ホームページの表現と景品表示法|「No.1」「最安」を書くときの決まり
ホームページの文章や広告で、「地域No.1」「業界最安」「満足度第1位」「通常価格から半額」といった言葉を見かけます。目を引く言葉ですが、根拠がなかったり、実際と違ったりすると、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法。以下、景表法)で禁止されている「不当表示」に当たるおそれがあります。
この記事では、自社のホームページや広告の文章を作る経営者・担当者に向けて、景表法が何を禁止しているか、「No.1」と書くときに要る根拠、「最安」や「他店より安い」と書くときの注意、通常価格と並べる二重価格の目安を、消費者庁の公表資料(2026年10月時点で公開されているもの)にそって説明します。最後に、公開前に確かめる項目を表にしました。
この記事は一般的な説明で、個別の判断は弁護士などの専門家や、消費者庁・都道府県の景品表示法の相談窓口に確かめてください。
景品表示法が禁止している表示
景表法5条は、一般消費者に向けた表示のうち、次のようなものを禁止しています。ホームページ、チラシ、SNS の投稿、広告など、媒体は問いません。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 優良誤認(5条1号) | 品質や性能、内容が、実際や他社より著しく優れていると誤認させる表示 | 根拠のない「業界No.1の技術」、実際より大きい効果の表示 |
| 有利誤認(5条2号) | 価格や取引の条件が、実際や他社より著しく有利だと誤認させる表示 | 実際には安くない「地域最安」、いつも売っている価格を「特別価格」と見せる表示 |
| 指定告示(5条3号) | 内閣総理大臣が指定するもの | おとり広告、ステルスマーケティングなど |
消費者庁の価格表示の考え方は、問題になるかどうかは表示の全体を見て一般消費者が誤認するかで判断し、事業者に故意や過失があったかは問わないと説明しています。「知らなかった」「制作会社が書いた」では済まない、ということです。
根拠を求められたら出せるようにしておく
優良誤認かどうかを判断するために、消費者庁は、期間を決めて、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。資料を出さなかったり、出した資料が合理的な根拠と認められなかったりすると、その表示は、措置命令との関係では不当表示とみなされ(7条2項)、課徴金の納付命令との関係では不当表示と推定されます(8条3項)。
ホームページに効果や性能、順位を書くときは、書く前に根拠の資料をそろえ、あとから誰が見ても分かる形で保管しておくことが基本です。
「No.1」「第1位」と書くときの4つの点
消費者庁は2024年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました。報告書によると、令和5年度に措置命令を受けた44事業者のうち13事業者がNo.1表示に関するもので、いずれもサイトの印象だけを聞く「イメージ調査」を根拠に「顧客満足度No.1」などと表示していました。
報告書は、No.1表示が合理的な根拠と認められるには、次の4点を満たす必要があるとしています。「医師の〇割が推奨」のような高い評価の割合を示す表示も、2から4は同じです。
- 比較する商品・サービスが適切に選ばれている。 原則として、市場の主要な競合を比較の対象に入れる
- 調査の対象者が適切に選ばれている。 「顧客満足度」なら、実際に使った人に聞く。イメージ調査の結果だと注記しても、表示と調査が対応していないことは変わらない
- 調査が公平な方法で行われている。 自社を選択肢の一番上に固定する、No.1になった時点で調査を打ち切る、といった方法は問題になる
- 表示の内容と調査の結果が適切に対応している。
報告書は、調査会社などから勧められて、調査の中身を確かめないまま表示していた広告主が多かったことも指摘しています。根拠となる調査の質問や比較の対象を自社で把握しておくこと、表示の近くに調査の方法の概要(調査した機関、時期、対象、比較した範囲)を書くか、それが難しければたどれるようにしておくことが望ましいとされています。
「最安」「他店より安い」と書くとき
「最安値」「地域最安」「他店より安い」は、価格が他社より有利だと伝える表示なので、有利誤認の考え方で判断されます。消費者庁の価格表示の考え方は、「他店より安い」「大幅値下げ」のように安さの程度を説明する言葉について、次のような場合は不当表示に当たるおそれがあるとしています。
- 実際には他店より安く売っていない
- 安いのは一部の商品だけなのに、全体が安いように見せている
- 一般消費者が容易に判断できない条件をつけたり、条件をとても小さな文字で書いたりして、安さだけを強調している
「最安」と書くなら、比べた範囲(どの地域の、どの事業者と)、比べた時期、対象の商品や条件をはっきりさせ、実際に調べた記録を残しておきます。価格は日々変わるので、ある時点で最安だったとしても、表示を続ける間に事実と合わなくなることがあります。調べ直す時期を決めておくか、時点を添えて書くのが安全です。
二重価格(通常価格との比較)の目安
販売価格に、それより高い「通常価格」「定価」「メーカー希望小売価格」などを並べて書く表示を、二重価格表示といいます。比べる価格が事実で、どういう価格かが正確に書いてあれば問題ありませんが、比べる価格があいまいだと不当表示に当たるおそれがあります。
消費者庁の考え方では、過去の販売価格を「通常価格」として比べる場合の目安を次のように示しています。
- セールを始める時点からさかのぼる8週間(販売期間が8週間未満ならその期間)のうち、その価格で売っていた期間が過半を占めていれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよい
- ただし、その価格で売った期間が通算2週間未満のとき、または最後にその価格で売った日から2週間以上たっているときは、当たらない
- セールを決めてから売り始めた商品の「セール前価格」は、期間を正確に書いても不当表示に当たるおそれがある
ほかにも、メーカーが希望小売価格を設定していないのに「希望小売価格」と書く、すぐに会員になれて非会員価格で買う人がほとんどいないのに「非会員価格」と比べる、といった表示が問題になる例として挙がっています。「〇月〇日以降は値上げします」と将来の価格と比べる表示も、その価格で売ることが確かな場合以外は適切でないとされています。
2024年10月1日に施行された改正
景表法は2023年(令和5年)に改正され、2024年10月1日に施行されました。消費者庁の概要資料から、ホームページの表示にかかわる主な点を挙げます。
- 優良誤認・有利誤認の表示に対して、100万円以下の罰金の直罰の規定ができた(48条)
- 過去10年以内に課徴金の納付命令を受けた事業者には、課徴金の額を1.5倍にする規定ができた(8条5項・6項)
- 疑いのある表示をした事業者が是正の計画を出して認定を受ければ、措置命令や課徴金の納付命令を受けない「確約手続」ができた(26条から33条)
- 適格消費者団体が、表示の根拠となる資料の開示を求められるようになり、事業者は応じる努力義務を負う(35条)
根拠の資料を、外部から求められても示せる状態にしておくことの重みが増したといえます。
公開前に確かめる項目
| 確かめること | 見るポイント |
|---|---|
| 順位・No.1の表示 | 4つの点を満たす調査があるか。調査の概要を書いたか |
| 効果・性能の表示 | 根拠の資料がそろい、保管してあるか |
| 「最安」「他店より安い」 | 比べた範囲・時期・条件を書いたか。調べた記録があるか |
| 通常価格との比較 | 8週間の目安を満たすか。希望小売価格は実在するか |
| 条件や注記 | 強調した言葉に比べて、極端に小さな文字になっていないか |
| 写真や体験談 | 実際と違う印象を与えていないか |
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よくある質問
「顧客満足度No.1」と書くには、どんな根拠が要りますか。
消費者庁が2024年9月に公表した報告書では、合理的な根拠と認められるには、比較する商品やサービスが適切に選ばれていること、調査の対象者が適切に選ばれていること、調査が公平な方法で行われていること、表示の内容と調査の結果が対応していることの4点が必要だとしています。実際に使ったことのない人にサイトの印象を聞いただけの調査では、「顧客満足度」の根拠になりません。
「地域最安」や「他店より安い」と書いてもよいですか。
実際にそのとおりであれば書けますが、比べた範囲と時期、対象の商品や条件をはっきりさせ、他店の価格を調べた記録を残しておく必要があります。一部の商品しか安くないのに全体が安いように見せる表示や、条件を極端に小さな文字で書く表示は、有利誤認として問題になるおそれがあります。
「通常価格」と並べてセール価格を書くときの目安はありますか。
消費者庁の価格表示の考え方では、セールを始める時点からさかのぼる8週間のうち、その価格で売っていた期間が過半を占めていれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいとしています。ただし、その価格で売った期間が通算2週間未満のときや、最後にその価格で売った日から2週間以上たっているときは、当たらないとされています。