取引先のロゴをサイトに載せるとき|許可の取り方と載せ方
ホームページに「主な取引先」や「導入企業」としてロゴを並べると、どんな会社と仕事をしているかがひと目で伝わります。一方で、「他社のロゴを勝手に載せてよいのか」「許可はどう取ればよいのか」が分からず、手が止まる担当者も多いところです。
この記事では、取引先や導入企業のロゴを自社のサイトや営業資料に載せる前に知っておきたい法律との関わり、許可を取る手順、そのまま使える依頼文の例、ロゴの載せ方、取引が終わったときの扱いをまとめます。法律の判断は載せ方によって変わるため、ここでは「どの法律が関わり得るか」と「了解を取って載せる実務」を中心に説明します。
なお、納めた仕事を写真と文章で紹介する事例ページの作り方と、その掲載の許可は実績・事例ページの作り方で扱っています。この記事は、ロゴや社名を一覧で並べる場合の話です。
ロゴを載せるときに関わり得る法律
他社のロゴを使うときに関わり得る法律は、主に次の3つです。どれも「載せたら必ず違反になる」というものではなく、使い方によって問題になることがある、という性質のものです。
| 法律 | 守っているもの | ロゴの掲載で気をつける点 |
|---|---|---|
| 商標法 | 商品やサービスの目印(商標) | 相手のロゴを、自社の商品やサービスの目印のように使わない |
| 不正競争防止法 | 広く知られた会社名やマークの信用 | 相手と同じ会社や提携先であるかのような誤解を招かない |
| 著作権法 | 創作された表現(著作物) | ロゴの図柄によっては著作物にあたり得る |
商標法
商標とは、事業者が自社の商品やサービスをほかと区別するために使うマークのことで、特許庁に登録すると商標権が生まれます。特許庁の説明では、商標権はマークと、そのマークを使う商品・サービスの組み合わせで一つの権利になっています。
商標法には、商品やサービスの出どころを示すような使い方をしていない商標には、商標権の効力が及ばないという定めがあります(第26条第1項第6号)。取引先の一覧に相手のロゴを載せることがこれにあたるかどうかは、載せ方によって変わり、一律には決まりません。たとえば、自社の商品の箱や広告の大きな見出しに相手のロゴを使うと、相手の商品と誤解されやすくなります。
不正競争防止法
不正競争防止法では、広く知られた他人の会社名やマークと同じか似たものを使って、相手の商品や営業と混同させる行為や、著名な他人のマークを自分の商品や営業の目印として使う行為を「不正競争」としています(第2条第1項第1号・第2号)。ロゴを大きく扱って、相手の会社の一部や公式の提携先であるかのように見せる載せ方は避けます。
著作権法
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものとしています(第2条第1項第1号)。ロゴの図柄が著作物にあたるかどうかは、図柄ごとに判断されます。いずれにしても、相手のロゴを作り変えたり、一部を切り取ったりせず、そのままの形で使うのが基本です。
法律の問題とは別に、許可を取る理由
実務で許可を取るのは、法律のためだけではありません。
- 取引の事実を伏せたい会社がある:仕入れ先や外注先を公にしない方針の会社もあります
- 契約で秘密にする約束がある:取引の基本契約や秘密保持契約で、取引の内容を外に出さない約束をしていることがあります
- 相手にロゴの使い方の決まりがある:色、余白、最小の大きさなどが決まっていることがあります
- 関係を損ねない:了解なしに載せていたと相手が知ると、取引そのものに響くことがあります
「導入企業」「お取引先」という見出しは、読む人に「この会社が選んだ」という印象を与えます。了解を取り、実際の取引がある相手だけを載せることが、一覧の信用を支えます。実際より良く見せる書き方の決まりはホームページの表現と景品表示法にまとめています。
取引先一覧の載せ方の選び方
載せ方には、手間と伝わり方の違う3つの形があります。
| 形 | 伝わること | 向く場面 | 了解の取り方 |
|---|---|---|---|
| 社名を文字で並べる | 取引がある会社の名前 | 取引先が多い、ロゴのデータが集まらない | 一覧に名前を出してよいか |
| ロゴを並べる | 名前に加えて見た目の印象 | 知られた会社が含まれる、導入企業を見せたい | ロゴの使用と、データの受け取り |
| 事例として紹介する | 何をどう納めたか | 仕事の中身を見せたい | 文章・写真・社名の掲載 |
文字の一覧にする場合は、「主な取引先(五十音順・敬称略)」のように並べ方と敬称の扱いを見出しに添えると、順番や「様」の有無で相手に気をつかう必要がなくなります。ロゴを並べる場合も、並び順の決まり(五十音順、取引開始の順など)を一つ決めておきます。
許可を取る手順
- 載せたい相手の一覧を作る:社名、自社の担当者、取引の内容、載せたい形(文字・ロゴ・事例)を表にする
- 窓口を確かめる:普段の担当者に連絡し、ロゴの扱いを決める部署(広報や総務など)を教えてもらう
- 依頼する:載せる場所、形、期間、見本を伝える(次の依頼文の例を参照)
- ロゴのデータと使用規定を受け取る:相手のサイトから保存した画像ではなく、正式なデータをもらう
- 公開前に見てもらう:実際のページか、画面の写しを送って確認してもらう
- 記録を残す:了解の返事のメールを、相手ごとに保存しておく
- 見直す日を決める:年に1回など、一覧が実態と合っているかを確かめる
了解は電話や口頭でもらうこともありますが、担当者が替わったときに確かめられるよう、メールなど文字で残る形にしておきます。
依頼文の例
〇〇の部分を自社の内容に置き換えて使います。
件名:弊社ホームページへの貴社ロゴ掲載のお願い
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。
このたび弊社ホームページの「主な取引先」のページに、お取引のある会社のロゴを掲載したいと考えております。つきましては、貴社のロゴを掲載させていただけないかと思い、ご連絡いたしました。
・掲載する場所:弊社ホームページ「〇〇」のページ(〇〇年〇月公開予定) ・掲載する形:貴社のロゴと社名(ほかの取引先と同じ大きさで並べます) ・掲載の期間:お取引のある間(取りやめのご連絡をいただいた時点で外します) ・ほかの使い道:営業資料にも同じ一覧を載せたいと考えております(〇〇の場合のみ)
ご了承いただける場合は、掲載用のロゴのデータと、使い方の決まりがあればあわせてお送りいただけますと幸いです。公開前に、掲載する画面をお送りしてご確認いただきます。社内でのご確認が必要な場合は、〇月〇日ごろまでにお返事をいただけますと助かります。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
ポイントは、場所、形、期間、ほかの使い道を最初に示し、断りやすい書き方にすることです。断られても取引に影響しないことが伝わると、相手も社内で相談しやすくなります。
ロゴのデータの扱い
了解をもらったら、ロゴは相手の決まりどおりに使います。
| すること | 避けること |
|---|---|
| 相手から受け取ったデータを使う | 相手のサイトから保存した小さな画像を使う |
| 縦横の比率を保ったまま大きさを合わせる | 枠に合わせて縦や横に引き伸ばす |
| 相手の決まりにある色の版を使う | 一覧の見た目に合わせて勝手に色を変える |
| ロゴの周りに決まった余白を取る | ほかのロゴや文字と詰めて並べる |
一覧の見た目をそろえるために、全部のロゴを一色にしたいこともあります。その場合も、一色の版の使用を相手の決まりが認めているか、依頼のときに確かめます。ロゴの使い方の決まりがどんなものかはロゴの使用規定の作り方で説明しています。
取引が終わったとき・断られたとき
- 取引が終わった:一覧から外します。営業資料やパンフレットなど、印刷物に載せているものも、次に刷り直すときに外します
- 相手から取りやめの連絡があった:すぐに外し、外したことを返事で伝えます
- 断られた:その会社は一覧に載せません。「ほか〇社」のような書き方で数を足すこともしません
- 相手のロゴが新しくなった:新しいデータを受け取って差し替えます
公開前のチェックリスト
- 一覧に載せる全部の相手から、文字で残る形で了解を取った
- 秘密保持の約束がある相手は、契約の中身を確かめた
- ロゴは相手から受け取った正式なデータを使っている
- 色、比率、余白は相手の決まりどおり
- 相手の会社や提携先と誤解される載せ方になっていない
- 並び順と敬称の扱いを見出しに書いた
- 取引の無い会社、取引が終わった会社が入っていない
- 見直す日を決め、担当者を決めた
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よくある質問
取引先のロゴは、許可なしに載せると違法になりますか。
載せ方や相手のロゴの扱いによって変わるため、一律には言えません。ただ、法律の問題になるかどうかとは別に、取引の事実を公にしたくない会社もあり、契約で取引の内容を秘密にする約束をしていることもあります。ロゴを載せる前には、相手の了解を取っておくのが確実です。
社名を文字で並べるだけでも、許可は要りますか。
ロゴを使わず社名を文字で並べる場合も、取引があることを公にする点は同じです。秘密保持の約束がある相手や、取引の事実を伏せたい相手もいるので、社名だけの一覧でも了解を取っておくと安心です。
ロゴの画像は、相手のサイトから保存して使ってよいですか。
了解を取ったうえで、相手から正式なロゴのデータと、使い方の決まり(使用規定)を受け取って使うのが確実です。サイトから保存した画像は小さかったり古かったりすることがあり、相手の決まりと違う色や形で載せてしまうおそれがあります。