ホームページの文章の著作権|ほかのサイトを参考にするときの線引き
自社のホームページの原稿を書くとき、同業のサイトを開いて「この書き方はいいな」と参考にすることはよくあります。ただ、文章を写したり、少し言い換えて使ったりすると、著作権の侵害になるおそれがあります。一方で、何もかもが守られているわけではなく、事実やアイデアは自由に使えます。
この記事では、ほかのサイトを参考にするときの線引きとして、著作権で守られる文章と守られない情報、侵害になる使い方、引用の4つの条件、転載の許可の取り方、社員や外部のライターが書いた文章の権利の持ち主を、文化庁の「著作権テキスト(令和8年度版)」など、2026年10月時点で公開されている資料にそって説明します。最後に、原稿を仕上げる前の確認の表を置きました。
この記事は一般的な説明で、個別の判断は弁護士などの専門家や、著作権の相談窓口に確かめてください。
守られる文章と、守られない情報
著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めています(2条1項1号)。文化庁のテキストにそって、ホームページの文章に当てはめると次のようになります。
| 区分 | 例 | 著作権で守られるか |
|---|---|---|
| 創作的に書かれた文章 | 会社の紹介文、代表の挨拶、コラム、サービスの説明文 | 守られる |
| 事実やデータそのもの | 設立年、所在地、価格、統計の数字 | 守られない |
| アイデア・方法 | 「お悩み→解決策→事例の順に並べる」という構成の考え方 | 守られない(アイデアを説明した文章は守られうる) |
| ありふれた表現 | 誰が書いても同じようになる短い言い回し | 守られない |
| 事実の伝達にすぎない雑報・時事の報道 | 人事の異動や訃報のような短い記事 | 守られない(10条2項) |
| 法令・通達・判決 | 法律の条文、省庁の通達 | 著作権が及ばない(13条) |
テキストは、上手か下手か、芸術的な価値があるかは関係なく、創作した時点で著作者に権利が自動的に生まれると説明しています。登録などの手続きは要りません。「小さな会社のサイトの文章だから」「著作権の表示がないから」自由に使える、ということにはなりません。
侵害になる使い方
ほかのサイトの文章を自社のサイトに載せる行為には、主に次の権利が関係します。
- 複製権:文章を写して自社の原稿にすること
- 公衆送信権:ホームページに載せて、誰でも見られる状態にすること
- 翻案権:元の文章をもとに、言い換えたり要約したりして新しい文章を作ること
語尾を変えたり、言葉を入れ替えたりしても、元の文章の表現の特徴が感じ取れるなら、翻案にあたるおそれがあります。参考にしてよいのは、載せる項目の種類や並べ方、伝えている事実やアイデアの部分で、文章そのものは自社の言葉で一から書きます。
権利を侵害された側は、差止め、損害賠償、不当利得の返還、名誉の回復などの措置を求めることができます。刑事では、著作権の侵害は原則として権利者の告訴が必要な罪(親告罪)とされ、個人は10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(併科もある)、法人は3億円以下の罰金と定められています(119条1項など。令和8年度版テキストの記載)。
引用として認められる4つの条件
他社の文章を使ってよい例外の一つが「引用」です(32条1項)。文化庁のテキストは、報道・批評・研究などの目的で、他人の著作物の一部を、自分の説明の補強や論評のために使う場面を想定しています。条件は次の4つです。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 公表された著作物であること | まだ公開されていない文章は引用できない |
| 公正な慣行に合うこと | 引用する必然性があり、かぎ括弧などで引用部分がはっきり分かる |
| 引用の目的上、正当な範囲内であること | 自分の文章が主で引用が従。分量は必要最小限 |
| 出所を明示すること | 題名、著作者名、サイト名など、どこから引いたかを書く(48条) |
テキストは、出所を明示すれば了解を得なくてよいというのは誤解で、ほかの条件を満たさなければ許諾が必要だと説明しています。また、自分の文章に登場する必然性のない他人の文章を使うことは引用にあたらないとしています。自社の紹介文やサービスの説明に他社の文章をそのまま使うのは、引用の形にはなりにくいと考えておきます。
なお、国や自治体などが一般に知らせる目的で公表した広報資料は、転載を禁止する表示がなければ、説明の材料として出所を明示して転載できる決まりがあります(32条2項)。
転載したいときは許可を取る
引用の条件に合わない形で、ほかのサイトの文章や図を載せたいときは、権利者の許可(利用の許諾)を取ります。
- 文章の権利者を確かめる(サイトの運営者、記事の筆者など)
- 載せたい部分、載せるページ、期間、改変の有無を伝えて許可を求める
- 許可の内容をメールや書面で残す
- 先方が求める表示(出典の書き方など)を守って載せる
サイトによっては、利用規約で転載の条件を決めていたり、クリエイティブ・コモンズのライセンスや文化庁の「自由利用マーク」で、使ってよい範囲を示していたりします。その場合は、示された範囲の中で使います。営利目的の利用や改変を認めていないこともあるので、条件を読んでから使います。
社員や外部のライターが書いた文章の権利
自社のサイトの文章でも、誰が書いたかで権利の持ち主が変わります。
社員が書いた場合、次の条件をすべて満たすと、会社が著作者になります(職務著作、15条)。会社が企画を立てていること、会社の業務に従事する人が職務として書いたこと、会社の名義で公表すること、契約や就業規則に「社員を著作者とする」という定めがないことです。
外部のライターや制作会社に頼んだ場合、テキストは、料金を払ったかどうかにかかわらず、実際に書いた受注者側が著作者になると説明しています。納品後に自社で書き直したり、パンフレットに使い回したりしたいなら、著作権の譲渡や利用の範囲を前もって契約で決めておきます。著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)は譲渡できない(59条)ので、あとで文章を直すことや、筆者の名前を出すかどうかも、あわせて取り決めておきます。文化庁は、契約書を作る手助けとして「著作権契約書作成支援システム」を公開しています。
原稿を仕上げる前の確認
| 確かめること | 見るポイント |
|---|---|
| 他社の文章 | 写した文や、言い換えただけの文が残っていないか |
| 参考にした部分 | 項目や構成、事実だけを参考にしているか |
| 引用 | 4つの条件を満たし、かぎ括弧と出典があるか |
| 転載 | 許可を取り、その記録が残っているか |
| 外部に頼んだ文章 | 著作権の譲渡や利用の範囲を契約で決めたか |
| 図や写真 | 文章とは別に、それぞれの権利を確かめたか |
迷ったときは、公益社団法人著作権情報センターの相談窓口や、文化庁の資料も参考になります。
原稿全体の書き方はホームページの原稿の書き方、代表の挨拶は代表挨拶の書き方、広告の表現の決まりはホームページの表現と景品表示法、ロゴの権利はロゴの著作権は誰のものかもあわせてご覧ください。Lapisデザインラボでは、ブランド一式(ウェブページつき)のプランで、ホームページに載せる文章の作成も承っています。内容は料金プランをご覧ください。
よくある質問
ほかの会社のサイトの文章を、言い回しを変えて使えば問題ありませんか。
語尾や一部の言葉を変えただけで、元の文章の表現の特徴がそのまま感じ取れる場合は、翻案権などの侵害になるおそれがあります。著作権が守るのは表現なので、参考にしてよいのは、載せる項目や構成、事実やアイデアの部分です。文章そのものは、自社の言葉で一から書くのが基本です。
出典を書けば、ほかのサイトの文章を載せてもよいですか。
出典を書くことは、引用の条件の一つにすぎません。文化庁の著作権テキストは、出所を明示すれば了解を得なくてよいというのは誤解だと説明しています。引用として認められるには、公表された著作物であること、公正な慣行に合うこと、正当な範囲内であること、出所の明示の4つがそろう必要があります。
外部のライターに書いてもらった文章の著作権は、お金を払った会社のものになりますか。
なりません。文化庁の著作権テキストは、創作を委託した場合は、料金を払ったかどうかにかかわらず、実際に創作した受注者側が著作者になると説明しています。納品後に自由に直したり使い回したりしたいときは、著作権の譲渡や利用の範囲を、前もって契約で決めておきます。