制作会社の実績の見方|制作事例のページで確かめること
制作会社を探していると、どの会社のサイトにも「制作実績」「制作事例」「ポートフォリオ(過去に作ったものの一覧)」のページがあります。きれいなサイトの画像がずらりと並び、どの会社も上手に見えます。けれども、画像の見た目だけで選ぶと、自社に合うかどうかは分かりません。
実績のページから読み取りたいのは、その会社が自社と近い課題を解いたことがあるか、そしてどこまでを自分たちで担当したかです。見た目の好みは大切な材料ですが、それは判断の一部にすぎません。
この記事では、実績のページで見る6つの点、事例のページの読み方、公開中のサイトで確かめること、載っていない実績の聞き方、候補を並べる比較表を説明します。制作会社を比べる観点の全体はホームページ制作会社の選び方にまとめているので、ここでは実績の読み方に絞ります。
実績のページで見る6つの点
| 見る点 | 確かめること | 分かること |
|---|---|---|
| 1. 課題の近さ | 自社と近い目的・読み手の事例があるか | 提案がかみ合うか |
| 2. 何を解いたか | 事例に、課題と工夫が書かれているか | 見た目の奥の考え方 |
| 3. 担当した範囲 | 企画・デザイン・構築・撮影・原稿のどこまでか | 頼める範囲と、外に出る作業 |
| 4. 時期 | いつ作ったものか | 今の作り方に近いか |
| 5. 公開中の姿 | 今も公開され、スマートフォンで問題なく動くか | 作った後の品質 |
| 6. 作風の幅 | 事例ごとに見た目が違うか、似ているか | 得意な型と、合わせる力 |
以下、順に見ていきます。
1. 業種より「課題」が近いかを見る
同じ業種の事例があると安心しますが、業種が同じでも、目的が違えばホームページの組み立ては変わります。たとえば同じ工務店でも、問い合わせを増やしたいサイトと、職人の採用を増やしたいサイトでは、載せる中身も読み手も違います。
事例を見るときは、次のどれに近いかで分けると、自社に関係のある事例が見つけやすくなります。
- 問い合わせや見積もりの依頼を増やしたい
- 採用の応募を増やしたい
- 予約や来店につなげたい
- 取引先からの信用を得たい(会社の説明が中心)
- 商品を紹介し、販売につなげたい
業種の違う事例でも、目的と読み手が近ければ参考になります。反対に、同じ業種の事例が多くても、自社と目的が違えば、その経験はそのまま生きないことがあります。
2. 見た目だけでなく「何を解いたか」を読む
事例のページには、画像だけのものと、課題や工夫まで書かれているものがあります。書かれている中身で、その会社がどう考えて作るのかが見えてきます。
| 書かれていること | 読み取れること |
|---|---|
| 依頼の前の困りごと(スマートフォンで見にくい、更新できない、など) | 課題を聞き取って形にしているか |
| 誰に向けたサイトか | 読み手を決めてから作っているか |
| 構成や見せ方の工夫と、その理由 | 見た目の判断に理由があるか |
| 担当した範囲 | 頼める範囲 |
| 使った仕組み(更新の仕組みなど) | 公開後に自社で直せる形か |
画像と業種名だけの事例しか無い会社が悪いわけではありません。取引先との約束で詳しく書けないこともあります。その場合は、打ち合わせで「この事例では、何を課題にして、どう考えたか」を聞いてみます。答えの具体さが、そのまま判断の材料になります。
3. どこまで担当したかを確かめる
制作事例に載っていても、その会社が全部を作ったとは限りません。デザインだけを担当し、組み立ては別の会社がした事例もあれば、逆に、デザインは別の人が作り、組み立てだけを担当した事例もあります。写真は依頼主が撮影を手配したものかもしれません。
| 作業 | 確かめること |
|---|---|
| 企画・構成 | ページの構成や載せる中身を一緒に考えたか |
| デザイン | 見た目を一から作ったか、型を使ったか |
| 組み立て(構築) | ページを作り、スマートフォンに合わせたか |
| 撮影 | 写真を撮ったか、手配したか |
| 原稿 | 文章を書いたか、手直ししたか |
| 公開後の運用 | 更新や保守を続けているか |
自社が頼みたい範囲を事例の担当範囲と照らし、「この事例と同じ範囲を頼めるか」を聞くと、見積もりの前提もそろいます。撮影や原稿が外の協力先になる場合は、誰が担当するのかも聞いておきます。
4. いつ作ったものかを見る
ホームページは、作った時期で作り方が大きく違います。古い事例は、スマートフォンでの見やすさや、更新の仕組みが今と違うことがあります。事例に制作の時期が書かれていれば、近い時期の事例を中心に見ます。書かれていなければ、比べたい事例について時期を聞きます。
5. 公開中のサイトで確かめる
事例の画像は、いちばん見栄えのよい場面を切り取ったものです。サイトが公開されているなら、実際に開いて確かめます。
- スマートフォンで開いて、文字が読みやすいか、表示が崩れていないか
- メニューから目当てのページに迷わずたどり着けるか
- 問い合わせや予約までの道筋が分かりやすいか
- 電話番号を押すと電話がかけられるか
- 画像の表示に時間がかかりすぎないか
- お知らせなどの更新が続いているか
ただし、公開から時間がたったサイトは、依頼主が自分で手を入れていたり、別の会社に引き継がれていたりすることがあります。今の姿の細かな崩れを、そのまま制作会社の仕事の質と決めつけないようにします。気になる点があれば、「この部分は公開のときからこの形ですか」と聞けば済みます。
6. 作風の幅を見る
事例を並べて見たとき、どれも似た雰囲気なら、その会社には得意な型があります。その型が自社の好みに合うなら、話が早く進みます。合わないなら、型から離れた提案ができるかを確かめます。
事例ごとに見た目が大きく違う会社は、依頼主に合わせて作る力があると読めます。一方で、どれが自社に合う提案になるかは、打ち合わせで話してみないと分かりません。好みの伝え方は参考サイトの選び方と伝え方で説明しています。
気をつけたい見え方
- 同じ型の事例が並んでいる:型を使う作り方は費用を抑えやすい一方、見た目や構成の自由がききにくいことがあります。仕組みの違いは安いホームページ制作の仕組みで説明しています
- 自社で運営するサイトや自主制作の事例:お客様からの依頼ではない事例です。それ自体は作る力を見る材料になりますが、依頼を受けて作った事例とは分けて見ます
- 実績の数を大きく打ち出している:数より、自社に近い事例の中身を見ます
- 載っていない仕事がある:取引先との約束で公開できない仕事や、他の会社から請け負った仕事は載せられないことがあります。見せられる範囲で説明を頼みます
打ち合わせで実績について聞くこと
- 当社と近い目的や読み手の事例はどれか
- その事例では、何を課題にして、どう考えたか
- その事例で担当した範囲はどこまでか(撮影や原稿は誰が担当したか)
- その事例を担当した人は、当社の案件も担当するか
- 公開した後も、その依頼主とのやりとり(保守や更新)は続いているか
- 事例のページに載っていない、近い業種や規模の仕事はあるか(見せられる範囲で)
特に4は見落としがちです。事例を作った担当者と、自社を担当する人が違えば、事例の出来はそのまま当てはまりません。
候補を並べる比較表(記入例)
実績を見たら、候補ごとに同じ欄で書き出します。見積もりと一緒に比べるときは、ホームページの相見積もりの取り方の比較表と並べて使えます。
| 比べる欄 | 候補1 | 候補2 | 候補3 |
|---|---|---|---|
| 課題の近い事例 | 〇〇(採用) | 〇〇(問い合わせ) | なし |
| 課題と工夫の記載 | あり | 一部 | 画像のみ |
| 担当した範囲 | 企画〜公開・撮影 | デザインのみ | 〇〇 |
| 事例の時期 | 〇〇 | 〇〇 | 不明(要確認) |
| 公開中の姿 | 問題なし | 〇〇が気になる | 〇〇 |
| 作風 | 事例ごとに違う | 似た型が多い | 〇〇 |
| 聞きたいこと | 担当者は同じか | 構築は誰か | 時期 |
空欄や「要確認」が残った所が、打ち合わせで聞くことです。
実績を見るときのチェックリスト
- 自社と近い目的・読み手の事例を、少なくとも1つ見つけた
- その事例の課題と工夫が書かれているか、聞いて確かめた
- 担当した範囲を、自社が頼みたい範囲と照らした
- 事例の時期を確かめた
- 公開中のサイトをスマートフォンで開いた
- 事例を担当した人が、自社の案件も担当するかを聞いた
- 見た目の好みだけで決めていない
Lapisデザインラボの制作事例は、自社で運営しているサイトと、架空の会社・お店を想定した自主制作に分けて載せています。
よくある質問
同じ業種の実績が無い制作会社には、頼まないほうがよいですか。
同じ業種の実績が無くても、断る理由にはなりません。大事なのは、自社と近い課題(問い合わせを増やしたい、採用の応募を増やしたい、予約を受けたいなど)を解いた事例があるかです。業種が違っても、目的と読み手が近い事例があれば、その事例で何を考えたかを聞いてみます。
実績の数が多い制作会社のほうが安心ですか。
数だけでは判断できません。同じ型を使った事例が多く並んでいる場合もあれば、少数でも一件ごとに課題と工夫が書かれている場合もあります。数よりも、自社に近い事例の中身と、その会社がどこまで担当したかを見ます。
制作事例のページに載っていない実績を見せてもらえますか。
取引先との約束で公開できない仕事や、他の会社から請け負った仕事は、事例のページに載せられないことがあります。打ち合わせで「近い業種や規模の事例を、見せられる範囲で教えてください」と頼むと、口頭や画面で説明してもらえることがあります。無理に公開を求めず、説明の中身で判断します。