MEOの契約をやめたいとき|事業者の契約とクーリング・オフ、リースの扱い

/ Lapisデザインラボ

電話や訪問で勧められて、Googleマップの店舗情報の対策(MEO)を契約した。あとで料金や中身を見直して「やめたい」と思ったとき、多くの人が最初に思い浮かべるのがクーリング・オフです。けれども、お店や事務所が事業のために結んだ契約は、個人の買い物とは扱いが違います。

この記事では、事業者の契約でクーリング・オフが使えるのか、リースや分割払いが付いているとどうなるか、クーリング・オフ以外にどんな道があるかを、法令と消費者庁の説明に沿って整理します。最後に、やめるまでの順番と相談先をまとめます。個別の契約の判断は、契約書を持って弁護士などの専門家に相談してください。

まず結論:事業のための契約は、原則としてクーリング・オフの対象外

特定商取引法は、訪問販売や電話勧誘販売について、クーリング・オフなどの決まりを定めています。しかし同じ法律の26条1項1号は、申し込んだ人が営業のために、または営業として結ぶ契約を、これらの決まりの対象から外しています。

MEO は、お店の集客のために申し込むサービスです。お店や会社が結ぶ MEO の契約は、原則としてクーリング・オフの対象にならないと考えておくのが安全です。

あわせて知っておきたいのが、消費者契約法の扱いです。この法律は、不当な勧誘による取消しや不当な条項の無効を定めていますが、守る相手の「消費者」を、事業として、または事業のために契約する場合を除いた個人と定めています(2条1項)。お店として結んだ契約には、この法律の守りも届かないのがふつうです。

「営業のために」に当たるかの考え方

ただし、事業者の名前で契約したら必ず対象外になる、という単純な線ではありません。消費者庁の特定商取引法ガイドの Q&A では、営業のための契約に当たるかどうかは、取引に慣れているといえるかを総合的に見て判断するとされています。考える材料として、次のような点が挙げられています。

見る点MEO の契約に当てはめると
契約したサービスの種類店舗の集客のサービスは、事業に使うものとして見られやすい
利益を得る活動との関係・目的お店の売上のために申し込んだのであれば、関係は強い
その活動に要る設備などを用意しているか実際に店を構えて営業しているか
事業と見られるほどの活動をしているか開業前・ほとんど営業していない、などの事情があるか

すでに営業しているお店が集客のために結んだ契約は、対象外と判断される見込みが高いといえます。一方で、まだ事業の形ができていない段階で勧誘された、といった事情があれば、結論が変わる余地があります。自分で「使えるはず」と決めて支払いを止めるのではなく、事情を整理して専門家に見てもらうのが確実です。

契約の形によって、やめるときの相手が変わる

MEO の契約は、業者と直接結ぶ月額の契約だけとは限りません。契約書を読んで、まず誰と何の契約を結んでいるかを確かめます。

契約の形契約の相手やめるときに見る所
業者に月額で払うMEO の業者最低の契約期間、中途解約の条項、違約金
ホームページや機器のリースに MEO が付くリース会社と業者の両方リースの中途解約の条項、残りのリース料
分割払い(個別のクレジット)で払う業者と信販会社の両方分割払いの契約の条項、業者との契約との関係

リースが付いているとき

公益社団法人リース事業協会の説明では、ファイナンス・リースは、リース期間の途中で解約できないのが原則で、やめる場合は残りの期間のリース料、またはそれに当たる違約金を払うよう契約で定められています。業者のサービスに不満があっても、リース会社への支払いは別に続くのが原則です。

リース事業協会は、会員のリース会社の小口リースの相談窓口の一覧を公表しています。契約しているリース会社が載っていれば、業者の勧誘や対応の問題を、その窓口にも伝えます。ホームページのリースのときの確かめ方はホームページのリース契約をやめたいときにまとめています。

分割払いが付いているとき

個別のクレジットにも、割賦販売法のクーリング・オフや取消しの決まりがあります。ただし同法の35条の3の60第2項1号は、申し込んだ人が営業のために結ぶ契約に係る個別のクレジットを、その章の決まりの対象から外しています。ここでも、事業のための契約は守りの外になるのが原則です。

クーリング・オフ以外に考える道

クーリング・オフが使えなくても、やめる道がまったく無いわけではありません。

  1. 契約書の中途解約の条項を使う:多くの契約には、途中でやめるときの連絡の期限と、払うお金が書かれています。違約金が要っても、残りの期間の料金を全部払うより少ないことがあります
  2. だまされて結んだ契約を取り消す:民法96条は、詐欺による意思表示を取り消せると定めています。「Google の公式の代理店」「契約しないとマップから消える」といった、事実と違う説明で契約させられた場合が考えられます。ただし、だまされたことを示す材料が要ります
  3. 委任の解除を考える:作業を任せる契約は、民法の委任・準委任(651条・656条)として、いつでも解除できるとされる場合があります。ただし、相手に不利な時期の解除などでは損害の賠償が要り、契約書の定めとの関係も問題になるため、専門家の判断が要ります
  4. 話し合ってやめる:業者と合意して契約を終える道です。違約金の減額などを話し合うときは、やり取りを書面かメールで残します

Google のサードパーティ ポリシーは、業者に対して、Google で上位に出ることを保証しないこと、Google のふりをしないこと、契約しなければプロフィールを失うと脅さないことなどを求めています。勧誘の言葉がこれに当たるときは、交渉や相談の材料になります。よくある勧誘の言葉はMEOの悪質な業者の見分け方で説明しています。

やめたいと思ったら、この順で動く

  1. 記録をそろえる:契約書、申込書、見積書、パンフレット、勧誘の日時と相手の名前、言われたことのメモ、メールや録音
  2. 契約書を読む:契約の相手、期間、自動の更新、中途解約の連絡の期限と方法、違約金、リースや分割払いの有無
  3. ビジネスプロフィールの権限を確かめる:自分の Google アカウントがオーナーとして残っているか、業者がオーナーになっていないか。業者がオーナーならオーナー権限を取り戻す方法を先に読む
  4. 相談する:自分の判断で支払いを止める前に、弁護士などに見てもらう
  5. 記録が残る方法で伝える:解約や取消しの意思は、書面かメールで伝える。電話で伝えたら、同じ内容をメールでも送る

業者がオーナーになっていると、解約の話がこじれたときに店舗の情報を触れなくなります。権限の確認は、解約を伝える前に済ませておきます。サードパーティ ポリシーでは、お客様が契約の終了を伝えてから7営業日以内に、業者が管理から外れ、お客様だけが管理できる状態に戻せるようにすることが求められています(2026年10月時点)。

相談先

相談先向いている相談
弁護士(日本弁護士連合会の「ひまわりほっとダイヤル」など)契約の取消しや解除ができるか、違約金の交渉。中小企業や個人事業主が弁護士との面談を予約でき、一部の地域を除いて初回30分は無料
契約しているリース会社の相談窓口リースが付いている契約の扱い、業者の勧誘の問題
地域の商工会議所・商工会経営の相談、専門家の紹介
Google(サードパーティ ポリシー違反の報告)Google を装う、順位を保証する、といった業者の行為

相談の前に、上の「記録をそろえる」で集めたものを時系列に並べておくと、話が早く進みます。

次に契約するときのために

  • その場で決めず、見積書と契約書を持ち帰って読んだ
  • 契約の相手(業者・リース会社・信販会社)を確かめた
  • 最低の契約期間、中途解約の条件、違約金を確かめた
  • ビジネスプロフィールのオーナーは自分のまま、業者は管理者で入る形にした
  • 毎月の作業の中身が書面に書かれている

契約の期間や自動の更新の見方はMEOの契約期間と解約でも説明しています。Lapisデザインラボの Googleマップ集客(MEO)の契約の条件は、月額サービスの条件に書面と同じ内容で載せています。

よくある質問

お店で結んだMEOの契約は、クーリング・オフできますか。

特定商取引法26条は、営業のために結ぶ契約をクーリング・オフなどの規定の対象から外しています。お店の集客のために結ぶMEOの契約は、原則として対象外と考えるのが安全です。ただし、営業のためかどうかは取引への慣れなどから総合的に判断されるため、事情によっては違う結論になることもあります。迷うときは、契約書と勧誘の記録を持って弁護士に相談します。

MEOがリースで組まれていた場合、業者との契約をやめればリース料も止まりますか。

止まらないことが多いです。リース事業協会の説明では、ファイナンス・リースは期間の途中で解約できないのが原則で、やめるときは残りのリース料に当たる額を払う決まりになっています。リース会社との契約と業者との契約は別なので、両方の契約書を読み、リース会社の相談窓口にも事情を伝えます。

説明と違う内容だったときは、契約を取り消せますか。

相手にだまされて結んだ契約は、民法96条で取り消せる場合があります。ただし、だまされたことを示す材料が要ります。勧誘の日時、相手の名前、言われたこと、渡された資料を早めにまとめ、弁護士に相談するのが確実です。

参考にした資料

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