会社のキャッチコピーの作り方|強みを短い言葉にする手順
ホームページのいちばん上や、名刺、会社案内の表紙に載せる一言。会社やお店のキャッチコピーは、短いのに考え始めると終わりが見えません。「お客様第一」「信頼と実績」のような、どの会社にも当てはまる言葉しか出てこない、という悩みもよく聞きます。
この記事では、会社やお店のキャッチコピーを作る手順を、強みの棚卸しから候補の比べ方まで順に説明します。よくある失敗の例と言い換え、媒体ごとの使い分け、表示の決まりで気をつけることもまとめました。
キャッチコピーの役割
会社のキャッチコピーの役割は、見た人に**「何の会社で、自分に関係があるか」を一瞬で分かってもらう**ことです。
- ホームページを開いた人が、読み進めるかどうかを決める
- 名刺を受け取った人が、何の会社かを思い出す手がかりになる
- 社員が、自分たちの仕事の軸を確かめる言葉になる
うまい言い回しより、分かりやすさが先です。
手順1:強みを書き出す
まず、自社の強みを、飾らずにたくさん書き出します。次の問いに答える形にすると出てきやすくなります。
| 問い | 書き出す例 |
|---|---|
| お客様によく感謝されることは何か | 見積もりの説明が分かりやすいと言われる |
| ほかの会社ではなく自社が選ばれた理由は何か | 小さな修理でもすぐ来てくれるから |
| 自社にしかできないことは何か | 古い木造の家の補修に慣れている |
| 仕事で譲れないことは何か | 必要の無い工事はすすめない |
| どんなお客様が多いか | 築30年以上の家に住む60代以上の方 |
このとき、社内の人だけで考えず、実際のお客様に言われた言葉を集めると、自分たちが気づいていない強みが見つかります。
手順2:相手を1人決める
キャッチコピーは、誰に向けた言葉かで変わります。お客様、取引先、求職者のうち、いちばん届けたい相手を1人決めます。「すべての人に」向けた言葉は、結局誰にも届きません。
手順3:相手の言葉に置き換える
書き出した強みを、相手が使う言葉に置き換えます。
| 自分たちの言葉 | 相手の言葉 |
|---|---|
| 迅速な対応 | 電話した翌日に来てくれる |
| 高品質な施工 | 10年たっても色あせにくい |
| トータルサポート | 相談から工事の後まで同じ担当 |
| 地域密着 | 〇〇市内なら30分で伺います |
「迅速」「高品質」「トータル」のような言葉は、どの会社も使うので印象に残りません。具体的な場面や数字に置き換えると、その会社らしさが出ます。数字を使う場合は、実際に守れるものだけにします。
手順4:短く削る
置き換えた言葉をつなげて、1文にします。そこから、無くても意味が通じる言葉を削っていきます。
- 長い1文を書く:「〇〇市で築30年以上の木造の家の補修に慣れた職人が、必要な工事だけを分かりやすくご説明します」
- 削る:「築30年の木造の家、必要な工事だけを。」
- 補う説明を添える:「〇〇市の外壁・屋根の補修。傷みの原因を見て、直すべき所だけをご提案します。」
短い一言と、それを補う1〜2文の説明をセットにすると、ホームページでも会社案内でも使いやすくなります。
手順5:候補を比べる
候補を3〜5つ作り、次の観点で比べます。
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 伝わるか | 初めて見た人に、何の会社か分かるか |
| らしさ | ほかの会社の名前に差し替えても通じてしまわないか |
| 事実か | 言っていることを、実際に守れるか。根拠を示せるか |
| 長く使えるか | 数年後も通用するか。流行の言葉に頼っていないか |
| 声に出せるか | 電話や挨拶で口にしても不自然でないか |
社外の人やお客様に候補を見せ、「何の会社だと思うか」を聞くと、伝わり方が確かめられます。
業種ごとの作り方の例
同じ手順でも、業種によって、強みとして前に出す所が変わります。
- 飲食店:料理の特徴より、どんな場面で使ってほしいかを言葉にすると伝わりやすくなります。「仕事帰りに一人でも入りやすい」「家族の記念日に」のように、来てほしい人の姿を描きます
- 製造業:取引先は、何ができるかを知りたがっています。扱える素材や大きさ、少量の注文に応じられるかなど、技術と条件を短い言葉にします
- 士業:専門の分野と、相談しやすさの両方を伝えます。「相続の手続きを、一度の面談で道筋まで」のように、相談した後に何が得られるかを示します
- 介護・福祉:利用する本人と家族の両方が読みます。安心できる理由を、具体的な過ごし方や支え方で伝えます
どの業種でも、自社の名前を別の会社の名前に差し替えたら通じなくなる言葉になっているかを、最後に確かめます。
よくある失敗と言い換え
| 失敗の例 | 何がよくないか | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| お客様の笑顔のために | どの会社にも当てはまる | 誰の、どんな困りごとを解決するかを書く |
| 信頼と実績の〇〇 | 根拠が見えない | 何年、何をしてきたかを事実で書く |
| 未来を創造する | 何の会社か分からない | 事業の中身が分かる言葉を入れる |
| 地域No.1 | 根拠が無いと表示の決まりに触れるおそれ | 事実として言えることに置き換える |
| 英語だけの一言 | 意味が伝わりにくい | 日本語の説明を添える |
表示の決まりで気をつけること
キャッチコピーも広告の表示の一部です。景品表示法では、商品やサービスの内容を実際より著しく良いと見せる表示(優良誤認)や、価格などの取引の条件を実際より著しく有利と見せる表示(有利誤認)が禁じられています。
- 「No.1」「一番」「最高」を使うなら、何の比べ方で、いつ、どの範囲で一番なのかの客観的な根拠が要る
- 「業界最安」のような価格の言葉は、比べた相手と時点を示せないなら使わない
- 「絶対」「必ず」のように結果を約束する言葉は、守れないなら使わない
迷う場合は、消費者庁の景品表示法の案内を確かめるか、専門家に相談してください。
媒体ごとの使い分け
| 媒体 | 使い方 |
|---|---|
| ホームページの最初の画面 | 短い一言+補う説明。すぐ下に主な事業への入り口 |
| 名刺 | 短い一言だけ。会社名の近くに |
| 会社案内の表紙 | 短い一言。中のページで詳しく説明する |
| 看板 | さらに短く。遠くから読める文字数に |
| 求人の広告 | 求職者に向けた別の一言を用意してもよい |
同じ一言をどこでも使うと、覚えてもらいやすくなります。ただし、求職者向けのように相手が違う場合は、別の言葉を用意するほうが伝わります。
ロゴや会社の見せ方との関係
キャッチコピーは、ロゴや色、写真と一緒に見られます。言葉と見た目の印象がそろっていると、会社の印象がはっきりします。ロゴや名刺と合わせて見直す場合はブランドの一貫性を保つ方法も参考にしてください。
作った後にすること
- ホームページ、名刺、会社案内、看板など、どこに載せるかを一覧にする
- 社員に意味を説明し、口にできるようにする
- 事業が変わったら見直す。数年に一度は読み直す
ホームページのほかのページに何を載せるかは会社のホームページに載せる項目の一覧で説明しています。
Lapisデザインラボでは、キャッチコピーを含むホームページや会社案内の制作のご相談をお受けしています。内容はサービスと料金をご覧ください。
よくある質問
会社のキャッチコピーは何文字くらいがよいですか。
決まりはありませんが、ホームページの最初の画面や名刺で一目で読める、15〜25文字程度にまとめる会社が多く見られます。短いほど覚えてもらいやすい一方、短くしすぎると何の会社か伝わらなくなります。短い一言と、それを補う1〜2文の説明を組み合わせると使いやすくなります。
キャッチコピーは自分で作れますか。
作れます。強みを書き出し、お客様が使う言葉に置き換え、短く削る、という手順を踏めば、社内でも十分に形にできます。候補が出そろったら、社外の人やお客様に見せて、何の会社か伝わるかを確かめると、ひとりよがりを防げます。
「地域No.1」のようなキャッチコピーは使ってよいですか。
根拠が無いまま使うのは避けます。景品表示法では、商品やサービスの内容を実際より著しく良いと見せる表示や、取引の条件を実際より著しく有利と見せる表示が禁じられています。「No.1」などを使う場合は、何の比べ方で、いつ、どの範囲で一番なのかを示せる客観的な根拠が必要です。