ホームページ制作を頼む前に確かめる10項目|名義・著作権・修正回数
ホームページの制作を初めて外に頼むとき、多くの人は「いくらかかるか」と「いつできるか」から問い合わせを始めます。けれども、後で困りごとになりやすいのは、金額や納期よりも、ドメインの名義、著作権、修正の回数、公開後の更新の頼み方といった、見積もりの欄外にある条件です。
この記事では、制作会社に問い合わせる前に確かめておきたい10の項目を一覧にし、それぞれで何を聞けばよいかを説明します。制作会社に送る質問の例と、事業者の契約で知っておきたい法律の線引きもまとめました。契約書の条項の読み方そのものはホームページ制作の契約書で確かめることで詳しく扱っているので、ここでは「問い合わせの前と最初のやり取り」で確かめることに絞ります。
頼む前に確かめる10項目
| 番号 | 項目 | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 | 目的と作業の範囲 | ページ数、原稿や撮影を含むか、スマートフォンへの対応 |
| 2 | 初期費用と月額 | 公開までの費用と、公開後に毎月・毎年かかる費用 |
| 3 | 修正の回数と追加料金 | 何回まで直せるか、超えたらいくらか |
| 4 | ドメインとサーバーの名義 | 自社の名義で持てるか |
| 5 | 著作権 | 自社に移るか、27条・28条の権利と著作者人格権の扱い |
| 6 | 素材と書体のライセンス | 写真やフォントを、契約が終わった後も使えるか |
| 7 | 公開後の更新 | 自社で直せるか、頼むならどう頼むか |
| 8 | 検収と不具合 | 受け取る前に確かめる期間、公開後の不具合の直し方 |
| 9 | 支払いの条件 | いつ、何回に分けて払うか |
| 10 | やめるときと乗り換えるとき | データやアカウントを受け取れるか |
1〜3は「お金と範囲」、4〜6は「名義と権利」、7〜10は「公開した後」に関わる項目です。順に説明します。
問い合わせの前に、社内で決めておくこと
10項目を聞く前に、自社の側で次のことを決めておくと、制作会社からの答えを比べやすくなります。
- ホームページで何をしたいか:問い合わせを受けたい、採用の応募を増やしたい、取引先に会社を説明したい、など
- 予算の幅:制作費と、公開後の月額を分けて考える
- 公開したい時期と、その理由:開業日、展示会、新しい事業の開始日など
- 決める人:最終的に誰が判断するか。途中で決める人が変わると、やり直しが増えます
- 自社で用意できるもの:原稿、写真、ロゴのデータ
予算は、制作費だけでなく公開後の月額まで含めて、何年使う前提かを決めてから考えると、見積もりの比べ方がぶれません。
お金と範囲で確かめること(1〜3)
1. 目的と作業の範囲。同じ「ホームページ制作」でも、原稿を書いてもらうのか、自社で書くのか、写真を撮ってもらうのかで、費用も期間も大きく変わります。「一式」とだけ書かれた見積もりは、何が含まれているかを一覧でもらいます。
2. 初期費用と月額。見積もりは公開までの費用が中心で、サーバー、ドメイン、保守の月額が別の紙になっていることがよくあります。比べるときは、公開から3年分の合計で並べると、初期費用が安く月額が高い見積もりとの違いが見えます。項目の意味はホームページ制作の見積書の読み方で説明しています。
3. 修正の回数と追加料金。デザインの修正を何回まで含むか、超えたときに1回ごとにいくらかかるか、「方向性の大きな変更」はどう扱うかを聞きます。回数の上限が書かれていない見積もりは、上限が無いのではなく、決まっていないだけのことがあります。
名義と権利で確かめること(4〜6)
4. ドメインとサーバーの名義。ホームページの住所にあたるドメインと、データを置くサーバーを、誰の名義で契約するかです。制作会社の名義のままだと、制作会社を変えるときや連絡が取れなくなったときに、サイトもメールも動かせなくなるおそれがあります。考え方はドメインとサーバーは誰の名義にすべきかで説明しています。
5. 著作権。デザインや文章、画像には著作権があり、何も決めなければ作った側に残ります。著作権法の第61条第2項では、譲渡の契約で第27条(翻案などの権利)と第28条(二次的著作物の利用の権利)が特に書かれていないと、これらは譲渡した側に残ると推定されます。後で別の会社に直してもらう可能性があるなら、「27条・28条の権利を含めて譲渡する」形にできるかを聞きます。あわせて、作った人の同一性保持権(第20条)などの著作者人格権を「行使しない」と決めるかも確かめます。
6. 素材と書体のライセンス。制作会社が用意した写真素材や有料のフォントは、制作会社の名義で契約されていることがあります。契約が終わった後や、印刷物に使うときにも使えるかを聞いておきます。
公開した後に関わること(7〜10)
7. 公開後の更新。お知らせや料金表を自社で直せる仕組みにするのか、毎回頼むのかを決めます。頼むなら、1回ごとの料金か月額か、頼んでから直るまでの日数を聞きます。
8. 検収と不具合。納品されたものを確かめる期間(検収の期間)と、期間内に連絡しなかったときに受け取ったとみなすかどうか、公開後に見つかった不具合をいつまで無料で直してもらえるかを確かめます。
9. 支払いの条件。契約時に一部、納品時に残り、といった分け方が多く見られますが、割合や回数は会社ごとに違います。前払いの割合が大きいときは、途中でやめたときにどう精算するかもあわせて聞きます。
10. やめるときと乗り換えるとき。保守の契約をやめたとき、サイトのデータ一式、管理画面の権限、アクセス解析などのアカウントを受け取れるかを聞きます。ここが決まっていると、将来どの会社に頼むことになっても困りません。
制作会社への質問の例
最初の問い合わせか、見積もりを受け取った後に、次のような質問をまとめて送ると、答えを比べやすくなります。
- 見積もりに含まれる作業と、含まれない作業を一覧で教えてください
- 公開後に毎月・毎年かかる費用を、項目ごとに教えてください
- デザインの修正は何回まで含まれますか。超えたときの料金はいくらですか
- ドメインとサーバーは、当社の名義で契約できますか
- 著作権は、著作権法第27条・第28条の権利を含めて当社に移りますか。著作者人格権は行使しない取り決めになりますか
- 使う写真素材やフォントは、契約が終わった後も当社で使えますか
- 公開後の更新は、当社で行えますか。お願いする場合の料金と日数を教えてください
- 検収の期間と、公開後に不具合が見つかったときの扱いを教えてください
- 支払いの時期と割合を教えてください
- 契約をやめるとき、データとアカウントはどの形で受け取れますか
答えの中身だけでなく、答え方も判断の材料になります。すぐに書面で答えが返ってくるか、「おまかせください」で終わるかは、制作が始まってからのやり取りの様子をよく表します。会社の選び方の全体はホームページ制作会社の選び方で説明しています。
事業者の契約で知っておきたい法律の線引き
会社やお店として結ぶ制作の契約は、個人が買い物をするときとは、法律の守られ方が違います。
- クーリング・オフ:特定商取引法の第26条は、営業のために、または営業として結ぶ契約を、訪問販売などの規定の対象から外しています。消費者庁の解説では、個別の事情で判断するとしつつ、事業のために役務の提供を受ける場合は通常これに当たるとしています。会社のホームページの制作では、契約した後に一方的にやめられないと考えて、署名の前に確かめるのが安全です
- フリーランスに頼む場合:2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法では、発注する事業者は、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面やメールで明示することが求められます。個人のデザイナーに頼むときは、条件を文書で渡します
- 下請法の改正(取適法):下請法は2026年1月1日に改正法が施行され、「中小受託取引適正化法(取適法)」になりました。2026年10月時点の公正取引委員会のよくある質問では、自社のホームページの制作を外に頼むことは、通常は自社で使う情報成果物の作成に当たり、自社で同じものを業として作っていなければ対象にならないと説明されています
どの法律も、個別の契約がどう扱われるかは事情によって変わります。判断に迷うときは、弁護士などの専門家に相談してください。
答えは書面で受け取る
10項目の答えは、口頭ではなく、メール、見積書、契約書など、後から見返せる形で受け取ります。打ち合わせで聞いたことは、その日のうちに「本日の確認事項」としてメールで送り、相手に間違いが無いかを確かめてもらうと、記録として残ります。
問い合わせから公開までの流れ全体はホームページ制作を頼むときの流れで説明しています。
Lapisデザインラボでは、修正の回数、支払いの時期、著作権の扱いを、取引条件としてサービスと料金に先に載せています。
よくある質問
ホームページの制作を外注するとき、いちばん気をつけることは何ですか。
ドメインとサーバーの名義と、著作権の扱いです。制作会社の名義のままだったり、著作権が制作会社に残ったままだったりすると、制作会社を変えるときや連絡が取れなくなったときに、ホームページもメールも動かせなくなるおそれがあります。見積もりの段階で、自社の名義にできるか、著作権を27条・28条の権利を含めて移してもらえるかを確かめます。
事業者が結んだホームページの制作の契約は、クーリング・オフできますか。
特定商取引法の第26条は、営業のために、または営業として結ぶ契約を、訪問販売などの規定の対象から外しています。会社やお店のホームページの制作は、多くの場合これに当たるため、クーリング・オフは使えないと考えて契約前に確かめるのが安全です。個別の事情で扱いが変わることもあるので、迷ったら専門家に相談してください。
制作会社への質問は、口頭で聞けば十分ですか。
答えはメールや見積書、契約書など、後から見返せる形で受け取ることをおすすめします。担当者が代わったり、記憶が食い違ったりしたときに、書面があれば話が早く済みます。