制作会社を乗り換えるときの手順|データ・ドメインの引き継ぎ方
更新を頼んでも返事が遅い、費用の割に何もしてもらえていない、担当者が辞めて話が通じない。制作会社を変えたいと思う理由はさまざまです。けれども、いざ乗り換えようとすると「ドメインは誰のものか」「サイトのデータはもらえるのか」「メールが止まらないか」と不安が出てきます。準備をせずに解約を切り出すと、サイトやメールが止まることもあります。
この記事では、ホームページの制作会社を乗り換えるときの手順を、名義の確認から解約まで順に説明します。前の制作会社と連絡が取れない場合の対処と、メールを止めないための注意もまとめました。
乗り換えの手順の全体
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 名義と契約を確かめる | 解約を切り出す前に、黙って調べられることを調べる |
| 2 | 受け取るものを一覧にする | データ、アカウント、契約の情報 |
| 3 | 新しい依頼先を選ぶ | 引き継ぎの経験と、移し替えの手順を確かめる |
| 4 | 前の制作会社に連絡する | 解約の予告の期間を守る。受け取るものを書面で伝える |
| 5 | ドメインの管理を移す | 認証コードを受け取り、新しい管理事業者へ |
| 6 | サーバーを移す | サイトとメールの切り替えの日を決める |
| 7 | 確認と解約 | 新しいサイトとメールが動いてから、前の契約を終える |
大事なのは順番です。新しいサイトとメールが動くのを確かめてから、前の契約を終える。この順を守れば、止まる時間を最小限にできます。
手順1:名義と契約を確かめる
解約の話をする前に、自分で確かめられることを確かめます。
- ドメインの登録者:.jp で終わるドメインなら、JPRS の WHOIS で登録情報を調べられます。登録者の欄が自社か、制作会社か
- ドメインの管理事業者:どの会社がドメインを管理しているか(WHOIS に表示されることがあります)
- ドメインの有効期限:期限が近いなら、乗り換えの途中で切れないよう注意します
- サーバーの契約者:自社で契約しているか、制作会社のサーバーに置いているか
- 契約書の条件:最低の契約期間、解約の予告の期間、解約時の費用、データの受け渡し、著作権の扱い
名義が自社になっていれば、乗り換えは比較的スムーズです。制作会社の名義になっている場合は、手順4で名義の変更を求めます。
手順2:受け取るものを一覧にする
| 分類 | 受け取るもの |
|---|---|
| ドメイン | 登録者の変更(必要なら)、管理事業者の変更に使う認証コード |
| サーバー | サイトのデータ一式(ページ、画像、データベース) |
| 管理画面 | サイトの管理画面、ドメインの管理画面、サーバーの管理画面の権限 |
| メール | メールのアカウントの一覧と設定、残したいメールの控え |
| デザイン | ロゴや画像の元のデータ、使っている書体の情報 |
| 外部のサービス | アクセス解析、Search Console、Googleビジネスプロフィール、予約やフォームのサービスの権限 |
| 契約の情報 | 有料の部品(プラグイン)や写真素材のライセンスの名義 |
見落とされやすいのが、外部のサービスの権限です。アクセス解析や Googleビジネスプロフィールのオーナーが制作会社のアカウントになっていると、乗り換えたあと自社で見られなくなります(Googleビジネスプロフィールのオーナー権限を取り戻す方法)。
手順3:新しい依頼先を選ぶ
新しい依頼先には、次のことを確かめます。
- 他社で作ったサイトの引き継ぎや移し替えの経験があるか
- 今のサイトを移して使い続けるのか、作り直すのか、どちらを提案するか
- ドメインとサーバーを自社の名義で持つ形にしてくれるか
- 切り替えの日の段取り(サイトとメール)を説明してくれるか
作り直すなら、リニューアルの手順も合わせて考えます(ホームページリニューアルの進め方)。
手順4:前の制作会社に連絡する
新しい依頼先が決まり、段取りが見えてから、前の制作会社に連絡します。
- 契約書の解約の予告の期間を守って、解約の意思を伝える
- 受け取りたいものを一覧にして、書面(メール)で依頼する
- ドメインの登録者が制作会社なら、自社への変更を依頼する
- 受け渡しの期限と、費用がかかるならその額を確かめる
感情的なやり取りは避け、事務的に進めるのが結局は早く済みます。
手順5:ドメインの管理を移す
JPRS の説明では、.jp ドメインの管理指定事業者を変える手続きは、おおむね次の流れです。
- 登録者が、変更元の事業者に認証コード(AuthCode)を確かめる
- 登録者が、変更先の事業者に変更を申し込む
- 変更元の事業者から登録者に意思確認があり、登録者が「承認」と回答する
- 手続きが完了する
同じ説明では、手続きの開始から終了まで数日程度かかる場合があるので、日程に余裕を持つよう書かれています。変更のロックがかかっている場合は、先に解除が必要です。.com などのドメインも、認証コードを使った移管の手続きがあります。
手順6:サーバーを移す
サーバーを移すときは、新しいサーバーにサイトとメールを用意してから、ドメインの向き先(DNS)を切り替えます。
- 切り替えの日は、問い合わせの少ない日を選ぶ
- メールを新しいサーバーで受ける設定を先に済ませておく
- 切り替えの前後で、古いサーバーに届いたメールを取りこぼさないよう、しばらく両方を確かめる
- 切り替えの後、サイトの表示、問い合わせフォームの送信、メールの送受信を試す
手順7:確認と解約
新しいサイトとメールが問題なく動くことを数日から数週間確かめてから、前の制作会社との契約とサーバーの契約を終えます。先に解約すると、移し替えの途中でサイトやメールが止まるおそれがあります。
乗り換えでよくある失敗
- 先に解約を伝えてしまう:前の制作会社がサーバーを止め、新しいサイトが準備できるまでの間、サイトもメールも使えなくなる
- メールのことを忘れる:サイトだけ移し、ドメインのメールが前のサーバーのまま止まる
- 外部のサービスの権限を移し忘れる:アクセス解析や Googleビジネスプロフィールを自社で見られなくなる
- 有料の部品の名義を確かめない:制作会社の名義で買った部品や写真素材が、乗り換えの後に使えなくなる
- ドメインの期限の直前に動く:手続きの途中で期限が切れ、取り直しが必要になる
どれも、手順1と手順2で名義と受け取るものを一覧にしておけば防げます。保守契約の中身の見直しはホームページ保守契約で確認することで説明しています。
前の制作会社と連絡が取れないとき
- WHOIS でドメインの登録者、管理事業者、有効期限を確かめる
- 登録者が自社なら、管理事業者に直接、手続きを相談する
- 登録者が制作会社なら、期限が切れる前に、書面で名義の変更を求める
- それでも進まない場合は、弁護士などの専門家に相談する
- どうしても今のドメインを取り戻せない場合に備え、新しいドメインへの移行も並行して考える
ドメインの期限が切れたときの対処はドメインが切れたときで、名義の考え方はドメインは誰の名義にするべきかで説明しています。
Lapisデザインラボでは、他社で作ったサイトの引き継ぎやお引っ越しもご相談いただけます。ドメインとアカウントはお客様の名義で持っていただく形で進めます(作り直し・お引っ越しは個別のお見積り、いまのサイトのままの保守・更新は運用・集客サポート)。
よくある質問
制作会社を変えると、今のドメインは使い続けられますか。
ドメインの登録者が自社であれば、多くの場合は使い続けられます。ドメインを管理している事業者(指定事業者やレジストラ)を変える手続きが必要で、JPRS の説明では、.jp ドメインの管理事業者の変更には、変更元から発行される認証コード(AuthCode)が必要とされています。登録者が制作会社になっている場合は、先に登録者を自社に変えてもらう必要があります。
前の制作会社と連絡が取れません。ドメインはどうなりますか。
まず、ドメインの登録情報を WHOIS で調べ、登録者と管理している事業者を確かめます。登録者が自社なら、管理している事業者に直接相談できることがあります。登録者が制作会社の場合は、更新の期限が来ると失効するおそれがあるため、期限を確かめたうえで、書面で名義の変更を求めるなど早めに動きます。事情が込み入っている場合は、弁護士などへの相談も考えます。
制作会社を変えるとき、メールは止まりますか。
ドメインのメールを前の制作会社のサーバーで使っている場合、サーバーを移すときの設定の切り替えを誤ると、メールが届かなくなることがあります。移す前に、メールがどのサーバーで動いているかを確かめ、新しい依頼先と切り替えの日と手順を決めてから進めます。