不動産会社のホームページに要るページと物件情報の載せ方
不動産会社のホームページは、ほかの業種と大きく違う点があります。会社の紹介だけでなく、物件という「広告」を載せる場所でもある、ということです。物件の広告には、宅地建物取引業法と、業界の自主的な決まりである不動産の表示に関する公正競争規約(以下、表示規約)の定めがあり、ホームページも例外ではありません。
一方で、多くの不動産会社は、物件の集客を大手の不動産情報サイト(ポータルサイト)に頼っています。「ポータルに載せているのに、自社のホームページは要るのか」「何を載せればよいのか」と迷う方も多いと思います。この記事では、不動産会社のホームページに要るページ、物件情報の載せ方と広告の決まり、ポータルサイトとの分担をまとめます。個別の表示が決まりに合っているかどうかは、所属する団体や地域の不動産公正取引協議会に確かめてください。
ポータルサイトと自社のホームページの分担
| ポータルサイト | 自社のホームページ | |
|---|---|---|
| 役割 | 物件を探している人に見つけてもらう | 会社を比べている人に選んでもらう |
| 載せるもの | 物件の情報 | 会社の強み、地域、担当者、得意な取引、物件 |
| 見る人 | 条件で物件を探している人 | ポータルで物件を見た後、会社を確かめに来る人。売却や管理を頼みたい人 |
| 費用 | 掲載の料金 | 制作費と保守の費用 |
ポータルサイトで物件を見た人の多くは、問い合わせの前に、その会社のホームページを確かめます。特に、売却の相談や賃貸の管理の依頼は、物件ではなく会社を選ぶ取引です。自社のホームページは、こうした「会社を選ぶ人」に向けて作ると、役割がはっきりします。
不動産会社のホームページに要るページ
| ページ | 載せること |
|---|---|
| トップ | 得意な地域と取引(売買・賃貸・管理・売却の相談)、問い合わせの入口 |
| 会社概要 | 商号、所在地、代表者、宅地建物取引業の免許証番号、所属団体、営業時間、定休日 |
| 物件情報 | 取引できる物件。表示規約に沿った表示 |
| 売却の相談 | 査定の流れ、売却までの期間の目安、費用の説明、相談の窓口 |
| 賃貸の管理 | 管理の内容、オーナーへの報告、管理の料金の考え方 |
| 地域の情報 | 得意な地域の特徴、学校や交通 |
| スタッフ紹介 | 担当者の顔と名前、資格、得意な取引 |
| お客様とのやり取りの例 | 実際の取引の流れの例(個人が特定されない形で) |
| 問い合わせ | 物件の問い合わせ、売却の相談、管理の相談を分けた入口 |
会社概要の項目は、取引先や求職者も見ます。一般的な会社のホームページの項目は会社のホームページに載せる項目の一覧にまとめています。
物件情報の広告の決まり
宅地建物取引業法の定め
宅地建物取引業法では、広告について次のことが定められています。
- 誇大広告等の禁止(32条):物件の所在、規模、形質、利用の制限、環境、交通などの利便、代金や借賃などについて、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない
- 広告の開始時期の制限(33条):造成や建築の工事が終わる前は、開発の許可や建築確認など、必要な処分があった後でなければ広告をしてはならない
- 取引態様の明示(34条):広告をするときは、自社が売主なのか、代理なのか、媒介(仲介)なのかを明示しなければならない
おとり広告と更新日の表示
表示規約の21条では、次のような広告を「おとり広告」として禁じています。
- 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件の表示
- 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件の表示
- 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件の表示
不動産公正取引協議会連合会のおとり広告ガイドラインでは、ホームページや不動産情報サイトに載せる広告もこの「表示」に当たるとしたうえで、よくある例として、成約した物件を削除せずに更新を繰り返していた例を挙げています。そして、更新する期間を最長でも2週間とし、その間に契約済みと分かった物件はすみやかに削除することを徹底する必要があるとしています。
また、表示規約は、インターネットの広告の必要な表示事項として、「情報登録日又は直前の更新日及び次回の更新予定日」の表示を求めています。ガイドラインでは、これを広告の上部など見やすい位置に、見やすい大きさの文字で書く必要があるとされています。ホームページの物件のページを作るときは、この欄を最初から設計に入れておきます。
所要時間と用語
表示規約と施行規則には、細かな決まりがあります。ホームページの物件のページでよく関わるのは次のものです。
- 徒歩の所要時間:道路距離80メートルにつき1分として計算し、1分未満の端数は1分にする
- 「新築」:建築工事の完了後1年未満で、人が住んだことのないものをいう
- 最上級の言葉:「最高」「最高級」などの最上級を意味する言葉や、「格安」「掘出」などの言葉は、表示の内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を持っている場合を除き使えず、使う場合も根拠となる事実を一緒に表示する
物件の種類ごとに、必ず表示する事項も決まっています。どの項目が要るかは、表示規約の別表で確かめます。
物件のページの作り方
決まりを守りながら、見やすい物件のページにするには、次の点を押さえます。
- 更新の仕組みを先に決める:誰が、何日おきに、どの物件の状況を確かめて更新するか。成約した物件をすぐに消せる管理画面にする
- 必要な表示事項の欄を用意する:物件の種類ごとに入力の欄を分け、入れ忘れを防ぐ
- 更新日と次回の更新予定日を上の方に出す
- 取引態様を物件ごとに表示する
- 写真は現況を撮る:古い写真や、別の部屋の写真を使わない
- 周辺の施設までの距離は道路距離で
物件の数が多い会社では、ポータルサイトに載せる情報と、自社のホームページの情報を、一つの管理の仕組みから出す方法もあります。二重に入力すると、片方だけ更新が漏れる原因になるため、制作会社に相談する段階で、今の物件の管理の方法を伝えます。
売却と管理の相談を増やすページ
自社のホームページで特に力を入れたいのは、物件ではなく会社を選ぶ取引、つまり売却の相談と賃貸の管理の依頼です。こうした相談をする人は、次のことを知りたがっています。
- この会社は、自分の地域の物件を扱った経験があるか
- 相談したら、何をされるのか。しつこく営業されないか
- 査定から売却まで、どんな流れで、どのくらいかかるか
- 担当はどんな人か
担当者の顔と名前、地域の取引の経験、相談の流れを、分かりやすく載せます。売却の見込みの価格や期間を載せる場合は、誇大な表示にならないよう、条件や根拠を添えます。担当者の写真の撮り方はプロのカメラマンに撮影を頼むときの準備で説明しています。
問い合わせの入口を分ける
物件の問い合わせと、売却の相談、管理の相談では、聞くべき項目が違います。入口を分けると、答える側も準備がしやすくなります。
| 入口 | 聞く項目の例 |
|---|---|
| 物件の問い合わせ | 物件の番号、見学の希望日、連絡の方法 |
| 売却の相談 | 物件の種類と所在地、売却の時期の希望、連絡の方法 |
| 管理の相談 | 物件の種類と戸数、今の管理の状況、連絡の方法 |
最初の問い合わせで聞きすぎると、送る前にやめられてしまいます。項目の決め方は問い合わせフォームの項目の決め方にまとめています。
制作会社に伝えること
不動産会社のホームページを頼むときは、次のことを制作会社に伝えます。
- 主な取引(売買、賃貸、管理、売却の相談)と、得意な地域
- 物件の数と、今の管理の方法(ポータルサイトとの連携の有無)
- 物件の更新を誰がするか
- 物件の種類ごとに必要な表示事項
- 問い合わせの入口をいくつに分けるか
表示の決まりを制作会社が細かく知っているとは限りません。必要な表示事項は自社で一覧にして渡し、公開前に自社で確かめます。制作会社の選び方はホームページ制作会社の選び方で説明しています。
Lapisデザインラボのホームページ制作と、公開後の保守・更新の内容は、サービスと料金と運用・集客サポートに載せています。
よくある質問
不動産会社のホームページにも、広告の決まりは当てはまりますか。
当てはまります。不動産公正取引協議会連合会のおとり広告ガイドラインでは、ホームページや不動産情報サイトに載せる広告も、不動産の表示に関する公正競争規約でいう「表示」に当たると説明されています。宅地建物取引業法の誇大広告の禁止(32条)や、取引態様の明示(34条)も、ホームページの物件の広告に関わります。
成約した物件を、ホームページに載せたままにしてもよいですか。
取引できない物件を載せ続けると、おとり広告に当たるおそれがあります。不動産公正取引協議会連合会のガイドラインでは、情報の更新の期間を最長でも2週間とし、その間に契約済みと分かった物件は期間の前でもすみやかに削除することを徹底する必要がある、としています。成約した物件を「成約事例」として見せたい場合は、取引できる物件と混ざらない形で、成約済みであることが分かるように載せます。
駅から徒歩何分は、どう計算しますか。
不動産の表示に関する公正競争規約の施行規則では、徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして計算し、1分未満の端数は1分として表示すると定められています。直線の距離ではなく、実際に歩く道の距離で計算します。