ホームページを閉じるとき|ドメインを手放す前に考えること
事業をたたむ、別の会社と一緒になる、ブランドを一つにまとめる。ホームページを閉じる理由はさまざまですが、作るときと比べて、閉じるときの手順はあまり知られていません。サーバーの契約を止めればそれで終わり、と考えがちですが、ドメインの扱いを誤ると、閉じた後に自社の名前が悪用されるおそれがあります。
この記事では、ホームページを閉じるときの手順を、お知らせ、転送、個人情報の始末、サイトの削除、ドメインの扱いの順にまとめます。閉鎖のお知らせの例文と、ドメインを持ち続けるか手放すかの判断の目安も載せています。
閉じる前に決めること
閉じる理由によって、サイト、メール、ドメインのそれぞれをどうするかが変わります。
| 閉じる理由 | サイト | メール | ドメイン |
|---|---|---|---|
| 事業をやめる | お知らせだけを残し、のちに閉じる | 取引の後始末が済むまで受け取る | しばらく持ち続ける |
| 別の会社・サイトに統合する | 統合先へ転送する | 統合先のアドレスへ転送する | 転送のために持ち続ける |
| 新しいドメインのサイトに移る | 新しいサイトへ転送する | 新しいアドレスへ移る | 転送のために持ち続ける |
どの場合も、**サイトを閉じることと、ドメインを手放すことは別に考えます。**サイトは閉じても、ドメインは持ち続けたほうがよい場面が多くあります(理由は後の節で説明します)。
閉じるまでの手順
- 閉じる日を決める:サーバーやサービスの契約の更新日も見て決める
- お知らせを出す:サイトのトップと、取引先・お客様へのメールで
- 問い合わせの窓口を移す:閉じた後の連絡先を決め、フォームの受付を止める日を決める
- 外のサービスの情報を直す:地図の店舗情報、ポータルや業界団体の掲載、SNS のプロフィールのリンク
- 転送を設定する(統合・移転の場合):古いページから新しいページへ
- 個人情報を整理する:フォームやメールに残っている情報を消す
- サイトを閉じる:お知らせのページだけにするか、すべて消すか
- 契約を止める:サーバー、フォームや予約のサービス、有料のプラグイン
- ドメインをどうするかを決める
地図の店舗情報や SNS など、外のサービスを放っておくと、閉じたサイトへのリンクがいつまでも残ります。事業をやめる場合は、それぞれのサービスの案内に沿って、閉業の表示やアカウントの整理をします。
閉鎖のお知らせの書き方
お知らせには、閉じる日、理由(書ける範囲で)、閉じた後の連絡先、統合先を書きます。
ホームページ閉鎖のお知らせ
平素より【会社名】のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 【日付】をもちまして、本ホームページを閉鎖いたします。 今後のお問い合わせは、【連絡先】までお願いいたします。 (統合の場合)今後の情報は【統合先の名前】のホームページでご案内いたします。 長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。
問い合わせフォームは、閉じる日より前に受付を止め、止めた後の連絡方法をフォームの場所に書いておきます。閉じる日が近づいてから届いた問い合わせに返事ができない、ということを防ぐためです。
統合や移転なら、転送を設定する
統合先や新しいサイトがある場合は、古いページを開いた人を新しいページに案内する転送を設定します。ページごとに対応する新しいページへ送るのが理想で、対応するページが無いものは、新しいサイトのトップや案内のページへ送ります。
Google の検索セントラルの「URL の変更を伴うサイト移転」では、サーバー側の恒久的な転送(301 などのリダイレクト)を使うこと、転送はできるだけ長く、一般的には1年以上残すことを勧めています。その間に、ほかのサイトからのリンクなどが新しいページに引き継がれるためです。転送を続けるには、古いドメインを持ち続ける必要があります。
個人情報を整理する
ホームページを閉じるときに見落とされやすいのが、問い合わせフォームや予約、資料請求で受け取った個人情報です。
個人情報保護法の第22条は、利用する必要がなくなった個人データを、遅滞なく消去するよう努めなければならないと定めています。個人情報保護委員会のガイドラインは、利用する目的が達成された場合や、目的が達成されないまま事業そのものが中止された場合を、「必要がなくなった」ときの例として挙げています。法令で保存の期間が決まっているものは、その期間は残します。
洗い出す場所は、次のとおりです。
- サーバーに保存されている、フォームの送信の記録
- WordPress などの仕組みの中に残っている送信の履歴
- フォームや予約の外部のサービスに残っているデータ
- 問い合わせを受けたメールの受信箱
- 書き出して保存した表計算のファイル
プライバシーポリシーで、取得した情報をどう扱うと書いていたかも確かめます(ホームページのプライバシーポリシーの書き方)。
ホームページを削除する方法
サイトの作りによって、閉じ方が違います。
| 作り | 閉じ方 |
|---|---|
| レンタルサーバーに置いたサイト | サーバーのファイルとデータベースを消す。または、お知らせのページだけにしてからサーバーを解約する |
| WordPress などの仕組み | 控え(バックアップ)を取ってから消す。古い仕組みを動かしたまま放置しない |
| ホームページ作成サービス | サービスの管理画面で公開を止める。有料のプランの解約を忘れない |
| 制作会社が管理しているサイト | 閉じる日と、データの扱い(消すか、控えを受け取るか)を書面で頼む |
消す前に、サイトのデータの控えを社内に残しておくと、後で過去の案内の内容を確かめたいときに役立ちます。いちばん避けたいのは、更新を止めた古い WordPress のサイトを、公開したまま放置することです。仕組みや部品が古いままだと、改ざんの入り口になりかねません(ホームページの改ざん対策)。
ドメインを手放すリスク
JPRS は「ドメイン名の廃止に関する注意」で、ドメインを手放すときのリスクを次のように説明しています。
- 廃止したドメインは、一定の期間の後に、ほかの人が登録できるようになる(手放されたドメインを狙って取ることを「ドロップキャッチ」と呼びます)
- 詐欺のサイトや誹謗中傷のサイトなどに使われるおそれがある
- 同じメールアドレスを作られ、なりすましのメールに使われるおそれがある
- そのメールアドレスをほかのサービスのログインに使っていた場合、パスワードの再設定などでアカウントを乗っ取られたり、情報を見られたりするおそれがある
- ドメイン名の紛争処理の方針に当たらない限り、ほかの人の登録や使用を止めることはできない
JPRS は、ドメインを廃止する前に、サイトやメールアドレスを終えることを外に知らせ、そのメールアドレスを使ったアカウントの削除や設定の変更をしておくよう勧めています。
持ち続けるか、手放すかの判断
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 転送を続けている | 持ち続ける |
| 取引先やお客様が、まだ古いアドレスにメールを送ってくる | 持ち続ける |
| 古いアドレスで登録したサービスが残っている | 整理が済むまで持ち続ける |
| 会社名や商品名そのもので、悪用されると困る | 長く持ち続けることを考える |
| 上のどれにも当たらず、整理も済んだ | 手放すことを考えてもよい |
ドメインを持ち続ける費用は、毎年の更新の費用だけです。サイトを閉じた後も、更新の期限と連絡先の管理は続ける必要があります(ドメインが切れたとき)。
Lapisデザインラボの月額サービスでは、サーバー・ドメインの契約の管理と更新手続きをお引き受けしています。内容はサイト保守・更新をご覧ください。
よくある質問
ホームページを閉じたら、ドメインもすぐに手放してよいですか。
すぐには手放さないほうが安全です。JPRS は、ドメインを廃止すると一定の期間の後にほかの人が登録できるようになり、詐欺のサイトに使われたり、同じメールアドレスを作られてなりすましのメールに使われたりするおそれがあると注意しています。メールアドレスをほかのサービスのログインに使っていた場合は、パスワードの再設定を悪用されるおそれもあります。
閉鎖のお知らせは、いつごろ出せばよいですか。
決まった期限はありませんが、取引先やお客様が連絡先を移す時間を見て、閉じる日の1か月以上前から出しておくと親切です。お知らせには、閉じる日、閉じた後の問い合わせ先、統合先があればその案内を書きます。閉じた後も、しばらくはお知らせだけを載せた1ページを残しておく方法もあります。
問い合わせフォームで受け取った個人情報は、どうすればよいですか。
個人情報保護法では、利用する必要がなくなった個人データは、遅滞なく消去するよう努めなければならないとされています。個人情報保護委員会のガイドラインでは、事業自体が中止された場合も「必要がなくなった」ときに当たるとされています。サーバーやメール、フォームのサービスに残っているデータを洗い出し、法令で保存が決まっているもの以外は消します。