農家・農園のホームページと直売の案内の載せ方
市場や農協への出荷に加えて、直売所やネットでの販売、ジャムや干し野菜などの加工品を手がける農家もあります。直接売るようになると、「どこで買えるのか」「いつ何が採れるのか」「どんな人が、どんなふうに育てているのか」を、買う人に自分で伝える必要が出てきます。ホームページは、この案内をまとめて置いておく場所です。
この記事では、農家や農園のホームページに何を載せ、直売とネットでの販売をどう案内するかをまとめます。あわせて、栽培の方法や産地を書くときに気をつけたい表示の決まりにも触れます。
農園のホームページを見る人
農園のホームページを見る人は、目的によって確かめたいことが違います。
| 見る人 | 確かめたいこと |
|---|---|
| 直売所や農園に買いに来る人 | 場所、曜日と時間、いま何が買えるか、駐車場 |
| ネットで取り寄せたい人 | 買える時期、値段と送料、届くまでの日数、保存の方法 |
| 飲食店や小売店の仕入れの担当 | 作っている品目と量、出荷できる時期、栽培の方法、連絡先 |
| 収穫体験などに参加したい人 | 日程、料金、持ち物、子どもが参加できるか |
すべてに同じ重さで答える必要はありません。いまの売上の中心が直売所なら直売の案内を、ネットでの販売を伸ばしたいなら取り寄せの案内を、トップのいちばん目立つ場所に置きます。
農家・農園のホームページに載せるページ
| ページ | 載せること |
|---|---|
| トップ | 農園の名前と場所、主な作物、いま買えるもの、直売とネット販売の入口 |
| 農園の紹介 | 育てている人の顔と名前、畑のある場所と環境、栽培で大切にしていること |
| 作物と旬 | 作物ごとの説明と、収穫の時期のカレンダー |
| 直売の案内 | 直売所の場所、営業の曜日と時間、支払いの方法、駐車場 |
| ネットでの購入 | 買える商品、値段、送料、発送の時期、保存の方法 |
| 加工品 | 商品ごとの説明、原材料、保存の方法、買える場所 |
| 取引のご相談 | 飲食店や小売店に向けて、出荷できる品目と時期、相談の方法 |
| 収穫体験 | 日程、料金、持ち物、申し込みの方法(行う場合) |
| よくある質問 | 予約の方法、天候で休む場合、贈答用の包装 |
| 特定商取引法にもとづく表記 | ネットで売る場合 |
旬のカレンダーを作る
農園のホームページでよく読まれるのが、何がいつ採れるかのカレンダーです。作物ごとに、収穫の時期と、直売所に並ぶ時期、ネットで注文できる時期を表にしておくと、問い合わせが減ります。
| 作物 | 収穫の時期 | 直売所 | ネットでの注文 |
|---|---|---|---|
| 〇〇 | 〇月下旬〜〇月 | 〇月〜〇月 | 〇月から予約を受付 |
| 〇〇 | 〇月〜〇月 | 〇月〜〇月 | 扱わない |
天候で収穫の時期は前後するため、「年によって前後します」と添え、実際の入荷の知らせは、更新しやすいお知らせの欄やSNSで出す形にします。
直売の案内の載せ方
直売所や農園の軒先で売る場合は、来る人が迷わないように、次のことを書きます。
- 直売所の場所と地図、車で来る場合の入口と駐車場
- 営業の曜日と時間、季節で変わる場合はその期間
- 売り切れたら閉める場合や、天候で休む場合の知らせ方(電話、SNSなど)
- 支払いの方法(現金のみか、キャッシュレスに対応するか)
- 予約や取り置きができるか
道の駅やスーパーの直売コーナーに出している場合は、出している店の名前と場所も「買える場所」として載せます。値段を書く場合は、消費税を含めた総額で書きます。国税庁の説明では、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合は、表示の媒体を問わず総額表示の義務の対象とされています。また、2026年4月時点の国税庁のページには、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率が引き下げられ、総額表示の特例が設けられることが書かれています。この時期には、ホームページの値段も見直します。
ネットでの販売の案内
始め方
ネットでの販売は、ネットショップのサービスを使って小さく始め、ホームページから商品のページへつなぐ形が始めやすい方法です。ネットショップの作り方と費用の違いはネットショップ制作の費用の相場で説明しています。収穫の量が限られる作物は、収穫の前に予約を受け付け、収穫したら順に発送する形もよく使われます。
ネットで売る場合は、販売者の名前、住所、電話番号、送料、支払いの方法と時期、届く時期、返品の扱いなどを載せた、特定商取引法にもとづく表記が必要です。書き方は特定商取引法に基づく表記の書き方にまとめています。生鮮の農産物は、傷みがあった場合の連絡の期限と対応を、返品の扱いの中で決めておきます。
商品のページに載せること
消費者庁の「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」(2022年6月)では、食品表示基準において、ECサイトの食品表示情報の掲載は対象外とされています。そのうえで、ECサイト上でも食品の情報を分かりやすく出すことが、買う人の信頼と問い合わせの減少につながるとして、望ましい情報提供の方法が示されています。農家の商品のページでは、次の点が参考になります。
- 原産地:生鮮食品の原産地は、食品表示基準に準じて情報提供する。季節によって産地が変わる場合は、そのことが分かるように書く
- 保存の方法:常温、冷蔵、冷凍の別が分かるように、目立つ形で示す
- 期限:「到着日から〇日以上」のように、届いてから日持ちする日数で示す方法が、望ましい例として挙げられている
- 大きさと量:1箱に何個、何キロ入っているか。大きさに幅がある場合はその幅
加工品は、容器や包装の一括表示と同じ内容(原材料、アレルゲン、内容量、保存の方法など)を、商品のページにも載せておくと、手に取れない買う人が安心できます。
栽培の方法を書くときの注意
「無農薬」「減農薬」と書かない
栽培の方法は、農園の考え方を伝える大切な情報です。ただし、言葉の選び方に決まりがあります。農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、「無農薬栽培農産物」「無化学肥料栽培農産物」「減農薬栽培農産物」「減化学肥料栽培農産物」などの表示が、表示禁止事項とされています。代わりに、次のような言い方が定められています。
- 農薬を使っていない場合:「農薬:栽培期間中不使用」
- 窒素成分を含む化学肥料を使っていない場合:「化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用」
- 減らしている場合:「節減対象農薬:当地比〇割減」のように、何を、何と比べて、どれだけ減らしたか
ガイドラインのQ&Aでは、ガイドラインは法令にもとづいて守る義務を課すものではないとしつつ、ガイドラインによる表示をしない場合でも、どのような表示をしてもよいわけではないとされています。「無農薬」という言葉が「残留農薬がない」という誤解を与えるという意見を受けて禁止された経緯も説明されています。ホームページで栽培の方法を紹介するときも、この言い方に合わせます。
「有機」「オーガニック」と書く前に
農林水産省は、有機JASマークがない農産物、畜産物、加工食品に「有機」「オーガニック」などの名称や、これと紛らわしい表示を付すことは、法律で禁止されているとしています。有機JASの認証を受けていない農産物を、ホームページの商品のページで「オーガニック野菜」として売ることは避けます。認証を受けている場合は、認証を受けた品目と、認証を受けた事業者であることを紹介のページに書きます。
写真で伝えること
農園のホームページでは、作物だけでなく、畑と人の写真が信頼につながります。
- 畑の全体と、季節ごとの景色
- 育てている人が作業している様子
- 収穫したばかりの作物(大きさが分かるように、手や箱と一緒に)
- 直売所の外観と入口(初めて来る人が見つけられるように)
- 加工品は、白い背景の商品写真と、食卓で使っている写真
季節ごとに撮りためておくと、旬のカレンダーやお知らせに使えます。スマートフォンでの撮り方はホームページの写真をスマホで撮るコツにまとめています。加工品のラベルや箱のデザインを頼む場合は、商品パッケージのデザインを頼むときも参考になります。
制作会社に伝えること
- いまの売り方(直売所、道の駅、ネット、取引先)と、これから伸ばしたいもの
- 作物と収穫の時期の一覧
- 栽培の方法の説明(ガイドラインの言い方に合わせたもの)と、認証の有無
- ネットで売る場合のサービスと、送料、発送の時期
- 旬の知らせやお知らせを、誰がどの方法で更新するか
収穫の時期は忙しく、ホームページの更新が止まりがちです。お知らせはSNSに任せ、ホームページは季節に一度見直す、というように分担を決めておくと続けやすくなります。Lapisデザインラボのホームページ制作の内容は、サービスと料金に載せています。
よくある質問
農家がホームページを作るなら、ネットショップも一緒に作るべきですか。
収穫の量が限られ、発送の手間もかかるため、最初はホームページで農園と直売の案内をし、ネットでの販売はネットショップのサービスや予約の受付から小さく始める方法があります。ネットで売る場合は、特定商取引法にもとづく表記、送料、発送の時期、保存の方法を載せる必要があります。
ホームページで「無農薬」と書いてもよいですか。
農林水産省の特別栽培農産物に係る表示ガイドラインでは、「無農薬栽培農産物」「減農薬栽培農産物」などの表示は表示禁止事項とされ、農薬を使っていない場合は「農薬:栽培期間中不使用」と書くこととされています。ガイドラインのQ&Aでは、ガイドラインによる表示をしない場合でも、どのような表示をしてもよいわけではないとされています。ホームページで栽培の方法を紹介するときも、この言い方に合わせておくと安心です。
農産物をネットで売るとき、ホームページに載せる表示に決まりはありますか。
消費者庁の「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」(2022年6月)では、ECサイト上の食品表示情報の掲載は食品表示基準の対象外とされています。そのうえで、生鮮食品の原産地は食品表示基準に準じて情報提供すること、常温・冷蔵・冷凍の別や期限の情報を分かりやすく示すことなどが、望ましい方法として示されています。