チラシの作成を頼むときの依頼書の書き方とテンプレート
チラシの外注でいちばん時間を取られるのは、デザインそのものより「最初に伝えた情報が足りず、案が出てから前提を直す」往復です。配る場所が決まっていなかった、載せる日付が変わった、写真が届いていなかった、といった理由で、1回目の案がほぼ作り直しになることは珍しくありません。
この記事では、チラシを頼むときに最初に渡す依頼書に何を書けばよいかを、そのまま写して使えるテンプレートつきで整理します。依頼の前に社内でそろえておくものと、依頼書を渡したあとの進め方も扱います。紙面の中の要素の置き方はチラシの構成の定石、費用の目安はチラシの作成費用の相場で説明しているので、ここでは「頼む前に何を書いて渡すか」に絞ります。
依頼書に書く7つの項目
依頼書に決まった書式はありません。メールの本文でも、表計算のシートでもかまいません。抜けると後で困るのは、次の7つです。
| 項目 | 書くこと | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 1. 目的 | 何のためのチラシか(来店・予約・問い合わせ・求人など)と、読んだ人にしてほしい行動 | 見出しと申し込みの置き方が決まらない |
| 2. 読む人 | 誰に届けたいか(地域・年代・立場)を1〜2文で | 文字の大きさや言葉づかいがずれる |
| 3. 配り方と部数 | 手渡し・店頭・ポスティング・新聞折込・同封など。おおよその部数 | サイズ・紙・印刷方法が決まらない |
| 4. サイズと面 | A4・B4・B5など、片面か両面か、折るか | レイアウトをやり直すことになる |
| 5. 載せる情報 | 見出しにしたいこと、商品やサービス、価格、日時、地図、問い合わせ先 | 案が出てから文章を差し替える往復が増える |
| 6. 素材 | ロゴ、写真、過去のチラシ、参考にしたい紙面 | 仮の画像で進み、差し替えで印象が変わる |
| 7. 期限と決める人 | 配布日・印刷の締め切り・確認の担当と最終決定者 | 最後に決裁者がひっくり返し、日程が崩れる |
この中で特に大事なのは 3の配り方 と 7の期限です。配り方が決まるとサイズと紙と部数がほぼ決まり、印刷の方法と日数が決まります。期限は「配る日」から逆算するので、配る日をまず書いてください。
そのまま使える依頼書のテンプレート
次の文面を写して、〇〇の部分を埋めれば依頼書になります。分からないところは「未定」と書いておけば、打ち合わせで一緒に決められます。空欄のまま消してしまうより、未定と書くほうが抜けに気づけます。
【チラシ制作のご依頼】
会社名・店名:〇〇
担当者:〇〇(連絡先:〇〇)
最終的に決める人:〇〇
■ 目的
このチラシで、〇〇(例:秋の新メニューを知ってもらい、来店してもらう)
読んだ人にしてほしいこと:〇〇(例:電話で予約する)
■ 読んでほしい人
〇〇(例:店から徒歩15分以内に住む、30〜50代の家族)
■ 配り方・部数・時期
配り方:〇〇(例:ポスティング/店頭で手渡し)
部数:〇〇部程度
配る日:〇〇月〇〇日から(印刷物の受け取り希望日:〇〇月〇〇日)
■ サイズ・仕様
サイズ:〇〇(例:A4) 面:片面/両面 折り:なし/あり
紙の希望:特になし/〇〇
印刷の手配:こちらで手配/制作側に任せたい
■ 載せる情報
見出しにしたいこと:〇〇
伝えたい内容(重要な順に3つまで):①〇〇 ②〇〇 ③〇〇
価格・期間・条件:〇〇
日時・場所・地図:〇〇
問い合わせ先:電話〇〇/ホームページ〇〇/QRコードの有無
必ず入れる文言(注意書きなど):〇〇
■ 素材
ロゴ:あり(形式:〇〇)/なし
写真:あり(〇〇枚・撮影者:〇〇)/撮影から相談したい
参考にしたい紙面:〇〇(どこが良いと思ったか:〇〇)
■ 予算・その他
予算の目安:〇〇
過去のチラシ:あり/なし
「伝えたい内容」を3つまでに絞る欄を入れているのは、1枚の紙面に入る主張には限りがあるからです。5つも6つも並べると、どれも読まれません。順番を付けておくと、デザイナーは1番目を大きく、3番目を小さく置けます。
依頼の前に社内でそろえておくもの
依頼書を書く前に、次のものを手元に集めておくと、最初の打ち合わせで多くが決まります。
- 載せる文章の下書き(箇条書きでよい。価格・日時・住所などの事実は確定したもの)
- ロゴのデータ(できれば印刷用の形式。分からなければ手元にあるものを全部)
- 使う写真(スマホで撮ったものでも、まず全部渡す。使えるかどうかは制作側が判断する)
- 過去に作ったチラシと、そのときの反応(電話が何件来たか、など分かる範囲で)
- 参考にしたい他の紙面(良いと思った点を一言添える)
- 配る日と、それに間に合う印刷の受け取り日
- 社内で確認する人と、最終的に決める人の名前
写真やイラストは、使ってよいものかどうかを先に確かめます。インターネットで見つけた画像や、他社のチラシの写真は、撮影した人や作った人に著作権があり、許可なくチラシに使うことはできません。自分たちで撮った写真、利用の条件を確かめた素材サイトの写真、許可を得た写真のどれかにします。素材の扱いは素材写真の使い方と注意点にまとめています。
載せる情報で気をつけること
依頼書の「載せる情報」は、デザイナーではなく依頼した側が責任を持つ部分です。次の点は、依頼の前に社内で確かめておきます。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 価格・期間・条件が確定しているか | 印刷後の訂正は刷り直しになる |
| 「通常価格〇円→〇円」と書くなら、その通常価格で売っていた実績があるか | 根拠のない比較は景品表示法の不当表示にあたるおそれがある |
| 「地域No.1」「最安」などの言葉に根拠があるか | 根拠を示せない最上級の表現は避ける |
| 電話番号・住所・営業時間が今の情報と合っているか | 移転や変更の後に古い情報が残りやすい |
| 写真の人物に掲載の了解を取ったか | お客様やスタッフが写る写真は本人の了解が要る |
二重価格(比較する価格を並べて安さを示す表示)について、消費者庁は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」でなければ、比較に使う「通常価格」と表示しないよう考え方を示しています(2026年10月時点の消費者庁のページ)。詳しくは消費者庁の二重価格表示の解説を確認してください。
サイズの決め方の目安
依頼書の「サイズ」で迷ったら、配り方から決めます。紙の寸法は JIS(日本産業規格)で決まっていて、A4は210×297mm、B4は257×364mm、B5は182×257mmです。
| 配り方 | よく使われるサイズ | 考え方 |
|---|---|---|
| 店頭での手渡し・レジ横 | A4・A5 | 手に取りやすく、持ち帰りやすい大きさ |
| ポスティング | A4・B5 | 郵便受けに入る大きさ。二つ折りにすることもある |
| 新聞折込 | B4・A4 | 折込会社の受付サイズに合わせる |
| 商品や請求書への同封 | A5・A6 | 封筒に入る大きさから逆算する |
新聞折込は、折込会社によって受け付けるサイズや納品の形が違うので、依頼の前に配布を頼む会社に確かめておきます。サイズの違いと使い分けはチラシのサイズの選び方で詳しく説明しています。
依頼書を渡したあとの進め方
依頼書を渡したら、次の順で進むのが一般的です。
- 打ち合わせ:依頼書をもとに、目的と載せる情報の優先順位を確認する。未定の項目をここで決める
- 見積もりと日程の確定:サイズ・部数・印刷の手配の有無が決まると、費用と日程が確定する
- ラフ(大まかな配置案):見出し・写真・申し込みの位置を確かめる段階。文字の誤りより、構成を見る
- デザイン案と修正:修正は、気づいた点をまとめて1回で伝える。複数の人が別々に伝えると矛盾が起きる
- 最終確認(校正):価格・日付・電話番号・住所を、依頼書の原本と1文字ずつ突き合わせる
- 入稿と印刷:印刷用のデータに書き出して印刷会社に渡す。確認の観点は印刷の入稿データで失敗しないために
修正の指示は「ここをもっと目立たせたい」のように、何をしたいかで伝えるほうが、「文字を赤くして」のように手段で伝えるより良い結果になりやすいです。手段はデザイナーが選べます。
まとめ
チラシの依頼書は、目的・読む人・配り方と部数・サイズ・載せる情報・素材・期限と決める人の7つを書けば足ります。テンプレートを写して埋め、分からない欄は「未定」と書いて打ち合わせで決めてください。価格や表示の根拠は、依頼した側が確かめる部分です。
Lapisデザインラボでは、チラシなどの印刷物の制作を定額のプランで受けています。内容は料金プラン、依頼前の相談はお見積もりからどうぞ。
よくある質問
チラシの依頼書は、決まった書式で作らないといけませんか。
決まった書式はありません。メールの本文でも表計算のシートでもかまいません。大事なのは、目的・配り方・サイズ・載せる情報・素材・期限・決める人の7つが抜けずに書かれていることです。この記事のテンプレートを写して埋めれば足ります。
載せる文章が決まっていない段階でも依頼してよいですか。
依頼はできますが、見積もりと日程は文章が決まってから確定することが多くなります。少なくとも、見出しにしたいこと・価格や日時などの事実・問い合わせ先は先に決めておくと、デザイナーが構成を考えられます。言い回しの調整はデザインと並行で進めても間に合います。
割引価格を載せるとき、依頼書に何か書いておくべきですか。
「通常価格」と並べて安さを示す場合は、その通常価格で実際に販売していた期間を社内で確かめ、依頼書に根拠を一言添えておくと安全です。比較する価格に根拠がないと、景品表示法の不当表示にあたるおそれがあります。表示の責任は依頼した側にあります。