広告の代理店を変える手順|アカウントとデータの引き継ぎ
「報告が数字の一覧だけで、何をしているのか分からない」「担当者が替わってから、反応が悪くなった」。広告の代理店を見直したい理由はさまざまですが、いざ変えようとすると、アカウントや過去の記録はどうなるのか、広告が止まらないか、心配になります。
代理店を変えるときに大切なのは、順番です。新しい代理店に権限を渡す前に今の代理店を外してしまったり、支払いの方法を確かめずにつながりを切ったりすると、広告が止まったり、記録が見られなくなったりします。この記事では、広告を止めずに代理店を変える手順をまとめます。
手順の全体
| 順番 | やること | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | 契約書で、解約の期限と、アカウントの扱いを確かめる | 自社 |
| 2 | アカウントの名義と、広告費の払い方を確かめる | 自社 |
| 3 | 新しい代理店を決める | 自社 |
| 4 | 今の代理店に、解約を伝え、記録の書き出しを頼む | 自社 |
| 5 | 自社の支払いの方法を登録する(まだなら) | 自社 |
| 6 | 新しい代理店に権限を渡す | 自社 |
| 7 | 引き継ぎの期間を置く | 3者 |
| 8 | 今の代理店の権限を外す | 自社 |
| 9 | 計測の設定と、広告から訪れるページを確かめる | 自社と新しい代理店 |
契約書で確かめること(手順1)
- 最低の契約期間が残っていないか。途中でやめるときの費用
- 解約の連絡の期限と、連絡の方法(書面、メールなど)
- 自動の更新があるか
- 広告のアカウントの名義と、契約が終わったときの扱い
- 代理店が作った広告の文章、画像、動画を、やめた後も使えるか
- 広告から訪れるページを代理店が作っている場合、その扱い
とくに、画像や動画、ページの扱いは、契約書に書かれていないことがよくあります。書かれていない場合は、解約を伝えるときに、使い続けてよいかを書面で確かめます。
名義と払い方を確かめる(手順2・5)
広告の管理の画面で、アカウントの持ち主と支払いの設定を確かめます。
| 状態 | 変えるときの動き |
|---|---|
| 自社の名義、自社から支払い | 新しい代理店に権限を渡し、今の代理店を外すだけ |
| 自社の名義、代理店がまとめて支払い | 先に自社の支払いの方法を登録する |
| 代理店の名義 | 記録の書き出しを頼み、自社の名義で新しく作ることも考える |
Google 広告のヘルプでは、代理店のクライアントセンター(MCC)とのリンクを解除しても、アカウントの履歴は残るとしています。一方で、代理店のクライアントセンターが月ごとの請求書払いで広告費を払っている場合は、リンクを解除すると広告が止まる、と説明されています。つながりを切る前に、支払いを自社に切り替えておくことが欠かせません。
名義の考え方は広告アカウントは誰の名義にするかで詳しく説明しています。
新しい代理店を先に決める(手順3)
今の代理店に解約を伝えるのは、新しい代理店が決まってからにします。先に伝えてしまうと、次が決まるまでのあいだ、広告を見る人がいない期間ができることがあります。
新しい代理店の候補には、今のアカウントの閲覧の権限を一時的に渡し、中を見たうえで提案してもらうと、具体的な話ができます。そのときも、渡すのは読み取り専用の権限にとどめ、契約が決まらなければ外します。
変える理由が「報告が分かりにくい」「連絡が遅い」といったことなら、解約の前に、今の代理店に一度はっきり伝えてみる価値もあります。担当者の交代や報告の形の見直しで解決することもあり、そのほうが引き継ぎの手間はかかりません。
今の代理店に頼む書き出し(手順4)
アカウントが自社の名義でも、代理店の手元にしか無い資料があります。解約を伝えるときに、まとめて渡してもらうよう頼みます。
- 月ごとの報告書(これまでの全部)
- 狙っていた検索語や、見せる相手の設定の一覧
- 広告の文章と、画像や動画の元のデータ
- 問い合わせや購入を数えるための設定の中身
- これまでに試して、うまくいかなかったことの記録
最後の項目は、新しい代理店が同じ失敗を繰り返さないために役立ちます。代理店の側も、きちんと頼めば応じてくれることが多いものです。
権限の入れ替えは「足してから外す」(手順6・8)
権限の入れ替えは、新しい代理店に権限を渡してから、今の代理店を外す順番にします。先に外すと、そのあいだ誰も広告を調整できない期間ができます。
Google 広告
- 新しい代理店を、ユーザーとして招待するか、新しい代理店のクライアントセンターとつなぐ
- Google 広告のヘルプでは、リンクを解除したクライアントのアカウントは、ほかのクライアントセンターとつなげるとしています
- 引き継ぎが済んだら、今の代理店のユーザーを外し、クライアントセンターのリンクを解除する
- 自社の側の管理者が2人以上いることを確かめる
Meta(Instagram・Facebook)
- ビジネスポートフォリオで、新しい代理店をパートナーとして追加し、広告アカウントとページへのアクセスを渡す
- 引き継ぎが済んだら、今の代理店のパートナーへのアクセスを外す
画面の名前や手順は変わることがあるので、操作はその時点の各社のヘルプで確かめてください。
引き継ぎの期間(手順7)
今の代理店と新しい代理店の両方が権限を持つ期間を、1〜2週間ほど置くと、切り替えがなめらかになります。そのあいだに、新しい代理店にアカウントの中を見てもらい、分からない設定を今の代理店に聞けるようにしておきます。
ただし、2つの代理店が同時に設定を変えると、何が効いたのか分からなくなります。「この日から新しい代理店が操作する」という切り替えの日を決め、それまで新しい代理店は見るだけにしておくのが安全です。
計測の設定とページの確認(手順9)
広告の成果を数える設定は、広告のアカウントの外に置かれていることがあります。
- 問い合わせや購入を数えるためのタグが、どこに入っているか。タグを管理する道具のアカウントが、誰の名義か
- アクセスの解析の道具に、今の代理店の権限が残っていないか
- 広告から訪れるページが、代理店のサーバーに置かれていないか
広告から訪れるページが代理店のサーバーにあると、契約をやめた日にページが消え、広告だけが出ている状態になることがあります。ページを自社のホームページに移すか、残してもらう期間を決めてから、つながりを切ります。
切り替えの後にしばらく見ること
切り替えてから最初の1〜2か月は、次の点を見ておきます。
- 広告費の請求が、自社に正しく届いているか
- 問い合わせの数が、切り替えの前と比べて大きく変わっていないか
- 新しい代理店が、最初の報告で何を見つけ、何を変えたか
反応が一時的に上下することはありますが、大きく落ちた場合は、計測の設定が外れていないかを先に確かめます。広告の成果ではなく、数える仕組みが壊れているだけ、ということがよくあるからです。
次の代理店を選ぶときに
代理店を変えるのは、手間のかかることです。次の代理店では、同じ理由で見直すことにならないよう、報告の中身、担当者、契約の条件を、契約の前に確かめておきます。比べ方は広告運用代行の選び方に、費用の考え方は広告運用代行の費用相場にまとめています。
Lapisデザインラボでは、広告アカウントを依頼する会社の名義で持ち、パスワードは預からず、渡された権限の範囲で運用します。料金と作業の中身は広告運用代行に、解約と名義の条件は月額サービスの条件に載せています。
よくある質問
広告の代理店を変えると、今までの広告の記録は消えますか。
アカウントが自社の名義なら、記録はアカウントに残り、新しい代理店にも権限を渡して引き継げます。Google 広告のヘルプでは、代理店のクライアントセンターとのリンクを解除しても、アカウントの履歴は残るとしています。アカウントが代理店の名義の場合は、記録を持ち出せないことがあるので、やめる前に書き出しを頼みます。
代理店を変えるときに、広告が止まることはありますか。
あります。Google 広告のヘルプでは、代理店のクライアントセンターが月ごとの請求書払いで広告費を払っている場合、リンクを解除すると広告が止まると説明されています。リンクを外す前に、自社の支払いの方法を登録しておくと、広告を止めずに切り替えられます。
代理店を変えることを、今の代理店にいつ伝えればよいですか。
契約書の解約の連絡の期限に合わせます。多くの契約では、やめる月の1か月前など、連絡の期限が決まっています。期限を過ぎると、もう1か月分の手数料がかかったり、自動で更新されたりすることがあるので、先に契約書を確かめてから伝えます。