会社案内パンフレットの作り方|ページ構成と制作の流れ
会社案内のパンフレットは、営業の面談、取引先へのあいさつ、採用の説明会、金融機関との打ち合わせなど、会社を初めて説明する場面で使われます。ホームページがあっても、冊子を手渡して一緒にめくりながら話せるのは、紙ならではの強みです。
ところが、いざ作ろうとすると「何を載せればよいのか」「何ページにするのか」「どれくらいの期間がかかるのか」で手が止まります。この記事では、初めて会社案内を作る担当者に向けて、目的の決め方からページ数と構成、原稿と写真の集め方、制作の流れと期間の逆算までを順に説明します。
まず、誰に渡すかを1つに決める
会社案内を作るときに最初に決めるのは、デザインでもページ数でもなく、いちばん渡したい相手です。相手によって、載せる内容の重みが変わります。
| 主に渡す相手 | 知りたいこと | 厚く載せる内容 |
|---|---|---|
| 新しい取引先・見込み客 | 何ができる会社か、頼んで大丈夫か | 事業とサービスの内容、進め方、取引の実例 |
| 既存の取引先 | 会社の今と、これからの方向 | 代表のあいさつ、事業の広がり、体制 |
| 採用の応募者 | どんな人が、どんな働き方をしているか | 仕事の内容、仕事の一日の流れ、制度 |
| 金融機関・行政 | 事業の安定性と将来性 | 沿革、事業の構成、拠点、許認可 |
全部の相手に同じ冊子を渡すこともできますが、最初に「いちばん」を決めておかないと、どの相手にも中途半端な冊子になります。採用向けの情報が多い会社は、会社案内とは別に採用向けの冊子を作ることもあります。
載せる内容の一覧
会社案内でよく載せる内容を、役割ごとに並べます。全部を載せる必要はありません。上で決めた相手に合わせて選びます。
- 表紙:社名とロゴ、会社をひとことで表す言葉、印象を決める写真
- 代表のあいさつ・考え方:なぜこの事業をしているのか、何を大事にしているのか
- 事業の紹介:事業ごとに、誰に、何を、どう提供しているか
- 強み・選ばれる理由:他社と比べたときの違い。言い切れる事実だけを書く
- 仕事の進め方:相談から納品・引き渡しまでの流れ
- 取引の実例・事例:お客様の許可を取ったうえで、課題と取り組みを紹介する
- 設備・拠点・体制:工場、店舗、車両、人数など、信頼につながる事実
- 沿革:創業からの主な出来事
- 会社概要:社名、所在地、代表者、設立、資本金、事業内容、許認可、取引銀行など
- 連絡先と地図:電話、ホームページの案内、二次元コード
数字や実績を載せるときは、根拠を示せるものだけにします。後から「本当か」と聞かれて答えられない表現は、会社の信用をかえって損ねます。
ページ数の決め方:中綴じは4の倍数
冊子の形で多い「中綴じ」は、紙を二つ折りにして重ね、折り目を針金で留める製本です。1枚の紙の表と裏で4ページ分になるため、総ページ数は4の倍数になります。
印刷通販のグラフィックの案内では、冊子のページ数は表紙の4ページ(表紙・表紙の裏・裏表紙の裏・裏表紙)と本文を足した総ページ数で数え、中綴じは製本の仕様上4の倍数のページしか注文できないとしています。つまり、8ページの冊子なら、表紙まわりの4ページと中の4ページです。
| 総ページ数 | 中のページ | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 4ページ(二つ折り) | 見開き1つ | 事業が一つで、説明が短い |
| 8ページ | 4ページ | 事業が一つ〜二つ。営業で渡す標準の形 |
| 12ページ | 8ページ | 事業が複数ある。事例や体制も載せたい |
| 16ページ以上 | 12ページ以上 | 採用や製品の情報まで一冊にまとめたい |
ページが多いほど、原稿と写真を用意する手間と、印刷の費用が増えます。迷ったら少なめのページ数から考え、入りきらない情報はホームページに任せるほうが、読みやすい冊子になります。ページ数がさらに多くなる場合は、背を糊で固める「無線綴じ」という製本もあります。
紙の大きさは、A4が一般的です。A列・B列の紙の寸法は JIS P 0138「紙加工仕上寸法」で決まっていて、日本印刷産業連合会の用語集にも寸法の表が載っています。封筒に入れて送るなら、封筒の大きさも合わせて考えます。
8ページの構成例
| ページ | 内容 |
|---|---|
| 1(表紙) | 社名・ロゴ・ひとことの言葉・写真 |
| 2(表紙の裏) | 代表のあいさつと会社の考え方 |
| 3 | 事業の全体像(図にすると分かりやすい) |
| 4〜5(見開き) | 主な事業・サービスの内容と進め方 |
| 6 | 強み・取引の実例 |
| 7(裏表紙の裏) | 沿革と会社概要 |
| 8(裏表紙) | 連絡先・地図・ホームページの案内 |
見開きの4〜5ページは、冊子を開いたときにいちばん目に留まる場所です。いちばん伝えたい事業やサービスを置きます。
12ページの構成例
| ページ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 表紙 |
| 2〜3 | 代表のあいさつ、会社の考え方 |
| 4〜5 | 事業の全体像と、数字で見る会社(根拠のある数字だけ) |
| 6〜7 | 事業A の紹介と事例 |
| 8〜9 | 事業B の紹介と事例 |
| 10 | 設備・拠点・体制、仕事の進め方 |
| 11 | 沿革・会社概要 |
| 12 | 連絡先・地図 |
事業ごとに見開きを使う形にすると、ページの役割が分かりやすく、あとで事業が増えたときにも作り直しやすくなります。
原稿の集め方
会社案内の制作で一番時間がかかるのは、原稿を集めて確認する作業です。次の手順で進めると、途中で止まりにくくなります。
- ページごとの台割(どのページに何を載せるかの一覧)を作る:上の構成例のような表を、自社の内容で作る
- ページごとに担当を決める:代表のあいさつは代表、事業の紹介は事業の責任者、会社概要は総務、のように分ける
- 書く量の目安を伝える:1ページに何文字くらいか、見出しはいくつか。多すぎる原稿は、あとで削る手間がかかる
- 締め切りを決める:原稿が揃う日を決め、そこからデザインに入る
- 事実を確かめる:会社概要の数字、許認可の番号、沿革の年は、登記や許可証の原本で確かめる
原稿の書き方そのものは、ホームページの原稿と共通する部分が多くあります(ホームページの原稿の作り方)。
写真を揃える
冊子の印象は、写真で大きく変わります。必要な写真を早めに一覧にします。
| 写真 | 例 | 用意の仕方 |
|---|---|---|
| 人 | 代表、働く人、仕事の場面 | 撮影する。本人の了解を取る |
| 場所 | 外観、事務所、工場、店舗 | 撮影する。天気と時間帯を選ぶ |
| もの | 製品、作品、設備 | 撮影する。背景を整える |
| 雰囲気 | 季節や地域を感じさせるもの | 素材写真で補うこともできる |
素材写真を使うときは、利用の条件を確かめます(素材写真の使い方と注意点)。撮影を頼む場合の伝え方は撮影を頼むときの伝え方で説明しています。
制作の流れと期間の逆算
会社案内の制作は、おおむね次の順で進みます。
- 目的・相手・ページ数・部数を決める
- 台割を作る
- 原稿を集め、写真を撮る・選ぶ
- デザインを作る(初めに表紙と見開き1つを作り、方向を確かめてから全ページへ)
- 社内で確認し、修正する(誤字・数字・固有名詞は複数の人で読み合わせる)
- 入稿データを作り、印刷する
- 納品・配布
期間は、会社によって大きく違います。時間を左右するのはデザインよりも3と5、つまり原稿と写真の準備と、社内の確認です。 確認する人が多い、代表の確認に日数がかかる、撮影の日程が天気に左右される、といった事情を最初に書き出しておきます。
計画は、配る日から逆に並べます。たとえば展示会で配るなら、展示会の日から、印刷と配送の日数、入稿、社内の最終確認、デザイン、原稿と撮影、の順に日付を置いていきます。印刷の日数は仕様や発注先で違うので、早めに確かめます(ネット印刷と印刷会社の使い分け)。
作るときの注意点
- 変わりやすい情報を載せすぎない:人数・料金・担当者名・キャンペーンは、すぐに古くなります。ホームページに任せ、冊子には変わりにくい情報を載せます
- ホームページと見た目を揃える:ロゴ・色・書体を揃えると、冊子とホームページが同じ会社のものとして伝わります(名刺・チラシ・サイトの見た目を揃える方法)
- 言い切れないことを書かない:「地域一番」「業界初」のような表現は、根拠を示せなければ使いません
- 紙を選ぶ:手に取ったときの質感も印象の一部です(紙と加工の選び方)
冊子と三つ折り、どちらにするか
| 比べる点 | 冊子(8ページ以上) | 三つ折り(A4 1枚) |
|---|---|---|
| 載せられる量 | 多い | 限られる |
| 渡す場面 | 面談、あいさつ、説明会 | 店頭、郵送、展示会で大量に配る |
| 費用と手間 | 大きい | 小さい |
| 印象 | しっかりした会社 | 気軽に手に取れる |
まず三つ折りで作り、事業が広がってから冊子にする会社もあります。三つ折りの作り方は三つ折りパンフレットの作り方をご覧ください。会社案内の制作をまとめて頼む場合の費用の考え方は、会社案内の制作費の相場で説明しています。
よくある質問
会社案内は何ページにすればよいですか。
載せたい内容と渡す場面で決めます。中綴じの冊子は、1枚の紙を折って重ねるため総ページ数が4の倍数になり、表紙の4ページも含めて数えます。事業が一つで説明が短い会社なら8ページ、事業が複数ある、採用の情報も載せたいという会社なら12〜16ページがひとつの目安です。紙1枚で済ませたいなら、三つ折りのパンフレットという選択肢もあります。
会社案内の制作期間はどれくらいかかりますか。
期間を大きく左右するのは、デザインの作業よりも、社内で原稿を用意し、確認し、写真を揃える時間です。原稿がすでにある、写真も揃っている会社は短く、取材や撮影から始める会社は長くなります。配る日(展示会や採用説明会など)を決め、そこから印刷・デザイン・原稿の順に逆算して計画します。
ホームページがあれば会社案内の冊子は要りませんか。
役割が違うので、両方あると使い分けられます。冊子は、面談の場で相手と一緒にめくる、帰ってから机の上で読み返してもらう、といった「手元に残る」使い方に向いています。ホームページは、情報を早く新しくでき、検索から初めての人に見つけてもらえます。更新の多い情報はホームページに任せ、冊子には変わりにくい情報を載せると長く使えます。