チラシの構成の定石|見出し・写真・申し込みの置き方
チラシは、数秒で「読むか、読まずに捨てるか」が決まる印刷物です。文章として最初から最後まで読んでもらえる前提では作れません。そのため、限られた時間で伝わるように、要素を置く順番と場所にある程度の定石があります。
この記事では、チラシの基本構成、見出しと写真の作り方、申し込み情報の置き方、サイズの選び方、価格を表示するときに気をつける点をまとめます。店舗や事業のチラシを初めて作る担当者が、デザイナーや印刷会社との打ち合わせの前に押さえておきたい内容です。
チラシの基本構成
チラシに入れる要素は、おおむね次の順番で配置します。
| 要素 | 役割 | 配置の目安 |
|---|---|---|
| 見出し(キャッチコピー) | 最初の3秒で興味を引く | 最上部、最も大きい文字 |
| リード文 | 見出しの内容を1〜2文で補足 | 見出しのすぐ下 |
| 写真・図 | 内容を直感的に伝える | 紙面の3〜4割を目安に大きく |
| ベネフィットの箇条書き | 読む人が得られることを整理して示す | 中央から下部 |
| 申し込み・問い合わせ情報 | 行動につなげる | 目線が最後に届く右下または下部 |
| 会社情報・期限や条件 | 信頼と行動の後押し | 最下部、小さめの文字でよい |
紙面全体を使って「何を、誰に、どうしてほしいか」の3点が伝わるように要素を配置します。文字と写真を紙面の隅から隅まで敷き詰めると、かえってどこから読めばよいか分からなくなるため、要素ごとに余白を残すことも重要です。
見出し(キャッチコピー)の作り方
見出しは、商品名や店名をそのまま書くのではなく、読む人が得られること(ベネフィット)を短い言葉にします。作り方の手順は次のとおりです。
- 誰に向けた案内かを1人に絞る:「近隣にお住まいの方」ではなく「毎朝の通勤前に立ち寄れる方」のように具体化する
- その人が困っていること・欲しいことを書き出す
- その困りごとが、このチラシでどう解決するかを短い文にする
- 数字や期間など、具体的な情報があれば添える
- 良くない例:「新規オープン」「セール開催中」
- 良い例:「〇〇駅から徒歩3分、平日の朝も開いています」「今月末までの、初めての方向けメニューです」
見出しは1つの紙面に1つが基本です。複数のメッセージを詰め込むと、結局どれも印象に残りません。
写真・図の使い方
写真は、商品やサービスを使っている場面、店内の様子など、文字より先に内容が伝わるものを選びます。写真がない場合は、無理に用意せず、図やアイコンで要点を示す構成でも成立します。
写真を使う際は、次の点を確認します。
- 実寸で使うサイズに対して十分な解像度があるか(不足すると印刷時にぼやける)
- 商用利用が許可された写真か(撮影した写真、購入した素材写真、許諾を得た写真のいずれか)
- 一つの紙面に写真を詰め込みすぎていないか(多くても3〜4点程度が目安)
写真を選ぶときによくある失敗は、伝えたいことが複数あるために、無関係な写真を並べてしまうことです。1枚の紙面には「この写真を見れば何の案内か分かる」というメイン写真を1点決め、他は補足として小さく添える程度にとどめると、全体の印象がまとまります。
申し込み・問い合わせの置き方
読む人の目線は、一般的に左上から右下へ、あるいは上から下へと流れると言われています。そのため、申し込みや問い合わせの情報は、目線が最後にたどり着く右下または下部に置くと見つけてもらいやすくなります。
問い合わせ情報には、次の項目を最低限含めます。
- 電話番号・メールアドレス・ウェブサイトのURLなど、連絡手段
- 会社名・店舗名、住所
- 申し込みの期限や条件(あれば)
- QRコードを使う場合は、リンク先のページ名が分かる案内を添える
サイズの選び方
チラシのサイズは、配布方法に合わせて選びます。
| サイズ | 寸法 | 向いている配布方法 |
|---|---|---|
| A4 | 210×297mm | ポスティング、手渡し、店頭設置 |
| B4 | 257×364mm | 新聞折込 |
| A5 | 148×210mm | 卓上設置、名刺サイズの封筒に同封 |
A4・B4・A5は、いずれもJIS規格で定められた紙の仕上寸法です。配布方法が決まっていない場合は、扱いやすく印刷コストも抑えやすいA4を選んでおくと、後から用途を広げやすくなります。用紙の厚みは、ポスティングで配る場合は薄手でも問題ありませんが、店頭に置いて持ち帰ってもらう場合は、多少厚みのある用紙のほうが型崩れしにくく、手に取ってもらいやすくなります。
表示で気をつけること
チラシに価格や申し込み方法を載せる場合、次の2点は法律に関わるため注意が必要です。
- 二重価格表示(景品表示法):「通常価格◯円→特別価格◯円」のように価格を比較して見せる場合、比較対照価格(通常価格側)は、最近相当期間その価格で実際に販売していた実績が必要です。根拠のない高い価格を「通常価格」として載せることはできません
- 通信販売の表示義務(特定商取引法):チラシを見て郵送や電話で申し込む形式(通信販売)を案内する場合、事業者の氏名または名称、住所、電話番号の表示が必要です
どちらも、対象になるのは主に価格の比較表示や通信販売の案内をする場合です。該当しそうな内容を載せるときは、あらかじめ社内で確認しておくと安心です。
良い例・悪い例
- 良くない例:見出し・写真・価格・問い合わせ・会社概要をすべて同じ大きさの文字で並べる
- 良い例:見出しを最大、写真を次点の大きさで配置し、問い合わせ情報は下部にまとめて視認性を確保する
- 良くない例:「業界最安値」など根拠を示せない比較表現を使う
- 良い例:具体的な条件(期間・対象・数量)を明記した上で、価格や特典を伝える
つまずきやすい点
- 要素を全部同じ大きさで並べてしまう:見出し・写真・申し込み情報の順に大きさの優先順位をつける
- 写真の解像度が低いまま入稿する:実寸で使うサイズに対して十分な解像度があるか確認する
- 問い合わせ先が小さすぎて見つからない:下部にまとめて、文字サイズにも一定の大きさを確保する
- 価格表示の根拠を確認しないまま入稿する:比較対照価格や通信販売の表示義務に該当しないか、事前に確認する
- 配布方法を決めずにサイズを決めてしまう:ポスティングか折込か店頭設置かで扱いやすいサイズが変わるため、配布方法を先に決めておく
まとめ
- チラシは見出し・リード文・写真・ベネフィット・申し込み情報の順で構成する
- 見出しは読む人が得られることを短い言葉にする。1紙面1メッセージが基本
- 申し込み・問い合わせ情報は目線が最後に届く下部にまとめる
- サイズは配布方法で選ぶ。迷ったらA4
- 価格を比較して見せる場合や通信販売を案内する場合は、景品表示法・特定商取引法の表示ルールを確認する
チラシは名刺と同じく、ロゴやコーポレートカラーとの統一感が読む人の信頼感につながります。基本の色や書体の考え方はブランドガイドラインの記事もあわせてご覧ください。Lapisデザインラボのチラシ制作は、プランと料金にまとめています。
よくある質問
チラシの見出しは何を書けばよいですか。
商品名や店名ではなく、読む人が得られること(ベネフィット)を短い言葉にします。「新規オープン」より「〇〇駅から徒歩3分、新しい〇〇ができました」のように、読む人にとっての意味が分かる形にすると目に留まりやすくなります。
チラシのサイズはA4とB4のどちらがよいですか。
配布方法で選びます。ポスティングや手渡しはA4(210×297mm)、折込チラシは新聞のサイズに合わせてB4(257×364mm)が使われることが多いです。どちらもJIS規格の仕上寸法で、印刷会社の標準サイズにもなっています。
チラシに割引価格を載せるときの注意点はありますか。
「通常価格◯円→特別価格◯円」のような二重価格表示は、景品表示法の対象になります。比較対照価格は、最近相当期間その価格で販売していた実績が必要で、根拠のない価格を「通常価格」として載せることはできません。