ホームページのデザインだけを頼むとき|コーディングを別に頼む分け方
ホームページ制作では、見た目を決める「デザイン」と、それをブラウザで動く形にする「コーディング(組み立て)」を、同じ会社に続けて頼むことがあります。一方で、デザインの質を重視して外部のデザイナーに依頼し、コーディングは別の会社や自社の担当者に任せたいという分け方を選ぶ会社もあります。
この分け方は、デザインの選択肢を広げられる一方で、受け渡すデータの形式や役割分担、著作権の扱いを発注者自身が調整する必要が出てきます。この記事では、デザインだけを依頼するときに決めておきたいことを、データの受け渡し・著作権・役割分担・修正対応の4つに分けてまとめます。
デザインだけを分けて頼む場面
デザインとコーディングを分けて発注する背景には、次のような事情があります。
- 特定のデザイナーやデザイン会社のテイストが気に入っており、そこに任せたい
- 社内にコーディングができる担当者がいる、または別のシステム会社に構築を任せる予定がある
- 既存のCMS(コンテンツ管理システム)のテーマやテンプレートに、新しいデザインを当てはめたい
いずれの場合も、デザイン会社とコーディング会社(または自社の担当者)が別の主体になるため、両者の間に立って仕様をすり合わせる役目を、発注者が担うことになります。
デザインデータの受け渡し形式を決める
デザインだけを依頼する際にまず詰めておきたいのが、どのような形式でデータを受け取るかです。
| 受け取るもの | 内容 |
|---|---|
| デザインカンプ | 画面ごとの見た目を示したファイル(PSD・Figma・Sketch など、編集可能な形式) |
| 書体・色の情報 | 使用した書体名、色の値(RGB・CMYK や HEX コード) |
| 画像・アイコン素材 | 背景やアイコンなど、書き出し済みの画像ファイル一式 |
| 画面幅ごとの見え方 | スマートフォン・タブレット・パソコンそれぞれの画面サイズでの表示 |
| 動きの指示書 | ボタンを押したときの変化、メニューの開閉など、絵だけでは伝わらない挙動の説明 |
コーディング会社が既に決まっている場合は、そのコーディング会社がどの形式のファイルに対応できるかを、デザインを発注する前に確認しておきます。デザイン会社によって得意なソフトが異なるため、先に形式を伝えておかないと、納品後に変換の手間や追加費用が発生することがあります。
著作権の扱いを契約で決めておく
デザインを外部に依頼する場合、見落とされやすいのが著作権の扱いです。著作権法では、著作物は創作した人に著作権が発生するのが原則とされています。そのため、契約で特に取り決めがなければ、納品されたデザインの著作権は、発注者ではなくデザインを制作した側に残っていることがあります。
発注者が次のようなことを望む場合は、契約書にその旨を明記しておく必要があります。
- 納品後にコーディング会社や社内の担当者が、デザインに手を加えてよいか(改変の許諾)
- 別の媒体(印刷物やチラシなど)にもデザインの要素を流用してよいか
- 著作権そのものを発注者に譲渡してもらうか、譲渡はせず利用の許諾だけを得るか
著作権を譲渡してもらう場合でも、デザイナーの名前を成果物に表示する権利(氏名表示権)などの著作者人格権は、譲渡できません(著作権法59条)。改変の可能性がある場合は、人格権を行使しない旨の取り決めをあわせて入れておくと、後から「無断で変えられた」といった行き違いを防ぎやすくなります。
デザイン会社とコーディング会社の役割分担
デザイン会社とコーディング会社が別の主体になると、どちらがどこまで責任を持つのかが曖昧になることがあります。発注の時点で、次の点を文書にしておくと役割がはっきりします。
- デザインの確定範囲:パソコン画面だけか、スマートフォン・タブレットの見え方まで含むか
- コーディングでの解釈に委ねる部分:文字数が増減したときの崩れ方、画像の縦横比が変わったときの扱いなど
- CMSとの組み合わせ:WordPressなどのCMSに当てはめる前提か、独自のコーディングか(CMSの比較、WordPressのテーマと独自デザインの違いを参照)
- 確認のタイミング:デザインが確定した時点、コーディング完了後の見た目確認など、どの段階で発注者が確認するか
デザインとコーディングの間に立つのは発注者自身になるため、両社の窓口を仲介する時間がかかることは、あらかじめ見込んでおくとよいでしょう。
修正対応をどちらに依頼するか決めておく
公開後に文言や写真を差し替えたいとき、デザインの修正が必要なのか、コーディング側の作業だけで済むのかは、内容によって異なります。
- 文章や写真の差し替えだけであれば、コーディング側(またはCMSの管理画面)での対応で済む場合があります
- レイアウトの変更や新しいページの追加は、デザインの考え方に関わるため、デザイン会社への確認が必要になることがあります
契約の段階で、「軽微な修正はコーディング側で対応し、構成に関わる変更はデザイン会社に相談する」といった線引きを決めておくと、公開後にどちらに連絡すればよいか迷わずに済みます。修正の伝え方や、意見がまとまらないときの進め方は修正依頼の伝え方でまとめています。
依頼前の確認チェックリスト
- デザインデータの受け渡し形式を、コーディング会社の対応形式に合わせて決めたか
- 著作権の帰属と、改変・流用の許諾範囲を契約書に書いたか
- デザインの確定範囲(画面幅ごとの見え方)を明確にしたか
- 公開後の修正を、どちらの会社に依頼するか決めておいたか
まとめ
- デザインとコーディングを別の会社に分けて頼むと、両者の間を発注者が仲介する必要がある
- デザインデータは、コーディング会社が対応できる形式を先に確認してから依頼する
- 著作権は、契約で定めがなければ制作した側に残るのが原則。改変や流用を望むなら契約書に明記する
- 役割分担と公開後の修正の窓口を、発注前に決めておくと行き違いが減る
依頼する内容の整理の仕方は発注前チェックリストでもまとめています。デザインのご相談はサービスと料金からご確認いただけます。
よくある質問
デザインだけを依頼する場合、どんなデータで受け取ればよいですか。
画面ごとの見た目を示したデザインカンプ(PSD・Figma・Sketch などの編集可能なファイル)と、使用した書体名・色の値(RGB・CMYK や HEX コード)、画像素材一式を受け取るのが基本です。コーディング会社が別に決まっている場合は、そのコーディング会社が対応できる形式を先に確認し、デザイン発注時に伝えておくと手戻りが減ります。
デザインの著作権は、発注者とデザイナーのどちらに属しますか。
著作権法上、著作物は創作した人に著作権が発生するのが原則です。デザインを外部に依頼した場合、デザインが著作物にあたるなら、契約で譲渡の定めが無ければ、著作権はデザインを制作した側に残ります。自社で自由に改変・流用したい場合は、著作権を譲渡してもらうか、改変も含めた利用を許諾してもらう条項を契約書に入れておきます。
デザイン会社とコーディング会社の間で、仕様の行き違いが起きないようにするにはどうすればよいですか。
デザインの納品時に、画面の幅ごとの見え方(スマートフォン・タブレット・パソコン)や、ボタンを押したときの変化、文字がはみ出した場合の扱いなど、絵だけでは伝わらない挙動を文書で添えてもらいます。発注者がデザイン会社とコーディング会社の間に入り、この文書をもとにすり合わせの場を一度設けると、見た目と動きの食い違いを防ぎやすくなります。