デザイン案への修正の伝え方|伝わる指示と困る指示の例
ロゴやホームページのデザイン案が届き、何か違うと感じる。けれども、どう伝えればよいか分からず、「もう少しおしゃれに」「インパクトがほしい」と書いて送ったら、思っていたのと違う方向に直ってきた。デザインの修正では、こうした行き違いがよく起きます。
行き違いの多くは、デザインの腕の問題ではなく、伝え方の問題です。この記事では、デザイン案への修正を意図どおりに伝えるための書き方を、困る指示と伝わる指示の例で整理します。社内の意見のまとめ方、そのまま使える修正依頼のテンプレート、見落としやすい読みやすさの確認までまとめました。
修正の指示が伝わらない4つの理由
- 感覚の言葉だけで伝える:「おしゃれに」「かっこよく」「インパクト」は、人によって思い浮かべるものが違います
- 答えだけを指定する:「赤にして」「大きくして」と答えだけを渡すと、なぜそうしたいのかが伝わらず、ほかの部分との釣り合いが崩れることがあります
- 社内の意見がばらばらのまま渡す:担当者・上司・社長の意見がそれぞれ届くと、デザイナーはどれに従えばよいか判断できません
- 後から別の人の意見が加わる:決めたことが覆り、修正の回数と日数を使ってしまいます
伝わる指示の3つの要素
修正を伝えるときは、次の3つを添えます。
| 要素 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 場所 | どこのことか | 「トップページの、いちばん上の写真の上の見出し」 |
| 困っていること | いまの状態の何が問題か | 「文字が細く、写真の上で読みにくい」 |
| 理由 | なぜそれが困るのか、誰にとってか | 「お客様の多くは60代で、スマートフォンで見る」 |
色や形の希望があれば、4つ目として添えてもかまいません。ただ、答えを指定するより、困っていることと理由を伝えるほうが、デザイナーはほかの部分との釣り合いを見ながら、よりよい直し方を選べます。
困る指示と伝わる指示の例
| 困る指示 | 伝わる指示 |
|---|---|
| もっとおしゃれにしてほしい | 同業の店と並べたとき、印象が硬く見える。20〜30代のお客様に向けて、もう少し柔らかい印象にしたい |
| 文字を大きくして | 本文が小さく、60代のお客様がスマートフォンで読みにくい。本文の大きさを見直してほしい |
| ボタンを赤にして | 申し込みのボタンが背景の色に埋もれて見つけにくい。もっと目に入るようにしたい |
| インパクトがほしい | 最初の画面で、何の会社か分からない。最初に目に入る場所で、事業の内容が伝わるようにしたい |
| なんか違う | コンセプトの「堅実さ」より、軽い印象に見える。とくに書体が軽く感じる |
| 社長が気に入っていない | 社長から「ロゴの印が小さく、遠くから会社名が読めない」という意見が出た。看板での見え方を重く見たい |
| 全体的にさびしい | 写真が少なく、実際に働いている様子が伝わらない。現場の写真を足せるか相談したい |
| ロゴをもっと大きく | ページの上の部分で、ロゴより飾りの画像のほうが目立っている。社名をはっきり見せたい |
| 〇〇社のサイトみたいにして | 〇〇社のサイトの、写真を画面いっぱいに使っているところが好き。自社でも現場の写真を大きく見せたい |
| 適当にいい感じで | どの案がよいか社内で決めきれない。目的に照らして、デザイナーとしてどれを勧めるか理由と一緒に教えてほしい |
伝わる指示は長く見えますが、デザイナーとのやり取りの回数が減るので、結果として早く仕上がります。
ほかの会社のデザインを見本に見せるときは、「どこが良いのか」を言葉にして添えます。見本と同じものを作ってほしいという頼み方は避け、取り入れたい点だけを伝えます。
伝える前に、社内で意見をまとめる
デザイナーに戻す前に、社内で次の手順を踏むと、修正の回数を無駄にしません。
- 決める人を決める:最終的に「これで決める」と言える人を一人決めておく。デザイン案の最初の確認から、その人に入ってもらう
- 意見を一覧にする:誰が、どこに、どんな意見を持っているかを一つの表に集める
- ぶつかる意見を社内で決める:「文字を大きく」と「すっきり見せたい」のように反する意見は、どちらを優先するかを社内で決める
- 目的の言葉に戻る:迷ったら、最初に決めたコンセプトや目的に照らして、どちらがよく表しているかで決める
- 優先度を付ける:「必ず直してほしい」「できれば」「相談したい」に分ける
コンセプトを言葉で合意しておく大切さは、ロゴ制作の流れと期間でも説明しています。色の決め方で社内の意見が割れやすい場合は、コーポレートカラーの決め方も参考になります。
修正依頼の書き方のテンプレート
修正は、次の形の一覧にまとめて、1回で送ります。番号を振っておくと、返事のやり取りもしやすくなります。
| 番号 | 場所 | いまの状態 | 困ること・理由 | 希望(あれば) | 優先度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | トップ・最初の見出し | 細い文字が写真の上に載っている | 読みにくい。お客様は年配の方が多い | 文字を太く、または写真の上をやめる | 必ず |
| 2 | サービス紹介・料金の表 | 料金が表の右端にある | スマートフォンで横に動かさないと見えない | 料金をすぐ見える位置に | 必ず |
| 3 | 会社概要・代表の写真 | 写真が小さい | 人柄が伝わりにくい | 大きくできるか | 相談 |
画面の写しに番号の印を付けて添えると、場所の行き違いがなくなります。ロゴの場合は、名刺や看板の見本に置いた画像に印を付けると、使う場面での見え方の話がしやすくなります。
見落としやすい確認:読みやすさ
デザインの好みとは別に、読みやすさは確かめておきたい点です。
- 文字と背景の色の差:デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」では、文字の色と背景の色の間に4.5:1以上のコントラスト比(明るさの差を表す数値)が必要とされています(太字でない22ポイント未満、太字の18ポイント未満の文字の場合。大きな文字は3:1以上)。W3C のウェブのアクセシビリティの指針(WCAG)も同じ基準です。薄い灰色の文字や、写真の上の白い文字は、この差が足りないことがあります
- 色だけで区別していないか:デジタル庁のデザインシステムでは、色だけで情報を区別しないことが挙げられています。たとえば必須の入力欄を赤い色だけで示すのではなく、「必須」という文字も添えます
- スマートフォンで見る:パソコンの画面だけで確認せず、実際のスマートフォンで見る
- 実物の大きさで見る:名刺やチラシは、画面で拡大せず、原寸で印刷して見る
読みやすさの指摘は、「読みにくい気がする」より「この部分の文字が背景と近い色で読みにくい」と、場所と理由を添えて伝えます。
修正の回数と、方向性の変更
デザインの制作では、契約で修正の回数が決まっていることがよくあります。細かな直しを何度にも分けて送ると、回数を早く使い切ってしまいます。また、細部の修正と、案の方向性そのものを変えることは、別の扱いになるのが一般的です。「やはり別の案にしたい」という変更は、追加の費用や日数がかかることがあるので、契約の内容を確かめてから相談します。
方向性の変更を避けるには、ワイヤーフレーム(ページの設計図)の段階で中身と順番を決めておくことが役に立ちます。見方はワイヤーフレームとはで説明しています。ホームページの制作全体の中で、デザインの確認がいつ来るかはホームページ制作を頼むときの流れにまとめています。
まとめ
- 感覚の言葉や答えだけの指示は、意図と違う方向に直りやすい
- 修正は「場所」「困っていること」「理由」の3つを添えて伝える
- 社内で決める人を決め、意見を一覧にし、ぶつかる意見を決めてから1回で送る
- 番号付きの一覧と、印を付けた画面の写しを添えると行き違いが減る
- 好みとは別に、文字と背景の差や、色だけで区別していないかを確かめる
Lapisデザインラボの制作物ごとの修正の回数と進め方は、サービスと料金に載せています。
よくある質問
デザインの修正は、どう伝えれば意図どおりになりますか。
「どこを」「何が困っているか」「なぜそう思うか」の3つを添えて伝えます。たとえば「もっと目立たせて」ではなく、「申し込みのボタンが背景の色に埋もれて、スマートフォンで見つけにくい」と伝えると、デザイナーは理由に沿った直し方を選べます。色や形の答えを指定するより、困っていることを伝えるほうが、よい解決策が出やすくなります。
社内で意見が割れたときは、どうすればよいですか。
デザイナーに戻す前に、社内で決める人を決め、意見を一覧にして、ぶつかる意見はどちらにするかを社内で決めてから伝えます。迷ったときは、最初に合意したコンセプトや目的の言葉に戻り、どちらの案がそれをよく表しているかで比べます。ばらばらの意見をそのまま渡すと、修正の回数を使ってしまいます。
ほかの会社のデザインを見本として見せてもよいですか。
雰囲気を伝える参考として見せるのはよくあることです。そのときは「この見本の、写真を大きく使っているところが好き」のように、どこが良いのかを言葉にして添えます。見本と同じものを作ってほしいという頼み方は避け、自社の目的に合わせて取り入れたい点だけを伝えます。