会社のメールを独自ドメインにする方法|選び方と移すときの注意
会社の連絡にフリーメールや、インターネットの回線を契約したときのプロバイダのメールを使っている会社は少なくありません。始めたころはそれで困らなくても、取引先が増えると「このアドレスは本当にこの会社のものか」と見られる場面が出てきます。回線を乗り換えるとプロバイダのメールが使えなくなる、という困りごともあります。
この記事では、会社のメールを独自ドメイン(「info@会社名.co.jp」のように、自社で持つドメインを使ったアドレス)にする方法をまとめます。仕組み、メールを置くサービスの選び方、作るまでの手順、アドレスを変えるときの取引先への知らせ方、送ったメールを相手に届かせるための設定まで、順に説明します。
独自ドメインのメールにする理由
独自ドメインのメールにすると、次のような違いが出ます。
| 比べる点 | フリーメール・プロバイダのメール | 独自ドメインのメール |
|---|---|---|
| 相手からの見え方 | 個人のアドレスと見分けがつかない | アドレスを見れば会社が分かる |
| 回線や契約を変えたとき | プロバイダを変えると使えなくなる | ドメインを持ち続ける限り同じアドレス |
| 社員が辞めたとき | 個人の持ち物になりやすい | 会社がアドレスを止めたり引き継いだりできる |
| 役割のアドレス | 作りにくい | 「info@」「recruit@」などを作れる |
いちばん大きいのは、アドレスが会社の持ち物になることです。社員ごとのアドレスも、問い合わせの窓口のアドレスも、会社が作り、止め、引き継げます。担当が代わっても、取引先は同じアドレスに送り続けられます。
独自ドメインのメールの仕組み
独自ドメインのメールは、次の3つがそろって動きます。
- ドメイン:「会社名.co.jp」のような名前。ドメインを管理する事業者で取り、毎年更新する
- メールを置くサービス:メールを受け取って保管し、送り出すところ。レンタルサーバーや業務用のメールのサービス
- DNS の設定:「このドメインあてのメールは、このサービスに届けてください」という案内。MX レコードと呼ばれる設定が、その役割を持つ
ドメインとメールのサービスは、同じ会社で契約しても、別々の会社で契約してもかまいません。大事なのは、どちらも会社の名義で契約し、会社として管理画面に入れる状態にしておくことです。まだドメインを持っていない場合は、会社のドメインの取り方から始めてください。
メールを置くサービスの選び方
メールを置く先は、大きく3つに分かれます。
| 置き場 | 向いている会社 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| レンタルサーバーに付いているメール | ホームページと同じ契約でまとめたい、人数が少ない | 容量や迷惑メール対策はサーバーの仕様しだい。サーバーを移すとメールも移す作業が出る |
| Google Workspace | Gmail に慣れている、予定表や共有のファイルも一緒に使いたい | 人数(アカウント)ごとの月額。プランで容量が違う |
| Microsoft 365 | Outlook や Word・Excel を社内で使っている | 人数ごとの月額。プランで含まれるものが違う |
選ぶときに見るのは、次の点です。
- 人数と増え方:アカウントごとに月額がかかるサービスは、人数が増えると費用も増えます
- 使い慣れた画面:毎日使う道具なので、社員が慣れている画面のほうが移りやすい
- ホームページとの関係:レンタルサーバーのメールは、サーバーを乗り換えるときにメールも一緒に移すことになります。業務用のメールのサービスに分けておくと、サイトの引っ越しとメールを切り離せます
- 管理の手間:アカウントの追加と停止、パスワードの再設定を、社内の誰がするか
料金はプランや契約の期間で変わり、改定もあります。2026年10月時点の Google Workspace の料金のページでは、どのプランにも独自ドメインの業務用メールが含まれると書かれています。申し込む前に、各サービスの料金のページで最新の額を確かめてください。
作るまでの手順
Google Workspace でもレンタルサーバーでも、流れはおおむね同じです。
- ドメインを用意する:会社の名義で取る。すでにホームページのドメインがあれば、それを使う
- メールのサービスを申し込む:申し込みの画面で会社のドメインを登録する
- ドメインを持っていることを確かめる:サービスの案内に沿って、DNS に指定の値を入れる
- アドレスを作る:社員ごとのアドレスと、「info@」などの役割のアドレスを作る
- MX レコードを切り替える:DNS の MX レコードを、新しいサービスの値にする。古い MX レコードは消す
- 送受信を試す:社外のアドレスとの間で、送る・受けるの両方を試す
- パソコンとスマートフォンの設定:メールのソフトやアプリに新しいアカウントを入れる
5番の切り替えには時間がかかります。Google のヘルプでは、新しい MX レコードが認識されるまで最長で72時間ほどかかることがあるとされ、変更の間にメールが届かない時間が出るおそれがあるので、関係者に前もって知らせるよう書かれています。今のアドレスでやり取りしている最中に切り替える場合は、問い合わせの少ない日を選びます。
DNS の設定は、ドメインを管理している事業者の管理画面か、DNS を任せているサーバーの管理画面で行います。どこで設定しているか分からない場合は、先に確かめます。ホームページを制作会社に任せている場合は、DNS を触る前に必ず相談してください。サイトの表示に関わる設定と同じ場所にあるためです。
会社のメールアドレスを変えるときの移り方
フリーメールやプロバイダのメールから独自ドメインのメールへ移るときは、アドレスそのものが変わります。取引先に迷惑をかけない順番は、次のとおりです。
- 新しいアドレスで送受信できる状態にする
- 古いアドレスから、新しいアドレスへの転送を設定する(転送ができないサービスなら、しばらく両方を見る)
- 取引先とお客様に知らせる:メールの署名、案内のメール、請求書の欄外などで
- 紙と画面のアドレスを直す:名刺、会社案内、ホームページ、地図の店舗情報、求人の掲載
- ログインに使っているアドレスを変える:銀行、会計のソフト、通販や予約のサービス、ドメインやサーバーの管理画面など
- 古いアドレスに届くメールが無くなったのを確かめてから止める
いちばん漏れやすいのは5番です。各種のサービスのログインや、パスワードの再設定の連絡先に古いアドレスが残っていると、古いアドレスを止めたあとにログインできなくなります。アドレスを止める前に、そのアドレスで登録しているサービスを一覧にしておきます。
知らせる文面は、たとえば次のようにします。
このたび、当社のメールアドレスを変更いたしました。今後は【新しいアドレス】あてにお送りください。【古いアドレス】あてのメールも【日付】までは受け取れますが、お手数ですが連絡先のご登録の変更をお願いいたします。
送ったメールを相手に届かせる設定
独自ドメインのメールでは、送ったメールが相手の迷惑メールのフォルダに入らないようにする設定も、自社で持つことになります。代表的なのが SPF・DKIM・DMARC という3つの設定です。
Google の「メール送信者のガイドライン」では、2024年2月以降、Gmail の個人のアカウントあてに送るすべての送信者に、SPF か DKIM の設定を求めています。会社のメールを始めるときに、メールのサービスの案内に沿って SPF と DKIM を入れておくと、あとで困りません。ホームページの問い合わせフォームや、請求書を送るサービスが会社のアドレスで送っている場合は、それらも設定に含めます。設定の中身と、なりすましを防ぐ使い方は会社のメールのなりすまし対策で説明しています。
よくある失敗
- 制作会社や社員個人の名義でメールのサービスを契約していて、担当が代わったら管理画面に入れなくなった
- MX レコードを切り替えたが、古い MX レコードを消し忘れて、メールが届いたり届かなかったりした
- 古いアドレスをすぐに止めて、取引先のメールが戻るようになった
- 古いアドレスで登録していたサービスのパスワードを再設定できなくなった
- 問い合わせフォームの送り先を変え忘れ、問い合わせが古いアドレスに届き続けた
どれも、契約の名義と、古いアドレスの使い道を先に洗い出しておけば防げます。ドメインの名義の考え方はドメインとサーバーは誰の名義にすべきかにまとめています。
Lapisデザインラボの月額のサイト保守では、ドメインとサーバーの契約管理と更新手続きをお引き受けしています。ドメインはお客様の名義のままです。内容はサイト保守・更新に、名義の扱いは月額サービスの条件に載せています。
よくある質問
独自ドメインのメールを使うには、何が必要ですか。
会社のドメインと、メールを置くサービスの2つが要ります。メールを置く先は、レンタルサーバーに付いているメール、Google Workspace や Microsoft 365 のような業務用のサービスなどから選びます。そのうえで、ドメインの DNS(ドメインの行き先を決める設定)に、メールの届け先を示す MX レコードなどを入れると使えるようになります。
Google Workspace で独自ドメインのメールは使えますか。
使えます。Google Workspace のプランには、独自ドメインの業務用メールが含まれています。申し込みのときに会社のドメインを登録し、ドメインを持っていることの確認と、MX レコードの設定をします。Google のヘルプでは、MX レコードの変更が認識されるまで最長で72時間ほどかかることがあるとされているので、切り替えの日は余裕を持って決めます。
会社のメールアドレスを変えるとき、古いアドレスはすぐに止めてよいですか。
すぐには止めないほうが安全です。取引先の連絡先の登録や、各種のサービスのログインに古いアドレスが残っていることが多いためです。新しいアドレスを知らせたあとも、古いアドレスで受け取れる状態か、新しいアドレスへの転送をしばらく続け、届くメールが無くなったのを確かめてから止めます。