ホームページ制作の社内の担当者|窓口役の仕事と決めておく権限

/ Lapisデザインラボ

ホームページの制作を頼むと決めたとき、社長から「担当は任せた」と言われる総務や広報の人は少なくありません。ところが、担当者が何をすればよいのか、どこまで自分で決めてよいのかは、たいてい誰も決めていません。その結果、担当者が制作会社と社内の板挟みになり、返事が遅れ、制作が止まります。

ホームページの制作では、発注する側の作業も多くあります。原稿や写真を集め、デザインを確かめ、社内の意見をまとめ、決める人の判断をもらう。この流れの真ん中にいるのが、社内の担当者です。

この記事では、社内の担当者(窓口役)の仕事、誰が何を決めるかの分担表、社内の確認の流れ、担当者に任せる範囲、制作が進まなくなる原因と手の打ち方を説明します。頼んでから公開までの全体の流れはホームページ制作を頼むときの流れにまとめているので、ここでは社内の体制に絞ります。

担当者の仕事は「窓口」と「まとめ役」

担当者の仕事は、大きく分けて次の5つです。

仕事すること
窓口制作会社からの連絡を受け、返事をする。社内のほかの人から制作会社へ直接の連絡が行かないようにする
材料を集める原稿、写真、ロゴのデータ、会社案内、取引先への掲載の了解など、制作に要るものを社内から集める
意見をまとめるデザインや原稿への社内の意見を1つの表に集め、ぶつかる意見を整理する
判断をもらう決める人に、決めてほしいことを選べる形で示し、判断をもらう
期限を管理する制作会社との約束の日から逆算して、社内の締め切りを決め、守ってもらう

デザインや技術の専門の知識は要りません。要るのは、社内の誰に何を聞けばよいかを知っていること、制作会社から聞かれたことに期限内に答えを返すことです。社内の事情に通じ、各部署に頼みごとができる立場の人が向いています。

誰が何を決めるか、先に表にしておく

制作が止まる原因の多くは、「これは誰が決めるのか」が分からないことです。始める前に、決めることごとに役割を割り振っておきます。

役割は次の4つに分けると整理しやすくなります。

  • 決める人:最後に「これで決める」と言う人。1つのことに1人
  • 進める人:材料を集め、案を作り、制作会社とやりとりする人
  • 意見を出す人:決める前に意見を聞く人
  • 知らせる人:決まったあとで知らせればよい人
決めること決める人進める人意見を出す人知らせる人
目的と予算の上限社長担当者各部署の長—
依頼する制作会社と契約社長担当者経理各部署
ページの構成担当者担当者社長、各部署—
デザインの方向(最初の案)社長担当者各部署の長全社
細かな修正(文字の誤り、写真の差し替え)担当者担当者——
事業の説明の原稿各部署の長担当者社長—
採用のページの中身採用の担当担当者社長—
公開の日社長担当者—全社、取引先
検収(契約どおりかの確認)担当者担当者社長経理
ドメインや管理画面の名義と権限社長担当者——

上の表は一例です。会社の規模や事情で割り振りは変わりますが、1つのことに決める人を1人にすること、担当者が決めてよい範囲をはっきりさせることが要点です。ドメインやサーバー、管理画面のアカウントを誰の名義にするかは、あとで困らないように始めに決めます(ドメインとサーバーは誰の名義にすべきか)。

担当者に任せる範囲を決める

担当者が何でも社長に確かめていると、返事が遅れます。逆に、担当者が大きなことまで決めてしまうと、あとで覆ります。任せる範囲は、次のように決めておきます。

担当者が決めてよい決める人に上げる
文字の誤り、写真の差し替え、細かな色の調整デザインの方向を変える修正
打ち合わせの日程公開の日の変更
契約の範囲の中の作業の順番契約の範囲を超える追加の作業や費用
原稿の言い回しの調整会社の説明の芯になる言葉、価格、約束ごと

「費用が増えるか」「会社の外への約束になるか」「一度決めたことを覆すか」の3つのどれかに当たれば、決める人に上げる、と覚えておくと迷いません。

社内の確認の流れ

デザイン案や原稿が制作会社から届いたら、次の流れで社内の確認を回します。

  1. 担当者が受け取り、確認の期限を決める:制作会社に返す日の2〜3日前を社内の締め切りにする
  2. 意見を出す人に、見てほしいところを示して回す:「事業の説明の文に誤りが無いか」のように、見るところを分けて頼む
  3. 意見を1つの表にまとめる:誰が、どこに、何を、なぜ。ぶつかる意見には印を付ける
  4. 決める人に、決めてほしいことだけを示す:ぶつかる意見は「A案とB案のどちらにするか」の形にして判断をもらう
  5. 担当者から制作会社へ、まとめて返す:社内のばらばらの意見を、そのまま転送しない

意見の書き方と、制作会社への伝え方はデザイン案への修正の伝え方で詳しく説明しています。

決める人には、途中から入ってもらう

決める人が公開の直前に初めて見て、「思っていたのと違う」と言うのが、いちばん日数と費用が増える形です。決める人には、少なくとも次の3回は見てもらいます。

  • ページの構成が決まるとき
  • 最初のデザイン案が届いたとき
  • 公開の前の最後の確認のとき

決める人の予定は、制作会社との打ち合わせの日程が決まった時点で押さえておきます。

担当者が使う時間を見込んでおく

担当者は、ふだんの仕事と兼ねることがほとんどです。ホームページの仕事が「空いた時間にやるもの」になると、返事が遅れます。忙しくなる時期を知っておき、その間はほかの仕事を減らしておくと止まりません。

時期担当者が忙しくなる仕事
依頼の前目的と予算の整理、制作会社の比較、見積もりのやりとり
構成と原稿各部署からの原稿と写真の集め、掲載の了解の確認
デザインの確認社内の意見の取りまとめ、決める人の判断をもらう
公開の前ページの確認、誤りの洗い出し、検収

なかでも原稿と写真を集める時期は、社内の多くの人に頼みごとをするので、いちばん手間がかかります。原稿の集め方は、各部署に同じ型の用紙を渡し、締め切りを決めて頼むと、そろいやすくなります。

制作が進まなくなる原因と手の打ち方

原因起きること手の打ち方
原稿と写真が集まらない制作会社が作業に入れず、待ちになる部署ごとに担当と締め切りを決める。間に合わない部分は公開の後に回す
社内の確認が長引く返事の約束の日を過ぎる社内の締め切りを決め、見るところを分けて頼む
決める人が見ていない終わりがけに大きく覆る構成・最初の案・最後の確認の3回の予定を先に押さえる
意見がばらばらに届く制作会社が何を直せばよいか分からない窓口を担当者1人にし、表にまとめてから返す
担当者に権限が無い小さなことまで社長待ちになる任せる範囲を表にして、社長と合意する
担当者が交代した経緯が分からなくなるやりとりを1つの場所に残し、決めたことを一覧にしておく

依頼先がフリーランスの場合

依頼先が個人で仕事を受けるフリーランスの場合は、フリーランス・事業者間取引適正化等法により、仕事を頼むときに、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを、書面やメールで明示する必要があります。担当者が窓口として頼むときも、この明示は会社として行うものです。追加の作業を頼むときも、内容と費用をメールで残しておくと、あとで食い違いが起きません。

始める前のチェックリスト

  • 担当者(窓口)を1人決め、社内と制作会社に知らせた
  • 決めることごとに、決める人を1人ずつ決めた
  • 担当者が決めてよい範囲と、上げる範囲を社長と合意した
  • 社内の確認の流れと、社内の締め切りの決め方を決めた
  • 決める人が見る3回の予定を押さえた
  • 原稿と写真を出してもらう部署と、締め切りを決めた
  • ドメインや管理画面の名義と、権限を持つ人を決めた
  • 公開の前の確認と検収を誰がするかを決めた

公開の前の確認の項目はホームページの検収で確かめることにまとめています。Lapisデザインラボへのご相談はお問い合わせから受け付けています。

よくある質問

ホームページ制作の社内の担当者は、何をする人ですか。

制作会社とのやりとりの窓口になり、社内の意見と材料(原稿・写真・資料)を集めてまとめ、決める人の判断をもらって制作会社に返す人です。デザインや技術の専門の知識は要りません。要るのは、社内の誰に何を聞けばよいかを知っていることと、期限を守って返事を戻すことです。

担当者と、最後に決める人は分けたほうがよいですか。

小さな会社では社長が両方を兼ねることもありますが、分けるなら、担当者に任せる範囲と、決める人に上げる範囲を先に決めておきます。決める人は、途中の確認の段階から入ってもらいます。公開の直前に初めて見て大きく変えると、日数も費用も増えます。

ホームページの制作が進まなくなるのは、なぜですか。

多いのは、発注する側の返事や材料が遅れることです。原稿や写真が集まらない、社内の確認に時間がかかる、決める人が見ていない、といった原因があります。担当者が社内の期限を決め、確認の流れと任せる範囲を先に決めておくと、止まりにくくなります。

参考にした資料

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