ホームページの外部送信規律|解析ツールやCookieの公表が要る場合
ホームページにアクセス解析のツールや広告のタグ、SNS のボタン、地図や動画の埋め込みを入れると、見に来た人のブラウザから、Cookie に保存された ID や見たページの URL などが、ほかの会社のサーバーへ送られます。これを「外部送信」と呼びます。
2022年6月の電気通信事業法の改正で、この外部送信について、送られる情報の内容などを利用者が確かめられるようにする決まり(外部送信規律)が設けられ、2023年6月16日に施行されました。ただし、この決まりはすべてのホームページにかかるわけではありません。
この記事では、総務省の説明ページとFAQ(いずれも2026年10月時点で公開されているもの)にそって、自社のサイトが対象になるかの見分け方、対象になったときに公表する事項と表示のしかた、対象外でも確かめておきたいことを順に説明します。この記事は一般的な説明で、個別の判断は弁護士などの専門家や、総務省の担当の窓口に確かめてください。
対象になるのは「電気通信事業」を営むサイト
外部送信規律は、電気通信事業法27条の12の決まりで、「電気通信事業」を営む者(電気通信事業者と、登録や届出の要らない電気通信事業を営む者)が、利用者の利益への影響が少なくないとされる電気通信役務を提供するときにかかります。その役務は、施行規則22条の2の27で次の4つに分けられています。
| 区分 | 主な例 |
|---|---|
| 1号 | 利用者どうしのメッセージのやりとりを仲立ちするサービス |
| 2号 | SNS、電子掲示板、動画共有、オンラインショッピングモール、売り買いのマッチングの場 |
| 3号 | すべてのウェブページを対象にしたオンライン検索 |
| 4号 | ニュースの配信、気象情報、動画配信、地図など、各種の情報のオンライン提供 |
一方で、総務省は次のものを「電気通信事業」に当たらず対象外としています。
- 会社案内のような企業のホームページや、個人のブログ
- 自社の商品をネットで売るサイト(店舗がなく、ネットだけで売っている場合も同じ)
FAQでは、小売の会社が自社のサイトで商品を売るのは、本来の事業である小売のために通信を使っているにすぎず、外部送信規律はかからないと説明しています。そのため、会社の紹介、サービスの案内、問い合わせフォーム、自社の商品のネット販売を中心としたサイトは、多くの場合この決まりの対象外です。
同じサイトでも、ページごとに分かれることがある
注意したいのは、1つのサイトの中に、対象になるページと対象外のページが混ざる場合です。総務省のFAQには、ニュースを配信しているページと会社案内のページを持つサイトの例があり、ニュース配信のページは4号の情報提供として対応が要る一方、会社案内のページは自社の情報発信なので対応は要らない、と答えています。
たとえば、業界の情報や地域の情報を広く届けるメディアとして運営しているページ、複数の店や人が出品する場を提供しているページ、会員どうしがやりとりできる掲示板などを持っている会社は、そのページが対象になりうると考えて確かめます。境界の判断に迷うときは、総務省の説明ページにあるフローチャートと、「電気通信事業参入マニュアル」の追補版を見ると、自社の事業がどれに当たるかを確かめやすくなります。
「中小企業だから対象外」ということではなく、会社の規模ではなく、どんなサービスをしているページかで決まる点も押さえておきましょう。
対象になったら公表する3つの事項
対象になるページで外部送信をするときは、次のいずれかをとります。
- 利用者に通知するか、利用者が容易に知り得る状態に置く(公表)
- 利用者の同意を得る
- オプトアウト(利用者が求めれば送信や利用を止める)の措置をとり、そのことなどを公表する
多くのサイトがとるのは1の公表です。通知または公表する事項は、施行規則で次の3つと決められています。
| 事項 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 送信される利用者の情報の内容 | Cookie に保存された ID、広告の ID、閲覧したページの URL、使っている端末やブラウザの情報 など |
| その情報を取り扱う事業者の名称 | 解析ツールや広告、SNS のボタンなどを提供している事業者の名前 |
| その情報の利用目的 | アクセスの分析、広告の配信と効果の測定 など |
FAQでは、「送信される利用者の情報」には、Cookie の ID や広告 ID のような識別の符号、閲覧したページの URL などの行動の情報、氏名なども含まれると説明しています。ツールごとに1行ずつ、この3つを並べた表にすると、読む人にも、更新する担当者にも分かりやすくなります。
なお、言語の設定やブラウザの情報、ログインの認証やセキュリティ対策に要る情報のように、サービスの提供に本当に必要な情報の送信や、自社が発行して自社に送り返させる Cookie(ファーストパーティ Cookie)の ID の送信は、通知・公表が要らないものとされています。
表示のしかたの決まり
公表するときの書き方と置き場所にも決まりがあります。総務省のFAQでは、次のように説明されています。
- 日本語で書き、専門用語を避け、平易な表現にする
- スマートフォンなどで拡大・縮小しなくても、文字が適切な大きさで読めるようにする
- 外部送信をするページか、そのページから容易にたどれるページに表示する。リンクの先に何が書いてあるかが分かる形でリンクを置けば、容易にたどれるページに当たると考えられる
実務では、サイトの全ページのフッターに「外部送信について」や「Cookie と外部送信の方針」といったリンクを置き、1ページにまとめる形が多くとられています。プライバシーポリシーの中に項目として入れることもできます。プライバシーポリシーの項目の考え方はプライバシーポリシーの書き方で説明しています。
対象外のサイトでも確かめておきたいこと
外部送信規律の対象外でも、次の2つは確かめておくと安心です。
解析ツールや広告の利用規約。 たとえば Google アナリティクスの利用規約(2026年10月時点)は、使う側にプライバシーポリシーを公開し、Cookie などを使っていることと、Google アナリティクスを使っていることを開示するよう求めています。法律の対象外でも、使っているサービスとの約束として開示が要る場合があります。
個人情報保護法の「個人関連情報」。 Cookie を通じて集めた閲覧の履歴は、それだけでは個人情報に当たらなくても、「個人関連情報」に当たることがあると個人情報保護委員会のガイドラインは説明しています。そうした情報を渡す先が、自社の持つ個人データと結びつけて使うことが想定されるときは、本人の同意が得られていることを確かめる必要があります(個人情報保護法31条)。会員の ID と閲覧の記録を結びつけるような仕組みを入れるときは、とくに注意が要ります。
まず手を付けること
自社のサイトの外部送信を確かめるときは、次の順で進めると漏れが少なくなります。
- サイトに入っているタグと埋め込みを書き出す(解析、広告、SNS のボタン、地図、動画、チャット、予約のシステムなど)
- それぞれの提供元の事業者名、送られる情報、使い道を、提供元の説明ページで確かめる
- 自社のサイトに、対象になるページ(情報提供のサービスや、利用者どうしの場)があるかを、総務省のフローチャートで確かめる
- 対象になるページがあれば3つの事項を公表し、対象外でも規約が求める開示をプライバシーポリシーに入れる
- 使っていないタグは外す。タグを足したり外したりしたら、公表の内容も直す
タグは、広告の担当や制作会社が入れたまま、社内の誰も全体を把握していないことがあります。年に1度は棚卸しをしておくと、公表の内容と実際がずれるのを防げます。広告のアカウントやタグを誰の名義で管理するかは、広告のアカウントの名義の記事も参考にしてください。
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よくある質問
会社のホームページにも外部送信規律はかかりますか。
総務省の説明では、会社案内のような企業のホームページや、自社の商品をネットで売るサイトは、本来の事業のために通信を使っているだけなので「電気通信事業」に当たらず、外部送信規律の対象になりません。一方、ニュースの配信や各種の情報を提供するサービスとして運営しているページは対象になりうるので、同じサイトの中でもページごとに確かめます。
外部送信規律の対象になったら、何を公表すればよいですか。
送信される利用者の情報の内容、その情報を取り扱う事業者の名称、その情報の利用目的の3つです。日本語で、専門用語を避けた平易な表現にし、拡大しなくても読める文字の大きさで、送信をするページかそこから容易にたどれるページに表示します。通知・公表のほか、同意を得る方法やオプトアウトの措置をとる方法もあります。
Cookie ポリシーは必ず作らなければいけませんか。
「Cookie ポリシー」という名前の文書を義務づける法律はありません。ただ、外部送信規律の対象なら公表する事項があり、対象外でも、解析ツールの利用規約がプライバシーポリシーでの開示を求めていることがあります。プライバシーポリシーの中に Cookie と外部送信の項目を設けるか、別ページにまとめるかは、量と分かりやすさで決めます。