色校正とは|本機校正と簡易校正の違い、費用と見方
印刷物が刷り上がってから「画面で見た色と違う」と気づいても、刷り直しには費用も日数もかかります。そうならないために、本番の前に試し刷りをして色を確かめる工程が「色校正」です。ただ、色校正にはいくつかの方法があり、どれを選ぶかで費用・日数・確かめられることが大きく変わります。
この記事では、色校正とは何かを印刷の用語集の定義に沿って説明し、本機校正と簡易校正の違い、費用が何で変わるか、印刷物の種類ごとの選び方をまとめます。後半では、届いた校正紙をどこで・何と比べて見ればよいか、直してほしいことをどう伝えるかも書いています。
パンフレットや商品パッケージを初めて印刷会社に頼む担当の方が、「校正はどうしますか」と聞かれたときに迷わず答えられることを目指しています。
色校正とは
日本印刷産業連合会の印刷用語集では、色校正を、色が正しく再現されているかを確かめること、またそのための試し刷りのことと説明しています。役割は大きく2つあります。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 品質の確認 | 印刷会社が、データどおりの色が出ているかを本番の前に確かめる |
| 依頼主の承認 | 依頼する側が、この色で刷ってよいかを見て決める見本にする |
文字の誤りを直す「文字校正」とは別のものです。文字の校正が済み、色も問題なければ「校了」(校正を終えて本番に進んでよい状態)となります。色校正は、この校了の判断をするための材料だと考えると分かりやすいでしょう。
印刷の色がイメージと違って見える主な理由
色校正を頼む前に、なぜ色がずれるのかを押さえておくと、校正紙のどこを見ればよいかが分かります。
- 画面と印刷の色の作り方が違う:画面は光(RGB)で、印刷はインキ(CMYK)で色を表します。鮮やかな緑や青は、印刷では出しきれないことがあります。仕組みはRGBとCMYKの違いで詳しく説明しています
- 紙が違う:つやのあるコート紙と、つやのない上質紙では、同じデータでも色の濃さや鮮やかさが変わります
- 照明が違う:蛍光灯の下と昼の光の下では、同じ紙でも色味が変わって見えます
- データに原因がある:写真がRGBのままだった、黒が4色で重なっていた、といった入稿データの問題です。入稿前の確認は印刷データのチェックリストにまとめています
色校正の種類と違い
色校正の方法は、本番の印刷機で刷るか、別の機械で再現するかで分かれます。用語集と印刷機器メーカーの解説をもとに、主な方法を整理しました。
| 方法 | 何で刷るか | 本番の紙 | 色の近さ | 費用・日数 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 本機校正 | 本番と同じ印刷機。版も作る | 使える | 最も近い | 最もかかる | パッケージ、色が大事な販促物 |
| 平台校正 | 校正専用の印刷機 | 使える | 近い | 中程度 | 対応できる会社は減っている |
| 簡易校正(DDCPなど) | インクジェットなどの出力機で色を再現 | 専用紙が多い | 傾向をつかめる | 安く早い | 色の大まかな確認、社内確認 |
| 本紙に出す簡易校正 | インクジェット機で本番の紙に出力 | 使える | 紙の風合いも見られる | 中程度 | 紙選びも兼ねたいとき |
| PDF・画面での校正 | 校正用のデータを画面で見る | なし | 色の確認には向かない | ほぼかからない | 文字やレイアウトの確認 |
用語集では、本機校正を「仕上がりを厳密に確かめたいときや、校正機に載らない大きさのときに使う」方法としています。一方、印刷機を使わずに作る校正(プリプレスプルーフ。簡易校正とも呼ばれます)は、品質が安定し、時間と費用を抑えられる方法と説明されています。用語集では、色校正の方法が校正機からデジタルの出力機へ移ってきたことにも触れています。
簡易校正で気をつけたいのは、専用紙に出すことが多く、本番の紙の質感や、インキのしみ込み方までは確かめられない点です。「簡易校正で良かったのに、刷り上がりが少し沈んで見えた」ということは起こりえます。
色校正の費用は何で変わるか
色校正の費用は、方法と条件で大きく変わるため、一律の相場は示しにくいものです。次の要素で金額が決まります。
- 方法:本機校正は版を作って印刷機を動かすため、簡易校正より高くなります
- 色数と面数:4色か特色か、片面か両面か
- 大きさ:ポスターなど大きいものほど高くなります
- 紙:本番の紙を使うか、専用紙か
- 部数と回数:校正紙を何部出すか、色を直して再校正(再校)を何回するか
公開されている料金の一例として、ある印刷通販の料金表では、特色1色・片面・10枚の本機校正が、A6までで6,610〜7,630円、B1までで14,720〜16,760円(出荷までの日数で変わります。2026年10月時点で表示されている金額で、税の扱いは表に明記なし。両面は2倍)となっています。4色のフルカラーや、町の印刷会社に頼む場合は条件が変わるため、見積もりの段階で「校正の方法・部数・回数」を分けて書いてもらうと比べやすくなります。
日数も同じで、本機校正は版を作るぶん、簡易校正より日程が延びます。納期が決まっている印刷物は、校正の日数と、色を直した場合の再校の日数まで含めて逆算しておきます。印刷会社の選び方や注文の流れは印刷の発注の仕方にまとめています。
印刷物ごとの選び方
| 印刷物 | おすすめの校正 | 理由 |
|---|---|---|
| 商品パッケージ | 本機校正 | 店頭で並ぶ色が売上に関わる。紙や加工の影響も大きい |
| 会社案内・パンフレット | 本紙の簡易校正か本機校正 | ロゴの色や写真の肌の色を確かめたい |
| チラシ(大量部数) | 簡易校正 | 部数が多く単価を抑えたい。色の傾向が分かれば足りることが多い |
| 名刺・封筒の増刷 | 前回の印刷物を見本にして省くことも | 同じデータ・同じ紙なら色のぶれは小さい |
| 社内資料 | PDFでの確認 | 色より文字と構成の確認が中心 |
コーポレートカラーが決まっている会社は、色の値を毎回同じにして入稿し、前回の印刷物を見本として渡すと、校正での差が小さくなります。色の決め方はコーポレートカラーの決め方を参考にしてください。
届いた校正紙の見方
校正紙は、次の手順で見ると見落としが減ります。
- 見る場所を決める:窓際の昼の光か、色を見るための照明の下で見ます。夜の蛍光灯の下だけで判断しないようにします
- 比べるものを用意する:前回の印刷物、色見本帳、商品の実物など、「この色に合わせたい」という基準を横に置きます。画面と比べるのは避けます
- 大事なところから見る:ロゴの色、商品の色、人の肌の色、白い部分のくすみの順に確かめます
- 全体の濃さを見る:写真が暗く沈んでいないか、黒い文字が読みやすいかを見ます
- 直してほしい点を言葉で書く:「ロゴの青が前回より紫寄り。前回の印刷物に合わせてほしい」のように、どこを・何に合わせて・どちらへ直すかを書きます
- 校了か再校かを決める:直しが軽ければ印刷会社の責任で直して進めてもらう「責了」、色を見直したいときは再校を頼みます
校正紙を見るときのチェックリスト
- ロゴの色が、決めている色や前回の印刷物と合っているか
- 商品の色が、実物と比べて不自然でないか
- 人の肌の色が、赤すぎたり黄色すぎたりしていないか
- 白地がくすんでいないか、背景の薄い色が飛んでいないか
- 文字の誤りの最終確認も済んでいるか
まとめ
色校正は、本番の前に試し刷りで色を確かめ、「この色で刷ってよい」と決めるための工程です。本番に最も近いのは本機校正、安く早いのは簡易校正で、印刷物の目的と納期に合わせて選びます。費用は方法・色数・大きさ・紙・回数で変わるので、見積もりでは校正の条件を分けて書いてもらいましょう。校正紙は、昼の光の下で、前回の印刷物や実物と並べて見るのが基本です。
Lapisデザインラボでは、印刷物のデザインから印刷会社への入稿・校正の確認までご相談いただけます。費用の目安はお見積もりからお問い合わせください。
よくある質問
色校正は必ず出したほうがよいですか。
必須ではありません。社内向けの資料や、前回と同じデータでの増刷なら、校正を省くことも多くあります。一方、商品パッケージやコーポレートカラーが大事な会社案内など、色の違いが売上や信用に関わる印刷物は、校正を出しておくと安心です。
本機校正と簡易校正はどちらがよいですか。
本番に近いのは本機校正です。本番と同じ印刷機と紙で刷るため、仕上がりにいちばん近い色を見られますが、版を作るぶん費用と日数がかかります。簡易校正は安く早く出せる一方、紙や刷り方が本番と違うことがあるため、色の傾向をつかむ用途に向いています。
モニターで見た色と印刷の色が違うのはなぜですか。
画面は光の三原色(RGB)で、印刷はインキの4色(CMYK)で色を表すため、画面で出せても印刷では出せない色があります。紙の種類や、見るときの照明でも色は変わって見えます。色校正は、こうした違いを本番の前に確かめるための工程です。