支払期日を定める必要もあります(4条)。
フリーランスに頼んで、その人と連絡が取れなくなったらどうなりますか。
ホームページの更新や不具合の対応ができなくなるおそれがあります。これはフリーランスに限らず、制作会社が事業をやめた場合にも起こります。どちらに頼む場合も、ドメインとサーバーを自社の名義で持ち、ホームページのデータと管理画面の入り方を受け取っておけば、別の人や会社に引き継いでもらえます。