化粧品・健康食品のサイトで使えない表現|薬機法の広告の決まり
化粧品や健康食品をホームページやチラシで売るとき、「シミが消える」「飲むだけでやせる」「医師もすすめる」といった言葉は使えるのでしょうか。こうした表現は、医薬品医療機器等法(以下、薬機法)や健康増進法、景品表示法の決まりにふれるおそれがあり、商品の種類によって書ける範囲が大きく違います。
この記事では、化粧品・健康食品・雑貨を売る事業者に向けて、薬機法の広告の決まりの骨組み、化粧品で書ける効能の範囲、健康食品で書けない表現、体験談や推薦の扱いを、厚生労働省と消費者庁の公表資料(2026年10月時点で公開されているもの)にそって整理します。最後に、公開前に確かめる項目を表にしました。
この記事は一般的な説明で、個別の判断は弁護士などの専門家や、都道府県の薬務の担当課、消費者庁などの窓口に確かめてください。
薬機法の広告の決まりの骨組み
薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品(まとめて「医薬品等」)の広告について、次のことを定めています。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 66条1項 | 何人も、医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能について、明示的か暗示的かを問わず、虚偽または誇大な記事を広告し、記述し、流布してはならない |
| 66条2項 | 医師などが効能や効果を保証したと誤解させるおそれのある記事も、1項に当たる |
| 67条 | がんなど特定の疾病に使う医薬品などは、一般の人に向けた広告が制限される |
| 68条 | 承認を受けていない医薬品・医療機器などは、名称や効能効果などを広告してはならない |
ポイントは2つです。1つめは、66条が「何人も」と定めていることです。製造元だけでなく、販売店、ネットショップの運営者、広告やサイトの原稿を作る人も対象になります。2つめは、68条により、承認を受けていない物に医薬品のような効能を書くこと自体が問題になることです。健康食品や雑貨で病気が治るとうたう広告がこれに当たります。
66条1項に違反した広告には、課徴金の制度もあります。令和元年12月4日に公布された改正で導入されたもので、違反した期間の対象商品の売上の合計額に100分の4.5をかけた額が課徴金になります(75条の5の2。額が225万円未満なら命じられません)。
どんな広告が問題になるかの具体的な物差しとして、厚生労働省は「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日 薬生発0929第4号)を示しています。この基準は、新聞・雑誌・テレビ・ラジオに限らず、ウェブサイトやSNSなどすべての媒体の広告を対象にしています。自社のホームページやSNSの投稿も例外ではありません。
化粧品で書ける効能は56項目の範囲
化粧品の効能として広告できるのは、厚生労働省の通知(平成23年7月21日 薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」)で定めた56項目の範囲です。たとえば次のようなものがあります。
- 肌を整える/肌のキメを整える/肌荒れを防ぐ
- 皮膚にうるおいを与える/皮膚の水分、油分を補い保つ/皮膚の乾燥を防ぐ
- 肌にはりを与える/肌にツヤを与える
- 日やけを防ぐ/日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ
- 毛髪にはり、こしを与える/クシどおりをよくする/フケ、カユミを抑える
- 乾燥による小ジワを目立たなくする
「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、この平成23年の改正で加わった項目です。同じ日の厚生労働省の課長通知は、これを書けるのは、日本香粧品学会の評価のガイドラインにもとづく試験などで効果を確かめた製品に限るとしています。業界団体のガイドラインでは、「小ジワを解消する」「小ジワを予防する」「若返り」のような書き方は認められない例として挙がっています。
なお、この56項目とは別に、ファンデーションで色むらを隠すといったメーキャップの効果や、「さっぱりした使い心地」のような使用感は、事実に反しない限り書けるとされています(同じ課長通知が引いている平成13年の通知)。
この範囲を超える表現は書けません。たとえば次のような言い方は、化粧品の効能の範囲を超えるので避けます。
| 避ける表現の例 | 範囲を超える理由 |
|---|---|
| シミが消える、シミを治す | 「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」は予防までで、できたシミを消すことは含まない |
| シワがなくなる | 認められているのは「乾燥による小ジワを目立たなくする」まで |
| ニキビが治る | 洗顔料の「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ」は予防の範囲 |
| 細胞を活性化する、肌が若返る | 身体の構造や機能に影響を与える表現で、化粧品の範囲を超える |
| 毛が生える | 育毛・発毛は化粧品の効能に含まれない |
医薬部外品(いわゆる薬用化粧品)は、商品ごとに承認を受けた効能効果があり、その範囲で書きます。化粧品と同じ言葉が使えるとは限らず、反対に化粧品で書けないことが承認の範囲で書ける場合もあるので、承認の内容を製造販売元に確かめます。
化粧品で避けたい、そのほかの表現
適正広告基準は、効能の範囲のほかにも、広告で避けるべき表現を挙げています。サイトの原稿で特に出てきやすいのは次のものです。
- 効能や安全性を保証する表現。 たとえば「絶対に効く」「副作用がない」のような言い方
- 最大級の表現。 たとえば「最高の効き目」「最強」のような言い方
- すぐに効く、ずっと続くという表現。 速効性や持続性を強調する言い方
- 本来の効能と認められない表現。 商品の効能から外れた効果をうたう言い方
- 他社の商品をおとしめる表現。
- 医師や薬剤師、美容師などが推せんしているという表現。 「皮膚科医が推奨」「美容師も愛用」など
「無添加」「天然由来」のような言葉は、それ自体が禁止されているわけではありませんが、何が入っていないのか、何に由来するのかがあいまいだと、安全性を保証するような印象を与えます。何を指しているかを書き添えるのが基本です。
健康食品で書けない表現
健康食品(いわゆる健康食品・サプリメント)は食品なので、医薬品のような効能効果は書けません。病気の治療や予防をうたうと、承認を受けていない医薬品として薬機法の対象になるおそれがあるためです。厚生労働省は、昭和46年の通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」で、成分、形状、効能効果の表示、用法用量の表示などから、医薬品に当たるかどうかを判断する考え方を示しています。
もう1つ、食品には健康増進法65条1項がかかります。何人も、食品の健康保持増進の効果などについて、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させるような表示をしてはならない、という決まりです。消費者庁のQ&A(令和6年7月作成)は、対象になる表示の例として次のようなものを挙げています。
| 区分 | Q&Aに挙がっている例 |
|---|---|
| 病気の治療・予防 | 「生活習慣病予防」「花粉症に効果あり」「便秘改善」「認知症予防」 |
| 体の機能の増強 | 「疲労回復」「免疫力を高める」「脂肪燃焼を促進」「若返り」 |
| 名前やキャッチコピーで暗に示すもの | 「血液サラサラ」「デトックス〇〇」「スリム〇〇」 |
| 悩みを並べて効果を思わせるもの | 「こんなお悩みありませんか?疲れが取れない…」 |
| 体験談・専門家の談話 | 「3か月で9キロやせました」、教授の談話、医師の推奨の割合 |
Q&Aは、商品名やキャッチコピー、成分の説明、悩みの列挙、体験談などで暗に効果を示す場合も、表示に当たるとしています。製造元から渡された原稿をそのまま載せた場合でも、内容が違反に当たれば、載せた側も違反になると明記されています。また、規制の対象は製造業者や販売業者に限らず、広告媒体や広告代理店も対象になりうるとしています。
機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)は、届け出や許可を受けた表示の範囲で機能を書けます。ただし、届け出た表示の一部を省いて商品そのものに効果があるように書くことは、Q&Aでも問題になる例として挙がっています。
雑貨・美容機器で気をつけること
薬機法は、病気の治療や予防に使うこと、または体の構造や機能に影響を与えることを目的とする物を医薬品や医療機器と定めています。雑貨や美容機器でも、「肩こりが治る」「血行を改善」「脂肪を分解」のように書くと、承認を受けていない医療機器や医薬品の広告と判断されるおそれがあります。売り物が化粧品でも食品でもない場合は、使ったときの感覚や使い方、素材の説明にとどめ、体への効果を書かないのが基本です。
公開前に確かめる項目
| 確かめること | 見るポイント |
|---|---|
| 商品の区分 | 化粧品・医薬部外品・健康食品・機能性表示食品・雑貨のどれか |
| 効能の書き方 | 化粧品なら56項目、医薬部外品なら承認の範囲、機能性表示食品なら届け出の範囲に収まっているか |
| 病気の名前 | 健康食品や雑貨の文章に、病名や治る・予防するという言葉がないか |
| 強調の言葉 | 「絶対」「最高」「すぐに」「副作用なし」がないか |
| 体験談・推薦 | 効果を思わせる体験談や、医師・美容師などの推薦の形になっていないか |
| 商品名・見出し | 名前やキャッチコピーで効果を暗に示していないか |
| 根拠 | 「No.1」などの順位や数字の根拠の資料があるか |
順位や価格の表示は景品表示法の考え方で判断されます。こちらはホームページの表現と景品表示法で説明しています。キャッチコピーの考え方は会社のキャッチコピーの作り方、原稿全体のまとめ方はホームページの原稿の書き方もあわせてご覧ください。Lapisデザインラボでは、ブランド一式(ウェブページつき)のプランで、ホームページに載せる文章の作成も承っています。内容は料金プランをご覧ください。
よくある質問
化粧品の広告では、どこまでの効果を書いてよいですか。
化粧品の効能として認められているのは、厚生労働省の通知で定めた56項目の範囲です。「肌のキメを整える」「皮膚にうるおいを与える」「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などがあり、この範囲を超えて「シミが消える」「シワがなくなる」のように書くことはできません。医薬部外品(薬用化粧品)は、承認を受けた効能効果の範囲で書きます。
健康食品のサイトに「血圧が下がる」「便秘が治る」と書いてもよいですか。
書けません。健康食品で病気の治療や予防の効果をうたうと、承認を受けていない医薬品として薬機法の対象になるおそれがあります。あわせて、健康増進法65条1項は、食品の健康保持増進の効果について、著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示を禁止しています。
自社のホームページやSNSの投稿も、薬機法の広告の決まりの対象ですか。
対象です。厚生労働省の医薬品等適正広告基準は、新聞・雑誌・テレビのほか、インターネットやSNSなどすべての媒体の広告を対象にしています。薬機法66条1項は「何人も」と定めているので、製造元だけでなく、販売店や広告を作る人も対象になります。