実績・事例ページの作り方|写真と文章の型と掲載の許可
会社のホームページで、実績や事例のページはよく読まれる場所のひとつです。どんな会社に、何を、どのくらいの規模で納めてきたのかは、初めて問い合わせる人が「この会社に頼んで大丈夫か」を判断する材料になります。
ただ、いざ作ろうとすると、何をどの順番で書けばよいのか、取引先の名前や写真を載せてよいのか、と迷う点が多くあります。この記事では、業種を問わず使える実績・事例のページの構成、1件ごとの文章と写真の型、掲載の許可の取り方、取引先のコメントを載せるときに景品表示法で気をつけることをまとめます。工務店の施工事例に絞った見せ方は工務店のホームページで説明しています。
実績と事例の違い
似た言葉ですが、載せ方を分けて考えると作りやすくなります。
| 種類 | 中身 | 載せ方 |
|---|---|---|
| 実績の一覧 | 取引先の名前、納めたものの種類、件数の積み重ね | 名前やロゴを並べる、表にまとめる |
| 事例 | 1件ごとの、困りごと・行ったこと・結果 | 1件を1ページにして、写真と文章で詳しく見せる |
取引先の名前を出せない場合でも、「京都市内の飲食店」「従業員30名ほどの製造業」のように業種・地域・規模で示せば、事例として載せられます。
ページの構成
実績・事例のページは、一覧のページと個別のページの2段にします。
一覧のページ
- 写真(1件に1枚)
- 題名(例:「築30年の住まいの水回りの改修」)
- 業種や種類、地域などの短い情報
- 業種や種類で絞り込める仕組み(件数が増えてきたら)
個別のページ
- 最初に、いちばん伝わる写真を1枚
- 基本の情報(業種、地域、期間、規模など)
- 本文(下の型に沿って)
- 写真の続き(作業の過程や、細部)
- 関連するサービスのページへの案内と、問い合わせの入口
件数が少ないうちは、一覧と個別のページを分けず、1ページに数件を並べる形でもかまいません。件数が増えたら、ホームページの管理画面から決まった欄に入力して追加できる作りにしておくと、社内で更新を続けやすくなります。
1件ごとの文章の型
事例の文章は、次の順で書くと、読み手が自分の場合に置き換えて読めます。
| 見出し | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 依頼のきっかけ | 困っていたこと、相談された背景 | 「店の看板とメニューの見た目がばらばらで、新しいお店に見えないと相談を受けました」 |
| 行ったこと | 提案と、実際の作業の中身 | 「ロゴを整理し、看板・メニュー・名刺を同じ色と書体でそろえました」 |
| 工夫したところ | 自社ならではの判断 | 「年配の常連の方が読みやすいよう、メニューの文字を大きくしました」 |
| 結果と、その後 | 納めた後に起きたこと(事実だけ) | 「開店の前日にすべてを納め、看板とメニューがそろった状態で開店しました」 |
| 基本の情報 | 期間、規模、費用の目安など | 「期間:約2か月」 |
結果の欄には、確かめられた事実だけを書きます。「売上が大きく伸びた」のように、取引先の努力やほかの理由も関わる成果を、自社の仕事だけの結果のように書くことは避けます。原稿の準備全般はホームページの原稿の書き方とテンプレートにまとめています。
写真の選び方
- 最初の1枚:完成した姿や、納めたものが使われている場面
- 過程の写真:作業中の様子は、仕事の丁寧さを伝える
- 細部の写真:仕上げ、素材、手間をかけたところ
- 前と後:変化が分かる仕事なら、同じ角度で撮った前後の写真
写真は、自社で撮ったものか、撮影を頼んだものを使います。素材サイトの写真を自社の事例のように見せると、実際の仕事と違う印象を与えます。素材写真の扱いは素材写真の使い方と注意点で説明しています。カメラマンに撮影を頼んだ写真は、原則としてカメラマンが著作者になるため、どこまで使えるかを依頼の段階で取り決めます(プロのカメラマンに撮影を頼むときの準備)。
掲載の許可の取り方
取引先の名前やロゴ、納めたものの写真を載せるときは、事前に許可を取ります。取引の契約で、取引の内容を外に出さない約束を結んでいることもあります。
許可を取るときに伝えること
- 載せるもの(社名、ロゴ、写真、文章、コメント)
- 載せる場所(ホームページ、パンフレット、SNS など)
- 載せる期間(期限を決めるか、取り下げの申し出があるまでか)
- 事前に原稿を見てもらえるか
- 取り下げたいときの連絡先
許可は、口頭ではなく、メールや書面で記録を残します。担当者が替わったとき、「載せてよいと言った覚えはない」という行き違いを防げます。
写る人と住まいの扱い
個人情報保護委員会の資料では、氏名や顔の写った写真のように、特定の個人を識別できる情報は個人情報に当たるとされています。事例の写真に取引先の社員や個人のお客様が写る場合は、本人の同意を取り、写りたくない人がいれば外します。
個人の住まいの事例では、外観の写真から場所が分かってしまうことがあります。表札、番地、車のナンバー、周りの特徴的な建物が写らないように撮るか、加工して隠します。
取引先のコメントを載せるときの注意
取引先からもらった言葉は、事例に説得力を持たせますが、載せ方を誤ると景品表示法の問題になることがあります。
消費者庁の打消し表示に関する報告書の概要では、体験談について次のような考え方が示されています。
- 体験談をねつ造したり、都合のよいものだけを引用したりすると、不当な表示になるおそれがある
- 体験談を見た人は、多くの人が同じ効果を得られると受け取りやすい
- 「個人の感想です。効果には個人差があります」と書き添えても、その受け取り方はほとんど変わらない
- 体験談は実際の結果に沿ったものにし、調べた人数や効果があった人の割合などもあわせて示す必要がある
また、2023年10月1日から、事業者の広告なのに広告であることを隠した表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法で禁止されています。
これらを踏まえ、取引先のコメントは次の形で載せます。
- 実際にもらった言葉だけを、意味を変えずに載せる(読みやすく整える場合は本人に確かめる)
- 社内で書いた文章を、取引先の言葉のように載せない
- 誰でも同じ結果が出るように見える選び方や書き方をしない
- 載せる前に、本人に原稿を見てもらう
見出しには、「取引先からのコメント」「ご担当者の言葉」のように、誰の言葉かが分かる書き方を使います。
載せる前の確認の一覧
- 取引先の名前・ロゴ・写真の掲載の許可を、記録に残る形で取った
- 秘密を守る約束に触れる内容が入っていない
- 写っている人の同意を取った
- 住まいの場所が分かるものが写っていない
- 写真の使える範囲を、撮った人と取り決めている
- 結果の欄に、確かめられた事実だけを書いている
- コメントは実際にもらった言葉で、本人が原稿を確かめた
- 取り下げの申し出の連絡先と、対応の手順を社内で決めている
Lapisデザインラボがこれまでに手がけた制作物は、制作事例で紹介しています。
よくある質問
取引先の名前を実績に載せるとき、許可は要りますか。
取引先の名前やロゴを載せるときは、事前に許可を取るのが基本です。取引の内容を外に出さない約束(秘密を守る約束)を契約で結んでいることもあり、取引があること自体を公表してほしくない会社もあります。許可を取るときは、何を、どこに、いつまで載せるかを示し、書面やメールで記録を残します。
事例の文章は、どんな順番で書けばよいですか。
「依頼のきっかけ(困っていたこと)」「行ったこと」「結果と、その後」「期間や費用の目安などの基本の情報」の順にすると、読み手が自分の場合に置き換えて読めます。文章の前に、完成した写真や納品物の写真を1枚置き、一覧のページには題名・業種・地域などの短い情報と写真だけを並べます。
取引先のコメントを載せるときに、気をつけることはありますか。
実際に取引先からもらった言葉を、許可を得て、意味を変えずに載せます。社内で作った文章を取引先のコメントのように載せることや、都合のよいものだけを選んで、誰でも同じ結果が出るように見せることは避けます。消費者庁の資料では、体験談は実際の結果に沿ったものにする必要があり、「個人の感想です」と書き添えても見る人の受け取り方はほとんど変わらないとされています。