ロゴの提案は何案が普通か|案の数と社内での選び方
ロゴの制作を頼むと、しばらくして「デザイン案」が届きます。そのとき多くの方が迷うのが、「案の数はこれで普通なのか」「この中からどうやって選べばよいのか」という2点です。社長が一人で決める会社もあれば、役員や家族、社員の意見を聞いてから決める会社もあり、選び方を決めないまま案を見ると、好みの話で意見が割れてしまいます。
この記事では、ロゴの提案がふつう何案くらい出るのか、その数が何で決まるのかを整理したうえで、出てきた案を社内で比べて1案に決める手順をまとめます。比較表の作り方、並べて見るときのコツ、意見が割れたときや「良いところ取り」をしたくなったときの考え方まで、提案を待っている段階で読めるように書いています。
ロゴ制作全体の流れはロゴ制作の流れと期間で説明しているので、ここでは「案を選ぶ」場面に絞ります。
提案は3案前後が多い。数より「方向の違い」を見る
制作会社やデザイナーに頼む場合、最初の提案は3案前後で出ることが多く、案の数は契約や見積もりで決まります。依頼の形によって、案の数の考え方は次のように変わります。
| 依頼の形 | 案の数の傾向 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 1案に絞って提案 | 1案 | 考え方の整理に時間をかけ、制作側に任せたい | 合わなかったときの戻り方を先に決めておく |
| 方向の違う数案 | 3案前後 | 社内で比べて決めたい | 案ごとの「狙い」の説明を必ず聞く |
| 多くの案から選ぶ | 応募の数だけ | 案を広く見たい(コンペ) | 選ぶ手間と、採用後の修正・権利の扱い |
案の数が多いほど良いとは限りません。案が増えるほど比べる基準がぶれやすく、社内の意見も割れやすくなります。大事なのは、数案それぞれが別の方向を向いているかです。似た案が3つ並ぶより、「伝統を前に出す案」「親しみを前に出す案」「先進性を前に出す案」のように、狙いの違う案が並んでいるほうが、会社として何を大事にするかを選べます。
コンペで多くの案を集める場合の違いはロゴのコンペサイトと制作会社の違いにまとめています。
提案を受ける前に、社内で決めておくこと
案が届いてから選び方を考えると、第一印象と好みで話が進みます。提案の前に、次の3つを決めておきます。
- 最後に決める人:社長か、共同経営者の合意か。候補を選ぶ場に、決める人が必ず出られるようにする
- 比べる物差し:ヒアリングで合意したコンセプトの言葉(「地元の木で建てる家の温かさ」など)を、紙に書いて手元に置く
- 意見を聞く範囲と時期:役員だけか、社員にも聞くか。聞くなら、いつまでに、どんな問いで聞くか
決める人の決め方や、依頼前に社内で決めておくことはロゴを依頼する前に決めることでも説明しています。
候補を比べる比較表
案を選ぶときは、好き嫌いの前に、同じ物差しで並べて見ます。次のような比較表を作り、案ごとに ○・△・× と短い理由を書き込みます。点数を足し合わせるより、どこが強く、どこが弱いかを見えるようにするのが目的です。
| 見る点 | 確かめ方 | A案 | B案 | C案 |
|---|---|---|---|---|
| コンセプトに合っているか | コンセプトの言葉を読み上げてから見る | |||
| 同業の中で見分けがつくか | 同業・近所の店のロゴと並べる | |||
| 小さくしても読めるか | 名刺の隅、スマートフォンのアイコンの大きさで見る | |||
| 白黒・一色で成り立つか | 白黒で印刷する | |||
| 社名が読めるか・覚えられるか | 初めて見る人に読んでもらう | |||
| 使う場面に合うか | 看板・制服・パッケージなどに置いた見本で見る | |||
| 10年使えそうか | 流行の形に寄りすぎていないか |
この表は、社内で意見を聞くときにも使えます。全員が同じ表に書き込むと、「なんとなく B が好き」ではなく、「B は小さくすると読めない」「C は同業と似ている」のように、理由で話せるようになります。
並べて見るときのコツ
画面で拡大して見るだけでは、実際に使ったときの印象は分かりません。次のような見方を組み合わせます。
- 実寸で印刷する:名刺の大きさ、看板の写真に重ねた大きさなど、実際に使う大きさで見る
- 使う場面に置いた見本で見る:制作側に、名刺・看板・ホームページに置いた見本をもらう
- 同業のロゴと並べる:お客様が比べる相手の中に置いて、埋もれないかを見る
- 少し離れて見る:机の上に並べ、数歩下がって見る。遠くからでも形が分かるかを確かめる
- 一晩おいて見直す:最初の印象だけで決めず、翌日にもう一度同じ表で見る
社内の意見の集め方
多数決だけで決めない
社員に投票してもらうと、見慣れた形や無難な形に票が集まりやすくなります。票の数は参考にしつつ、最後は決める人が、比較表とコンセプトに照らして決めます。
聞くなら「好きか」ではなく「会社らしいか」
社員やお客様に近い人に聞くときは、問いの立て方で答えが変わります。
- 良くない聞き方:「どのロゴが好きですか」
- 良い聞き方:「お客様に、どれがいちばん当社らしく見えると思いますか。その理由は」
家族や取引先の声の扱い
家族経営では、親や先代の意見が大きな重みを持つことがあります。後から覆されると時間を失うので、意見を聞くなら最初の候補を選ぶ段階で聞きます。取引先の声は、「お客様からどう見えるか」の参考として聞くのが向いています。
よくある迷いと、決め方
A案の形に、B案の色を合わせたい
「良いところ取り」は修正の段階で相談できることが多いですが、組み合わせると狙いがぼやけることもあります。まず軸にする1案を決め、ほかの案から取り入れたい点を理由と一緒に伝えます。制作側から「組み合わせると何が起きるか」の意見をもらってから決めると安全です。
2案で意見が割れた
コンセプトの言葉に戻り、どちらがよく表しているかで比べ直します。それでも決まらないときは、2案をそれぞれ名刺と看板の見本に置き、実際に使う場面で比べます。どうしても決まらない場合は、決める人が理由を言葉にして決め、その理由を社内に伝えます。
どの案もしっくりこない
合わない理由を言葉にして伝えます。「堅すぎる」「若すぎる」「業種が伝わらない」のように理由が分かれば、制作側は方向を修正できます。案の追加が契約の範囲を超える場合は、費用と日程を先に相談します。どの案も合わないときは、コンセプトそのものがずれていることもあるので、ヒアリングの内容を見直す機会にします。
決めたあとに伝えること
1案に決めたら、制作側に次のことをまとめて伝えます。
- 選んだ案と、選んだ理由
- 修正したい点と、その理由(社内の意見はまとめて1回で)
- ほかの案から取り入れたい点があれば、その点と理由
- 使う予定の場面(名刺・看板・ホームページなど)と、必要な時期
あわせて、決めた案に似た商標が登録されていないかも確かめておきます。調べ方はロゴの商標登録は必要かにまとめています。
まとめ
- ロゴの提案は3案前後が多いが、数より「方向の違う案がそろっているか」が大事
- 提案の前に、決める人・比べる物差し(コンセプトの言葉)・意見を聞く範囲を決めておく
- 案は比較表で、小さく・白黒・同業と並べる・使う場面に置くといった同じ物差しで比べる
- 社員には「好きか」ではなく「会社らしいか、その理由は」と聞き、最後は決める人が理由を添えて決める
Lapisデザインラボのロゴのプランで、何をどこまでお出しするかはサービスと料金にまとめています。
よくある質問
ロゴの提案は、何案くらい出てくるのが普通ですか。
制作会社やデザイナーに頼む場合は、3案前後で方向の違う案が出ることが多いです。数は契約で決まるので、見積もりの段階で、何案出るか、追加の案はどう扱うかを確かめておきます。コンペの形では応募の数だけ案が集まります。
社員の多数決でロゴを決めてもよいですか。
参考にするのはよいですが、多数決だけで決めるのは避けたほうが無難です。票は見慣れた形や無難な形に集まりやすく、コンセプトに合っているかが置き去りになりがちです。社員には「どれが好きか」ではなく「どれが会社らしいか、その理由は」と聞き、最後は決める人が理由を添えて決めます。
どの案もしっくりこないときは、どうすればよいですか。
まず、どの案がコンセプトの言葉にいちばん近いかを確かめ、合わない理由を言葉にして伝えます。理由が分かれば、制作側は方向を修正できます。それでも合わないときは、コンセプトそのものがずれていないかを見直します。案の追加が契約の範囲を超える場合は、費用と日程を先に相談します。