京都市で看板を出すときの決まり|屋外広告物の規制と色
京都市で店や事務所の看板を出すときは、ほかの多くの都市より細かい決まりがあります。高さ、大きさ、形だけでなく、使える色の鮮やかさまで地域ごとに決まっていて、全国で使っているロゴの色をそのまま看板にできないこともあります。看板を作ってから基準に合わないと分かると、作り直しになります。
この記事では、京都市で看板を出すときの決まりを、許可が要る場合、高さと屋上の看板、色の基準、照明と形の決まり、申請の流れと更新・点検の順に整理します。内容は、京都市が公開している「京の景観ガイドライン 広告物編」(2026年3月改訂版)と、2025年6月1日施行の「京都市屋外広告物等に関する条例」の案内によります。看板の依頼の進め方や費用の内訳のような全国共通の話は看板デザインを頼むときの流れと費用の目安で扱っているので、ここでは京都市の決まりに絞ります。実際の計画では、必ず京都市の窓口(都市計画局 広告景観づくり推進課)で確かめてください。
京都市の屋外広告物の決まりの全体
京都市は、1956年(昭和31年)から屋外広告物法にもとづく条例を定め、屋外広告物を出すときに市長の許可を義務づけてきました。2007年(平成19年)9月の新景観政策で、建物の高さやデザインの規制とあわせて、屋外広告物の制度も大きく見直されています。
市内の全域が、次のどれかに指定されています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 屋外広告物禁止地域 | 原則として屋外広告物を出せない地域 |
| 屋外広告物規制区域(21種) | 地域の景観に応じて、高さ・面積・形・色の基準が違う |
| 屋外広告物等特別規制地区(7地区) | 産寧坂・祇園新橋・先斗町など、個別の基準がある地区 |
京都市のガイドラインでは、商業・業務の中心である都心部ではある程度の高さや面積を認め、三方の山すそに近づくほど基準を厳しくする考え方が示されています。自分の店の場所がどの区域に入るかは、京都市の「京都市景観情報共有システム」で調べられます。
許可が要る場合
京都市のガイドラインでは、規制区域と特別規制地区で屋外広告物を出すときは、事前に許可申請をして市長の許可を受ける必要があるとされています。
- 許可が要らない場合もある:区画(敷地)の中に出す屋外広告物の総面積が2平方メートル以内の場合などは、許可が要らないことがあります
- ほかの店の看板も合算する:京都市のよくある質問では、同じ建物にほかの店の看板がすでにある場合、その面積も合算して判断し、新しい看板で総面積が2平方メートルを超えるときは、既存の看板も含めて申請が必要になるとされています
- 許可が要らなくても基準は守る:許可の要否に関わらず、高さ・面積・色などの基準に合わせる必要があります
- 短い時間の看板も対象:1日のうち数時間だけ出す看板でも、屋外広告物として許可が必要とされています
- 文字だけでなく色も広告物:文字・マーク・写真に加え、コーポレートカラーのようにイメージを思い起こさせるものも屋外広告物に含まれます
電柱や街灯、信号機などには、原則として広告物を出せません。
高さ・屋上の看板・形の決まり
高さ
建物に付ける看板は、区域ごとに定めた基準の高さと、建物の高さの3分の2の高さ(10メートル以下になる場合は10メートル)の、低いほうまでに出せます。さらに、建物の軒の高さを超えて出すことはできません。
屋上の看板は市内全域で禁止
屋根の上など屋上に置く看板は、京都市の全域で禁止されています。パラペット(屋上の縁の立ち上がり)も、一般的に軒の高さを超えるため、看板を出せません。
形と照明
- 点滅する照明・回転灯は禁止:光が動く照明の付いた看板は、市内で使えません
- 道路の上への突き出し:袖看板の出幅などに決まりがあり、道路の上に突き出す場合は道路の占用の手続も必要です
- 壁からはみ出さない:突き出す看板でも、壁面の上下にはみ出す出し方はできません
- 窓と壁にまたがらない:窓(開口部)と壁にまたがる看板は出せず、看板を重ねて出すこともできません
切り文字の看板の緩和
一定の基準を満たす切り文字の看板(板が無く、文字だけで作る看板)は、基準の高さを超えて出せる緩和があります。ただし、原則として名称を文字で出すためのもので、ロゴマークだけを出すことはできず、ロゴマークを入れる場合は文字と同じ大きさで並べるとされています。照明は白か淡い色の1色で、文字の色の鮮やかさにも基準があります。
色の基準(彩度)
京都市の看板の決まりで、もっとも特徴的なのが色です。
マンセル値の彩度で決まる
京都市は、色を「色相(色合い)・明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)」で表すマンセル値を使い、**色の鮮やかさ(彩度)**で基準を決めています。区域ごとに、次の2つが定められています。
| 色の区分 | 扱い |
|---|---|
| 規制対象色 | 彩度が一定より高い色。表示面の中で使える面積の割合が決まっている |
| 禁止色 | さらに鮮やかな色。使えない |
規制対象色を使える面積の割合は、区域によって次のように違います。
| 使える割合 | 主な区域 |
|---|---|
| 20%未満 | 第1種・第2種・第3種、歴史遺産型 など |
| 30%未満 | 第4種・第5種 など |
| 50%未満 | 第6種・第7種 など |
たとえば第2種地域なら、鮮やかな色を使う部分を表示面の20%未満にするか、地の色を白・ベージュ・クリームなど規制対象色でない色にします。文字の色も、地の色と調和させ、できるだけ規制対象色を避けるよう求められています。
ロゴの色をそのまま使えないことがある
京都市のガイドラインには、全国的な企業のコーポレートカラーであっても、京都にふさわしいデザインに変えるよう指導してきたことが書かれています。京都の街で、よく知られたチェーン店の看板が落ち着いた色になっているのはこのためです。看板の色を決めるときは、ロゴの色の値(マンセル値)が区域の基準に収まるかを、看板の製作会社に確かめてもらいます。基準に収まらない場合は、ロゴを白抜きにして地を落ち着いた色にするなど、看板用の色の組み合わせを決めておきます。会社の色の決め方そのものはコーポレートカラーの決め方を参照してください。
なお、着色していない木や石などの自然素材の色は、規制対象色や禁止色とはみなされません。伝統的な建物と調和した和風ののれんや、低い位置の小さな看板にも、色の基準の例外があります。
申請の流れと、更新・点検
申請の流れ
京都市のガイドラインに示されている流れは次のとおりです。看板を付ける前に許可を受ける必要があります。
- 看板の計画(区域と基準の確認)
- 許可申請書の提出
- 京都市による審査と、審査手数料の納入
- 許可通知書の受け取り
- 看板の施工・設置
- 完了届の提出
看板の設置の工事は、京都市に登録した屋外広告業者だけが市内で行えます。デザインを先に決めてしまわず、区域の基準を確かめてから看板の製作会社と進めます。
ほかの手続
京都市のよくある質問では、看板の形や大きさによって、次の手続も必要になるとされています。
- 道路の上に突き出す看板:道路法の占用の手続
- 高さ4メートルを超える広告塔や広告板:建築基準法の工作物の確認
- 防火地域で高さ3メートルを超える看板:主要な部分を燃えない材料で作る
- 景観地区・風致地区で建物の外観を変える場合:認定や許可の手続
3年ごとの更新と点検
許可の有効期間の後も看板を出し続けるには、継続の申請が必要です。京都市のガイドラインでは、3年ごとの更新の手続のときに「屋外広告物等点検報告書」の提出が必要とされ、上下の長さが4メートルを超える看板などは、資格のある人による点検が義務づけられています。許可が要らない看板でも、表示する人・管理する人などには、看板を管理し点検する義務があります。
やめるとき・前の店の看板が残っているとき
看板の表示をやめるときは、看板を支える物件ごと撤去し、写真を付けた除却届を出します。表示面を白地にしただけでは撤去にならず、意匠の変更の扱いになります。居抜きの物件で前の店の看板の枠が残っている場合は、その枠の扱い(誰の名義の許可か)を、貸主と京都市の窓口に確かめます。
京都市で看板を作る前のチェックリスト
- 店の場所がどの規制区域・特別規制地区に入るか確かめた
- 同じ建物のほかの看板の面積も合わせて、許可の要否を確かめた
- 看板の高さが、基準の高さと軒の高さを超えない
- 屋上に置く計画になっていない
- ロゴや地の色の彩度が、区域の規制対象色・禁止色の基準に収まる
- 点滅する照明を使っていない
- 道路の占用・工作物の確認など、ほかの手続の要否を確かめた
- 京都市に登録した屋外広告業者に設置を頼む
- 3年ごとの更新と点検の予定を入れた
まとめ
京都市で看板を出すときは、許可が要らない場合を除き市長の許可が必要で、許可が要らなくても高さ・面積・色の基準を守ります。屋上の看板と点滅する照明は市内全域で使えず、色は彩度で規制対象色と禁止色が区域ごとに決まっています。ロゴの色をそのまま使えないこともあるので、看板のデザインは区域の基準を確かめてから決め、付けた後は3年ごとの更新と点検を忘れないでください。開業の準備全体の中での看板の順番は開業前に用意するデザインの一覧にまとめています。
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よくある質問
京都市で自分の店の看板を出すのに、許可は必要ですか。
京都市では、許可が要らない場合を除き、屋外広告物を出すには市長の許可が必要です。京都市の案内では、同じ区画(敷地)に出す屋外広告物の総面積が2平方メートル以内の場合などは許可が要らないことがあるとされていますが、同じ建物にほかの店の看板があれば、その面積も合算して判断します。許可が要らない場合でも、高さ・面積・色などの基準には合わせる必要があります。
京都市の看板で使えない色はありますか。
京都市では、色の鮮やかさ(マンセル値の彩度)で「規制対象色」と「禁止色」を規制区域ごとに定めています。規制対象色は、表示面の中で使える面積の割合が区域ごとに決まっていて(20%未満から50%未満)、禁止色は使えません。全国チェーンのコーポレートカラーであっても、京都にふさわしい色に変えるよう指導されることがあります。着色していない木や石などの自然素材の色は対象になりません。
京都市で看板の許可を取ったあと、更新は必要ですか。
必要です。京都市の案内では、許可の有効期間の後も看板を出し続ける場合は継続の申請が必要で、3年ごとの更新の手続のときに「屋外広告物等点検報告書」の提出が求められます。また、看板の表示をやめるときは、看板を支える物件ごと撤去して除却届を出します。表示面を白地にしただけでは撤去したことになりません。