制服やエプロンにロゴを入れる|刺繍とプリントの違いと渡すデータ
お店のエプロンや、現場の作業着、受付の制服にロゴを入れると、働く人が店や会社の顔になります。ただ、注文先に問い合わせると「刺繍にしますか、プリントにしますか」「データはありますか」と聞かれ、何を基準に選べばよいか迷う方も多いはずです。
この記事では、制服やエプロンにロゴを入れるときの方法として、刺繍と主なプリント(シルクスクリーン・インクジェット・昇華)の違いを一覧にし、枚数・色数・生地で選ぶ手順をまとめます。そのうえで、刺繍に向くようにロゴを直す考え方、注文先に渡すデータ、注文の流れとチェックリストを説明します。
金額は注文先や枚数で大きく変わるため、ここでは金額を挙げず、何で費用が変わるかを書いています。
刺繍とプリントの違い
ロゴの入れ方は、糸で縫う刺繍と、インクで刷るプリントに大きく分かれます。プリントには、版を作って刷るシルクスクリーン、版を作らずインクジェットで刷る方法、熱でインクを生地に移す昇華などがあります。
| 方法 | 仕組み | 向く枚数 | 色数・表現 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 刺繍 | 糸で縫ってロゴを表す | 数枚〜。刺繍用のデータを一度作れば追加しやすい | 糸の色数に限りがあり、グラデーションや写真は不向き | 立体感と高級感があり、耐久性があって長持ちする |
| シルクスクリーン | 色ごとに版を作り、インクを刷る | まとまった枚数 | 少ない色数のはっきりしたデザイン向き。色が増えると版も増える | 同じデザインを多く刷るほど1枚あたりが下がる |
| インクジェット | 版を作らず、生地に直接インクを吹き付ける | 1枚から | 色数が多いデザインや写真も刷れる | 少ない枚数や、枚数が決まっていないときに向く |
| 昇華 | 熱でインクを生地に染み込ませる | 1枚から | 色数が多いデザインも刷れる | 色落ちしにくいが、この方法で刷れない生地がある |
この一覧は、刺繍とプリントの方法を解説した注文サービスの案内をもとにまとめています。たとえばある注文サービスの解説では、シルクスクリーンは1つの版で1種類のデザインしか刷れず、同じデザインで15枚以上の注文から検討をすすめています。インクジェットは版が要らず事前の費用がかからない一方、大量の注文では割高になりやすいとしています。
枚数・色数・生地での選び方
迷ったときは、次の順に考えると決めやすくなります。
- ロゴの色数と形:2〜3色までで形のはっきりしたロゴなら、刺繍もシルクスクリーンも候補になります。グラデーションや写真を含むなら、インクジェットか昇華です
- 枚数と追加の頻度:スタッフの入れ替わりで1〜2枚ずつ追加する店は、追加しやすい刺繍かインクジェットが向いています。同じデザインを一度に多く作るならシルクスクリーンです
- 生地と着方:薄手の生地や伸びる生地に刺繍を入れる場合は、仕上がりを注文先に相談します。昇華は刷れない生地があるので、服の品番と素材を伝えて確かめます
- 洗う頻度:毎日洗う制服は、洗濯に強い方法を選び、注文先に耐久性を確かめます
| 使い方の例 | 合いやすい方法 |
|---|---|
| 飲食店のエプロン(ロゴは1〜2色) | 刺繍 |
| 現場の作業着の胸と背中(背中は大きく) | 胸は刺繍、背中はシルクスクリーン |
| イベントのスタッフTシャツ(多色のデザイン、1回限り) | インクジェットかシルクスクリーン |
| 少人数の事務所のポロシャツ(追加が少しずつある) | 刺繍 |
刺繍に向くロゴの直し方
刺繍は糸で面と線を埋めるため、画面で見たロゴをそのまま小さく縫うと、細部がつぶれることがあります。刺繍データの作り方を解説した海外の刺繍サービス(Gelato)の案内では、次の点を挙げています。
- 文字の高さは少なくとも0.25インチ(約6mm)にする
- 線の太さは0.05インチ(約1.3mm)をはっきり超える太さにする
- グラデーションや影の効果は刺繍では再現できないので、平らな単色にする
- 写真は刺繍のデータにできないので、ベクター形式の単純な絵柄にする
- 色を多く使うと仕上がりが崩れやすい(このサービスでは1デザインあたり6色まで)
細かい条件は注文先や機械によって違うので、必ず注文先の基準を確かめます。ロゴに細い文字の社名やキャッチコピーが添えてある場合は、刺繍では省くか、太い書体に置き換えた刺繍用の版を作ると、小さく入れてもきれいに仕上がります。ロゴの形を変えてよい範囲は、使用規定がある場合はそれに従います。
良い例と悪い例
- 良い例:左胸には、マークと店名だけを2色で入れた刺繍用の版を使う。細い英字のキャッチコピーは省く
- 悪い例:ホームページの見出しに使っているロゴの画像(PNG)を渡し、細い線と小さな文字までそのまま縫ってもらおうとする
注文先に渡すデータと情報
刺繍の機械に読み込ませるデータ(刺繍データ)は、注文先がロゴの元データをもとに作るのが一般的です。同じ案内では、縫い目の種類や向き、密度を人の手で決めて作るものと説明されており、同じロゴでも刺繍の方法が変われば別のデータが要るとしています。そのため、元になるデータをきちんと渡すことが大切です。
| 渡すもの | 内容 |
|---|---|
| ロゴの元データ | AIやPDFなどのベクター形式。画像(PNG・JPG)しかない場合は、注文先にトレースが必要か確かめる |
| 色の指定 | ロゴの色の番号(DICやCMYKの値など)。刺繍は、注文先の糸の色見本から近い色を選ぶ |
| 入れる位置 | 左胸・背中・袖・エプロンの胸当てなど。服の図に印を付けて渡す |
| 大きさ | 横幅を何mmにするか |
| 刺繍用・プリント用の版 | 小さく入れる場合の簡単にした版や、白黒の版 |
| 服の情報 | 品番・色・サイズごとの枚数。持ち込みの場合はその旨 |
ロゴのデータ形式の違いと、用途ごとに使う形式はロゴのデータ形式で説明しています。ペンやタオルなどの販促品に名入れするときの注意はノベルティ・販促品のデザインが参考になります。
注文の流れと費用が変わる所
- 服を選ぶ:品番、色、サイズごとの枚数を決めます。今後の追加の見込みも伝えます
- 入れ方と位置を決める:方法、位置、大きさを決めます
- データを渡す:上の表の内容をそろえて渡します
- 見本を確かめる:仕上がりのイメージ図、できれば縫い見本や試し刷りで、色と大きさを確かめます
- 本番と納品:納期は、服の取り寄せの日数も含めて確かめます
費用は、次の要素で変わります。
- 刺繍:刺繍データの作成(別料金の場合がある)、ロゴの大きさと縫う量、糸の色数、入れる位置の数、枚数
- シルクスクリーン:版の数(色の数)、刷る位置の数、枚数
- インクジェット・昇華:刷る面積、位置の数、枚数
- 共通:服の代金、持ち込みかどうか、納期
注文前のチェックリスト
- ロゴの元データ(AIかPDF)が手元にある
- 小さく入れる場合の、簡単にした版がある
- ロゴの色の番号が分かっている
- 位置と大きさを、服の図に書き込んだ
- サイズごとの枚数と、追加の見込みを伝えた
- 見本で色と大きさを確かめる段取りを入れた
まとめ
制服やエプロンのロゴは、色数の少ないロゴを長く着る服に入れるなら刺繍、多色や少ない枚数ならインクジェット、同じデザインを多く刷るならシルクスクリーンが候補です。刺繍は細い線や小さな文字が苦手なので、小さく入れる場合は刺繍用の版を用意し、注文先にはベクター形式の元データと、位置・大きさ・色の指定を渡しましょう。
Lapisデザインラボのロゴの制作では、刺繍やプリントの業者にそのまま渡せるロゴのデータ(AI・SVG・PNG/カラーと白黒)をお渡ししています。内容はサービスと料金をご覧ください。
よくある質問
制服のロゴは刺繍とプリントのどちらがよいですか。
色数が少なく形のはっきりしたロゴを、長く着る制服や作業着に入れるなら刺繍が向いています。写真やグラデーションを含むロゴ、色数の多いロゴ、1枚から少しずつ作りたい場合はインクジェットのプリント、同じデザインをまとまった枚数作るならシルクスクリーンのプリントが候補です。
刺繍用のデータは自分で用意する必要がありますか。
刺繍の機械に読み込ませるデータは、注文先がロゴの元データから作るのが一般的です。依頼する側は、ロゴの元データ(AIやPDFなどのベクター形式)と、入れる大きさ・位置・糸の色の希望を渡します。刺繍用のデータの作成に別の料金がかかる場合があるので、見積もりで確かめます。
小さなロゴを刺繍すると、文字がつぶれるのはなぜですか。
刺繍は糸で面や線を埋めるため、細い線や小さな文字は再現できないことがあります。ある刺繍サービスの案内では、文字の高さを0.25インチ(約6mm)以上にするよう求めています。小さく入れる場合は、細い文字を省いたり太くしたりした刺繍用の版を用意します。