商品カタログの作り方と制作費|品数・撮影・改訂の考え方
商品カタログは、会社案内やパンフレットと比べて、載せる品数と情報の量が桁違いに多い印刷物です。そのため、デザインより前の「品目と仕様の情報をどう集め、どう管理するか」で、制作費も、出来上がるまでの期間も、改訂のしやすさも大きく変わります。
この記事では、商品カタログを作るときの進め方を、品数からページ数を見積もる方法、商品撮影の段取りと費用の目安、価格や仕様の変更に強い作り方、紙とWebの併用の考え方の順にまとめます。制作費の相場は出典のある範囲を幅で示し、何で金額が上下するかを説明します。
製造業や卸売で、営業や広報の担当として初めてカタログを任された方が、社内の段取りを組み、見積もりを読み比べられることを目指しています。
カタログ制作の流れ
- 目的と渡す相手を決める:新規の取引先への提案用か、既存の取引先の発注用か、展示会で配るものかで、載せる品目と情報の細かさが変わります
- 品目の一覧を作る:載せる品目、品番、仕様、写真の有無を一覧にします(次の章)
- ページ数と構成を決める:品数と1ページあたりの品数から、ページ数を見積もります
- 撮影と原稿をそろえる:写真の撮り直しが要る品目と、説明文を書く品目を洗い出します
- デザインと校正:まず見本の数ページを作って形を決めてから、全ページに広げます
- 印刷と、Web・PDFへの展開:部数を決めて印刷し、同じデータからPDFやWebの掲載も作ります
品数からページ数を見積もる
カタログのページ数は、「1ページに何品を載せるか」で決まります。1品あたりに載せる情報が多いほど、1ページの品数は減ります。
| 1品の載せ方 | 1ページの品数(A4の一例) | 向いている商品 |
|---|---|---|
| 写真大きく+説明文+仕様表 | 1〜2品 | 主力商品、新商品 |
| 写真+短い説明+主な仕様 | 4〜6品 | 標準的な商品 |
| 小さな写真+品番と仕様の表 | 8〜12品 | 部品、消耗品、色違い・サイズ違いの多い商品 |
たとえば、主力5品を1ページに1品、標準品60品を1ページに6品で載せるような場合、商品のページは5+10=15ページです。これに表紙まわり、目次、会社の紹介、索引や品番の一覧、注文方法を足すと、20ページ前後になります。中綴じ(紙を重ねて折り目を針金で留める綴じ方)なら総ページ数は4の倍数にそろえ、ページが多くなる場合は、背を糊で固める無線綴じを選びます。
品目の一覧に入れる項目
- 品番、品名、分類
- 寸法・重さ・材質・色など、載せる仕様
- 入数や最小の注文単位
- 写真の有無と、撮り直しが要るかどうか
- 価格(載せる場合)と、改定の予定
- 新しく載せる品目、載せるのをやめる品目
この一覧を表計算のファイルで一つにまとめ、社内の確認もこのファイルで行うと、デザインの途中で仕様が食い違う事故を減らせます。改訂のときにも、このファイルが土台になります。
制作費の相場と、金額が変わる所
発注先の比較サイト(アイミツ)の掲載では、カタログ制作の費用相場は次のように示されています(2025年1月の更新時点の情報)。
| 項目 | 相場 |
|---|---|
| A4・フルカラー・8ページ(印刷・加工費込み) | 35万〜65万円前後 |
| A4・フルカラー・20ページ(印刷・加工費込み) | 100万〜180万円前後 |
| デザイン費(表紙) | 4万〜6万円前後 |
| デザイン費(その他のページ) | 1ページあたり2万〜3万円前後 |
| 撮影費 | 半日〜1日で3万〜8万円前後 |
| 原稿の作成費 | 1ページあたり2万〜4万円前後 |
| 印刷・加工費 | 1部あたり15〜40円前後(100〜1,000部の場合) |
金額を大きく動かすのは、次の4つです。
- 品数とページ数:デザイン費はページ数にほぼ比例します。仕様表の多いページは、組むのにも校正にも手間がかかります
- 撮影の量:撮り直す品目が多いほど、撮影費と画像の処理費が増えます
- 原稿をどこまで任せるか:仕様の一覧を社内でそろえて渡せば、原稿の作成費を抑えられます
- 部数と紙・綴じ方:部数が増えるほど1部あたりの印刷費は下がりますが、総額は上がります
パンフレット全般の費用の考え方はパンフレットの制作費の相場でも説明しています。
商品撮影の段取りと費用
カタログの写真は、大きく2種類に分けて考えると、撮影の段取りと費用を組みやすくなります。
| 写真の種類 | 内容 | 費用の目安(1カット) |
|---|---|---|
| 白背景の商品写真(物撮り) | 白い背景で商品だけを、同じ角度・同じ明るさでそろえて撮る | 550〜3,000円程度 |
| イメージ写真 | 使っている場面や、素材の質感を見せる写真 | 5,000〜50,000円 |
費用の目安は、商品撮影の費用をまとめた解説記事(@SOHO)によるものです。白背景の写真は品数が多いほど1カットの単価が下がる傾向があり、イメージ写真はモデルやスタジオ、小道具の有無で大きく変わります。カメラマンに出張で頼むときの費用の決まり方と、写真を使える範囲の決め方はホームページの写真撮影の費用相場にまとめています。
撮影の前に決めておくことは次のとおりです。
- 撮る品目と、1品あたりのカット数(正面だけか、斜めや細部も撮るか)
- 写真の向き・背景・影の付け方の統一ルール(あとで撮り足しても並びがそろうように)
- 商品をいつ、どこへ送るか。撮影後の返送の方法
- 写真をカタログ以外(Webや展示会のパネル)にも使うか
撮影リストの作り方と当日の流れは撮影を頼むときの準備にまとめています。
改訂に強い作り方
カタログは、作った翌年から「価格が変わった」「品目が増えた」「廃番が出た」という変更が始まります。次のような作り方にしておくと、改訂のたびに作り直す負担を減らせます。
- 価格は本体に載せず、別刷りの価格表にする:価格の改定のときは価格表だけを刷り直します
- 品目の情報を一覧のファイルで管理する:改訂は一覧の差分から始め、変わったページだけを直します
- ページの型を決めておく:1品・4品・8品など、いくつかの型に流し込む作りにすると、品目の入れ替えがしやすくなります
- 版の情報を入れる:裏表紙などに「2026年10月版」のように発行の時期を入れ、古いカタログと見分けられるようにします
価格を載せる場合は、相手によって書き方が変わります。財務省の説明では、業務用の商品カタログなど事業者間の取引での価格表示は、総額表示の義務の対象外です。一方、消費者向けに価格を載せるカタログは、税込の総額で示す必要があります。なお、飲食料品の消費税率の引き下げが法案の成立を条件に予定されており、国税庁の説明では、カタログに価格が印字されているなどの事情で表示の切り替えが間に合わない場合の特例が示されています。食品を扱うカタログは、価格の載せ方と刷る時期を慎重に決めましょう。
紙とWebの併用
紙とWebは、どちらか一方を選ぶより、役割を分けて併用するほうが、作る手間と改訂の手間の両方を抑えられます。
| 比べる点 | 紙のカタログ | Web・PDF |
|---|---|---|
| 得意なこと | 商談や展示会で手渡す。主力商品を印象づける | 全品の仕様、在庫、価格など変わりやすい情報 |
| 改訂 | 刷り直しが要る | すぐ直せる |
| 検索 | 索引や品番の一覧で探す | 品番や言葉で探せる |
| 向く載せ方 | 主力品と分類ごとの代表品を厚く | 全品を網羅 |
併用するときは、紙のカタログに各分類のページへの二次元コードやURLを載せ、詳しい仕様や改定後の価格はWebで見てもらう形にすると、紙のページ数を抑えられます。同じ品目の一覧ファイルから、紙とWebの両方を作る段取りにしておくと、内容の食い違いも防げます。製造業の技術や設備の見せ方は製造業の会社案内とホームページも参考になります。
見積もりを依頼する前のチェックリスト
- 目的と渡す相手、部数が決まっている
- 品目の一覧(品番・仕様・写真の有無)ができている
- 1ページあたりの品数の考え方と、おおよそのページ数が決まっている
- 撮り直す品目とカット数が分かっている
- 価格を本体に載せるか、別刷りにするかを決めている
- Web・PDFでの掲載も頼むかを決めている
まとめ
商品カタログは、品目の一覧を先に整えることで、ページ数・撮影の量・制作費が見積もれるようになります。相場は、出典の掲載ではA4・8ページで35万〜65万円前後ですが、品数・撮影・原稿の任せ方・部数で大きく変わります。価格は別刷りにし、紙とWebの役割を分けておくと、改訂の負担を抑えられます。
Lapisデザインラボでは、カタログの構成づくりからデザイン・印刷までご相談いただけます。費用の目安はお見積もりからお問い合わせください。
よくある質問
商品カタログの制作費はどのくらいかかりますか。
発注先の比較サイトの掲載では、A4・フルカラー・8ページで35万〜65万円前後、20ページで100万〜180万円前後(いずれも印刷・加工費を含む)とされています。品数、撮影の量、原稿をどこまで任せるか、部数で大きく変わるため、同じ条件で複数の見積もりを取って比べます。
カタログに価格を載せたほうがよいですか。
価格の改定が多い商品は、本体に価格を載せず、別刷りの価格表やWebで示す方法が向いています。本体を作り直さずに価格だけ差し替えられるためです。業務用のカタログは総額表示の義務の対象外ですが、消費者向けに価格を載せる場合は税込の総額で示す必要があります。
紙のカタログとWebのカタログは、どちらを作ればよいですか。
どちらか一方ではなく、役割を分けて併用するのが一般的です。紙は商談や展示会で手渡して、主力の商品を印象づける役割、Webは全品の仕様や在庫・価格など、変わりやすい情報を常に新しく保つ役割に向いています。