デザインの顧問契約(月額のデザイン担当)|頼めることと費用の決め方
チラシ、店頭のポスター、展示会の資料、SNS用の画像。販促物を毎月のように作る会社では、そのたびにデザイナーを探して見積もりを取るのは手間がかかります。かといって、デザイナーを社員として雇うほどの量があるかは分からない。そうした会社で使われるのが、月額でデザインを頼み続ける「デザインの顧問契約」です。月額のデザイン担当、デザインの定額の依頼などと呼ばれることもあります。
この記事では、顧問契約で頼めること、費用の決め方、ほかの頼み方との比べ方、契約で決めておくことをまとめます。
顧問契約でできることと、頼みにくいこと
顧問契約が向いているのは、決まった型の上で、小さな制作物を続けて作る仕事です。
| 頼みやすいもの | 頼みにくいもの(別に見積もる場合がある) |
|---|---|
| チラシ・ポスター・POPの制作と季節の差し替え | 新しいロゴ、ブランドの作り直し |
| SNS用の画像、バナー | パンフレットや会社案内1冊の新規制作 |
| 提案書・社内資料の体裁を整える | ホームページの新規制作 |
| 名刺の追加、肩書の変更 | 撮影、動画の制作 |
| ホームページの画像の差し替え | 印刷代、広告の出稿の費用 |
| 制作物の確認(社内で作ったものを見てもらう) | 急ぎの当日の対応(契約で決めていない場合) |
大きな制作物を月額に入れると、その月の作業がほかの依頼を圧迫します。月額は小さな制作物と相談の窓口にあて、大きな制作物はその都度見積もる形の契約もあります。
顧問契約の前提になるのは、ロゴや色・書体の決まりがそろっていることです。決まりが無いまま始めると、制作物ごとに見た目を考えることになり、月額の作業がすぐに埋まります。まだ決まりが無いなら、先にブランドガイドラインを作るところから頼みます。
費用の決め方の3つの型
月額の費用の決め方には、次の3つの型があります。
| 型 | 決め方 | 向いている会社 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 時間で決める | 月に使える作業時間を決める | 制作物の大きさがまちまち | 1点にかかった時間を毎月報告してもらう |
| 点数で決める | 月に作る点数を決める | チラシやバナーなど、似た大きさのものが多い | 「1点」の大きさを決めておく |
| 範囲と上限で決める | 対象の制作物の種類と、月の上限を決める | 作るものがほぼ決まっている | 範囲の外の依頼の扱いを決めておく |
どの型でも、次の2つは必ず決めておきます。
- 上限を超えたとき:翌月に回すのか、超えた分を追加の料金で受けるのか
- 使わなかったとき:使わなかった時間や点数を翌月に繰り越せるのか
繁忙の波がある会社では、繰り越しの有無で費用の割に合うかが変わります。繰り越せない契約なら、月の上限を少なめにして、超えた分を追加で頼む形のほうが無駄がありません。
ほかの頼み方との比べ方
顧問契約は、社員を雇う場合と、その都度頼む場合の間にある頼み方です。
| 比べる点 | 社員を雇う | 顧問契約 | その都度頼む |
|---|---|---|---|
| 毎月の費用 | 給与と社会保険など、決まってかかる | 決まった月額 | 頼んだ月だけ |
| 頼みやすさ | 社内なのですぐ頼める | 窓口が決まっていて、見積もりを取らずに頼める | 毎回、見積もりと日程の調整が要る |
| 社内の事情の理解 | いちばん深い | 続けるほど深くなる | 毎回の説明が要る |
| 見た目のそろい方 | 同じ人が作るのでそろう | 同じ担当が作るのでそろいやすい | 依頼先が替わるとぶれやすい |
| 量が減ったとき | 費用は変わらない | 契約を見直せる | 費用もかからない |
目安としては、毎日のように制作物があり、社内の会議や現場の事情に通じた人が要るなら雇う、月に数点から十数点ほどで波があるなら顧問契約、年に数回なら都度頼む、という分け方になります。まず顧問契約で月の量を測り、増えてきたら採用を考える進め方もあります。
契約で決めておくこと
| 決めること | 内容の例 |
|---|---|
| 範囲 | 月額に入る制作物の種類、入らないもの |
| 上限 | 月の時間・点数、超えたときの扱い、繰り越しの有無 |
| 返事と納期 | 依頼から初稿までの日数、急ぎの扱い |
| 修正 | 1点あたりの修正の回数 |
| 窓口 | 依頼をまとめて出す社内の人、相手の担当者 |
| 権利 | 作った物の著作権を、いつ自社に移すか |
| データ | 元のデータの受け取り方と保管の場所 |
| 期間と解約 | 契約期間、更新、解約の予告の期間 |
権利は、制作物ごとに後から決めるともめるので、契約の最初に決めます。著作権を譲り受けるなら、翻案などの権利(著作権法第27条・第28条の権利)を含むと書いてもらいます。第61条第2項は、譲渡の契約でこの2つの権利が特に書かれていないときは、譲渡した側に残ると推定すると定めているためです。
元のデータは、毎月まとめて受け取るか、共有のフォルダに置いてもらいます。契約をやめたあとも、別の人が同じ型で作り続けられるようにするためです。
相手が個人のデザイナーのとき
顧問契約の相手が、従業員を使っていない個人のデザイナーや、代表者1人だけで従業員のいない法人であれば、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス法)の決まりがかかります。
- 仕事の内容・報酬の額・支払期日などを、書面かメールなどで示す
- 従業員を使っている事業者が発注するなら、報酬の支払期日を、成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で決める
- 従業員を使っている事業者が、6か月以上続く契約をやめる・更新しないときは、少なくとも30日前までに予告する
月額の契約は続けて結ぶことがあるので、とくに3つ目の予告の決まりを覚えておきます。
始める前に用意するもの
- ロゴのデータ一式と、使い方の決まり(ロゴの使用規定の作り方)
- 色の指定と、使う書体
- よく作る制作物の見本(チラシ、資料など)
- 依頼のときに書く項目を決めた依頼書の型(チラシの作成を頼むときの依頼書の書き方)
依頼書の型を決めておくと、窓口の人が替わっても、同じ情報がそろって届きます。修正の伝え方も最初にすり合わせておくと、やり取りの回数が減ります(デザイン案への修正の伝え方)。
月の流れの例
- 月の初めに、その月に作るものの一覧を窓口の人が送る
- デザイン担当が、順番と納期の見込みを返す
- 制作物ごとに初稿、修正、仕上げ
- 月の終わりに、作ったものと使った時間・点数の報告を受ける
- 翌月の予定と、上限の見直しを話す
3か月ほど続けると、月の量と、どの制作物に時間がかかるかが見えてきます。その時点で、上限や範囲を見直します。
見直しのときに見ること
- 毎月、上限を使い切っているか、余らせているか
- 急ぎの依頼が多く、予定が崩れていないか
- 修正の回数が多い制作物はどれか(依頼書の書き方で減らせないか)
- 社内で作ったほうが早いものを頼んでいないか(テンプレートを用意すれば社内で済むもの)
社内で作れるものを増やすと、月額の範囲を、デザインの判断が要る仕事にあてられます。資料のテンプレートの作り方は会社のパワーポイントのテンプレートを作るで説明しています。
Lapisデザインラボの月額のサービスは、サイトの保守とGoogleマップ・SEO・広告の運用です。内容は運用・集客サポートに載せています。印刷物の追加は、制作のプランのオプションとしてサービスと料金に載せています。
よくある質問
デザインの顧問契約では、何を頼めますか。
チラシやポスター、SNS用の画像、資料の体裁、名刺の追加、ホームページの画像の差し替えなど、決まった型の上で作る小さな制作物が中心です。新しいロゴやパンフレット1冊のような大きな制作は、月額の範囲の外で別に見積もる契約もあります。
月額の費用は、どう決めるものですか。
月に使える作業時間で決める形、作る点数で決める形、対象の制作物と上限を決める形の3つがあります。どの形でも、上限を超えたときの扱いと、使わなかった分を翌月に回せるかを契約で決めておきます。
社内にデザイナーを雇うのと、顧問契約と、どちらがよいですか。
毎日のように制作物があり、社内の事情に通じた人が要るなら、雇うほうが向いています。月に数点から十数点ほどで、繁忙の波があるなら、顧問契約で外の人に頼むほうが費用を合わせやすくなります。まず顧問契約で量を測り、増えてきたら採用を考える進め方もあります。