店名・商品名のネーミングを頼むとき|費用と商標の確認
店名や商品名は、ロゴ・看板・名刺・ホームページのすべてに入り、一度広まると簡単には変えられません。自分たちで考えて決める会社も多い一方で、候補が出尽くしたときや、新商品の名前を慎重に決めたいときには、ネーミングを外部に頼むことも選べます。
この記事では、ネーミングを外部に頼むときの依頼先ごとの費用の目安、依頼の前に決めておくこと、候補が出てからの選び方、そして名前を決める前に必ずしておきたい商標の確かめ方をまとめます。商標の料金は、2026年10月時点で特許庁が公開している料金一覧によります。決まった名前をロゴにするときの商標登録はロゴの商標登録は必要かで扱っているので、ここでは「名前」に絞ります。
依頼先ごとの費用の目安
ネーミングの依頼先は、大きく3つに分かれます。クラウドソーシングのクラウドワークスが公開している解説(2025年1月更新)では、次のような目安が示されています。
| 依頼先 | 費用の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ネーミングの制作会社・広告制作会社 | 20案前後の提案で15万円前後、追加10案につき7万円前後 | 新商品や新ブランドで、考え方の整理から任せたい |
| 個人のコピーライター・デザイナー | 2万円前後から | 方向性は自分で決めていて、案を広げてほしい |
| クラウドソーシングのコンペ | 数千円から依頼する側が金額を決める | 多くの案を短い期間で見たい |
この金額は公表されている目安で、依頼の範囲によって変わります。費用を左右するのは、主に次の点です。
- 案の数:何案出してもらうか、追加の案はいくらか
- 考え方の整理を含むか:誰に向けた名前か、どんな印象にするかを一緒に整理するか
- 商標の調査を含むか:候補ごとに似た商標が無いかを調べてもらうか(弁理士が関わる場合は別料金が多い)
- ロゴまで含むか:名前とロゴを同じ依頼先にまとめるか
コンペは多くの案が集まる反面、出てくる案の多くは似た発想のものになりがちです。また、採用した名前の権利がどうなるか(応募者から自社に移るか)は、コンペの規約で確かめておきます。
依頼の前に決めておくこと
依頼先がどこでも、次のことを先に決めておくと、的外れな案が減ります。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 名前を付ける対象 | 店名・会社名・商品名・サービス名・シリーズ名 |
| 誰に向けた名前か | 地元の常連・観光客・法人の担当者・若い世代 など |
| 伝えたい印象 | 親しみやすい/きちんとした/上質/元気 |
| 使う文字 | 漢字・ひらがな・カタカナ・英字のどれか、混ぜてよいか |
| 長さと読みやすさ | 電話で一度で伝わるか、何文字までか |
| 使わない言葉 | 同業でよく使われている言葉、地名だけの名前 など |
| 使う場面 | 看板・ホームページのアドレス・SNS のアカウント名・商品のラベル |
| 決める人と時期 | 誰が最後に決めるか、いつまでに決めるか |
電話で伝わるかは見落とされがちな点です。予約や問い合わせの電話で「〇〇です」と名乗ったとき、相手が一度で聞き取れ、検索できる名前かどうかを確かめます。英字の名前は、読み方を何通りも取れる綴りにしないことも大切です。
候補が出てからの選び方
候補が出たら、すぐに1つに決めず、次の順で絞り込みます。
- 好みで5つほどに絞る:決める人が、直感で残したいものを選ぶ
- 声に出して確かめる:電話口で名乗る、家族や社員に聞かせて一度で伝わるか
- 検索してみる:同じ名前・似た名前の店や商品が無いか、悪い意味で使われていないか
- ホームページのアドレスと SNS の名前を確かめる:使いたい綴りのドメインやアカウント名が空いているか
- 商標を確かめる:下の「商標の調べ方」で、登録や出願中のものが無いか
- 最後に1つに決め、予備を1〜2つ残す:出願の段階で問題が見つかったときのため
ロゴを作るのは、名前がこの段階まで決まってからにします。ロゴを作ったあとで名前が変わると、ロゴも作り直しになります。開業の準備でロゴや名刺を作る順番は中小企業のブランディングの進め方にもまとめています。
商標の調べ方(J-PlatPat)
名前も商標で守られている
特許庁の「商標制度の概要」では、商標を「自社の商品・サービスを他社のものと区別するために使うマーク」と説明し、企業のマークだけでなく、商品やサービスのネーミングも商標として守られるとしています。同じ案内では、商標登録を受けないまま名前を使っていても、先に他社が同じような商標を登録していれば、その商標権の侵害にあたる可能性があるとされています。日本は、先に使っていたかどうかに関わらず、先に出願した人に登録を認める「先願主義」です。
つまり、名前を決める前に「すでに同じような商標が登録されていないか」を確かめておかないと、看板やパッケージを作った後に名前を変えることになりかねません。
J-PlatPat での調べ方
特許庁と工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する無料の検索サービス「J-PlatPat」の商標検索で、登録や出願中の商標を調べられます。2026年10月時点の画面では、次の検索ができます。
| 検索の項目 | 使い方 |
|---|---|
| 商標(検索用) | 名前の文字そのもので調べる |
| 称呼(単純文字列検索) | 名前の読み(カタカナ)がそのまま含まれるものを調べる |
| 称呼(類似検索) | 読みが似ているものまで広げて調べる |
| 類似群コード | 商品・サービスの種類を絞り込む |
調べるときのポイントは次のとおりです。
- 読みが似ている名前も確かめる:特許庁の案内では、商標が似ているかどうかは、見た目(外観)・呼び方(称呼)・意味合い(観念)を総合して判断するとされています。「テルライト」と「テレライト」のように、1文字違いでも似ていると判断される例が挙げられています
- 自分の商品・サービスの種類で見る:商標権は、名前と、その名前を使う商品・サービスの組み合わせで1つの権利になります。違う種類の商品で同じ名前が登録されていても、問題にならない場合があります
- 迷ったら専門家に:似ているかどうかの判断は難しいので、候補が絞れた段階で弁理士に相談します。INPIT の知財総合支援窓口でも相談を受け付けています
出願にかかる特許庁の料金
名前を商標として出願する場合、2026年4月6日更新の特許庁の料金一覧では、特許庁に納める料金は次のとおりです(弁理士に頼む場合の手数料は別)。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 商標登録出願 | 3,400円+区分の数×8,600円 |
| 商標登録料(10年分) | 区分の数×32,900円 |
| 更新登録の申請(10年ごと) | 区分の数×43,600円 |
「区分」は商品・サービスの種類を第1類〜第45類に分けたもので、たとえば飲食店のサービスと、店で売るお菓子の商品は別の区分になります。出願のタイミングや、文字で出すかロゴの形で出すかの考え方はロゴの商標登録は必要かにまとめています。
会社の商号と商標は別の制度
会社の名前(商号)は登記をしますが、商号の登記と商標登録は別の制度です。商号として登記できたからといって、その名前を商品やサービスの名前として自由に使えるとは限りません。会社名を決めるときも、J-PlatPat で同じ名前の商標を確かめておきます。
頼むときの契約で確かめること
ネーミングを外部に頼むときは、見積もりや契約で次の点を確かめておきます。
- 提案の案数と、追加の案の料金
- 打ち合わせの回数と、修正の回数
- 候補ごとの商標の調査が含まれるか、どこまで調べるか
- 採用した名前と、提案の資料を自社で自由に使えるか
- 採用しなかった案を、依頼先がほかの会社に出すことがあるか
- 名前とあわせてロゴやキャッチコピーまで頼むか
名前は、ロゴやホームページと違い、文字そのものに著作権が生じることはほとんどありません。そのため、権利の話は「著作権」よりも「商標」と「契約」で考えます。ロゴの権利の考え方はロゴの著作権は誰のものかを参照してください。
まとめ
ネーミングを外部に頼む費用は、公表されている目安で、制作会社なら15万円前後、個人なら2万円前後から、コンペなら数千円からと幅があります。依頼の前に、対象・相手・印象・使う文字・使う場面を決めておくと、案の質がそろいます。候補が出たら、声に出して確かめ、検索し、ドメインと SNS の名前を確かめ、最後に J-PlatPat で商標を調べてから決めてください。
Lapisデザインラボでは、名前が決まったあとのロゴ・名刺・ホームページの制作をお受けしています。内容は料金プランをご覧ください。
よくある質問
ネーミングを外部に頼むと、費用はどれくらいですか。
依頼先で大きく変わります。クラウドソーシングの公表している目安では、ネーミングの制作会社に頼むと20案前後の提案で15万円前後、個人のコピーライターなどに頼むと2万円前後から、クラウドソーシングのコンペなら数千円から自分で金額を決められるとされています。商標の調査や出願を含めるかどうかでも費用は変わります。
店名や商品名が商標登録されているかは、どうやって調べますか。
特許庁と工業所有権情報・研修館が提供する無料の検索サービス「J-PlatPat」の商標検索で、名前の文字や読み(称呼)から、登録や出願中の商標を調べられます。同じ名前だけでなく、読みが似た名前も「称呼(類似検索)」で確かめます。似ているかどうかの最終的な判断が難しい場合は、弁理士に相談します。
会社の商号として登記できれば、商標の心配はいりませんか。
いりません、とは言えません。商号の登記と商標登録は別の制度です。特許庁の案内では、商標登録を受けないまま使っている名前でも、先に他社が同じような商標を登録していれば、その商標権の侵害にあたる可能性があるとされています。商号を決めるときも、J-PlatPatで商標を確かめておきます。