ホームページ制作で追加費用が出る場面|契約前に決めておくこと
ホームページの制作で、契約のときの見積もりより最終の請求が増えることがあります。多くの場合、制作会社が後から料金を上乗せしたのではなく、見積もりの前提にした条件が、途中で変わったことが原因です。ページが1枚増えた、原稿が遅れて組み直しになった、公開の直前に確認する人が増えた。どれも、頼む側にとっては小さな変更に見えます。
この記事では、契約の後に追加の費用が出やすい場面を一覧にし、それぞれを契約の前にどう決めておけば防げるかを説明します。あわせて、制作の段階ごとの手戻りの大きさ、見積もりの前提として書いておく項目、「それは追加です」と言われたときの進め方と、変更の頼み方の例をまとめました。
途中でやめるときの精算や、デザインの修正回数そのものの決め方は、それぞれ別の記事で扱っています。ここでは「作る中身が増えたり変わったりしたとき」に絞ります。
追加費用は「見積もりの前提」が崩れたときに出る
ホームページの見積もりは、「この条件なら、この作業量になる」という前提の上に組み立てられています。前提とは、たとえば次のようなものです。
- 作るページの数と、それぞれのページの中身
- 原稿と写真を誰が、いつまでに用意するか
- デザインの案の数と、修正の回数
- 問い合わせフォームなどの機能と、その項目
- 打ち合わせの回数と、確認する人
この前提のどれかが変わると、作業量が変わり、費用も変わります。仕様変更(契約のときに決めた、作るものの中身を途中で変えること)が追加費用につながるのは、このためです。逆にいえば、前提が書面で決まっていれば、何が追加になるかも前もって分かります。
追加費用が出やすい場面の一覧
契約の後に追加になりやすい場面と、契約の前に決めておくことを表にまとめました。
| 場面 | 追加になる理由 | 契約の前に決めておくこと |
|---|---|---|
| ページを足す | デザインと組み立ての作業が増える | ページの一覧と、1ページを足すときの単価 |
| 原稿が遅れる・差し替える | 流し込んだ文章を入れ直し、配置を組み直す | 原稿の締め切りと、入稿の後の差し替えの扱い |
| 写真や素材を買う | 有料の素材の代金と、選ぶ手間がかかる | 写真を誰が用意するか、素材の代金の負担 |
| 修正の回数を超える | 契約に含まれた回数の外の作業になる | 回数の数え方と、超えたときの料金 |
| 機能を足す | 予約、会員、多言語などは設計から作業が要る | 必要な機能の一覧と、入れない機能 |
| フォームの項目を増やす | 入力の確かめや送信メールの設定が増える | 項目の一覧と、送り先のメールアドレス |
| 確認する人が増える | 意見が変わり、決まったことがやり直しになる | 最終的に決める人と、確認の窓口 |
| 打ち合わせが増える | 進行の管理の時間が増える | 打ち合わせの回数と、その方法 |
| 公開を急ぐ | 人を足したり、ほかの仕事を動かしたりする | 公開の日と、早めるときの扱い |
| 古いサイトから中身を移す | お知らせや事例の移し替えに手間がかかる | 移すページの数と、移し方 |
| 有料のサービスを使う | フォントや拡張機能、外部のサービスに利用料がかかる | 実費の扱いと、誰の名義で契約するか |
| 制作が止まって再開する | 担当の入れ替えや、思い出す手間がかかる | 保留の期限と、再開のときの扱い |
表のうち、最も起きやすいのは、ページの追加と原稿の差し替えです。原稿は「あとで直せばいい」と考えがちですが、ページのデザインは文章の量に合わせて組まれているので、量が大きく変わると配置からやり直しになります。原稿の用意の仕方はホームページの原稿の書き方とテンプレートで説明しています。
段階が進むほど、同じ変更でも高くつく
同じ変更でも、どの段階で頼むかで手戻り(すでに終えた作業のやり直し)の大きさが違います。
| 段階 | 変更の例 | 手戻りの大きさ |
|---|---|---|
| 構成を決めている間 | ページを1枚足す、並びを変える | 小さい。設計図を書き直すだけで済むことが多い |
| デザインを作っている間 | 載せる要素を足す、雰囲気を変える | 中くらい。作ったデザインの一部をやり直す |
| 組み立ての後 | ページの構成を変える、機能を足す | 大きい。デザインと組み立ての両方をやり直す |
| 公開の直前 | 文章を大きく入れ替える、ページを足す | 大きい。確かめ直しと公開の日の見直しが要る |
変えたいことに気づいたら、段階が進む前に伝えるほど費用は小さくなります。とくに、構成の設計図(ワイヤーフレーム)を確かめる段階は、変更の費用がいちばん小さい時期です。この段階で、社内の決める人に必ず見てもらいます。
「修正」と「仕様変更」の境目
追加費用でもめやすいのが、頼んだことが「修正」なのか「仕様変更」なのかの食い違いです。一般には、次のように分かれます。
- 修正:決めた形の中での調整。色の濃さ、文字の大きさ、写真の差し替え、文章の手直しなど
- 仕様変更:形そのものを変える、無かったものを足す。ページの追加、構成の変更、機能の追加、デザインの方向を変えることなど
修正には回数の上限があり、超えると追加になるのが一般的です。回数の数え方や超えたときの料金の決め方はデザインの修正は何回までで説明しています。
見積もりの前提として書いておく項目
契約の前に、次の項目が見積書か仕様書に書かれているかを確かめます。書かれていなければ、追記を頼みます。
- 作るページの一覧(ページの名前と、それぞれの中身)
- 原稿と写真を用意する側と、入稿の締め切り
- デザインの案の数と、修正の回数、回数の数え方
- 機能の一覧と、フォームの項目
- 確かめる端末とブラウザ
- 打ち合わせの回数と方法
- 公開の日と、その日を守るための条件
- 範囲の外の作業の扱い(事前に見積もりを出し、承諾してから作業する)
- ページを足すとき、回数を超えて直すときの単価
- 有料の素材やサービスの実費と、その名義
「ホームページ制作一式」とだけ書かれた見積もりでは、何が前提なのかが分かりません。項目ごとの読み方はホームページ制作の見積書の読み方で説明しています。
「それは追加です」と言われたときの進め方
制作の途中で追加だと言われたら、次の順で進めます。
- 何が前提から外れたのかを聞く:見積もりのどの項目の、どの条件を超えたのかを、具体的に説明してもらう
- 金額と、作業にかかる日数を書面でもらう:追加の作業で公開の日が動くかも確かめる
- 頼まない選択肢も考える:公開の後に回す、別の形で済ませる、今回は見送る
- 頼むなら、メールで承諾を残す:「〇〇の追加の作業を、〇円で依頼します」と書く
- 最後の請求で照らし合わせる:承諾した追加の作業と金額が、請求の明細と合っているかを見る
途中で頼みごとをしたときに「これは追加になりますか。追加なら、いくらですか」とその場で聞く習慣があれば、終わってから想定外の請求が届くことはほとんどありません。制作でよく起きるもめごと全体の防ぎ方はホームページ制作のよくあるトラブルと契約前の防ぎ方にまとめています。
変更を頼むときの書き方の例
変更を頼むときは、口頭で済ませず、次のような形でメールに書くと行き違いが減ります。
- 変えたいこと:会社概要のページに「沿革」の段を足したい
- 理由:採用の説明会で、会社の歴史を聞かれることが多いため
- 希望の時期:公開の日は動かしたくない。間に合わなければ公開の後でもよい
- 聞きたいこと:追加の作業になるか。なるなら、金額と日数
理由と希望の時期を添えると、制作会社は「今やるか、公開の後に回すか」「もっと手間の少ない形はないか」を提案しやすくなります。
頼む先が個人のときに知っておくこと
個人のフリーランスに頼む場合、2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法で、発注する事業者は、業務の内容や報酬の額などを、書面やメールで直ちに示すことが求められます。1か月以上の業務を頼む場合は、費用を負担せずに注文の内容を変えさせることも禁じられています。追加の作業を頼むときは、相手が個人でも会社でも、金額を決めてから頼むのが筋です。
まとめ
- 追加費用の多くは、見積もりの前提(ページ数、原稿、修正の回数、機能、確認する人)が途中で変わったときに出る
- 同じ変更でも、段階が進むほど手戻りが大きくなる。気づいたら早く伝える
- 見積書か仕様書に前提を書いてもらい、範囲の外の作業は事前に金額を聞く
- 追加と言われたら、何が前提から外れたかを聞き、金額と日数を書面でもらってから決める
Lapisデザインラボの制作の範囲と料金はプランと料金にまとめています。
よくある質問
見積もりの後に追加の請求が来るのは、よくあることですか。
珍しくはありません。多くは、ページ数・原稿・修正の回数など、見積もりの前提にした条件が途中で変わったときに出ます。前提を見積書に書いてもらい、範囲の外の作業は事前に金額を聞いてから頼むようにすると、終わってから想定外の請求が届くことはほとんど防げます。
仕様変更とは、どこからを言うのですか。
契約のときに決めた、作るものの中身(ページの数、機能、画面の構成など)を変えることです。決めた形の中での色や文字の調整は修正、形そのものを変えたり、無かったものを足したりするのは仕様変更として、別の見積もりになるのが一般的です。
金額を聞かずに頼んでしまった作業の請求は、払わなければいけませんか。
契約書の定めと、頼んだときのやり取りによって変わります。まず請求の明細と作業の中身を書面でもらい、契約の範囲に入っていたはずのものか、新しく頼んだものかを確かめます。そのうえで、金額の根拠を聞いて話し合います。以後は、頼む前に金額を聞く形に改めます。