ドメインの更新を装う請求に注意|届いた通知の確かめ方
「ドメインの有効期限が近づいています」「お支払いが確認できず、サービスが停止されます」。こうしたメールやはがきが届くと、ホームページやメールが止まるのではと慌ててしまいます。けれども、その中には、本物の管理事業者を装ったものや、更新の請求に見せかけて、別の事業者への乗り換えを申し込ませるものが混じっています。
この記事では、ドメインの更新の通知や請求が届いたときに、本物かどうかを確かめる手順をまとめます。よくある手口、自社のドメインの契約先の調べ方、払ってしまったときの対応、ふだんから気をつける管理の仕方まで、順に説明します。
よくある手口
| 手口 | 届き方 | 狙い |
|---|---|---|
| 管理事業者を装うメール | 「ドメインの利用が制限されました」「自動更新に失敗しました」など | 偽の画面に誘い、ログインの情報やカードの番号を盗む |
| 更新の請求書に見える乗り換えの申込書 | 郵便、はがき、メール | 払うと、今の事業者ではなく差出人の事業者に管理が移る |
| 期限や停止を強調して急がせる連絡 | メール、電話 | 確かめる時間を与えずに払わせる |
管理事業者を装うメール
フィッシング対策協議会は、ドメインやサーバーの事業者をかたるフィッシングを何度も注意喚起しています。たとえば2021年10月には、ドメインの管理のサービスを装い、「ドメイン利用制限設定」の通知を名乗るメールで偽のサイトに誘う手口を挙げ、アカウントの情報を入力しないこと、メールのリンクではなく、いつも使っているブラウザのブックマークなどから入ることを呼びかけています。
更新の請求書に見える乗り換えの申込書
海外では、今の管理事業者からの更新の案内や請求書に見える郵便を大量に送り、払った人のドメインの管理を自社に移させていた会社が、米国の連邦取引委員会(FTC)の訴えを受け、2003年12月に裁判所の命令で誤解を招く表示を禁じられた例があります。JPRS も2003年3月に、海外で起きたドメインの更新料の詐欺の事件を紹介し、.jp でも同じような事件が起きないとは言えないとして注意を呼びかけています。
「更新」「期限」と大きく書かれていても、細かい字で「この申し込みにより、管理事業者を当社に変更します」のように書かれていることがあります。払う前に、差出人が今の契約先と同じかを確かめるのが基本です。
まず、自社のドメインの契約先を確かめる
届いた請求が本物かを判断するには、自社のドメインをどこで管理しているかが分かっていることが前提です。
- 契約の控えを探す:ドメインを取ったときの申し込みの控え、毎年の領収書、カードの明細の名前
- WHOIS で調べる:.jp で終わるドメインは、JPRS の WHOIS で、ドメインの状態、有効期限、管理している事業者を確かめられることがあります。.com などは、管理している事業者の WHOIS で調べます
- 制作会社に聞く:ドメインの取得を制作会社に頼んだ場合は、どの事業者で、誰の名義で取ったかを聞く
ここで分かった管理事業者の名前と有効期限を控えておきます。届いた請求の差出人がこの事業者でなければ、まず疑ってかまいません。JPRS は、指定事業者を通して登録・管理されているドメインについて、JPRS から直接、登録料や登録更新料を請求することはないと説明しています。
届いた通知を確かめる手順
- 差出人を照らす:会社名、住所、電話番号が、契約している管理事業者と同じか
- リンクを押さない:メールのリンクではなく、ふだんの管理画面にブックマークや自分で入力したアドレスから入る
- 管理画面で期限と請求を見る:本当に期限が近いか、支払いが止まっているか
- 電話で確かめるなら、公式サイトの番号に:通知に書かれた番号には電話しない
- 振込先を見る:契約している事業者の請求と、名前や口座が違わないか
- 「変更」「移管」「申込」の文字を探す:更新ではなく、乗り換えの申し込みになっていないか
はがきや郵便の請求で見るところ
- 差出人の会社名が、契約している事業者と同じか
- 書かれている金額が、いつもの更新の費用とかけ離れていないか
- 「お申込書」「サービスのご案内」と書かれていないか(請求書ではなく勧誘のことがある)
- 裏面や欄外の小さな字に、管理事業者の変更や、別のサービスの契約が書かれていないか
一つでも引っかかれば、払う前に、契約している事業者に問い合わせます。
払ってしまった、入力してしまったとき
| してしまったこと | すぐにすること |
|---|---|
| 偽の画面にカードの番号を入れた | カード会社に連絡して止める |
| 偽の画面にログインの情報を入れた | 本物の管理画面でパスワードを変える。二段階の認証を有効にする。同じパスワードを使っているほかのサービスも変える |
| 乗り換えの申込書に払った | 契約している管理事業者に連絡する。管理事業者の変更の確認の連絡が届いたら「不承認」と答える |
| お金をだまし取られた | 記録をまとめて、警察のサイバー事案の相談窓口に相談する |
.jp のドメインで管理事業者を変えるときは、今の管理事業者から登録者に意思の確認の連絡が届き、登録者が「承認」と答えたときだけ手続きが進む仕組みです(流れはドメインの移管の手順で説明しています)。JPRS も、指定事業者からの連絡には、ドメインの移転、更新・廃止、指定事業者の変更などの意向を確かめるものがあるので、内容を確かめて対応するよう呼びかけています。覚えのない移管の確認には、承認と答えないことが、最後の守りになります。
偽のメールや偽のサイトは、フィッシング対策協議会に報告できます。
社内で受け取る人に伝えておくこと
請求書やはがきを開けるのは、経理や総務の担当、店のスタッフであることが多いものです。ドメインのことを知らない人ほど、「期限が切れる」「停止」という言葉に押されて払ってしまいがちです。次の3つを、社内の決まりとして伝えておきます。
- ドメインやサーバーの名前が書かれた請求は、払う前に担当者に回す
- 契約先の一覧に無い会社からの請求は、払わずに保留する
- 電話で「今日中に手続きを」と言われても、その場では決めず、折り返すと伝えて切る
担当者が一人だけだと、休みの日に届いた通知で判断が止まります。契約先の一覧は、経理の担当も見られる場所に置いておくと安心です。
ふだんからの管理
本物の通知を見逃さないことと、偽物に引っかからないことは、同じ管理でかないます。
| 決めておくこと | 具体的には |
|---|---|
| 契約先の記録 | ドメイン名、管理事業者、有効期限、管理画面の入り方を一枚にまとめる |
| 連絡先 | 登録の連絡先を、複数人が読む会社の共通のアドレスにする |
| 支払い | 自動更新にし、払う先を一つに決めておく |
| 社内の決まり | ドメインやサーバーの請求は、記録と照らしてから払う |
JPRS は、契約している指定事業者からの連絡を正しく受け取れるよう、届け出ている連絡先を常に最新に保つよう求めています。本物の更新の案内を見逃して期限を切らしてしまった場合は、ドメインが切れたときの手順で取り戻します。名義と連絡先の決め方は会社のドメインの取り方にまとめています。
Lapisデザインラボの月額サービスでは、ドメインをお客様の名義で持っていただいたまま、契約の管理と更新手続きをお引き受けしています。内容はサイト保守・更新に、名義の扱いは月額サービスの条件に載せています。
よくある質問
ドメインの更新の請求が本物か、どう確かめればよいですか。
まず、自社のドメインをどの事業者で管理しているかを確かめます。.jp のドメインは JPRS の WHOIS で、管理している事業者(指定事業者)を調べられます。そのうえで、届いた請求の差出人がその事業者と同じかを照らし合わせ、メールのリンクではなく、ふだん使っている管理画面にブックマークから入って、有効期限と請求の有無を確かめます。
JPRS からドメインの更新料の請求が届くことはありますか。
JPRS は、指定事業者を通して登録・管理されているドメインについて、JPRS から直接、登録料や登録更新料を請求することはないと説明しています。.jp のドメインの更新料は、契約している管理事業者(指定事業者)に払います。
偽物の請求に払ってしまったら、どうすればよいですか。
カードで払ったならカード会社にすぐ連絡します。偽の画面にパスワードを入れた場合は、本物の管理画面のパスワードを変えます。管理事業者を変える手続きが進んでいるなら、確認の連絡に「不承認」と答え、今の管理事業者に連絡します。だまし取られた場合は、警察のサイバー事案の相談窓口に相談します。