AIで作った画像を会社のサイトや販促物に使うときの注意点

/ Lapisデザインラボ

画像生成AIを使えば、ホームページの挿絵やチラシのイラスト、バナーの背景などを手早く作れます。素材写真を探したり、イラストを頼んだりする手間が省けるので、会社の販促に使いたいと考える人は多いと思います。一方で、「商用利用してよいのか」「著作権はどうなるのか」がはっきりせず、使うのをためらっている担当者もいるはずです。

この記事では、AIで作った画像を会社のサイトや販促物に使うときに確かめたいことを、文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)と「著作権テキスト(令和8年度版)」など、2026年10月時点で公開されている資料にそって説明します。AIの生成物の著作権や商標登録の考え方は、AIで作ったロゴの著作権と商標登録で詳しく扱っているので、ここでは画像を販促に使う場面での確認の手順を中心にまとめます。

この記事は一般的な説明で、個別の判断は弁護士などの専門家や、文化庁などの相談窓口に確かめてください。

生成するときと、使うときで判断が変わる

文化庁の著作権テキストは、AIを使って画像を作った場合でも、著作権の侵害になるかどうかは、人がAIを使わずに絵を描いた場合と同じように判断されると説明しています。侵害になるには、既存の作品と似ていること(類似性)と、その作品をもとにしたこと(依拠性)の両方が必要です。

チェックリストは、生成する段階と、生成した画像を使う段階を分けて考えるよう求めています。

段階考え方
生成する社内での検討の過程で作るなど、著作権法の例外の範囲なら許諾なしにできる場合がある
使う(サイトに載せる、チラシに刷って配る)例外の範囲外になることが多い。既存の作品の権利を侵害しないか確かめる必要がある

つまり、試しに作ってみるところまでは問題にならなくても、ホームページに載せたり、チラシに刷って配ったりする段階では、あらためて確かめる必要があるということです。チェックリストは、生成した時点で侵害にならなくても、利用する時点では別に検討が必要だとしています。

使う前に確かめる4つのこと

チェックリストの「AI利用者(業務利用者)」の項目から、会社が販促に画像を使う場面に当てはめると、次の4つが基本になります。

  1. サービスの利用規約を読む。 生成した画像を商用に使えるか、ほかの人の作品を入力することを禁じていないか、生成物の権利の扱いをどう定めているかを確かめます。無料の枠と有料の枠で条件が違うサービスもあります。
  2. 指示の出し方に気をつける。 既存の作品そのものを入力したり、作品の題名やキャラクターの名前などの固有名詞を指示に入れたりすると、その作品を知っていたことをうかがわせる事情になり、依拠性が認められやすくなるとチェックリストは説明しています。特定の作品に似せる目的で既存の画像を入力するときは、権利者の許諾が必要になる場合があります。
  3. 似た作品がないか確かめる。 仕上がった画像を使う前に、画像検索などで、既存の作品と似ていないかを確かめます。チェックリストは、生成AIでは、使う人が既存の作品を知らなくても、学習データに含まれる作品に似た画像ができることがあると注意しています。
  4. 作った過程を記録する。 使ったサービスと時期、指示の文(プロンプト)、元にした画像があればその出所を残しておきます。依拠していないことを説明する材料になります。

サービスの規約は、何を約束しているか

「商用利用可」とうたうサービスは多いですが、規約が約束しているのは、そのサービスで作った画像を商用に使ってもよい、という使い方の範囲です。生成した画像がほかの人の作品の権利を侵害しないことまで保証しているとは限りません。規約によっては、生成物の利用で問題が起きたときの責任を利用者が負うと定めていることもあります。

規約は改定されることがあるので、使った時点の規約の内容を控えておくと、後で確かめるときに役立ちます。規約の英語の原文と日本語の訳がある場合は、どちらが優先するかも見ておきます。

AIで作った画像に、会社の権利は生まれるか

文化庁は、AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合は、生成物に著作物性は認められないと考えられるとしています。創作的な寄与となりうるものがあれば、それがどの程度積み重なっているかなどを総合的に考慮して判断し、人が創作的な加筆や修正を加えた部分には、通常、著作物性が認められると考えられるとしています。

指示を出しただけの画像は、ほかの会社に同じような使い方をされても、著作権で止められない場合があると考えておきます。会社の顔になるロゴやキャラクターのように、独占して使いたいものは、AIの出力をそのまま使うのではなく、人の手で仕上げる、商標の登録を検討するなどの方法を考えます。詳しくはAIで作ったロゴの著作権と商標登録をご覧ください。

著作権のほかに気をつけること

実在の人物に似た画像:有名人や実在の人に似た人物の画像は、肖像権やパブリシティ権の問題になりえます。文化庁のテキストは、これらは法律ではなく判例で確立された権利で、パブリシティ権の範囲などはまだ明確になっていないと説明しています。特定の人に似せる指示はしないのが安全です。

実物と誤解させる使い方:AIで作った料理の写真や、施工の事例、店内のようすのような画像を、実際の商品やサービスの写真であるかのように見せて使うと、実際より良いものだと誤解させることになりかねません。商品やサービスの内容を実際より著しく優れていると見せる表示は、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。実物を伝える場面では実際の写真を使い、AIの画像はイメージであることが分かる場面にとどめます。

ロゴや商標の写り込み:生成した画像の中に、実在する会社のロゴや商品名のような文字が紛れ込むことがあります。細部まで拡大して確かめます。

社内で使うときのルールの項目の例

複数の人がAIの画像を作るなら、簡単なルールを決めておくと、確認の漏れを防げます。チェックリストも、社内のルールを作ることや、問題が起きたときの対応を前もって考えておくことを勧めています。項目の例は次のとおりです。そのまま使える書式ではないので、自社の使い方に合わせて決めてください。

  • 使ってよいサービスと、使うときの契約の枠(無料か有料か)
  • 指示に入れてはいけないもの(作品名、キャラクター名、作家名、実在の人物名、他社の画像)
  • 公開の前に確かめること(画像検索での似たものの確認、細部の確認)
  • 記録に残すこと(サービス、日付、指示の文、確認した人)
  • 使ってはいけない場面(商品やサービスの実物の写真の代わりなど)
  • 問題を指摘されたときの連絡先と、画像を外す手順

公開前のチェック

  • サービスの規約で、商用に使えることを確かめたか
  • 指示に作品名や実在の人物名を入れていないか
  • 画像検索で、似た作品がないかを確かめたか
  • サービス・日付・指示の文を記録したか
  • 実物の写真と誤解される使い方になっていないか
  • 他社のロゴや文字が写り込んでいないか

人が撮った素材写真を使う場合の注意は素材写真の使い方と注意点、名刺やチラシ、サイトの見た目をそろえる考え方は名刺・チラシ・サイトの見た目を揃える方法、表示の決まりはホームページの表現と景品表示法もあわせてご覧ください。デザインの制作の内容は、料金プランにまとめています。

よくある質問

サービスの規約で「商用利用可」となっていれば、AIで作った画像をそのまま使ってよいですか。

規約で商用利用が認められていても、それはサービスの使い方についての約束で、生成した画像がほかの人の作品の著作権を侵害しないことまで保証するものではありません。文化庁のチェックリストは、使う前に、既存の作品と似ていないかを画像検索などで確かめることを勧めています。

AIで作った画像に、会社の著作権はありますか。

文化庁は、AIへの指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合は著作物性が認められないとし、創作的な寄与がある場合はその積み重なりを総合的に考慮して判断するとしています。人が創作的な加筆や修正を加えた部分には、通常、著作物性が認められると考えられるとしています。ほかの会社に使われても止められない場合がある、と考えておきます。

AIで作ったイラストをチラシに使うとき、気をつけることは何ですか。

有名なキャラクターや作家の作風、実在の人物に似せる指示をしない、仕上がった画像が既存の作品と似ていないかを確かめる、使ったサービスと指示の文を記録しておく、の3つが基本です。商品や施工の写真のように見える画像を、実物の写真と誤解させる形で使わないことも大切です。

参考にした資料

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