制作会社の提案を断るとき|連絡の仕方と費用が出る場合
依頼先を決めたあとに残るのが、選ばなかった制作会社への連絡です。見積もりだけのやりとりなら気は楽ですが、打ち合わせを重ね、提案書やデザイン案まで作ってもらった会社には、どう伝えればよいか迷います。返事をしないまま時間が過ぎると、相手は予定を空けて待ち続けることになります。
この記事では、相手との進み具合(段階)ごとに、断りの連絡の時期と手段、そのまま使える例文をまとめます。あわせて、断っても費用を払う必要がある場合と、断った会社の提案を使わない理由を説明します。相見積もりの取り方と、見積もりの段階での基本の断り方はホームページの相見積もりの取り方にまとめているので、ここではその先の段階まで含めて扱います。
段階で変わる、断り方の重さ
制作会社とのやりとりは、どこまで進んだかで、相手がかけた手間も、断るときに気をつけることも変わります。
| 段階 | 相手がしたこと | 連絡の手段 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 1. 問い合わせ・相談だけ | 質問への答え、資料の送付 | メール | 返事が要るときだけ短く |
| 2. 見積もりをもらった | 条件の確認、見積書の作成 | メール | 決めたらすぐ、お礼と結果を |
| 3. 提案・プレゼンを受けた | 提案書、構成案、デザイン案、打ち合わせ | メール(電話を添えてもよい) | お礼を具体的に。提案料の約束を確かめる |
| 4. 内諾を伝えていた | 予定の確保、作業の準備 | 電話のあとにメール | 契約が成り立っていないか、作業が始まっていないかを確かめる |
| 5. 契約を結んだ | 作業の着手 | 書面 | 断りではなく解約。契約書の定めに従う |
5は「断る」ではなく契約の解約にあたるので、この記事では扱いません。契約書の解約の項目の見方はホームページ制作の契約書で確かめることを見てください。
連絡の時期と手段
決めたら、選んだ会社と契約を結ぶ前後で伝える
選んだ会社との契約が固まる前に断りの連絡をすると、その契約が流れたときに戻る先が無くなります。一方で、待たせすぎると相手の予定を縛ります。目安は次のとおりです。
- 選んだ会社に発注の意思を伝え、条件の確認が済んだら、その日か翌営業日に断りの連絡をする
- 結果を伝えると約束した日があれば、その日を過ぎない。決まらなければ「○日まで延びます」と先に知らせる
- 提案の場で「○日までに返事をください」と言われていたら、その日までに返事をする
手段は、相手の手間に合わせる
見積もりまでならメールで十分です。提案やプレゼンまで受けた会社には、メールで正式に伝えたうえで、担当者に電話で一言お礼を伝えると角が立ちません。内諾を伝えていた会社には、先に電話で事情を話し、そのあとに同じ内容をメールで送って記録を残します。
例文
見積もりをもらった会社へ
件名:ホームページ制作のお見積もりの件(【会社名】)
【制作会社名】【担当者名】様
先日はお見積もりをお送りいただき、ありがとうございました。社内で検討した結果、今回は別の会社にお願いすることになりました。ご丁寧にご対応いただいたにもかかわらず、ご期待に沿えず申し訳ありません。
またの機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
提案・プレゼンを受けた会社へ
件名:ホームページ制作のご提案の件(【会社名】)
【制作会社名】【担当者名】様
先日はご提案のお時間をいただき、ありがとうございました。【採用の応募の導線を、仕事の一日から組み立てる案】は社内でも評価が高く、検討の最後まで残りました。
検討の結果、今回は【予算の範囲で更新の体制まで含めて組めること】を理由に、別の会社にお願いすることにいたしました。
お預かりした資料とご提案書は、社内の検討にだけ使い、ほかへ渡すことはありません。【提案料について、お約束のとおり○日までにお支払いします。請求書をお送りください。】
今回はご期待に沿えず申し訳ありません。またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
【 】の部分は自社の事情に合わせて書き換えます。提案料の一文は、先に払うと約束していた場合だけ入れます。
内諾を伝えていた会社へ(電話のあとに送る)
件名:先ほどのお電話の件(【会社名】)
【制作会社名】【担当者名】様
先ほどはお電話で失礼いたしました。お伝えしたとおり、【社内の決裁で予算が通らなかったため】、今回のご依頼は見送らせていただくことになりました。一度お願いするとお伝えしておきながら、このようなご連絡となり、誠に申し訳ありません。
ご準備いただいていた作業がありましたら、内容と費用をお知らせください。社内で確かめたうえで、ご相談させてください。
言わないほうがよいこと
| 言わないほうがよいこと | 理由 | 代わりに |
|---|---|---|
| 他社の金額 | 他社の見積もりは相手の外に出す前提の情報ではない | 「予算に合う構成だった」と条件で伝える |
| 他社の提案の中身 | 他社の提案も、その会社の工夫の成果 | 決め手を自社の事情で書く |
| 「あと○万円安ければ」 | 断りの場が値引きの交渉になり、相手を振り回す | 値段の相談は、決める前の質問で済ませる |
| 遠回しで、結果が分からない書き方 | 相手は待ち続ける | 「別の会社にお願いすることになりました」と結果を先に |
| 相手の提案や実績への批評 | 求められていない評価は角が立つ | 決め手を前向きな言葉で |
決め手を聞かれたら、自社の判断の材料を短く伝えます。相手が次の提案に生かせる形で答えるのが、手間をかけてもらったことへのお返しになります。
断っても費用が出る場合
見積もりや提案は、無料で出してもらうことが多いですが、いつも無料とは限りません。次の場合は、断っても支払いが要ります。
| 場合 | 考え方 |
|---|---|
| 提案料を払うと先に伝えていた | 提案依頼書(RFP)や依頼のメールで「提案料をお支払いします」と書いていれば、選ばなかった会社にもその約束どおり払う |
| 有料の提案(コンペ)として頼んだ | 参加の条件として決めた額を払う。条件は頼む前に書面で示しておく |
| 頼んで作業を始めてもらっていた | 「先に構成だけ作ってください」「写真の撮影の日程を押さえてください」と頼んでいれば、その分の費用を相談する |
| 口頭で依頼が成り立っていた | 民法第522条では、契約は申込みと承諾で成り立ち、法令に特別の定めが無ければ書面は要らないとされている。「お願いします」と伝え、相手が引き受けていれば、断りではなく解約の話になりうる |
契約が成り立ったあとにやめる場合は、民法の請負(第641条。仕事が終わるまでは、注文者は損害を賠償して解除できる)や委任(第651条)の決まりと、契約書の定めが関わります。この場合は、契約書を読み、相手と費用を話し合って決めます。
相手がフリーランス(個人で仕事を受ける人)で、有料の提案やデザインの作業を頼むときは、フリーランス・事業者間取引適正化等法により、仕事の内容や報酬の額、支払期日などを、書面やメールで明示する必要があります。提案を頼むときに条件を書いておけば、断るときにも迷いません。
費用で揉めないための頼み方
- 見積もりや提案を頼むときに、「提案は無料」か「提案料○円」かを書いておく
- デザイン案まで求めるなら、有料にするか、無料の範囲(構成案までなど)を決めておく
- 内諾を伝えるのは、社内の決裁が済んでからにする
- 正式な依頼の前に作業を頼まない。頼むなら、その作業の費用を先に決める
提案依頼書に書く項目はホームページ制作の提案依頼書(RFP)の書き方で説明しています。
断った会社の提案を使わない
提案書に入っていた構成案、デザイン案、文章、写真は、それを作った会社の著作物です。著作権法では、著作権の享有には登録などの手続きが要らないとされています(第17条第2項)。選考のために預かったものなので、断ったあとに次のような使い方をしないようにします。
- 選んだ会社に、断った会社のデザイン案を「この感じで」と渡す
- 断った会社の提案書の文章を、自社のホームページの原稿に使う
- 断った会社の提案の構成を、そのまま選んだ会社に伝えて作らせる
好みのデザインを選んだ会社に伝えたいときは、自分の言葉で書くか、公開されている参考サイトを挙げて、どこがよいかを伝えます。預かった提案書は、検討が終わったら社内の扱いを決め、求められれば返すか消します。
断りの連絡のチェックリスト
- 選んだ会社との条件の確認が済んでいる
- 見積もり・提案をもらった会社を全部、一覧にしてある
- 約束した返事の日を過ぎていない
- 提案料や作業の費用の約束が無いかを、依頼のメールや提案依頼書で確かめた
- 内諾を伝えた会社には、先に電話で伝える
- 他社の金額と提案の中身を書いていない
- 預かった提案書の扱いを決めた
依頼先を比べる段階の観点はホームページ制作会社の選び方にまとめています。Lapisデザインラボへのご相談はお問い合わせから受け付けています。費用の目安は概算のお見積りで出せます。
よくある質問
見積もりだけもらった制作会社を断ると、費用はかかりますか。
依頼の前に「見積もりは無料」と示されていれば、断っても費用はかかりません。提案料をお支払いすると先に伝えていた場合や、こちらから頼んで作業を始めてもらっていた場合は、断っても約束した費用や作業の分を支払うことになります。
断るときに、理由は伝えたほうがよいですか。
伝えなくても失礼にはなりませんが、決め手を一言添えると、相手は次の提案に生かせます。「予算に合う構成だった」「近い業種の経験があった」のように事実を短く書き、他社の金額や提案の中身は伝えません。
断った会社の提案のデザインを、選んだ会社に見せてもよいですか。
見せないようにします。提案のデザイン案や文章は、それを作った会社の著作物で、渡された目的は選考のためです。選んだ会社に参考として渡すのは避け、好みは自分の言葉や公開されている参考サイトで伝えます。