社内でロゴを公募するとき|進め方と、プロに仕上げを頼む形
社員からロゴ案を募る「社内公募」は、費用を抑えられる、社員の思いを形に反映できるといった理由で検討されることがあります。一方で、進め方を決めずに始めると、審査の基準が曖昧になったり、採用後の仕上げで手間取ったりしがちです。
この記事では、社内公募の進め方、応募案やデザイナーがコンペサイトに出す案と違う、社内特有の権利の扱い、採用した案をプロに仕上げてもらう頼み方をまとめます。
社内公募とコンペサイトの違い
ロゴを安く用意する方法として、クラウドソーシングのロゴコンペも比較されますが、社内公募とは前提が異なります。
| 社内公募 | コンペサイト | |
|---|---|---|
| 応募者 | 自社の社員 | 不特定のデザイナー・一般の応募者 |
| 目的 | 社員の参画・愛着づくりが中心 | 専門的な案を複数比べるのが中心 |
| 完成度 | ラフなアイデア段階の案もある | ある程度仕上がった案もある |
| 仕上げ | 別途デザイナーに依頼するのが前提 | サイトの運営規約に沿って追加の修正を依頼 |
社内公募は、プロの案を集める手段というより、方向性のアイデアを集め、社員の意見を取り入れる手段として位置づけるとうまくいきやすくなります。
進め方の流れ
- 募集要項を作る:目的、募集期間、提出形式(手描きのスケッチ可、デジタルデータ不要など)、権利の扱い、審査の基準、採用後の扱いを明記します
- 募集する:全社に告知し、匿名での応募も可にすると意見が出やすくなります
- 一次審査:経営層や広報だけでなく、社員の投票を組み合わせる方法もあります。投票だけで決めると見た目の好みに偏ることがあるため、事業の方向性に合っているかを別の基準として置きます
- 方向性を選ぶ:この時点では「完成品を選ぶ」のではなく「育てる方向性を選ぶ」という位置づけにします
- プロに仕上げを依頼する:選んだ方向性をデザイナーやデザイン会社に伝え、実際に使えるロゴとして仕上げてもらいます
応募案の著作権の扱い
応募案が著作物にあたる場合、その著作権は、誰がどう作ったかによって扱いが変わります。著作権法第15条は、法人などの発意に基づき、業務に従事する者が職務上作成し、法人などが自己の名義で公表する著作物について、契約や勤務規則に別段の定めがない限り、法人などを著作者とすると定めています(職務著作)。
社内公募にそのまま当てはめると、次のような整理になります。
- 会社の企画として、業務の一環で応募を求めた場合:職務著作の要件を満たせば、会社が著作者になる可能性があります
- 就業時間外に、社員が個人の発想で自由に作った場合:職務著作の要件を満たさず、社員個人に著作権が残る可能性があります
- 契約・就業規則に別段の定めがある場合:その定めが優先されます
この切り分けは案件ごとに判断が分かれるため、募集要項に「採用された案の著作権は会社に帰属する」旨を明記し、応募時点で同意を得ておくのが、あとからの行き違いを避ける現実的な方法です。ロゴの著作権の基本も、外部に依頼する場合との違いを整理する際の参考になります。
プロに仕上げを頼むときの伝え方
社内公募で選んだ方向性をデザイナーに伝えるときは、完成イメージそのものより、次の情報を渡すほうが仕上がりがスムーズです。
| 渡す情報 | 内容 |
|---|---|
| 選んだ理由 | どの部分(形・色・言葉)を残したいか |
| 使う場面 | 名刺、看板、Webサイトなど、小さくしても崩れない形に調整が必要な場面 |
| 社内の反応 | 審査で出た意見(賛否が分かれた点があれば共有) |
| スケジュール | 仕上げから印刷・公開までの期日 |
ラフな案をそのままトレースしてもらうのではなく、「この方向性を、実際に長く使えるロゴに仕上げてほしい」という依頼として伝えると、デザイナー側も形の整理や色の調整を含めて提案しやすくなります。
気をつけておきたい点
- 審査基準を事前に固定する:好みだけで決めると、採用後に社内で意見が割れることがあります
- 採用されなかった案への配慮:応募要項で転用しない旨を伝え、意欲をそがない運用にします
- 仕上げの期間を見込む:社内公募の期間に加えて、プロへの仕上げ依頼にも期間がかかることを想定しておきます
審査をどう進めるか
社内公募は、関わる人数が多くなるほど審査の進め方で意見がまとまりにくくなります。次のような体制を先に決めておくと、審査後の説明もしやすくなります。
| 審査の形 | 向いている会社 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 経営層・広報だけで審査する | 人数が少ない会社 | 社員の参画感が薄くなることがある |
| 全社員の投票を取り入れる | 社員の意見を重視したい会社 | 見た目の好みに偏ることがあるため、事業の方向性との整合を別基準で見る |
| 一次審査(経営層)→決選投票(全社員) | 両方を取り入れたい会社 | 工程が増え、期間が延びる |
どの形を選んでも、審査基準(事業の方向性に合っているか、小さくしても読めるか、他社と似ていないかなど)を募集要項に先に書いておくと、採用されなかった社員にも理由を説明しやすくなります。
社内公募を行う前に検討しておきたいこと
社内公募には、社員の参画意識が高まるという利点がありますが、向かない場合もあります。例えば、事業内容が専門的で、社外の人に説明する言葉づくりそのものから専門家の視点が必要な場合は、最初からロゴ制作をデザイナーに依頼する進め方のほうが、遠回りにならずに済むことがあります。社内公募を行うかどうかは、「社員の意見を取り入れたいか」と「どの程度プロの視点から整えたいか」の両方を踏まえて判断します。
まとめ
- 社内公募は、完成品を集める場ではなく、方向性のアイデアと社員の参画を得る場として位置づける
- 著作権の扱いは職務著作の要件で変わるため、募集要項にあらかじめ明記しておく
- 採用した方向性は、プロのデザイナーに仕上げを依頼し、実際に使えるロゴに整える
- 審査基準とスケジュールを先に決めておくと、社内公募から仕上げまでが滞りにくい
仕上げの依頼先を探す場合は、サービスと料金でロゴ制作のプランを確認できます。
よくある質問
社内公募で選ばれた案は、そのまま使ってよいですか。
手描きのアイデア段階のまま使うと、小さく印刷したときに形が崩れたり、Webと印刷で色が合わなかったりすることがあります。方向性として採用し、デザイナーやデザイン会社に仕上げを依頼する進め方が実務的です。
応募した社員の著作権はどうなりますか。
会社の企画に基づき、業務として作成し、会社の名前で発表するロゴであれば、著作権法上の職務著作として会社が著作者になる場合があります。ただし、就業時間外に個人の意思で作った案や、就業規則に別段の定めがある場合は扱いが変わるため、応募要項に権利の扱いを明記しておくことが安全です。
採用されなかった案はどう扱えばよいですか。
応募要項に「採用案以外は公開・転用しない」と明記し、社内での共有も審査関係者にとどめるのが無難です。応募者の意欲をそがないよう、採用の理由を簡単に伝える運用にしておくと、次回以降の公募にも協力してもらいやすくなります。