のぼり旗のデザイン|読める文字数と色、注文と設置の決まり

/ Lapisデザインラボ

のぼり旗は、店の前を通る人に「ここで何をしているか」を数秒で伝える販促物です。看板より安く、季節やキャンペーンに合わせて替えやすい反面、文字を詰め込みすぎて読めない、風で巻きついて見えない、歩道に出して指導を受ける、といった失敗も起きやすいものです。

この記事では、のぼり旗のデザインを、サイズと見る距離から文字の大きさと文字数を逆算する方法、色の選び方、注文のときに決める仕様(生地・チチ・縫製・ポール)、データの作り方の順にまとめます。後半では、のぼり旗をどこに立ててよいか、道路に置けない理由と屋外広告物の決まりも説明します。

サイズや仕様は、官公庁がのぼり旗を発注するときの仕様書を手がかりにしています。

のぼり旗の基本のサイズと仕様

のぼり旗には決まった規格はありませんが、幅600mm×高さ1800mmが広く使われています。たとえば自衛隊福島地方協力本部の広報用のぼりの仕様書では、次のように定められています。

項目仕様書の内容
大きさ幅600mm×高さ1800mm
生地テトロンポンジ(ポリエステル)またはトロマット
印刷片面・4色カラー、インクジェット印刷
チチ上部3か所・左側5か所、直径25mmのポールが通せること
端の処理ほつれ防止のための縫製

チチは、のぼりをポールに固定するための布の輪のことです。同じ仕様書には、ヨットの帆のような形の「セイルバナー」(幅500mm×高さ2000mmを基準)も載っています。店先の場所が狭い場合は、細身のものや卓上の小さなのぼりを扱う注文先もあります。

文字の大きさと文字数の決め方

のぼり旗の文字は、まず「何m先から読ませたいか」で大きさを決め、そこから入る文字数を逆算します。

見る距離と文字の大きさの目安は、国土交通省のバリアフリーのガイドラインにある案内サインの目安が参考になります。数値の表は店頭ポスターの作り方にまとめていますが、和文で10m先なら40mm以上、20m先なら80mm以上が最低限の目安です。のぼり旗は風で揺れ、歩きながら横目で見られるため、この目安より大きく取るのが安全です。

幅600mmののぼりで、チチ側の縫い代と左右の余白を引くと、1文字の幅に使えるのはおおよそ400mm前後です。高さ1800mmのうち、上下の余白と店名の帯を除いて主な言葉に使えるのが1300〜1400mm程度とすると、計算上は次のようになります。

1文字の大きさ主な言葉に入る文字数(縦1列)読ませやすい距離の感覚
約350mm4文字前後通りの向かい側や、車から
約250mm5〜6文字店の前の通りから
約200mm6〜7文字店に近づいた歩行者に

ここから、遠くから読ませる主な言葉は5〜7文字程度に絞るのが目安になります。「ランチ営業中」「本日焼きたて」「車検受付中」のように、一言で何の店か分かる言葉を選びます。2列にすれば文字数は増えますが、1文字が小さくなり、遠くからは読みにくくなります。

良い例と悪い例

  • 良い例:「ランチ営業中」の6文字を大きく縦1列に置き、下に小さく店名と営業時間を添える
  • 悪い例:「当店自慢の手作りランチ、日替わりで毎日ご用意しています」と長い文を2列に詰め、どこも読めない

色の選び方

のぼり旗の色は、文字と地の色の差(明るさの差)をはっきりつけることが第一です。

  • 地と文字は、濃い色と淡い色の組み合わせにする:赤地に白、紺地に白、黄地に黒など。同じくらいの明るさの色(赤と緑など)を組み合わせると、離れると文字が沈みます
  • 文字に縁取りをつける:写真や柄の上に文字を置くときは、白か黒の縁取りで背景から浮かせます
  • 周りの景色と比べる:隣の店ののぼりや看板と同じ色だと埋もれます。店の外観の写真を撮り、その上にデザインを重ねて確かめます
  • 店の色とそろえる:決めているコーポレートカラーやロゴの色を使うと、看板や店構えとのつながりが出ます

なお、生地によっては片面印刷でも裏にインクが抜け、裏からは文字が左右反転して見えます。両側から見せたい場所では、両面印刷(2枚重ね)ができるか注文先に確かめます。

注文のときに決めること

のぼり旗の作り方は、おおむね次の流れです。

  1. 立てる場所と見る人を決める:自分の敷地のどこに立てるか、誰に何m先から読ませるか
  2. 言葉を決める:主な言葉を5〜7文字程度に絞り、店名・営業時間など添える情報を決める
  3. 仕様を決める:下の表を見ながら決めます
  4. データを作る:注文先のテンプレートにデザインを置きます
  5. 校正を確かめる:仕上がりのイメージで、チチや縫い代に文字がかかっていないかを見ます
  6. 納品と設置:ポールと台(注水式など)を用意し、風の強い日の片付け方も決めておきます
決めること選択肢の例考え方
大きさ600×1800mm、細めのもの、卓上立てる場所の幅と、人の通り道をふさがないか
生地テトロンポンジ、トロマットなど軽さと発色、厚みと耐久性
印刷片面、両面両側から見せたいかどうか
チチの位置左か右店の入り口から見て、文字の読み始めがポールに隠れない向き
縫製ほつれ止めの縫い・熱で切る処理長く出すなら端の処理をしっかりしたものに
ポール・台ポールの長さ、台の種類既にあるポールの太さに合うか
枚数1枚〜同じデザインを何本並べるか

費用は、大きさ・生地・両面かどうか・縫製・枚数・ポールの有無で変わります。複数の注文先で、同じ仕様で見積もりをそろえて比べましょう。

データを作るときの注意

  • 注文先のテンプレートを使い、チチ側の縫い代と上下の余白に文字やロゴを置かない
  • 主な言葉はアウトライン化(文字を図形にする処理)し、写真は実寸で十分な解像度があるか確かめる
  • 画面ではなく、縮小して紙に刷り、2〜3m離れて読めるかを見る

入稿データ全般の確認は印刷データのチェックリストが参考になります。

のぼり旗を立ててよい場所

道路(歩道を含む)には置けない

のぼり旗を店の前の歩道に出している例を見かけますが、多くの自治体は道路への設置を認めていません。たとえば江東区は、道路上にのぼり旗や置き看板を置くことは交通の支障となるため許可できないとしています。鹿児島市や広島市も、歩道などにのぼり旗を置くことは通行の妨げになるとして道路の占用を許可できないとし、名古屋市は、道路上の置き看板やのぼりを条例で禁止された不法占用物件と説明しています。無許可のものは撤去されることがあります。

敷地の中でも決まりがある

自分の敷地の中に立てる場合も、屋外に向けて掲示する広告は、都道府県や市が定める屋外広告物条例の対象になることがあります。屋外広告物法では、条例に違反して立てられた「広告旗」(容易に移動できる状態で立てられた広告用の旗)を、知事などが除却できる仕組みも定められています。許可の要否や、自分の店の店名を出す場合の扱いは自治体ごとに違うので、設置する場所の市区町村の窓口で確かめてください。看板全般の許可の考え方は看板の作り方と費用で説明しています。

立てる前のチェックリスト

  • 立てる場所が、自分の敷地の中か(歩道や車道にはみ出していないか)
  • 屋外広告物条例の決まりを、市区町村の窓口で確かめたか
  • 人の通り道や、車の出入りの見通しをふさいでいないか
  • 風の強い日に倒れないよう、台に水や砂を入れたか。片付ける基準を決めたか

まとめ

のぼり旗は、見る距離から文字の大きさを決め、600×1800mmなら主な言葉を5〜7文字程度に絞ると、遠くからでも読めるものになります。色は地と文字の明るさの差をはっきりつけ、注文では生地・チチの位置・縫製・ポールまで決めておきます。立てる場所は自分の敷地の中にし、屋外広告物条例の決まりを市区町村で確かめましょう。

Lapisデザインラボでは、看板やのぼり旗など店頭の販促物のデザインもご相談いただけます。費用の目安はお見積もりからお問い合わせください。

よくある質問

のぼり旗には何文字くらい入れられますか。

よく使われる幅60cm・高さ180cmののぼりでは、1文字を20〜25cm程度の大きさで縦1列に並べると、主な言葉は5〜7文字程度が目安になります。文字を小さくすれば多く入りますが、離れると読めなくなります。店名や細かい説明は下の方に小さく添え、遠くから読ませる言葉は一つにします。

のぼり旗を店の前の歩道に立ててもよいですか。

道路(歩道を含む)にのぼり旗を置くことは、多くの自治体が通行の妨げになるとして占用を許可していません。立てるのは自分の敷地の中にし、敷地の中でも屋外広告物条例の決まりがあるため、設置する場所の市区町村の窓口で確かめてください。

のぼり旗を注文するときに、何を決めればよいですか。

大きさ、生地、片面か両面か、チチ(ポールを通す輪)を左右どちらに付けるか、ほつれ止めの縫製、ポールと台の有無、枚数です。デザインのデータは、注文先のテンプレートに合わせて作ると、チチや縫い代に文字がかかる失敗を防げます。

参考にした資料

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