外注した記事の納品チェック|受け取る前に確かめる項目
記事の作成を外に頼むと、毎月、原稿が届きます。忙しいと、ざっと目を通してそのまま公開しがちですが、記事は自社のサイトに載った時点で自社の発信になります。事実の誤りや、ほかのサイトの文章の写し、法律に触れる表現が見つかれば、困るのは書いた会社ではなく載せた会社です。
この記事では、外注した記事を受け取る前に確かめることを、依頼との一致、事実と数字、コピペ(ほかの文章の写し)、引用と画像の権利、表現の決まり、形式の6つに分けて整理します。受け取りの手順、直してもらうときの伝え方、そのまま使える納品チェックリストも付けました。契約の中身(著作権の譲渡や AI の利用の決め方)は別の記事で扱っているので、ここでは届いた原稿の受け取り方に絞ります。
納品チェックの全体像
| 分野 | 確かめること | 必要なもの |
|---|---|---|
| 依頼との一致 | 狙う検索語、読者、文字数、構成、禁止事項が依頼どおりか | 依頼書(発注書・構成の指示) |
| 事実と数字 | 金額、日付、制度、自社の情報が正しいか | 出典の一覧、自社の資料 |
| コピペ | ほかのページの文章をそのまま、または少し変えて使っていないか | 検索、文章の比較のツール |
| 引用と画像 | 引用の形が正しいか、画像の出所と使ってよい範囲 | 画像の出所の一覧 |
| 表現の決まり | 景品表示法・薬機法に触れる言い回しが無いか | 自社の業種の決まりの知識 |
| 形式 | 見出し、表記、リンク、表、題名と説明文 | 表記のルール |
すべてを一人で見る必要はありません。たとえば、事実と自社の情報は現場の担当、表現の決まりは広報や管理の担当、形式はサイトの担当、というように分けて確かめる会社もあります。
受け取りの手順
- 届いた日を記録し、契約で決めた確認の期間(「納品から〇日以内」など)を確かめる
- 依頼書と並べて、検索語、構成、文字数、禁止事項を確かめる
- 気になる文を検索し、コピペが無いかを確かめる
- 数字、制度、自社の情報を、出典と社内の資料で一つずつ確かめる
- 業種に関わる表現の決まりに触れる言い回しが無いかを読む
- 画像、リンク、表記、見出しを確かめる
- 直してほしい点を一覧にして、まとめて一度で伝える
- 直った原稿を確かめ、受け取ったことを書面かメールで伝える
確認の期間を過ぎると受け取ったものとみなす契約もあるので、1 の期間の確かめは後回しにしないようにします。
依頼どおりかを確かめる
品質の確認は、まず「依頼したものが届いたか」から始めます。
- 狙う検索語が題名と最初の段落に入っているか
- 想定した読者に向けて書かれているか(専門家向けの言葉ばかりになっていないか)
- 指定した構成の見出しが、抜けずに入っているか
- 文字数が指定の範囲に入っているか。文字数を満たすための言い換えの繰り返しが無いか
- 書かないでほしいと伝えたこと(競合の名前、扱っていない商品など)が入っていないか
- 自社の言葉づかい(です・ます、商品名の書き方)に合っているか
依頼書があいまいだと、ここで食い違いが起きます。食い違いが多いときは、原稿を直してもらう前に依頼書の書き方を見直すほうが早いこともあります。
事実と数字を確かめる
数字と制度、自社の情報は、次の点を確かめます。
- 出典を出してもらう:金額の相場、統計、制度に触れた箇所には、どの資料を見たかを書き添えてもらう。官公庁や公式のヘルプなどの一次資料かどうかも見る
- 日付を見る:制度や料金は変わります。出典の更新日と、記事の書き方(「〇年〇月時点」など)が合っているか
- 自社の情報:料金、営業時間、所在地、サービスの中身は、書き手が古い情報を拾っていることがある。社内の資料と照らす
- 言い切りすぎ:「必ず」「絶対に」「誰でも」と書かれた箇所は、根拠があるかを見る
コピペ(写し)を確かめる
文化庁の著作権テキストは、AI を使って作った場合でも、著作権の侵害になるかどうかは AI を使わない通常の場合と同じように判断され、その物差しは、ほかの著作物と似ているかという「類似性」と、それをもとにしたかという「依拠性」だと説明しています。書き手が AI を使ったかどうかに関わらず、受け取る側の確かめ方は同じです。
コピペの確かめ方には、次のようなものがあります。
| 方法 | やり方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 一文で検索 | 気になる一文を引用符で囲んで検索し、同じ文の載ったページを探す | 言い回しを少し変えた写しは見つけにくい |
| 文章の比較のツール | 原稿を入れると、ネット上の文章との似ている箇所を示す。有料・無料がある | 一致の割合だけで判断しない |
| 参考にしたページとの比較 | 書き手が参考にしたページを聞き、並べて読む | 構成や段落の流れまで似ていないかを見る |
Google の検索ヘルプでは、単語やフレーズを引用符で囲むと完全に一致するものを検索できるとしています。
一致した箇所があっても、すぐに問題とは限りません。文化庁のテキストは、単なる事実やデータ、ありふれた表現は著作物に当たらないとしています。制度の名前や決まった言い回しが一致するのは自然なことです。見るべきなのは、説明の文章や表現の工夫まで、ほかのページと同じになっていないかです。
Google のスパムに関するポリシーも、ほかのサイトのコンテンツを、元のソースを示さず独自の価値も加えずに転載することや、語句を類義語に置き換えるなど少しだけ変えて転載することを、不正な行為の例に挙げています。
引用の形を確かめる
ほかの文章を引用している箇所は、かぎかっこなどで本文と分けられているか、出所が書いてあるか、自分の文章が主で引用が従になっているか、必要な範囲にとどまっているかを見ます。引用の条件はホームページの文章の著作権で詳しく説明しています。
表現の決まりを確かめる
消費者庁は、景品表示法の優良誤認表示(品質などを実際よりも著しく良く見せる表示)について、わざと偽った場合だけでなく、誤って表示してしまった場合でも規制されると説明しています。また、消費者庁は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、出せなければ不当表示とみなされる仕組みがあります。記事の中の「No.1」「業界最安」「効果が実証」といった言い回しは、根拠の資料が社内にあるかを確かめます。書き方の決まりはホームページの表現と景品表示法にまとめています。
2023年10月1日からは、広告であるのに広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングも景品表示法の違反になりました。ほかのサイトに載せてもらう記事や、第三者の体験談の形をとった記事を頼んでいる場合は、広告であることが分かる形になっているかを見ます。
医薬品・化粧品・医療機器などに触れる記事や、健康食品で体への効き目をうたう記事では、薬機法の広告の決まりが関わります。厚生労働省が示す条文では、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの効能や効果について、誰であっても虚偽や誇大な記事を広告してはならないとされ(66条)、承認を受けていない医薬品などの効能の広告も禁止されています(68条)。書ける範囲は化粧品・健康食品のサイトで使えない表現で説明しています。
画像と形式を確かめる
- 画像:素材写真なら、どのサービスの、どの条件の素材かを一覧でもらう。書き手が撮った写真や作った図は、使ってよい範囲を確かめる
- リンク:記事の中のリンクが切れていないか、関係の無いサイトへのリンクが入っていないか
- 見出し:見出しの順番が飛んでいないか(大きな見出しの下に小さな見出し)
- 表記:数字の全角と半角、商品名、送り仮名が社内の決まりにそろっているか
- 題名と説明文:検索結果に出る題名と説明文が、記事の中身と合っているか
直してもらうときの伝え方
直してほしい点は、「依頼と違う・誤っている」ものと、「読んでみて変えたくなった」ものに分けて伝えます。前者は書き手が直すべき不備で、後者は新しい希望です。後者を修正の回数に数えるかどうかは契約によります。修正の回数の考え方はデザインの修正は何回までで説明しています。
| 種類 | 例 | 伝え方 |
|---|---|---|
| 不備 | 数字の誤り、依頼した見出しの抜け、写しの疑い | 箇所と理由、正しい情報を添える |
| 新しい希望 | 構成の入れ替え、事例の追加 | 不備と分けて、追加の扱いを相談する |
AI の利用を契約で決めている場合は、届いた原稿の申告がその決まりに沿っているかも確かめます。契約で決めておく項目は記事の作成代行の契約で確かめることにまとめています。
納品チェックリスト
- 契約で決めた確認の期間を確かめた
- 狙う検索語、読者、構成、文字数が依頼どおり
- 書かないでほしいと伝えたことが入っていない
- 数字と制度に出典があり、出典の中身と合っている
- 料金、営業時間、サービスの中身などの自社の情報が正しい
- 気になる文を検索し、ほかのページの文章の写しが無い
- 引用の箇所が本文と分けられ、出所が書いてある
- 画像の出所と使ってよい範囲が分かっている
- 根拠の無い「No.1」「最安」「必ず」などの言い回しが無い
- 業種に関わる表現の決まり(薬機法など)に触れていない
- リンク、見出し、表記がそろっている
- 直す点を「不備」と「新しい希望」に分けて伝えた
Lapisデザインラボの SEO の月額には、取材や資料をもとにした記事の作成が含まれています。作業の中身は運用・集客サポートに載せています。記事だけのご依頼も、1本 110,000円(取材または資料をもとに 5,000字程度。狙う検索語を 1 つ伺い、検索の結果を見てから構成を作ります)で承ります。記事の著作権は、代金のお支払いが済んだらお客様に譲ります。
よくある質問
外注した記事は、受け取る前に何を確かめればよいですか。
依頼したとおりの中身か、事実と数字が正しいか、ほかの文章の写しが無いか、引用と画像の扱いが正しいか、景品表示法や薬機法に触れる表現が無いか、見出しやリンクなどの形式がそろっているかの6つに分けて確かめると、漏れが少なくなります。
記事のコピペは、どうやって確かめますか。
気になる一文を引用符で囲んで検索すると、同じ文の載ったページを探せます。文章の似ている度合いを調べる有料・無料のツールもあります。ただし、事実やありふれた言い回しは一致しても問題にならない場合があるので、一致した箇所を目で見て、ほかの文章の表現をそのまま使っていないかを判断します。
記事の表現が法律に触れていた場合、責任は誰にありますか。
景品表示法は、商品やサービスを売る事業者の表示を対象にしています。記事を書いたのが外の会社でも、自社のサイトで自社の商品やサービスについて述べていれば、自社の表示として問われることがあります。消費者庁は、誤って表示してしまった場合でも優良誤認表示に当たれば規制されると説明しているので、公開する前に自社で確かめます。