葬儀社のホームページ|料金の示し方と問い合わせの導線
葬儀社のホームページを開く人は、大きく二つの場面にいます。一つは、家族が亡くなり、今すぐ連絡先を探している場面。もう一つは、いずれ来るときに備えて、費用や内容を落ち着いて比べている場面です。前者は電話番号をすぐ探し、後者は料金と含まれるものをじっくり読みます。同じホームページで、この両方に応える必要があります。
料金の分かりにくさは、葬儀で特にもめやすいところです。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられる葬儀サービスの相談は、2025年度で917件あり、そのうち半分ほどが「高価格・料金」に関するものでした。チラシや広告の料金を見て頼んだのに、ずっと高い契約になった、料金に含まれる内容が広告と違った、という相談が紹介されています。
この記事では、葬儀社のホームページで、プランの料金と含まれるものをどう示すか、急ぎの問い合わせをどう受けるかを中心に、事前相談の入口、言葉や写真の選び方まで説明します。
二つの場面と、答えるページ
| 場面 | 探しているもの | 答えるページ・場所 |
|---|---|---|
| 亡くなった直後 | 今すぐ電話できる番号、来てもらえるか | すべてのページの上部の電話番号、受付の時間、対応エリア |
| 亡くなった直後 | 最初に何をすればよいか | 「お急ぎの方へ」のページ(電話で伝えること、搬送と安置の流れ) |
| 事前に比べている | いくらかかるのか、何が含まれるのか | プランと料金のページ、見積書の見本 |
| 事前に比べている | どんな式場で、どんな人が担当するのか | 式場の案内、スタッフの紹介 |
| 事前に比べている | 相談だけでもできるか | 事前相談・資料請求の入口 |
葬儀社のホームページに載せるページ
| ページ | 載せること |
|---|---|
| トップ | 受付の電話番号と受付の時間、対応エリア、「お急ぎの方へ」の入口、プランの入口、事前相談の入口 |
| お急ぎの方へ | 電話で伝えること、搬送から安置までの流れ、病院や施設で亡くなった場合と自宅の場合の違い |
| プランと料金 | プランごとの税込の料金、含まれるもの、含まれないもの、追加の費用がかかる条件 |
| 見積書の見本 | 項目ごとの金額が分かる見積書の例 |
| 葬儀の流れ | 搬送、安置、打ち合わせ、通夜、葬儀・告別式、火葬、その後の手続き |
| 式場の案内 | 式場ごとの広さ、人数の目安、控室、駐車場、交通、写真 |
| 事前相談・資料請求 | 相談の方法(来館・電話・訪問)、相談で聞くこと、費用がかからないかどうか |
| よくある質問 | 宗派の違い、遺族だけで行う形、香典や返礼品、支払いの時期 |
| 会社の情報 | 会社名、所在地、代表者、スタッフ、加盟している団体 |
急ぎの問い合わせの導線
電話番号は、すべてのページの上部に
亡くなった直後の人は、ホームページの中を読み進める余裕がありません。電話番号は、どのページでも画面の上部に置き、スマートフォンでは押せばそのまま電話がかかる形にします。受付の時間(終日受け付けているなら、そのこと)と、対応エリアを電話番号のすぐそばに書きます。画面を下に動かしても電話のボタンが見えるようにしておくと、迷わせません。
「お急ぎの方へ」のページに書くこと
電話をかける前後に読むページです。長い説明は要りません。次のことを短く書きます。
- 電話で伝えること:亡くなった方の名前、亡くなった場所(病院・施設・自宅)、連絡のつく電話番号、安置の希望(自宅か、安置の施設か)
- 最初に起きること:迎えの車が向かうこと、安置の場所に移すこと
- この段階で決めなくてよいこと:葬儀の形やプランは、安置のあとに落ち着いて打ち合わせれば決められること
- 費用のこと:搬送と安置にかかる費用の目安と、プランに含まれるかどうか
「この段階で決めなくてよいこと」を書いておくのは、急いでいる人が、その場で大きな契約を決めなければならないと思い込まないためです。国民生活センターも、打ち合わせは家族や第三者など複数の人で行うよう勧めています。
料金の示し方
プランごとに「含まれるもの」と「含まれないもの」を並べる
葬儀の料金で行き違いが起きる理由の多くは、プランの金額に何が含まれているのかが、依頼する人に見えていないことです。プランの金額と一緒に、含まれるものと含まれないものを同じ表で示します。
| 項目 | 【プラン名】に含まれるか | 補足 |
|---|---|---|
| 祭壇・棺・骨壺 | 含まれる | 祭壇の大きさの変更は差額 |
| 寝台車での搬送 | 含まれる(【〇】回まで、【〇】キロメートルまで) | 超えた分は距離に応じて加算 |
| 安置・ドライアイス | 含まれる(【〇】日まで) | 日数が延びると加算 |
| 式場の使用料 | 自社の式場なら含まれる | 公営の式場などは別 |
| 火葬場の使用料 | 含まれない | 火葬場の定める料金。施設によって異なる |
| 飲食(通夜ぶるまい・精進落とし) | 含まれない | 人数に応じて変わる |
| 返礼品 | 含まれない | 人数に応じて変わる |
| 宗教者へのお礼 | 含まれない | 葬儀社の料金とは別に、宗教者へ直接渡すもの |
この表で大事なのは、加算がかかる条件を数字で書くことです。「搬送は含まれます」だけでは、距離が長いときに加算されることが伝わりません。距離、日数、人数など、費用が変わる条件を具体的に書いておけば、見積もりのときの説明と食い違いません。
「〇〇円〜」と書くときの注意
プランの料金を「〇〇円〜」と最低の金額で示す場合は、その金額でどのような葬儀ができるのかを近くに書きます。実際の取引の条件を、実際より著しく有利だと誤認させる表示は、景品表示法の有利誤認として禁じられています。たとえば、表示した最低の金額ではほとんどの場合に葬儀ができず、実際には大きく上回る費用がかかるような表示は、これに当たるおそれがあります。
同じように、「追加料金はかかりません」と書けるのは、本当にどの場合にも追加がかからないときだけです。搬送の距離や安置の日数、火葬場の料金などで費用が変わるなら、そう書きます。「通常価格〇〇円のところ、会員価格〇〇円」のように別の価格と並べる場合は、比べる価格が実際の販売の実績に基づいていることが前提です(消費者庁の二重価格表示の考え方)。表現の決まりはホームページの表現と景品表示法にまとめています。
税込の総額で書く
消費者に向けてあらかじめ価格を示すときは、消費税を含めた総額を表示する決まり(総額表示)があります。国税庁の説明では、表示の媒体を問わないとされています。プランの料金も、加算の金額も、税込で書きます。
見積書の見本を載せる
国民生活センターは、消費者に対して、見積書を必ず受け取り、明細をよく確かめるよう呼びかけています。あわせて葬儀の業界団体に、サービスの内容を詳しく説明し、見積書を渡して正確な請求の金額を伝えるよう要望しています。
ホームページに見積書の見本(金額は例として示すもの)を載せておくと、依頼する人は「この会社は項目ごとに説明してくれる」と分かり、打ち合わせでも同じ形の見積書が出てくるので安心できます。見本には、プランの金額、加算の項目、葬儀社が立て替える費用、宗教者へのお礼のように葬儀社の料金に入らないものを、分けて書きます。
料金の書き方の良い例と悪い例
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 家族葬プラン 〇〇円〜 | 家族葬プラン 〇〇円(税込)。10名ほどの通夜・告別式を、自社の式場で行う場合の料金です |
| 追加料金一切なし | 搬送は〇キロメートルまで、安置は〇日までプランに含まれます。超える場合の料金は下の表のとおりです |
| すべて込みの安心価格 | 飲食・返礼品・火葬場の使用料・宗教者へのお礼は含まれません。人数と内容に応じて見積もりでお知らせします |
| 地域最安 | (根拠を示せない限り書かない) |
事前相談の入口
事前に比べている人は、すぐに契約するつもりはありません。「相談だけでもよい」「費用はかからない(かかるなら、いくらか)」「無理に勧めない」ことを書いておくと、相談の申し込みの心理的な負担が下がります。入口は、来館の予約、電話、資料の請求の三つを用意し、フォームでは名前と連絡先、相談したいこと、連絡のつきやすい時間だけを聞きます。項目を増やしすぎない考え方は問い合わせフォームの項目の決め方で説明しています。
事前相談で聞かれることの多い質問(遺族だけで行う形、宗派の違い、喪主がすること、支払いの時期)は、よくある質問のページにまとめておくと、相談の前に読んでもらえます。
式場の案内とアクセス
式場のページは、参列する人も見ます。式場ごとに、広さと人数の目安、控室や宿泊の可否、駐車場の台数、最寄りの駅やバス停からの道順を載せます。地図と道順の書き方はアクセスページの作り方を参考にしてください。
言葉と写真の選び方
- 急がせる言葉を使わない:「今だけ」「残りわずか」「お急ぎください」のような、不安をあおる言葉は避けます
- 落ち着いた色と書体:明るすぎる色や、遊びのある書体は、読む人の気持ちとかけ離れやすくなります
- 写真は式場と祭壇、スタッフを中心に:参列者や遺族が写る写真を載せるときは、写る人の了解を得て、顔が分からない範囲にとどめます
- 亡くなった方の情報を出さない:施行の事例を載せる場合も、名前や日付など個人が分かる情報は載せません
公開前のチェックリスト
- どのページでも、電話番号がすぐ見え、スマートフォンから押して電話できるか
- 受付の時間と対応エリアが、電話番号のそばに書いてあるか
- プランごとに、含まれるもの・含まれないもの・加算の条件が書いてあるか
- 料金がすべて税込で書かれているか
- 「〇〇円〜」「追加料金なし」などの表現が、実際の取引と合っているか
- 見積書の見本があるか
- 事前相談の費用と方法が書いてあるか
料金のページは、プランや火葬場の料金が変わるたびに直すページです。誰がいつ直すかも、制作を頼むときに決めておきます。Lapisデザインラボのホームページ制作の内容はプランと料金に載せています。
よくある質問
葬儀のプランの料金は、ホームページに載せたほうがよいですか。
載せたほうが、事前に比べたい人にも、急いでいる人にも判断の材料になります。ただし、プランの金額だけでなく、含まれるもの、含まれないもの、追加の費用がかかる条件を同じ場所に書き、税込の総額で示します。
「〇〇円〜」と最低料金を書いてもよいですか。
書けますが、その金額で実際にどのような葬儀ができるのか、何が含まれ、どんな条件で費用が増えるのかを近くに書きます。実際にはほとんどの場合にその金額では収まらないのに安く見せる表示は、景品表示法の有利誤認に当たるおそれがあります。
急ぎの問い合わせを受けるために、ホームページで最も大事なことは何ですか。
どのページを開いても、受付の電話番号がすぐ目に入り、スマートフォンから押してそのまま電話できることです。あわせて、電話で何を伝えればよいか、最初に何が起きるかを短く書いておくと、慌てている人が落ち着いて連絡できます。