商品パッケージのデザインを頼むとき|費用と表示の決まり
自社で商品を作ったとき、売り場で手に取ってもらえるかどうかを左右するのがパッケージです。一方で、パッケージには見た目の前に法律で決まった表示を載せる必要があり、デザインを先に固めてしまうと、表示が入りきらずに作り直しになることがあります。
この記事では、パッケージやラベルのデザインを頼むときの費用の内訳と相場の目安、依頼から納品までの流れ、食品を中心に表示の決まり(義務表示・文字の大きさ・アレルゲン・識別マーク・JANコード)を整理します。表示の制度の数字は、2026年10月時点で公的機関が公開している内容によります。
費用の内訳と相場の目安
パッケージの費用は、大きく次の3つに分かれます。
| 内訳 | 内容 | 変わる要因 |
|---|---|---|
| 企画・設計 | 商品の位置づけ、売り場、競合の確認、形や材質の検討 | どこまで考えるところから頼むか |
| デザイン・制作 | 絵柄・ロゴの配置・表示の配置、印刷用のデータの作成 | 面の数、品目や味の展開の数、修正の回数 |
| 印刷・加工・容器 | 箱・袋・ラベルの印刷、型抜き、箔押しなど | 部数、形(既製の形か、型から作るか)、加工 |
比較サイトの公表値(PRONIアイミツ、2025年1月更新)では、企画・プランニングが5万〜15万円、デザイン・制作が3万〜20万円とされています。これに部数に応じた印刷・加工の費用が加わります。
費用の幅が大きいのは、頼む範囲がまったく違うからです。たとえば「既製の袋に貼るラベル1種類」と「箱の形から設計し、味ごとに色を変えた3種類」では、手間が何倍も違います。見積もりを取る前に、次の点を決めておくと比べやすくなります。
- 箱・袋・瓶・缶など、容器は何か。既製品を使うか、形から作るか
- 品目や味の展開はいくつか(展開ごとに色や表示が変わる)
- 表示の文案は自社で用意できるか
- 部数と、最初の発売日
依頼から納品までの流れ
- 商品と売り場の共有:誰に、どこで、いくらで売るか。並ぶ棚の写真や、隣に並ぶ競合の商品があれば見せる
- 容器と寸法の決定:既製の容器なら型番と展開図(箱を開いた形の図)をもらう。形から作るなら容器の会社と並行で進める
- 表示の文案の用意:原材料・アレルゲン・期限・保存方法などの表示を、事業者が文章で用意する
- デザイン案と修正:表示の場所を確保したうえで、正面の絵柄を決める
- 校正:表示の文字を1字ずつ確かめる。実物大で印刷し、容器に巻いて読めるか確かめる
- 入稿・印刷・納品:色の確認が大事な商品は、本番と同じ材質で試し刷りを頼む
表示の文案は、デザインに入る前に用意するのが失敗しないための要です。正面の絵柄を決めてから表示を入れようとすると、裏面の面積が足りず、文字を小さくしすぎて決まりを外れたり、正面のデザインを削ったりすることになります。
食品の表示の決まり
食品のパッケージは、食品表示法にもとづく食品表示基準で、載せる内容と書き方が決められています。一般用加工食品(消費者に売る加工食品)の主な義務表示は次のとおりです。
| 義務表示の項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 名称 | 「焼菓子」「ジャム」など、内容を表す一般的な名称 |
| 原材料名 | 重量の割合の多い順に |
| 添加物 | 原材料と区分して、重量の割合の多い順に |
| 内容量 | 重さ・容量・数 |
| 消費期限または賞味期限 | どちらかを年月日で |
| 保存方法 | 「直射日光・高温多湿を避けて保存」など |
| 食品関連事業者 | 表示に責任を持つ事業者の氏名または名称と住所 |
| 製造所 | 製造所の所在地と製造者の氏名または名称 |
| 栄養成分の量と熱量 | 熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量 |
このほか、アレルゲン、原料原産地名、遺伝子組換えに関する事項なども、条件に応じて表示します。
文字の大きさと場所
表示は、容器包装を開かなくても見やすい場所に、原則として8ポイント以上の文字で書きます。表示できる面積がおおむね150平方センチメートル以下の小さな容器では、5.5ポイント以上とすることができます。デザインを頼むときは、この大きさで表示が収まる面積を、最初に確保してもらいます。
アレルゲン(特定原材料)
表示が義務の特定原材料は、2026年4月1日の改正でカシューナッツが加わり、えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生の9品目になりました。カシューナッツは2028年3月31日までが表示の切り替えの期間です。ほかに、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」が20品目あり、今回の改正でピスタチオが加わっています。
アレルゲンの品目は見直しが続いているので、表示の文案を作るときは、その時点の消費者庁や都道府県の案内で確かめてください。
食品以外の商品
化粧品・医薬部外品・洗剤・衣類・雑貨などにも、それぞれ別の法律で表示の決まりがあります(化粧品なら医薬品医療機器等法、家庭用品なら家庭用品品質表示法など)。食品以外の商品は、その商品の分野の決まりを先に確かめます。
識別マークとJANコード
食品に限らず、パッケージに関わる決まりがほかにもあります。
識別マーク
プラスチック製や紙製の容器包装には、資源有効利用促進法にもとづいて、材質を示す識別マーク(プラマーク・紙マークなど)を表示する義務があります。分別して捨てやすくするための表示で、小さな事業者も対象です。対象となる容器包装やマークの大きさは、経済産業省のよくある質問で確かめられます。
JANコード
小売店やネット通販の売り場に並べるには、JANコード(商品の識別番号を表すバーコード)を求められることが多くあります。JANコードを付けるには、GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)にGS1事業者コードを登録する手続きが必要です。登録には更新があるので、担当者を決めておきます。
バーコードは、読み取れる大きさと、地の色との明るさの差が必要です。デザインの段階で、バーコードを置く場所と大きさを確保しておきます。
デザインを頼む前のチェックリスト
- 容器(箱・袋・瓶・ラベルなど)と、その展開図・寸法を用意した
- 品目や味の展開の数と、それぞれの違いを決めた
- 表示の文案(原材料・アレルゲン・期限・保存方法・事業者など)を用意した
- 表示の文字の大きさ(8ポイント以上、小さな容器は5.5ポイント以上)で収まる面積を確保する前提を伝えた
- 識別マーク・JANコードを置く場所を確保した
- 商品名やロゴを商標として使えるか確かめた(ロゴの商標登録は必要か)
- 色の確認が大事なら、試し刷りの方法を決めた(画面と印刷で色が違う理由)
まとめ
パッケージデザインの費用は、企画・デザイン・印刷と加工に分かれ、頼む範囲で大きく変わります。食品のパッケージは、義務表示の文案と文字の大きさ(原則8ポイント以上)を先に決め、その面積を確保してから正面のデザインを考えます。アレルゲンは2026年4月から9品目になりました。入稿の確認は印刷の入稿データで失敗しないために、紙や加工は紙と加工の選び方を参照してください。
Lapisデザインラボでは、ロゴと合わせた商品のラベルや印刷物のデザインもご相談いただけます。内容はお見積もりからお問い合わせください。
よくある質問
パッケージデザインの費用は、どれくらいかかりますか。
形と工程で大きく変わります。比較サイトの公表値(PRONIアイミツ、2025年1月更新)では、企画・プランニングが5万〜15万円、デザイン・制作が3万〜20万円とされ、これに印刷・加工の費用が部数に応じて加わります。ラベル1枚のデザインと、箱の形から作る場合では桁が変わるので、何をどこまで頼むかを決めてから見積もりを取ります。
食品のパッケージに必ず書かなければいけないことは何ですか。
一般用加工食品では、名称・原材料名・添加物・内容量・消費期限または賞味期限・保存方法・食品関連事業者の氏名または名称と住所・製造所の所在地と製造者・栄養成分の量と熱量などが義務表示です。アレルゲンや原料原産地名も条件に応じて表示します。文字は原則8ポイント以上(表示できる面積がおおむね150平方センチメートル以下なら5.5ポイント以上)です。
表示の内容は、デザイナーが確かめてくれますか。
表示の内容が正しいかの責任は、商品を売る事業者にあります。デザイナーは、決められた文字の大きさや配置で見やすく収める役です。原材料・アレルゲン・期限などの表示の文案は、事業者が作り、必要なら保健所や食品表示の専門家に確かめてからデザインに入れてください。